Dubai / Maroc 2010 (10)

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 レッガーダのルーツはモロッコにある。マラケシュではそんなこともすっかり忘れてしまっていた。モロッコの民衆が愛し、モロッコのディアスポラたちを支える音楽。しかしそれは、モロッコ北部、例えばカサブランカやラバト以北の雰囲気に通じるものなのではないだろうか。アーバン・ミュージックと言っていいのかも知れない。レッガーダがモロッコ音楽のひとつであることを忘れていたのは、それがマラケシュの空気とは共振しにくいからなのか。少なくともスークの静けさ/穏やかさには似つかわしくないように感じた。

 レッガーダは断然面白い。一発でトランス気分にさせてくれる、この上なく強烈なパーティー・ミュージック。しかしそれは、あくまでもモロッコ大衆のためのローカル・ミュージック。アジアの片隅から来た異邦人が飢えるほどに必要とするような音楽ではないと思う。だが、ジャラルだけは例外、特別な存在である。そんなローカル性の観念さえ打破する破壊力を持っている。一度でいいから彼のライブを体感してみたいものだ。

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 マラケシュの人々は何を聴いているのだろう。並ぶアイテム数が一番多いのは、マリカ Malika El Marrakechia 。確かに上手い歌い手だ。店員に「ナンバーワンは?」と尋ねて教えられたのは、ファイヴ・スターズ Five Stars 。こちらも多々取り揃えられていて、聴いてみるとノリがいい。だが、「マラケシュのマリカ様」にしても「カサブランカのクールファイブ」にしても、所詮はローカル・ミュージック。それもワールド・ミュージックになり得ないローカル・ミュージック。日本人が何かを語ることは不遜に過ぎる。

 音楽が生まれるのにも、音楽を聴く気分にも、土地それぞれの風土の影響が大きい。マラケシュの光景を思い返し、その土地の気分に合っていると思えるのは、やはりシャービとグナワだ。そして、辛うじてアラブアンダルース音楽も。買って帰ったシャービやアラブアンダルース音楽のCDには強く惹かれるものがいくつかあった。アラビア表記で読めないものもあったが、少し調べてみる価値はありそうだ。

 夜、あたりがすっかり暗くなると、ある程度高級なレストランやホテルに、ゲンブリをつま弾くグナワの楽士が現れる。それは店や宿がアレンジしたものなのか、ただの流しの男なのか。一瞬前まで静寂だった空間に響く音の心地よさに酔ったり、少し気の抜けた演奏に聞こえたり。贅沢な時間の過ごし方には違いない。けれども、もっと本格的な演奏があるのではないか、そんな楽士に出会いたい。より贅沢な願いが頭に思い浮かび始める。





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by desertjazz | 2010-12-10 10:00 | 旅 - Abroad

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