New Discs : Gambian Pop

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 セネガルに国土のほとんどを囲まれた西アフリカの小国ガンビア。この国を代表するバンドは Super Eagles とそれが後年改名した Ifang Bondi、そして Guelewar の3つ。実際、世界的に知られているこの国の60〜80年代のポップ・アルバムは彼らの作品だけだろう。なので、ガンビア盤の蒐集対象は以下のディスコグラフィーに掲載したレコードのみと言ってよかった。

DISCOGRAPHY OF SUPER EAGLES / IFANG BONDI
DISCOGRAPHY OF ORCHESTRE GUELEWAR DE BANJUL

 そこに突然全く知らなかったガンビア音源が相次いでCD化されたものだから、驚かされているところだ。


・ Guelewar "Halleli N'Dakarou" (Teranga Beat TBCD014, 2012)

 これは Guelewar(グェレワー、あるいはグェレワルと発音/表記すればいいのだろうか?)の全くの未発表音源。1982年にセネガルのカオラックのクラブでライブ録音されたものの、アルバムリリースされずにお蔵入りになっていた。荒削りで冗長ながらも、ミニモーグを中心にしたサイケで熱いサウンドを楽しめる。

 ライナーを読むと Guelewar の活動期間は1972〜75年の3年間ほどで、この時期にレコーディングは行われていない。70年代末に再結成するも、それは中心メンバー(リードギター)Bai Janha 抜き(彼は Ifang Bondi に参加)。79〜82年にリリースされた4枚のLPはこの Guelewar II によるレコーディングで、しかもメンバーが満足していなかったものを、ほとんど勝手に発売されてしまったらしい。これが、4枚ともレーベルが異なり、メンバーの写真も全く使われていない理由だという。Bai Janha がクレジットされていない理由も明らかになった。

(6トラック目が Youssou N'Dour のよく知られたフレージングにそっくり。このあたりについても調べなくては。)


・Guelewar "Touki Ba Banjul : Acid Trip From Banjul To Dakar" (Kindred Spirits KSRE9CD, 2012)

 さらに発掘音源が!?と思って取り寄せてみたら、単にオリジナルLP4枚からコンパイルしたアルバムだった(まだ未聴だけれど)。Guelewar のオリジナル盤を持っていない方には便利なCDかも知れない。


・Karantamba "Ndigal" (Teranga Beat TBCD015, 2012)

 Super Eagles の前身バンド、Guelewar、Ifang Bondi とガンビア最重要バンドを渡り歩いた Bai Janhaが結成したバンド Karatamba の未発表録音。1984年にセネガルのチエスの名門ナイトクラブ Sangomar で録音されている。ンバラ感の加わったダイナミックなライブ味溢れる重厚なサウンドが溜まらない。Youssou の Super Etoile がセネガル同胞向けにプレイしたときのライブサウンドなども彷彿とさせる。

 Guelewar と同様に、荒削りで冗長といった欠点はあるものの、個人的には大好きなサウンド。ガンビアン・ポップを聴くと、伝統音楽やロック、ソウルなどをカバーしながらも、そこから抜け出たマンディングポップを産み出そうという熱意、ンバラからプレ=ンバラ至る過程、それがセネガルの音楽と相互作用して発展してきた様子が垣間見えて実に興味深い。

 60〜80年代のセネガンビアのポップミュージックの歴史について誰がじっくり書いてくれないものかと昔から期待しているのだけれど、いまだにその気配はない。ナイジェリアやコンゴに較べるとセネガンビアへの関心は劣ってしまうだろうから、読み手も少なく難しいのかも知れない。

(このCDについて不満なのは英文ライナーノート。Bai Janha の長文回顧を掲載するのは有り難いが幾分わかりにくい。少なくとも Guelewar "Halleli N'Dakarou" のライナーを読んでおいた方がいい。ガンビアンポップについての簡単なガイダンスでも添えられていたら良かったかとも思うのだけれど、マニア向けのCDと考えたらそれはさほど重要じゃないのかな。)




 Guelewar の "Halleli N'Dakarou" も Karantamba の "Ndigal" もリリースしたのは Teranga Beat。まだリイシュー3作しかリリースしていない新興レーベルだ。けれども第1作目 Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall "Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" は昨年のベストアルバムのひとつに選んだくらいなので、ここからのリリースは気に入っている。どれもレーベルのオーナー、ギリシャの Adamantios Kafetzis が現地に趣いて発掘したオープンリール音源をリイシューしたものだ。

 Adamantios Kafetzis 氏からは昔何度かメールをいただいたことがあるけれど、きっと相当なアフリカンミュージック・クレイズなのに違いない。SWP の Michael Baird や Analog Africa の Samy Ben Redjeb とサシで語り合ったときの彼らの熱さを思い出したが、Adamantios Kafetzis 氏もそんな熱血漢なのかな?

 Teranga Beat のサイトを見ると、第4弾 "ROYAL BAND de THIÈS - KADIOR DEMB" が9月10日にリリース予定と発表されているので、これも楽しみだ。




 こうした音を聴くと、自分はアフリカの中でセネガル/ガンビアのサウンドが最も好きなんだなと、つくづく思う。もう一度じっくりリサーチし、まとめ直してみたくなってしまった(その一方で Adamantios Kafetzis の仕事振りに触れると、自分がセネガルに行く理由はもうないことも感じる)。





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by desertjazz | 2012-08-05 23:00 | 音 - Africa

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