Oliver Mtukudzi | Bio & Discs (12) "Rumbidzai Jehova" 1992

 オリヴァー・ムトゥクジの1990年前後のレコーディングにはどうも物足りないものが多い。その大きな原因はシンセサイザーを使い過ぎていること。逆にエレキギターや生ドラムの音が下がったり消えたりして、サウンドが安直というか安っぽいというか、とにかく力強さがない。

 その最たるものがこのアルバム。

34. "Rumbidzai Jehova" (TKLP 11, 1992)

A: (1) Muzunde Renyu Baba (2) Ishe Taungana (3) Jehova Una Masimba (4) Munozovepiko
B: (1) Ndiani Pane Zamba (2) Nhai Baba Muripiko (3) Hakuna Zita (4) Ndiri Mwana Wenyu
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 Tuku : Bass Guitar, All Keyboards, Acoustic and All vocals on all tracks
 Albert Kapondoro : Bass on (B2)
 Peter Muparutsa : Back vocals on (A1)


 The Black Spirits という素晴らしいバンドを擁しておきながら、ここではムトゥクジが、ギター、ベース、キーボード、ヴォーカル&コーラスのほぼ全てを一人でこなしている。ドラムのクレジットがないが、これもシンセサイザーによるのだろう。プロデュースもムトゥクジ本人による。

 内容は全編聖歌集。それがチープなシンセとドラムマシーンの音に乗って歌われるので、何とも眠い雰囲気。この LP は1995年にジンバブウェを旅行した時に、ブラワヨ(かハラレ)のレコード店で買ったのだが、こんな音楽を聞かされたものだから、当時はムトゥクジを真っ当に評価するまでに至らなかったのかと思う。

I would like to dedicate this Album to my wife DAISY MTUKUDZI. Let your heart be consoled by the meaning of lyrics on every hymn. I LOVE YOU, GOD BLESS YOU. TUKU.

 英語が苦手なので、どういった意味でこういった文章が添えられたのか分からない。純粋に妻への愛情からハンドメイドっぽいソロアルバムを作ったのだろうか。それとも天に召された伴侶への追悼盤だったのだろうか(亡くなったかどうかの事実関係も不明)。少なくとも、バンドメンバーとの間に不和が生じたことから彼単独でレコーディングするしかなかった、といったことは考えにくい。

 いずれにしても妻に対する愛情の表現のみを目的に制作された、ムトゥクジ一番の異色作(…ということで、参考までにご紹介)。




(追記)

 2009年のアルバム "Dairai" のクレジットに Daisy への謝辞がある。ということは彼女はお元気ということなのだろう。どうやら思い違いだったようで、失礼しました。

(2013.08.17)






by desertjazz | 2013-05-24 00:00 | 音 - Africa

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