"Afro Latin Via Dakar" (2)

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 確か昨年の夏にはマリ音楽のいくつかを聴き直し「再履修」した過程をブログに綴ったのだったが、今年の夏はセネガルのラテン/アフロキューバン音楽をしばらくぶりにまとめて聴いてみる気になっている。きっかけは過日リリースされたコンピレーションCD "Afro Latin Via Dakar"。これが実に素晴らしい。繰り返し聴く度にあれこれ懐かしく思い出されることがある一方で、ダカールに花開いたラテンサウンドが自分が考えていた以上に奥深い世界だったのではないかとも思えてくる。なにより暑い夜に楽しむのに相応しい「納涼音楽」でもあるし。

 そのような訳で、このアルバムを聴いて思い出したことや感じたことを書き連ねてみようと思う。毎度のごとく自分のためのメモ/情報整理的な内容が多くなるだろうけれど。それでも興味のある方はよろしくおつきあいください。




 セネガルのポップミュージックには2つの大きな潮流がある。60/70年代のアフロキューバンと、70年代後半以降のンバラポップ(そして近年はラップ/ヒップホップが隆盛なのだけれど)。私の興味も元々はユッスーやバーバ・マールらが開拓/発展させていったンバラだった。ユッスーの現地ライブを体感したく、またダカールで活動しているローカル・バンドのことも知りたくて、1999年にダカールを初めて訪れたのだった。

 しかし、この旅でセネガリーズ・ポップに対する認識が変わった。セネガルのアフロキューバン・ミュージックは面白い! そう心から思えた。

 旅立つ前は誰からも「レコードは探してもないよ」と言われていたのだが、実際探してみるとザクザク出てくる。翌年もダカールを再訪問し合わせて数万枚のレコードを発掘。うち約800枚を持ち帰ってきた。それらの中には Arsenio Rodoriguez の Bang 盤を筆頭に珍しい本場のラテン盤も含まれるが、何割かはダカールのバンドによるアフロキューバン・ミュージック。かすかな記憶やカンを頼りに選び集めたレコード、帰国後に聴いてみたら恐ろしく内容の良いものから、繰り返し聴く気の起こらない駄盤まで様々という面白さ。アメリカの切れ味鋭くハードドライブなサウンドとも、コンゴの軽やかなサウンドとも、幾分趣を異にするまろやかで芳醇なダカール流ラテンに魅入られる。とにかくオーケストラ・バオバブ Orchestre Baobab を筆頭に耳が釘付けになる音楽が多くて、すっかりハマってしまったのだった。



 今回コンパイルされた "Afro Latin Via Dakar" の全32曲中、約20曲がセネガルでオリジナル盤を入手してきたトラック。そのような理由もあって、この CD は楽しく、かつ懐かしく聴けたのだけれど、これを評価しているのは何より一番に内容が良いからだ。繰り返し聴くごとにじんわりと味わいが増す音楽だと思う。

 ただひとつ関心があるのは、本場ニューヨークやカリブのアフロキューバンに造詣の深い方々がセネガルのラテンをどう聴くかということ。ハードエッジな前者と比較してまろやかなダカールのこのサウンドは認められるものだろうか。昔、アメリカとアフリカの双方のラップ/ヒップホップが専門の知人に「セネガルのヒップホップが好きだ」と話すと、「こうしたサウンドなら、アメリカにいくらでもありますよ」と切り返されたことがある。セネガルの(あるいはアフリカ発の)ラテンサウンド全般に対して同様な見方をされる方もおられるのかも知れない。

 まあ、私自身は素直に好きで聴いているし、こうしたコンピがリリースされるというのは、セネガルのラテンに魅力を見出している人が少なくない証拠でもあろう。自分が本場のラテンをもっと聴いていたら、アフリカのラテン音楽をより深く楽しめたのではないかとも思うのだが。

 ともかく、60/70年代当時のダカールのミュージシャンや酒場に集う人たちがこうしたサウンドに熱狂したという事実を忘れてはいけない。1950年前後に最初レコードとして入ってきたラテン音楽を模倣し、伝統音楽や他のポップの要素を混ぜ合わせ練り込んでいくことでリメイクされたラテン/アフロキューバンには今聴いても尽きせぬ魅力が刻み込まれている。そんなことを今回痛切に感じた。



 さてさて "Afro Latin Via Dakar" を繰り返し聴いて感じるのは、Orchestre Baobab の突出振りだ。やはりこのグループの音楽は図抜けている。なのでしばらくぶりにバオバブについても少々書いてみたいと考えている。

 それと同時にこのCDを面白く感じるのは、これまであまり脚光を浴びてこなかったミュージシャンやバンドにもスポットライトを当てていること。今回久し振りに聴いてようやく真価を掴めたように思える曲もあるし、初めて聴いた録音もある。例えばイディ・ディオップ Idy Diop や フォンセカ Fonseca はダカールの人々に本当に愛されていたようだ。彼らについても分かった範囲のことを書いておきたいと思う。



 結局、今夜もまた前置きだけで終わってしまった。これからどこまで書けるかな?

(続く)




"Afro Latin Via Dakar" (1)





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by desertjazz | 2011-07-05 00:00 | 音 - Africa

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