SUKIYAKI TOUR 2011 (16) : Day 7

 8月25日(木)、スキヤキ・ツアー最終日。カウシキの大阪公演を観るため、東京から大阪に移動。

 しかし幸先良くないことが続く。新横浜で新幹線に乗るつもりでいたら、豪雨の影響を受けて横浜線が止まっている。それはすぐに運転再開したのだけれど、新横浜に着いたら、今度は見たことのないような大行列ができている。熱海辺りでの集中豪雨で新幹線も大幅に遅れていて、予約変更のためにカウンターに並んでいる様子だった。幸い自分は指定券を買っていなかったので、並ばす自動券売機で買えたのだが、それでも1時間半待ちになった(それより前の列車の自由席に乗ってしまう手段もあったのだが、激混みの中立っていくのはさすがに辛い)。

 カウシキ一行も当日新幹線で大阪入りすると聞いていたので、果たしてサウンドチェックの時刻まで着くのだろうか。そんな心配をするとともに、こんなとき同じ列車になったら嫌だなと(富山からの移動の時と同様に)感じてもいた。後で聞いてところによると、彼女たちの方が遅い列車だで、何とかサウンドチェックにも間に合ったそうだ。




 会場は「玉水記念館ホール」で、キャパ300人とのこと。天井も高く、東京の会場(浅草アサヒ・アートスクエア)よりもずっとゆったりした造りだ。どこに座って聴くかまた迷ったのだが、予定よりも遅れて行ったのにも関わらず最前方で開場を待つことになったので、結局今度も最前列中央(やや右寄り)の席を選ぶ。福野と東京の経験から、ここが一番見やすいを知ってしまったのだった。

 大阪も集客が厳しいと聞かされていたものの、そのようなことはなく、東京公演と同様に席を追加するほどの大盛況になった。前座の演奏が終わり、休憩を挟まずにカウシキたちの演奏を始めることが告げられる。彼女たちの登場を待つ期待に満ちた緊張感が背後からもひしひしと伝わってくる。

 セット転換が済んでカウシキとスバシスとアジャイが登壇。

 1曲目 'Raag Bageshree'、カヤールを聴くのも今夜が最後。じっくり拝聴しようとしたのだが、気のせいかPAからの音が幾分濁って聴こえるし、伸びも欠けて感じられる。これは最前列で聴いているせいなのか。今回だけは席の選択を誤ったのだろうか。そう思っていたらカウシキがモニターバランスに注文をつけ始めた。こんなことは福野でも東京でもなかった。そのためだろう、カウシキにはどこか集中力が欠けているように見受けられる。

 結局モニターバランスの指示を繰り返しながら、最後にとても長いアドリブを一発決めて終了。時間は約45分。福野の30分よりは長いが、東京の60分よりは短い。気持ちが入らなくなったので早めに切り上げてしまったのだろうか。それとも最初からこの長さの予定だったのだろうか。

 カウシキは歌い始める前に左膝の前に腕時計を置いていたので、演奏時間の管理はしていたはず。もし公演時間に制限があったのならば、前座なしにして東京と同じ尺でやって欲しかったと、個人的には思う。

 勿論、歌声もそれを駆使したパフォーマンスも伴奏者2人の演奏も素晴らしいものだった。けれど、それを上回っていた東京公演でのカヤールを思い起こしてしまい、どうしても邪念が混じってしまう。そう思っていると…。

 2曲目 'Dadara - Raag Mishra Maru Bihag' が始まった途端、何かがすっかり変わった。このダドラの美しさは一体何なのだろう。カウシキの声は澄み切って響き渡り、空間の中に伸びやかに浸透していく。最早モニターを気にすることもなく、神経が行き届き、それでいて気迫さえ感じさせる歌だった。気がつくとモニターの音は微かな濁りもないクリアなものに一変していた。これこそ自分がカウシキの歌に求めていたものだ。カウシキが今夜の条件を感じ取って軌道修正したのか、あるいは全ての条件が理想的に合致したのか、奇跡を見る思いだった。思わず目頭が熱くなり、涙が溢れてきそうになったほどだ。

 1曲目に対する戸惑いと、2曲目に対する感動があいまぜになっているうちに、3曲目 'Meera Bhajan - Raag Mishra Tilang' も終える。今夜はアンコールなし。1曲目が短かった分だけ、全体としても70分ほどのセットだったと思う。

 福野、東京、大阪と、演目や色合いの違った3公演。それぞれに良さが感じられたが、今夜のダドラはそれらの中で最高のもののひとつだった。そして、その日の条件次第で劇的に変化することに「音楽って生きものだ」とつくづく感じたのだった。

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Ajay Joglekar に書いてもらったトラックリスト。「Mishra は Mix のことだよ」と教えてくれた。




 終演後、仲間たちの感想は「良かったー」「素晴らしかった」というもの。ただし当然のごとくモニターの件に関してはいろいろな人から「何があったの?」と尋ねられた。またいくつかの不手際も見受けられた。

 主催者側からの依頼もあったので、タブラのスバシスに尋ねたところ、細かに詳しく丁寧に説明してくれた。「会場の音響は良かった。とても良かった。けれど…」と。しかしそれを繰り返すことに意味はないだろう。彼が語ることによって、彼自身の気持ちが吹っ切れたようにも思えたし(実際そうであって欲しいと思う)。

 そうしたことよりも、カウシキが日本に、そして大阪に来て歌ってくれたこと、その歌を聴いた多くの人たちが何かを感じたり感動したことこそが重要だ。自分が感じ取った東京公演との差は実際は微々たるものなのかもしれないし、大阪しか見ていなくても確実に感動したことと思う。なので、主催者の方々には本当に感謝しています。ありがとうございました。




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 終演後にロビーに出て来たカウシキ姫は至って上機嫌。バックステージでは彼女の方から声をかけてきてくれたし、サイン会も東京の時と同じく長蛇の列。ファンを写真に撮ったりまでして、本当に楽しそうだった。




 仲間6人で近所の店に流れて乾杯。スキヤキ1週間が無事に終えられたことを祝し、慰労しあう。自分もスキヤキ7日間を皆勤できたことが感慨深い。(5日ないし6日間来た人は他にもいたけれど、7日通しては他にはいなかったようだ?)

 翌日、カウシキとスバシスはコルカタへ、アジャイはムンバイへと帰って行った。またいつか会える日を心待ちにしています。




 (2011.09.25 記、大阪公演からちょうど1ヶ月の日に)

 (続く ???)





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by desertjazz | 2011-08-25 23:01 | 音 - Festivals

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