"Afro Latin Via Dakar" (7) : Super Star / Fonseca

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 セネガルでポップ・ミュージックの基盤を築いたのは、ガンビア人シンガーのラバ・ソセー Laba Sosseh(1943 - 2007年)とナイジェリア人サックスプレイヤーのデスクスター・ジョンソン Dexter Johnson だと言えるだろう。2人は60年代に Star Band、Super Star de Dakar、Super International Band などダカールの数多くのバンドで活動し、数々のライブやレコーディングを行った。彼らのサウンドはキューバ音楽、特に Orchesta Aragon から多大な影響を受けたもので、それはダカールでラテン音楽が栄えるのに大きな役割を果たしたのだった。

 そうした歴史は Teranga Beat 盤 CD "Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall" のライナーでも触れられている。「2人は60年代を通じてセネガルのほぼ全てのグループで演奏し、ほぼ全てのレコーディングに参加した」とまで書かれているのだから、正に独壇場だったのだろう。

 Laba Sosseh と Dexter Johnson の初期の録音は N'dardisc からリリースされている。このレーベルには昔から深い関心をもっていたのだが、上記ライナーを読んで初めて知ったことがいくつかあった。レーベルのオーナーは Louis Fourment というフランス人(白人)で、当時セネガルで唯一のレーベルだったという。

 セネガルのレコードを探すうちに、かの地の音楽シーンの初期状況を知るには N'dardisc が第一の音資料であると気がついたので、なるべく全部集めようとしたことがある。さほど熱心に探し求めたわけではないので、コンプリートにはほど遠いが、Laba Sosseh と Dexter Johnson の7インチ盤だけでも手元に10枚前後はあるのではないだろうか。

 ご存知の通り、Laba Sosseh は長年サルセーロ(サルサ歌手)として活動し世界的な成功を収めた。70年代前半はアビジャンなどもベースとし、70年代後半にはニューヨークに進出。90年代にはかのスーパーグループ、アフリカンド Africando のレコーディングにも参加している。彼のレコードは多数あって、その全体像を私は把握できていない。

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 一方の Dexter Johnson の方は後年の活動についてよく分かっていない。そのこともあり、かつてオランダの Dakar Sound から Johnson と Super Star のリイシューCD が2タイトル作られたことは画期的で個人的にも喜んだ記憶がある(確か『レコード・コレクターズ』にレビューを書いたはず。10年くらい昔かな?)。

 "Afro Latin Via Dakar" が、そんな2人が中心メンバーだった Super International Band のナンバーで始まるのは当然だろう。

・参考: Discography of N'dardisc


(Sosseh & Johnson について調べて書き始めると際限がなくなりそうなので、今回は軽めに終了。)




 "Afro Latin Via Dakar" ではもうひとり、60年代から活躍したシンガーにも焦点が当てられている。セネガル人の母とカーボベルデ人の父の間に生まれた、ルイス・ベラ・フォンセカ Loius Vera Fonsca という人物で、彼は50年代の半ばに渡仏、ベルギーやフランスで人気を博したという。

 自身のバンド、セ・アニエス・ノワール ses Anges Noirs との名義のナンバーなど3曲選ばれているのだが、'El Monte' と 'Babalu' は割とストレートなラテンのコピーで、残る 'Sibouten' も魅力に乏しい。Sosseh / Johnson のコンビに感じられるまろやかさや独特の味には遠く及ばないという印象だ。けれども、60年代当時は Fonseca のサウンドこそが、洗練されたおしゃれな音楽、あるいはエキゾチックな音楽に聞こえたのだろうかなどとも想像しながら聴いている。

 なので、"Afro Latin Via Dakar" の選曲の良さについてはしばらく前に書いたものの、唯一その例外としたくなるのがこの Fonseca の録音。しかし彼の作品もこのコンピの中に収まると、不思議なことに自然と楽しめてしまう。やはりトラックの流れについても熟考されているに違いない。

 これら3曲のオリジナル音源は、多分60年代後半にリリースされたシングルやEP盤。彼のレコードも相当数あるらしく、例えば CD の扉を開いて最初に目にする4ショット写真は彼の EP 盤にも使われたものだ。


 手元にある Fonseca のアルバムを探してみたら、2枚出てきた。

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"Fonseca et ses Anges Noires" (Artone BRO S-1525, 1969)


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"Fonseca et ses Anges Noires" (Medium LPR.004, 1969)


 2枚とも同内容。'El Monte'、'Babalu'、'Sibouten' の3曲全てを収録しているので、ベスト盤的な代表作なのかも知れない。





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by desertjazz | 2011-07-14 00:00 | 音 - Africa

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