Oliver Mtukudzi | Bio & Discs (6) Black Spirits in 80s

 ジンバブウェの独立が遂に成し遂げられた1980年に始まる80年代、オリヴァー・ムトゥクジは大躍進を続けることになる。第4回のレコードリストに並べた通り、この10年間に発表した作品はおよそ20タイトル。ほぼ半年にアルバム1枚というハイペースだった。

 ただしこのリストはまだ不完全である。それというのも、参照したディスコグラフィのいずれにも漏れや誤りがあって、確認できていないことが多く残っているから。また80年代のレコードは現在入手困難で、自分自身もほとんど持っていない(1995年にジンバブウェを旅行した時ですら、ハラレやブラワヨで見かけなかったし、ebay などを利用してレコードを買い集めることももう何年もやっていないので…)。

 そのような理由で、80年代のアルバム群のレビューは一旦保留。今では誰も入手できないようなレコードについて詳細に記すことには、今年のスキヤキのための予習作業としてはあまり意味がないし、実際手元にある音源が少なくてまだできない。それより90年代以降の作品に良盤が揃っているので、まずはそちらを優先して紹介すべきかと思う。未所有盤には現在手配中のものあるので、後日余裕があれば改めて80年代について綴ってみたいと思う。




 アナログ盤を集めるのは困難だとしても、80年代のオリヴァー・ムトゥクジを聴くには便利な CD がある。

59. Oliver Tuku Mtukudzi "Collection 1984-1991" (Sheer Sound SLCD 075, 2004)

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 1985年〜1991年に発表したアルバムから16曲をピックアップしたコンピレーションで、選曲作業にはオリヴァー本人も加わっている。収録音源はオリヴァー所有の LP からリマスタリングしたそう。90年頃までの主要曲がかなり網羅されていると言ってよい内容なので、80年代のオリヴァー・ムトゥクジを楽しむには、まずはこれ1枚あれば十分かも知れない。80年代にキーボードやサックス、女性コーラスなどを加えるなどして、サウンドに厚みを増していった歩みも認められる。

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 インレイにはジャケット写真も掲載。ここで初めて目にしたものもあった。




 以下、80年代の主立った動きについてだけ振り返ってみよう。

1)Oliver Mtukudzi & the Black Spirits の4枚目のアルバムは "Africa" と題して1980年にリリースされた。そのものずばりのタイトルは、ジンバブウェの独立を祝してのものだったのだろう。

2)70年代の作品は(全て?)ウエスト・ンコシのプロデュースだったが、80年のジンバブウェ独立以降はそれができなくなったという。当時の南アはまだ白人政権によるアパルトヘイト体制下であり、隣に黒人国家が誕生したというのは白人支配層にとっては相当な脅威だったに違いない。南アのウエスト・ンコシがジンバブウェのバンドとの仕事をできなくなったのには、そうした政治的事情が影響したのだろうか。

3)代わってプロデューサーに抜擢されたのは Tymon Mabeleka。彼はオリヴァーを The Ocean City Band と組ませたりもしたという。

4)80年代で大きなトピックのひとつは、88年に自主レーベル Tuku を設立したこと。それによって、プロデューサーとしてもミュージシャンとしても「自由」が得られたそうだ。


 80年代の終わり頃には、アムネスティーへの参加、英国でのレコード発売、エイズ対策の啓発活動、映像作品への出演、等々と、彼のキャリアにとって大きなトピックが続く。それらについては次回以降で触れることにしたい。



(つづく)






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by desertjazz | 2013-05-13 00:00 | 音 - Africa

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