Afro-Beat/Afro-Jazz around Jazzhole

d0010432_10193332.jpgEde Gidi "U-roo-ba Vybe Dialektics" (Jazzhole JAH001D, 1997)

 「前号のアフリカ音楽特集で書き切れなかったことのひとつが、ヒップホップ系音楽の盛り上がりである。最近は、コート・ジボワールとセネガルのラップや、南アフリカのクワイトのCDあたりが割と入手しやすいが、アフリカのヒップホップは何もこれらの国々に限って盛んな訳ではない。そのことは前号で金子穂積さんがガーナの状況について報告されている通りだ。そのあたりをもっと詳しく知りたくて、勘を頼りにCDを買い集めた中の一枚が、このナイジェリアのアルバムである。
 14組のグループのトラックを収録しているものの、その全てにエディー・ジーなる人物がただひとり参加しているため、実質的には彼のソロ・プロジェクトと考えてよいだろう。そのエディーが、ラゴスに暮らす仲間たちを多様に結び合わせることで生まれた曲はバラエティーに富んでいる。曲ごとに、ジャズ、ファンク、ラップ、ジャングル、ドラムン・ベース、テクノなどの要素と共に、フジ、アパラ、アフロ・ビートといったナイジェリア音楽の特徴も聴き取れる。サウンドのベースはエディーのプログラミングしたリズム・トラックで、これにキーボードやサックスとともに、ナイジェリアの伝統的なパーカッション(トーキング・ドラム、バタ、シェケレなど)が絡んでいく。そして、コンテンポラリーなブラック・ミュージックに通じるクールなボーカルとヨルバの呪術的なコーラスが絡み合い、さらにはボコーダー等で加工されたボイスや、街音や鳥のさえずりなどのサンプリング音もコラージュされていく。このように「外」と「内」の要素が交錯する様がとてもスリリングだ。
 正直なところ、仕上がり具合にばらつきがあり、実験的色彩の強いトラックも多い。しかし昨年聴いたアフリカ音楽の中では最大の衝撃を受けた作品(録音は96年)と言え、現在のラゴスの状況が気になって仕方がない。」

 これは10年前、2000年8月に『アンボス・ムンドス』第7号用に書いた原稿。Jazzhole の第1号アルバム(番号から推測)である、エデ・ギディのこのアルバムを見つけたのは 1999年頃にニューヨークの Sterns を訪れた際のこと。今ならばもう少しまともなことも書けそうだが(「エデ・ギディ」とMCしてるのに「エディー・ジー」なんて書いているし)、基本的な考えは変化していない。ラップトップ上のというか、4畳半宅録的というか、そんな形容をしたくなるアフロジャズやフジに大変な新しさを感じたのだった。

d0010432_10192471.jpgAyetoro "6000 Miles and a Minute" (Ebute Metta, 2004)


 2005年にナイジェリアに滞在していた間は、このアフロジャズ/アフロビート盤を繰り返し聴いていた。これはレゴスの Jazzhole で買ったCD。スタジオ・ライブらしい 'Our Man is Gone (Tribute to Fela Kuti)' 〜 'J T's Tale Live' が結構いい。

(追記)Ayetoro の続くセカンド・アルバムの方はイギリス盤が出ており、現在でも容易に入手できる。"Omo Obokun: The Afrobeat Chronicles Vol 2 - Directions in Music by Funsho Ogundipe" (Flying Monkeys Productions FMPCD001)

d0010432_10191428.jpgDuro Ikujenyo and the Age of Aquarius "Ase" (Jazzhole JAHo09CD, 2010)


 先日リリースされたこのアフロビート盤を聴いて連想したのは、先の2作品だった。いずれもアフロビート/アフロジャズを取り入れている点は共通しているものの、そのサウンド自体にほとんど類似したところはない。しかし、なんとはない等質性も感じてしまうのだ。

 ・優等生的なフュージョン寄りのジャズセンス
 ・宅録的な密室性/閉鎖性
 ・不安定にぶれるヴォーカル

 従来からのナイジェリア音楽とはまるで正反対の特徴ばかり。Jazzhole 周辺からはインテリの香りが漂ってくる気がする(Jazzhole の店は半分がCDのスペース、残り半分が書籍のスペースで、アカデミックな本が大量に陳列されている)。これでは全然ダメじゃないかと思われるだろう。いや、実際その通りなのだが、それでも不思議と可能性を感じて、Ede Gidi と Ayetoro の2枚などはずいぶん聴き込んだものだ。Ede Gidi のアルバムなんかは、しっかりしたプロダクションを施せば大傑作に生まれ変わるのではないだろうか。まあ、それは無理だろうから、ぜひ再発して欲しい。全く売れないと思うけれど…。



 Femi Kuti 新作 "Africa for Africa" は従来のサウンドの完全な焼き直し。しょっぱなからライブ盤で聴き込んだ 'Dem Bobo' だったりして、新鮮味も何も感じない。もうアイディアが枯渇したか。その分、普通のアフロビートとしては最も素直に楽しめる作品だろうが。それでも、Tr. 10 の'Now You See' だけは文句なしに気に入った!




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by desertjazz | 2010-11-15 12:00 | 音 - Africa

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