Idan Raichel : Live in Japan

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 現代のイスラエル音楽を代表するスーパースター、イダン・ライヒェル(イダン・レイチェル)の日本公演が、ビルボード東京、イスラエル大使館、SABON日本支社、そしてサラーム海上さんの尽力のおかげで遂に実現する運びとなった。彼の音楽はもう10年以上聴き続けてきただけに感慨深いものがある。とにかく嬉しい。

 ・ Billboard Live Tokyo | Idan Raichel

 私がイダンの音楽と出会ったのは2003年10月にイスラエルを訪れたときのこと。テルアビブの Tower Records で買ったファースト・アルバム "The Idan Raichel Project" (2002) を聴いて、何とも形容しがたい不思議なサウンドの虜になってしまった。それは、イスラエルの若いミュージシャンであるイダンが中心になって作り上げた、オリエンタルで、アラビックで、アフリカンな、これまで聴いたことのない類の音楽だった。1曲ごとに歌手と歌われる言葉が異なっていて、例えばアムハラ語の歌と宅録っぽいプログラミング・サウンドとが結びついたどこか妖艶で呪術的な世界に圧倒された。このファーストは今でも彼の最高傑作だと思っている。

 続くセカンドの "Out of the Depth" (2005) も素晴らしい。ソング・ライターとしても、サウンド・クリエイターとしても、卓越した存在であることが伝わってくる。名曲揃いの中でも、ファースト収録の "Bo'ee (Come With Me)" とセカンド収録の "Mi'Ma'amakim (Out of the Depth)" は超絶大名曲。メランコリックな曲を書かせたら、今彼に敵う者はいないと思ってしまうくらい。

 それ以来、イダンは素晴らしい!と周囲に言い続けてきたものの、その魅力を周囲にもうまく伝えられないできた。

 そんな状況が幾分変わり始めたのは、2006年にイダンが Putumayo のサブレーベル Cumbancha と契約して世界デビューを果たしてからだった。そのお披露目ライブの情報をキャッチし、それに合わせてパリ滞在を組んで飛んで行った。そして、イダンへのインタビューに成功!(恐らく彼にインタビューした日本人は私が最初でしょう)。その夜の The Idan Raichel Project の世界デビュー・ライブは感動的なまでに良かった。そのチケットは今でも大切に持っている。

 ・ FB/DJ | Idan Raichel Interview

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 余談になるが、この時本人に確認した「イダン・レイヒェル」という発音表記が日本で定着するようになったことについては、ひとつの責任を果たしたように感じている。

(このフランス旅行では、前後に Orchestra Baobab、Konono No.1、Moussu T e Lei Jovents、Manu Theron、Toko Blaze、Salem Tradition へのインタビューも行い、Fiesta des Suds の総合プロデューサーや Cobalt のオーナーや Susheela Raman とも会って話をし、さらには Grand Corps Malade のライブまで観たという、とても密なフランス取材旅行となった。今ではもう無理。)

 ところで、そのパリ公演は予想に反して何と Sold Out !! イダンはすでにフランス在住のイスラエル人の間でも大人気だったようだ。会場には3人で行ったのだけれど、公演前にインタビューした私とパートナーは招待入場。でも残るひとりはいくらお願いしても「申し訳ないけれど無理なんです」の一点張り。

 次にイダンと再会したのは 2007年11月のワシントン。Massilia Sound System や Magyd Cherfi のライブを中心に廻ったフランス旅行の合間に、3泊だけアメリカに飛んで Bruce Springsteen を観に行ったときのこと。このワシントン公演も Sold Out !! ユダヤ人の多いアメリカでもイダンの人気は絶大だ。すぐそばの Verizon Arena でスプリングスティーンを観てから駆けつけて、イダンと立ち話できたことが懐かしい。(「次のニューヨーク公演に招待するから来てよ」と誘ってくれたのは嬉しかった。)この時に限らず、イダンのツアーはことごとく完売で、日本にいると考えられないほど人気が高い。

 イダン・レイヒェルというミュージシャンの魅力は残念ながらまだ日本には浸透していない感がある。しかし、アメリカやヨーロッパでは人気も評価もとても高い。彼のツアーが始まる度にスケジュールをチェックしているのだが、アメリカでも、もちろんイスラエルでもチケットは完売(テルアビブのオペラ座3連夜ですら)。そんなイダンのステージをまた観られるなんて夢のようだ。

 長年愛聴してきたイダン、世界中から愛されるイダン。彼のステージを日本でも観られると思うだけで興奮してしまう。10月7日が本当に待ち遠しい。




 イダンが日本に来てくれることはとても嬉しい。ただし、現在のガザの情勢を見つめると、どうしても複雑な心境にならざるを得ない。

 ただ、イダンの紡ぎ出す音楽には負わねばならない罪などない。イダンの音楽プロジェクトは、様々な民族/世界各地のミュージシャンとのコラボレーションがそのベースにある。イダンの美しい音楽の根底には周辺の人々へのリスペクトがあると信じている。そのことは、私がまとめたインタビューからも感じてもらえるのではないだろうか。



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by desertjazz | 2014-08-02 22:22 | 音 - Music

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