New Disc : Peter King "African Dialects"

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 レアグルーヴの文脈で語られるような類の音楽は買ってもほとんど聴かないので、日頃は手をのばすことはない。けれど「Peter King か、なつかしいな」と思いつつ "African Dialects" を試聴してみたら、冒頭のずっしり重いイントロが耳に食いついた。思わず購入し、ここ数日聴いている。断然いいのはやはりアルバムトップのタイトルチューンで、歌のフレージングは正にナイジェリアのローカルっぽい。後半、鋭く切り込むソプラノサックスも痛快。ハイライフ、ファンクだけでなく、レゲエやカリプソ調のトラックも交えて軽やかに仕上げているあたりは、イギリス生活の長さが反映しているようだ。

 PK こと、ピーター・キング Peter King は 1938年ナイジェリア中南部エヌグ Enugu の生まれ。19歳のときに Roy Chicago のステージにマラカスもって立ったのが音楽キャリアのスタート。23歳でロンドンに渡り Trinity School of Music で学んでいる(生年だけでなく、トリニティーに籍をおいていたこともフェラ・クティと共通していると、ライナーが指摘している)。このロンドン時代に The Cats を結成、ジャズやソウルを吸収し、サックスを始めとして、マルチインストゥルメンタリトとしてのトレーニングも重ねたようだ。
 69年にナイジェリアに帰国すると、すぐに The Voice of Africa を結成しホテルなどで演奏活動。71年に再びロンドンに戻り、ここでジャマイカ人プロデューサー Clinton "Sonny" Roberts と出会う。彼を通じてラヴァーズロックなどのジャマイカンスタイルを吸収していき、75〜78年の間に4枚のアルバムを制作。
 翌79年にももう1枚分レコーディングし、それは "African Dialects" としてリリースされるはずだった。アルバムデザインも完成していたものの、事情によりイギリス盤の発売は見送りになり、別ジャケットでナイジェリア盤のみ世に出たという(その辺りの経緯はライナーに詳しい)。この年ピーターは再びナイジェリアに戻っている。

 そんな幻のアルバム "African Dialects" がようやくオリジナルデザインで CD 化されたということのようだ。そういえば "Shango" も74年にレコーディングを終えていながら、2002年に Strut が発掘&リリースするまでは未発表のままだった。その "Shango" もどうやら来月、こちらもオリジナルアートワークで(?)再リイシューされるみたいだ(ジャケットは前回の Strut 盤とは全く異なっている)。

 Wikipedia などを参考に彼のリーダー作をリストアップしてみると、以下の通り。意外と少ない。

 1) "Shango" ( ? , 1974 / Strut, 2002)
 2) "Mikki Sounds" (Orbitone, 1975)
 3) "Omo Lewa" (Orbitone, 1976)
 4) "A Soulful Peter King" (Orbitone, 1977)
 5) "Moods" (Tyrone Records, 1978)
 6) "African Dialects" (Grandstand, 1979)
 7) "Omolewa" ( ? , ? )
 8) "The Palm-Wine Vendor" (PK 1, 2002)


 ということは 2002年にナイジェリア・オンリー(?)でリリースされた "The Palm-Wine Vendor" が彼の最新作ということになるのだろうか。8年前にラゴスで(ポートハーコートでだったかな?)買って聴いたときには、ナベサダ・フュージョン風といった感じで何とも緩いなぁと思ったのだった。けれど久し振りに聴いてみたら印象が少し変化。10ピースという大編成バンドによるアフロジャズ、ハイライフ、アフロビートのミクスチャー(全編インストゥルメンタル)で、トラックによっては案外悪くない。ヴィクトリアアイランドの Jazzhole 系にも通じるサウンドである。

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 (この CD の情報は、さすがに全く見つからないなぁ…。)






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by desertjazz | 2013-05-29 11:00 | 音 - Africa

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