New Disc :『安東ウメ子/イフンケ』

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 安東ウメ子と OKI による傑作『イフンケ IFUNKE』が新装版として再発売になる。

 このアルバム『イフンケ』が最初にリリースされたのは、今から10年前の2001年。安東ウメ子が歌うアイヌ・ウポポを聴いた時の新鮮な驚きは忘れられない。それ以降、この歌は自分の生活に欠かせないものとなってしまっている。とにかく好きとしか表現しようがない。日本人(正確にはアイヌだけど)のレコードで好きなものを10枚挙げよと言われたら確実に入る。もしかしたら今一番好きなアルバムかも知れない。

 どうしてこんなに惚れ込んでしまったのだろう。『イフンケ』の音はとてもシンプル。まずそこがいい。どこまでも優しいウメ子さんの歌、それに寄り添い対話するような OKI さんのトンコリ、そしてときどきウメ子さんがムックリを歌わせる。ほとんどそれだけ。あとは曲によって、レクポさん(マレウレウ)の歌、パーカッション、フィールドレコーディングした鳥や水の音が入るくらい。

 夜、静かにウメ子さんの歌に耳を傾けていると、自分の身体が融け落ちて大地に染み込んでいくような感覚、あるいは母の子宮に帰っていくような感覚になる。そうした意味では自分にとっては「子守唄」なんだろうな(確かに安東ウメ子さんは、夜〜深夜にしか聴かない)。

 想像するに(想像するまでもなく?)マレウレウにとってもウメ子さんは大切な原点のひとつなのに違いない。マレウレウのファンにも是非聴いて欲しい録音だとも思う。




 陳腐な表現をしてしまうと、これは「日本/アイヌ発ワールド・ミュージックの白眉」。なので旧版を持っている人も、その大半が買い直すのではないかというくらい、評価/価値の高い作品だ。と言うのは、未発表トラックが4つ追加収録されているから(ジャケットも OKI さんが描いたイラストに変更されている)。

 追加されたボーナス・トラックについて軽く紹介

(17) 'ha ey yo' - トンコリ、ハンドクラップ、エフェクトが重なったリズミカルなウポポ。重低音ベースはトンコリから出しているのかな? 最初に聴いたときは雷が落ちたのかと思ったくらいに効果的。

(18) 'rewrew' version - 従来盤にも入っていた曲のリミックス。トンコリの delay/rev. が深まり、ウメ子さんの歌に delay 処理が施されることによって、「ひとりマレウレウ」とでもいったような重唱/輪唱に聴こえる。

(19) 'kimun kamuy newa seta' - ムックリの独奏。ウメ子さんはムックリの名手でもあった。

(20) 'nokipe uras pet' - これもムックリ。丹頂鶴?の声と流水の音が重ねられているのが効果的。




 『イフンケ』再発盤は 10/30 に発売予定。『OKI / ハンガプィ HANKAPUY 』(安東ウメ子が参加した1999年作)の再発盤(2トラック追加収録)とチカル・スタジオのサンプラー盤も同時発売になる。

・ 詳細 >>> CHIKAR STUDIO - NEWS



 今回の再発盤は昨日のライブ会場で先行発売されたので、幸運にも一足早く聴けた。

 思い出したのだけれど、1994年頃に発表されたCD『安東ウメ子・ムックリの世界』のリイシューってやはり無理なのだろうか? 以前誰かに確認した時「難しい」という回答だったような記憶がある。





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by desertjazz | 2011-10-17 22:00 | 音 - Music

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