Penang 2011/2012 - (11) : P. Ramlee (3)

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 ペナンではP・ラムリーについてのドキュメンタリー "P. RAMLEE" の DVD も入手した。これはラムリーの家族や関係者たちに対する多くのインタビューを中心に構成し、彼の生涯について描いた約90分の作品。James Harding + Ahmad Sarji の "P.Ramlee - The Bright Star" の映像版と言ってもよさそうな内容だ。ナレーションと字幕は英語。制作はマレーシアの Pesona Pictures と The National Film Development Corporation(2010年)。

 冒頭まずラムリーの葬列のシーンから始まる。続いて彼の生い立ちに戻って生涯を振り返っていく。父が現在のインドネシア、アチェの出身であること、日本軍によってラムリーの音楽面の素養が培われたこと、クアラルンプールに出て俳優、映画監督として活動を始めたこと、女優たちとの三度の結婚、特に最後のサローマとの夫婦生活が幸せだったこと、等々。

 その後、シンガポールに進出して映画界で活躍。セットや撮影時間の面で妥協することがなく、上質な作品を制作し続けることで、その評価を高めていった。しかし、映画スタジオのストライキに遭ったりなどして会社を移籍。そこは機材が貧弱で満足な映画を作ることが出来なかったらしい。晩年に至ってはメガホンを取る機会が奪われ、曲を録音することも少なくなってしまったようだ。しかし彼は抱えた苦難を周囲に明かすことはなかったという。そうした心労が重なったがためか、44歳の若さで心臓発作により急逝。

 息子ふたりも度々インタビューで登場するのだが、偉大な父を持ったことの苦しみを切々を語る。ラムリーはどちらも音楽界に進めたかったが、それは成功しなかった。「父はハンサムだったけれど、自分はそうじゃない」という証言は痛々しい。

(ちなみにこの DVD のパッケージ、厚さ2cm近くあるのに解説書すらついていない超上げ底で、まるで最近のボリウッド DVD かのよう。それでいてマグネットで扉が閉じる無駄な仕様になっている。だから RM 89.90 もするんだ。値段だけ見たらディスク3枚か4枚入っているかと思った。)


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 日本に帰る日にラムリーの映画作品も DVD で10本見つけたので買ってみた。(# は作品番号)

・Hang Tuah (#26, 1956)
・Sarjan Hassan (#32, 1958)
・Musang Berjanggut (#34, 1959)
・Ibu Mertuaku (#39, 1962)
・Labu & Labi (#40, 1963)
・3 Abdul (#43, 1964)
・Masam Masam Manis (#46, 1965)
・Do Re Mi (#48, 1966)
・Keluarga 69 (#51, 1967)
・6 Jahanam (#56, 1969)

 マレー語が分からないのに買った理由は、ラムリーの音楽や歌のシーンが観たかったから。実際その通りの内容で、ラムリーやサローマの歌がたっぷり堪能でき、今少しずつ観ている。ナンセンスでユーモラスな作品が多いらしく、台詞が分からなくても案外楽しめる。

 その中でとりわけ嬉しかったのは、'Bunyi Gitar' のオリジナルが聴けたこと。この曲はシーラ・マジッドのラムリー・ソング集 "Legenda" で知って好きになった曲なのだけれど、ラムリーの3枚組ベストには入っていなかった。"3 Abdul" の割合始めの方で、エレキギターを抱えたラムリーたちがこの曲を歌うシーンが出てくる。これがツイスト風味のサウンドでなかなかいい。

(多分 YouTube などで検索すると容易に見つかるのかも知れないが、自分はこうしたアナログ的な方法が好きだ。)



 まとめ買いしたもうひとつの理由は、とにかく安いこと。VCD だともっと安く RM 10.90(約270円)。DVD と重複しないタイトルが10作ばかりあったものの、昔シンガポールかジャカルタで買った VCD が持っているプレイヤーで再生できなかったことを思い出し、VCD は1本だけにした。選んだのは、ジャケットから察するにラムリーとサローマの歌のシーンがたっぷり詰まっていそうだったこれ。

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・Ragam P. Ramlee (DAMAQ) (#45, 1965)

 2枚組で1枚目の途中までは2人による歌謡ショーが延々と続いて楽しい。ラムリーの振り付けは観た途端に頭から離れなくなってしまう(その後は普通の映画作品に切り替わってしまうのだが)。けれども、ふと思い立って CD 棚をチェックしてみたら、、、やはり既に持っていた。一体いつどこで買ったのだろうか?

(2セット持っていても仕方ないので、一方は誰かに差し上げよう。でも欲しい人はいるかな? それより、こうした2度買い、3度買いはなるべく減らしたい。)




 ペナンのショップにはラムリーの CD がさっぱり置いていなくて、ドキュメンタリー "P. RAMLEE" でも晩年の活躍が乏しかったような語られ方がされている。そうしたことから、彼も現在では過去の人なのかとも感じられた。しかしドキュメンタリーの終盤でシーラ・マジッドとシティ・ヌルハリザがラムリーの曲を歌うシーンが登場し、そしてシティが笑顔でインタビューに答えている。

 このドキュメンタリーによると、ラムリーの楽曲の著作権は彼の親族が所有するという。ラムリーのギャラリーを訪れたとき、ここが無料で開放されているのがちょっとした疑問だったのだけれど、もしかしたら楽曲使用料が安定収入となっていて、そうしたことが影響しているのかも知れない。ラムリーのギャラリーには毎日、若いひとも含めて多くのマレー人たちが訪れている様子だった。P・ラムリーと彼の作品はいまでも多くの人々に愛され続けているのだろう。





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by desertjazz | 2012-01-27 19:00 | 旅 - Abroad

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