読書メモ:デオン・メイヤー『追跡者たち』

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 この夏は集中した読書ができず、軽めの本を選びがちになっている。最近はハヤカワのミステリー/SFものも多くなっており、スウェーデンではチャイナ・ミエヴィルの『都市と都市』を読了(これ、カズオ・イシグロが絶賛したそうな)。そして先日はデオン・メイヤーの『追跡者たち』を読み終えたのだが、これが結構面白かった。

 舞台は南アフリカ共和国、そしてジンバブウェ、ボツワナ(一瞬だけブッシュマンが登場)、ナミビア。それだけで興味を覚えて読み出したのだった(結局、後の3か国の出番は極少なく、ほとんどが南アの話だったのだけれど)。全4部構成で、上下巻合わせて1000ページ近い大長編。冒頭を読んでアフリカ大陸で暗躍するイスラムたちの話と思いきや、部が移るごとに登場人物がほぼすっかり入れ替わる。なるほど、これはボラーニョの『2666』のような構成なのかと想像していると、今度は最後の最後に…。

 とにかく各部とも登場人物がかなり多い。構成上、長編小説を3冊か4冊読ませるような作りなので、それも避けられないのだろうが、読み進むうちに誰が誰なのか分からなくなってくる。そして、どこまで明確に謎解きしているのか、謎のまま残しているのかも、私の頭では掴み切れない。再読しようとは思っているのだが、もう一度読んで完全に把握できるかはやや自信がないほど。

 それは、このフィクションが描こうとしている南アという国の歴史と現状の複雑さにも起因するだろう。この作品で扱われているテーマは、ダイヤモンド、密輸、イスラム、警察、自然保護、地下組織の抗争、強盗、殺人、盗聴、ドライブ・カム(走行記録システム)、等々。これらを描く筆は、どこまで南ア社会の実態を反映しているのだろうか。多分南アに住む人々にとっては相当にリアリティーのある話なのだろう。南アにおいて諸問題のフェイズが複雑に折り重なっている現状がひしひしと伝わってくるようだ。キーパーソンには案外女性が多く、南アがかなりの女性社会であるらしいことも知った。

 南アの小説家といえば、まず J. M. クッツェーだけれど、これも南アの実相をみごとに描いているといえそうだ。






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by desertjazz | 2013-08-13 00:00 | 本 - Readings

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