Dubai / Maroc 2010 (11)

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 マラケシュでゲンブリを買った。

 旅先でいつも悩ましく思うのは土産のこと。一応、家族、友人、知人らへの土産を探してみるが、大抵は見つからない。良いものがあったと一瞬思っても、店に何度か通って再考しているうちに、最初の印象が勘違いであったことに気がつく。

 若い娘たちに「何が欲しい?」と問うても、返ってくるのは「旅の土産話が聞きたい」「写真が見たい」「何もいらない。無事に帰ってきて」という言葉ばかり。質問も野暮だが、売られている土産物の詰まらなさ、土産を選ぶ苦労を、案外皆分かっているようだ。

 折角の旅で悩むくらいだったら、最初から探さない方が賢明。実際、旅の記念に自分へ何かと思うが、やはり欲しいものは滅多に見つからない。そこで、いつからだったか、楽器をひとつ買ってくることを始めた。それも豪華一点主義で、本物を。

 カラハリ砂漠では、ブッシュマンが実際に使っていたデング(親指ピアノ)を譲ってもらった。ジンバブウェのハラレでは、アンティークショップに飾られていたンビーラ(親指ピアノ)の3台揃いを入手。ハワイのホノルルでは、ウクレレ専門店で 1000ドルする Kamaka を購入。ブラジルのリオでは、専門の楽器店でカバキーニョを買った。その都度、もう一生来ることはないだろうと考え、頑張って一番良いものを手に入れるようにしている。

 楽器を選んだのには理由がいくつかある。楽器はただの実用品であるだけでなく、ものとしての美しさも兼ね備えているので、飾っておいても楽しい気持ちになる。また、たとえ正しく弾けなくても、適当に音を出しているだけで、その音色が心地よい。部屋の片隅にころがしておくと、遊びに来た客人が弾いて遊んでくれる。そんな「ひまつぶし」(copyright : サカキマンゴー)も楽しい。

 マラケシュを散策していて、ウードやゲンブリが売られているのに気づいた。試しに値段を聞いてみると、想像したより安い。最初の言い値は、大きなもので DH1200〜700、それより少し小振りのもの(中型としておこう)で DH 900〜600、小さなもので DH300。値切ればもっと安くなりそうだ。そこで10店ほど訪ね歩いて物色。デザイン、加工、仕上げ、色、音色、傷、等々をチェックしながら何十本も見た中で、たった一本だけ気に入るものが見つかった。

 買ったのは中型のタイプ。一本木のくり抜きで、ラクダ皮の貼付けにも釘1本使われていない。余計な装飾もなく、正に完璧な一本。本当なら Orchestra National de Barbes のCDジャケで見慣れた大型が欲しかったのだが、決定的に満足できるものがなかった。結果、これで良かったのだろう。大きいと日本まで持ち帰るのに苦労しそうだったし、遊びがてらつま弾くには小さい方が抱きやすい。

 ところで、買った楽器をゲンブリと書いてきたが、正確にはゲンブリではないはず。大きく角型のものだけがゲンブリだと思っていた。そう尋ねると、同意して大型以外を別の名前で呼ぶ売り手もいる。しかし、逆に中型がゲンブリだと言い、大きい方をまた別の名前で呼ぶ男もいた。確認すべきだったのだろうが、面倒で聞き流した。そのうちに調べることとしよう。

 外国で弦楽器を買う際には、必ず予備弦もつけてもらう。弾けもしないくせに。今回も3本ただでもらってきた。原材料についても教えてくれたが、それが何だったかは、もう忘れてしまった。何かと無精のまま過ごしていたので、まあいいか。「張り直すときには、15分くらい水に浸けてから」と教えられたことだけははっきり覚えている。それと弾き方も。

 時々、部屋でポロポロと鳴らして、「ひまつぶし」。やっぱり生音の響きは心地よい。




 PS. ゲンブリを持つと 'Stand By Me' を弾き始める奴が多い。流行なのか?





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by desertjazz | 2010-12-11 11:00 | 旅 - Abroad

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