読書メモ:ヴォルフガング・ヘルンドルフ『砂』

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 ドイツ人作家ヴォルフガング・ヘルンドルフの長編小説『砂』を読了。いやーー面白かった。読み出したら止まらなくなった小説は久し振り!

 モロッコを連想させる北アフリカの仮想の国を舞台に、突然記憶喪失になった男が巻き込まれた一連の不可解なトラブルを巡る話。様々な人物たちが次々に登場するのだが、大半が主人公同様に正体不明。連続する拉致、脅迫や殺人も謎だらけ。ずっとこのまま話はほぼ最後まで進む。ラストで謎は全て解き明かされたのか? 各ページに細やかに伏線が張り巡らされている、全ての疑問を解決すべく最初から読み返したくなる、あるいは答えを明確にしていない部分が残っているようにも思える、といった点ではとても映画的(繰り返し観たくなる映画に似ているということ。男女関係から『シェルタリング・スカイ』を連想したのは短絡すぎか?)

 自分が大の「砂漠好き」という理由だけで選んだ、北アフリカを舞台にした小説ながら、期待した以上だった。ミステリー/サスペンスとしても一級品。惜しむらくは、この著者は描写説明が下手。具体的に誰がどんな仕草をしているのか像を結ばない。そして、肝心の謎解きはこれでいいのか? やっぱりこれは失敗作か? でも今年のベストブックス10冊には間違いなく入れます。

 もうひとつ惜しいのは、2002年に文壇デビューした著者が、すでにこの世に居ないということ。わずかに4冊出版しただけで、今年8月に他界したそう。誠に残念だ。




(追記)

 『砂』のように宙ぶらりん状態が長く続く小説は途中で耐えられなくなりそうなものなのだけれど、この作品にはそれがなかった。結末は全く予想がつかず、そして裏切られた。

 カールもとことんダメ男だね。プルースト、クッツェー、パムク、ジュノ・ディアスと、ダメ男の小説ばかり読んでいる気がする。






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by desertjazz | 2013-11-13 19:00 | 本 - Readings

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