Etoile de Dakar & Star Number One de Dakar

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 ここ数日、一昨日届いたこれら2つのリイシューCDを繰り返し聴いて楽しんでいる。

・Etoile de Dakar featuring Youssou N'Dour / Once Upon A Time In Senegal - The Birth of Mbalax 1979-1981 (Sterns STCD 3045-55)

 Etoile de Dakar の7作品(LPとカセット)から23トラックを収録した2枚組。

・Star Number One de Dakar / La Belle Epoque (Syllart 000589)

 彼らの全6枚のアルバムから28トラックを収録した2枚組(1974〜80年録音)。

 ♪

 アフリカらしい音楽となると、まずは民族音楽色の強いマリやギニア、あるいはきらびやかなコンゴのスークースあたりだろうし、近年はアフロビートやアフロファンクを好む方も多いだろう。けれども自分はこうしたセネガルのサウンドも大好きだ。いやひょっとすると一番好きかもしれない。Orchestre Baobab 〜 Star Number One de Dakar 〜 Etoile de Dakar 〜 Youssou N'Dour et le Super Etoile de Dakar と連なる70年代〜80年代前半の都会的なサウンドにとても惹かれる。まだ荒削りで未完成ながらも、ラテンのコピーをベースに伝統音楽の要素を組み込み、ワン&オンリーなサウンドを生み出そうとする熱い情熱、スローでメロウなアフロキューバンからファンク、サイケにまで至る幅の広さに、他の音楽にはない魅力や独特な進化の途上にある独特な若々しさを感じる。

 今回リイシューされた音源も、ほとんどがすでに持っているものばかりなのだけれど、それでもこうして買ってしまうのは、セネガル音楽に関する文献が案外少ないので、添えられたライナーを読んでみたいのと(初出の写真も見てみたい)、アナログで持っているものをCDで聴けることに便利さを感じるからである。しかしリイシュー盤を買い直すメリットは(今回も)それだけではなかった。どちらのライナーも内容・分量とも充実したもので、思わずオリジナル盤や関連する音源なども聴きかえしながら、セネガル音楽の歴史を振り返ることになり、そうした中からの新たな発見が今相次いでいる最中でもある。

 そんなちょっとした発見の数々、整理してみたいとも思うのだが、ここに書いても興味を持って読まれる方はほとんどいないと思う。なので、ここではひとつ披露するだけにしようと思う。

 ほとんど耳タコの録音ばかりと思って聴いていると、Etoile de Dakar のディスク1の5トラック目 'Jalo' が始まって「おや?」と思った。ヴォーカルが左右に完全に振り切られた録音になっていて、これには聴き覚えがない。そこで、93年に同じ Sterns から出た "Volume 1 : Absa Gueye" (STCD 3004) で確認してみると、ヴォーカルはほぼセンター定位でサウンド全体のステレオ感もそれほどない(今回のトラックの方が、ワイズが広い分だけ分離が良いこと以上に、ユッスーたちのヴォーカルがクリアに聴こえる)。オリジナルカセットをLP化した DARL盤を聴いても一緒。果たして今回のステレオ・ミックスは一体どこから出て来たのだろう。オリジナルカセットは持っていないので、それとの比較確認はできないのだが、オリジナルも音像が狭いミックスだろうと推測される。詳細は省くが、他のトラックでも同様な違いがあるかというと、その度合いは曲によりけりだったりすることが、その根拠としてある。

 さらに、"La Belle Epoque" を聴いても次々と不可解なことに出くわす。これらの疑問について調べ出すと、謎が解けそうになると次なる謎が現れる。どうやらしばらくは謎解きの数々も楽しめそうだ。





(追記)"La Belle Epoque" に関して

・3月に発売になった時点でトラックリストを見た際に、「 'Mathiaki' の音源だけがまだ分からない。アルバムがもう1枚ある可能性は ... 」といったことを Twitter に書いた。聴き較べた結果、これはセカンドアルバム収録の 'Macakki' と同一と判明。残念ながら未発表録音?等はなさそうだ。

・今回のライナーの記述とオリジナル盤のデータとの矛盾が複数見つかっている。サイト(http://www.fbdj.net)のディスコグラフィーのデータや過去の原稿(『レコード・コレクターズ』)の修正/訂正も必要かも知れない。

・Etoile de Dakar のCDには、リマスターによる音質改善も感じられたが、Star Number One の方はそうとも言い切れないかも知れない。例えば 'Mathiaki' を聴くと、オリジナルLPの音の方がはるかに艶があって好きだ。

・ヴォーカルの多彩さが大きな魅力のひとつ。Star Band、Orchestre Baobab など70年代のセネガルのバンドは、声質の異なるヴォーカリストを4人や5人くらい擁しているのが当たり前だった。思えば Baobab の再結成はそうした魅力の復活でもあったのだった。

(再追記)"La Belle Epoque" に関して

・ライナーは仏文の方が長くて(英文パートの約2倍)まだ読み切れない。フランス盤なので仕方ないことなのだろうが、貴重な情報が詰まっていることと思うので、フランスがあまり読めない自分にとっては残念な扱いだ。... 頑張って仏語パートも読もう。
by desertjazz | 2010-05-19 21:37

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