New Discs : Kanaga System Krush

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 面白いアフリカ音楽を紹介する新興レーベルを見つけると、誰かに紹介したくなるし、それらのどれもが弱小レーベルなので応援したくもなる。例えば、ヒュー・トレイシー音源を復刻した Sharp Wood Productions やジンバブウェのレア音源からスタートした Analog Africa などは真っ先に日本に紹介してきた。最近セネガル音楽の未発表音源の発掘を続けている Teranga Beat、そしてマリのマイナーな音楽をリリースしているアメリカの Kanaga System Krush もそんなレーベルのひとつで、ここからのリリースは積極的に取り上げるようにしている。

 けれどもこの KSK、どうもついていない。レーベル・アーティストのロビ・トラオレ Lobi Traore とザニ・ジャバテ Zani Diabate が近年相次いで他界してしまったのだから。なので、もう呪われていると言ってもいいくらいだ。

 それでも今春(かな?)新作を2枚リリースするなど頑張っているようだ。KSK の CD はずっと買い続けているので、もちろん今回も即刻入手し、時折聴いている。

・"Dambe Foli / Sibiri Samake - Bamana Hunters Music" (no number?, 2010)
・"Taga Sidibe and Friends featuring Tu Sinayoko / Wassoulou Foli" (KSKCD012, 2011)

 後者のタガ・シディベは女性ヴォーカルとパーカションによるセッションで、まあ普通の出来かな?(自分はジェンベ系の音楽には関心が薄いので、繰り返し聴く気になれず、評価しようがないだけなのだけれど)。一方のダンベ・フォリは断然いい。いや、これも自分がドンソ・ンゴニのサウンドが大好きだからに過ぎないのだろう。

 ドンソ・ンゴニ Donso Ngoni は、マリ南西部ワスル地方の狩猟民(ハンター)や語り部たちの音楽であり楽器の名称でもある(だったかな?)。太くて深くて土臭い音を奏でる6弦ンゴニ(カマレ・ンゴニなどの他のンゴニよりも大型で歴史も古い)と鈍色の音を響かせる鉄でできたカリニャンなど最小限の打楽器による伝統音楽。彼らの伝統的装束も印象的だ(最初に写真で見たときは乞食かと思った。失礼!)。

 このドンソ・ンゴニのアーシーなサウンド、昔、確かミュージックマガジンの紹介記事で知り(筆者は海老原さんだったかな?)、その頃メタカンパニーから出たCDを聴いて惚れ込んでしまった。それ以来、パリや西アフリカでドンソ・ンゴニのCDやカセットをみつける度に買ってしまう。1999年にバマコに行ったときも、ロビ・トラオレのクラブを探すかたわら(タイミング悪く改装取り壊し工事中で彼のパフォーマンスは観られなかった)、ドンソ・ンゴニを生で観られたらいいのになと思い続けていたのだった。

 さて "Sibiri Samake - Bamana Hunters Music" はドンソ・ンゴニ2本に、カリニャン、スクレイパーというミニマムな4人編成。淡々とした演奏と歌で、ほとんど語りの世界と言っていい。しかも、わずか4トラックでおよそ66分も延々と続く(最長28分)。けれどもこれが癖になる音なんだなぁ。

(語り的といった点ではモロッコのグナワとの連関を感じさせる。そういった研究はあるのだろうか? そういえば、今年のスキヤキで Amazigh と OKI さんの共演を観て、同じ弦楽器の相性の良さを指摘するツイートがあったな。)

 このところまた熱帯の森の音が恋しくて仕方ない気分なのだが、こうした土ぼこり舞立つようなサウンドに浸っていると、乾燥した土地の音も懐かしくなってくる。けれども、マリに行くチャンスは多分もう二度とないことだろう。

 そんなことより北部で紛争激しい今のマリ情勢が懸念される。それに対して Kaira Daby などのミュージシャンたちが積極的に行動している。早く平和が戻って欲しいと願うばかりだ。







[おまけ]

 Gari Greu の新作ソロ "Camarade Lezard"、聴けば聴くほど良くなってきます。先のブログ記事は書き直すべきか? 今年の年間ベストには必ず入れます。いや1位にするかも?? どうして日本に入ってこないのだろう???






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by desertjazz | 2012-09-10 00:50 | 音 - Africa

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