Ijaw K7 : Music of Kalabari

Opuso Cultural Society of Ke-Kalabari Vol.6 "Kalabari Se Siri Obokute - Tribute to Late Chief Ibaniboye Amachree & Departed Musicians of Kalabari"
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Ebenezer Cultural Band of Kalabari (E.C.B.) led by Wilson Anabs Vol.10 "Resource Control"
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 最近10年間に聴いた音楽のうちで最も強烈なインパクトを受けたのがこれら2本のカセットだった。

 カラバリ人 Kalabari はナイジェリア東部の主要民族のひとつイジョ人 Ijaw/Izon のサブグループ。ニジェール・デルタ域の東部に多くが住んでいる。これらのカセットもそのニジェール・デルタのある町(村?)で偶然見つけたもの。

 サウンドのほとんどを占めるのは数々のドラムとパーカッション。音で判断すると使われているのは、トーキングドラム2つ、ウッドブロック(クレフ?)、カウベル、タムタムなどといった系統の楽器だろうか。時おりライドシンバルも叩かれるが、いわゆるドラムキットは使っていないと思う。他にはブラシを掻くような音も聞こえるし、トーキングドラム状の音はポリタンクを叩いているようでもあるし、最低音は素焼きの壺で作った楽器を叩く音に似ている。手作り感たっぷりで、コンゴの Jupiter & Okwess International のアコースティック・サウンドに近い趣もある。

 こうした沢山の楽器が細かなビートを延々刻み続ける(どの曲も15分前後ある)。ちょっとフジを連想させるが、フジが壮大なオーケストラだとすれば、こちらは室内楽的というか家内工業的というか。

 重層ビートの影でか弱くペナペナ弾かれるエレキギター。その音があって、ようやくメロディーを感じることができるというリズム主体の音楽。

 そこにマイナーモードなヴォーカル&コーラスが重なって醸し出されるのは、プリミティブで呪術的でどこか怪しくダークでかすかに不気味な雰囲気。カラバリの伝統リズムに、ハイライフが軽く混じり込んだサウンドといった感じもする(ナイジェリアン・ハイライフを代表するひとりの Rex Lawson もカラバリ系だ)。

 そのヴォーカルとコーラスなのだが、歌というより語りに近いと言える。例えば "Resource Control" は「Resource control is our own. No more fighting... 」と叫んでいるだけに近い。

 ニジェール・デルタはアフリカ有数の原油産出地。しかしその利権はナイジェリア政府と結託したシェブロンやシェルなどの世界メジャーの手元に落ちている。それに対してカラバリの人びとは、石油は自分たちのものだと声高に主張し続ける。だから "Resource Control" なのだ。

 その象徴が "Vol.10" のジャケットから睨みつける男、アサリ・ドクボ Asari-Dokubo。彼はニジェール・デルタで暗躍するゲリラの首謀で、パイプラインから石油を盗んだり、元大統領オバサンジョや地方政府との裏取引を繰り返しているとも噂される人物。カラバリの音楽もアサリ・ドクボの強硬な主張に共鳴したものなのだろう(実際、アサリを讃えるフレーズも出て来る。カラバリのカセットには他にオーソドックスなギターバンド・ハイライフもあるが、それらも石油利権について歌っている)。

 自分が勝手に「カラバリ・ミュージック」と命名したこれらは、ポピュラー音楽の観点からは未完成。荒削りすぎるし、録音も良くない。それでも、強烈な印象を受けてしまって、ここ10年ほどいまだに繰り返して聴いている。

 これら2本のカセット、名義は違っているけれど、リードヴォーカルもバンドも間違いなく一緒。タイトルから分かることは、カセットを結構な数出しているだろうということ。ならば、このグループの作品はもっと聴いてみたい(実は現地で彼らのライブを観るチャンスがあったのだが、時間的都合など諸々あって実現しなかった)。

 彼らの音楽はプロデュース次第では世界からも認められるものなのではないだろうか。個人的には Konono No.1 や Staff Benda Bilili と同等、あるいはそれ以上のインパクトを受けた(多分それほど売れないと思うけれど)。

 そうしたことを思ったものだから、ニジェール・デルタにもう一度行きたいと願い、その機会を模索し続けている。Crammed の Vincent Kennis にコンタクトを取ってみようかとも考えたほどだ。自分が見つけたのは、ほとんど手売りに近い極めてローカルなカセットなので、日本からはとてもアプローチする手段が見つからないでいる。

 
 イジョ/カラバリの音楽はまだ断片的に聴いているに過ぎないけれど、その奥深さがひしひしと伝わってくる。こうしたものを聴くと、自分の知らない強烈で魅惑的な音楽はまだまだあることを思い知らされる。そして、そうした音楽を本気で探求したくなってくる。




 カラバリの伝統音楽はキューバ音楽の基となったもののひとつで、Pérez Prado の "Voodoo Suite/Exotic Suite" にも大きな影響を与えたらしい。カラバリ・ミュージックとキューバ音楽との関係については詳しい方からの教えを乞いたい。




 2005年の忘年会の「私の1曲」のトリではこれをかけるつもりだったのだけれど、Play ボタンを押す直前に気が変わって Abass Akande Obesere "Old Skool Lapel" にしたのだった(かな?)。




 配給元の Cash International Studio, Buguma とコンタクトが取れるなら、自分で CD をディストリビュートしたいくらいだ(もう一度書くけれど、絶対売れないと思う)。




 カラバリ・ミュージックは YouTube で探しても全然ない。これ の冒頭でカラバリ・ミュージックを使っているくらい(それと2分半からの女性コーラスも)。






 ・・・と、カラバリ風にざっくりと?





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by desertjazz | 2014-09-17 00:00 | 音 - Africa

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