Oliver Mtukudzi | Bio & Discs (13) "Ziwere MuKøbenhavn" 1994

 オリヴァー・ムトゥクジの新旧の作品をまとめて聴いてみると、なるほど彼の音楽は、南アのジャイヴやンバクァーンガと、ショナのンビーラをベースにしていることがよく分かる。大きく弾むンバクァーンガのリズム(ドラムやベースに顕著)と、ポロポロポロポロと細かく刻むンビーラのビート(ギターとキーボードのパッセージなど)が組合わさって独特なポリリズム感を高め、そこにソウルミュージックをたっぷり吸収したムトゥクジの歌が加わって、情感と躍動感迸るダイナミックなサウンドに仕上げられたのが Tuku Music。もちろんコンゴなどからの影響も大きく、ある意味で汎アフリカンミュージックとも言えるだろう。

 1994年にドイツの Shava Musik からリリースされた CD "Ziwere MuKøbenhavn" を聴くと、ムトゥクジの Tuku Music はこの頃完成しているように感じられる。実際これ以降、最近に至るまでのライブ音源を聴くと、それはこのアルバムのサウンドに近い。ポジティヴで明るく、ダンサブルで力強い。このアルバムは、そんな Tuku の魅力が詰まった彼の代表作のひとつだと思う。


40a. Oliver Mutukudzi "Ziwere MuKøbenhavn" (Shava Musik SHAVACD0001-2, 1994)

(1) Ziwere 6:29 (2) Ndirangarirei 6:08 (3) Hear Me Lord 7:43 (4) Ndipeiwo Zano 7:06 (5) Street Kid 6:14 (6) Ndikarangarira 6:50 (7) Why 6:13 (8) Kusaziva 5:50
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 (1) は盟友トーマス・マプフーモ Thomas Mapfumo のチムレンガ・ミュージックかと思わせるようなショナ色の強い曲。ギタープレイが小気味良い。(2) はズールージャイヴ風のダンスチューン。スネアとギターとシンセのコンビネーションが最高。(3) はムトゥクジの歴代の曲の中でもっとキャッチーな1曲。個人的にも一番好きな曲。ギターの印象的な下降フレーズはまだ突っ掛かって弾けていないのはご愛嬌。(4) はタウンシップ・ジャズっぽいピアノのイントロで始まるミディアムチューン。…といった具合に本当にいい曲ばかり揃っている。

 クレジットにはないが、最後にトラディショナルな太鼓のソロ (9) Postlude (Percussion Instrumental) 1:02 が収録されているのが謎。なおアーティスト名は Mtukudzi ではなく Mutukudzi となっている。ちなみにこの CD のブックレットは、彼の経歴や音楽、歌詞について詳細に書かれていて、とても参考になる。


 このアルバムはジンバブウェでもリリースされた(LP とカセット)。

40b. Oliver Mutukudzi "Ziwere Mukopenhavn" (Tuku TKLP 15/L4 TKLP 15, 1994)

A: (1) Hear Me Lord 6:00 (2) Ziwere 5:04 (3) Kusaziva 5:00 (4) Why? 5:13
B: (1) Ndirangarirei 5:00 (2) Street Kid 5:14 (3) Ndikarangarira 5:25 (4) Ndipeiwo Zano 5:40
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 これもアーティスト名の表記はドイツ盤に準じて? Mutukudzi となっている。アルバムタイトルが微妙に異なり "Ziwere Mukopenhavn" となっているが、その理由は不明。8曲の並びは入れ替えられていて、それぞれショートエディット(途中でフェードアウト)されていることに、今回 CD と比較して気がついた。(以上、マニアックな話ばかりですね。)




 やっと1994年のこの名作まで辿り着いた。オリヴァー・ムトゥクジのアルバムはこれ以降ほとんど捨て盤なし。どのアルバムを聴いても感動を誘うほどに充実している。なので彼の音楽を聴いたことのない人には、まずどれでもいいので手に入る CD を聴いてみることをお薦めしたい。しかし調べてみたら、今現在、日本国内で簡単に購入できるものは本当に少ない。90/00年代の代表曲を集めたベスト盤が数種類流通しているようなので、この辺りから聴いてみるのも良いかも知れない。

 一方海外のサイトをいくつか見て見ると、この連載で取り上げてこなかったものも含めて94年以前のアルバムも多くが CD リイシューされており、購入可能であることが分かった。ムトゥクジのアルバムをコンプリートで集めるまでの必要は感じていないが、最新盤まで紹介し終えた後に、もし余裕があれば取り上げてみようかとも思う。





(追記)

 6月と7月にデンマークのコペンハーゲンを歩いていて、「København」がコペンハーゲンのデンマーク語表記であることに今さらながら気がついた。CD のクレジットを見直すと、1993年6月にコペンハーゲンの VMC-Studio 1 で録音されたと書かれている。このアルバム・タイトルもコペンハーゲン滞在に由来するのだろう。

(Bugge Wesseltoft を観た直後にノルウェーのオスロへ、そしてこの CD について書いた後にそのコペンハーゲンまで旅するなんて、繋がっているなぁ。)

 (2013.08.10)







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by desertjazz | 2013-06-01 00:30 | 音 - Africa

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