読書メモ:船尾修『循環と共存の森から ムブティピグミーの知恵』(再読)

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 ピグミーとブッシュマン(サン)は音楽に限らず大好き。両者に関するレコードのうち主要なものはほぼ持っているはずで、最近もよく聴いている。ムブティ、エフェ、バカ等という各ピグミーの音楽的特徴を捉え直したり、自分がカラハリ砂漠で現地録音してきたものを今一度整理するというのも、今年自分に課している課題のひとつ。

Records of Pygmy
Records of Bushman

 (上のリストは約10年前の時点でのもの。しかし、それ以降でここに加えるべきものはわずかしかない。)


 ピグミーとブッシュマンに関して日本で一般向けに出された書籍も大体集め切り読み終えているはず。そう思いながら、しばらく振りにチェックしてみたところ、船尾修『循環と共存の森から ムブティピグミーの知恵』(新評論、2006)という本が見つかった。1998年に単身イトゥリの森でピグミーたちと過ごした体験を中心とするもの。
 
 早速ネットで取り寄せて読んでみた。コンゴ東部イトゥリの森に住むムブティ・ピグミーたちのことが実に魅力的に書かれている。たくさん載せられている写真(Best Shot ! )もとてもいい。船尾氏はアフリカ人類学者ではないので、時おり厳密さに欠ける部分もある。けれど感覚的に綴っている考察には頷くこと度々。コリン・ターンブル『森の民』から半世紀近く、未だに「文明人」を魅了して止まないピグミー。2冊を合わせて読むことを勧めたい。

 ムブティたちは1990年代末の内戦で甚大な被害を受けた(殺され食料とされた!)。そして、タイ資本によってイトゥリの原生林の伐採計画が進んでいると、船尾氏は指摘している。その後、この森とここに暮らすムブティたちはどうなっているのだろう?

 そんなことを考えつつ自宅の書棚のアフリカ本コーナーに目を向けると、あれっ? 同じ本が! そうそう、ルワンダの悲劇やコンゴ内紛が収まらない21世紀目前の時期でもイトゥリ訪問が可能だったことに驚きながらこの本を読んだ記憶が蘇ってきた。そして、やっぱりピグミーの森に行きたい!と猛烈に願ったのだった。

 (自宅には同じ本が何冊もあるし、やっと見つけたと思って買った CD がすでに持っていたり。中には3枚以上持っているものもある。自分のコレクションを把握しきれていないことに反省しきり。ダメですね。重複本と重複盤は整理したいのだけれど、そんな時間もなくて…。)

 『循環と共存の森から ムブティピグミーの知恵』は「少し長いあとがき」もいい。「人類が破滅に向けての歩みを進めている現代」(P.264)を危惧する痛切なメッセージが込められている。きっと著者はこのことを一番伝えたかったのだろう。


Funao Osamu Official Site




 最近入手した/読み始めているアフリカ関連本のいくつか。

 今村薫『砂漠に生きる女たち カラハリ採集民の日常と儀礼』(どうぶつ社、2010)は、ちょっと高いので出た時ここまで読まなくてもいいかなと思ってパスした本。それが安い古本で見つかったので買ってみた。マージョリー・ショスタック『ニサ カラハリの女の物語り』(この本はあまり面白くない)とも対比させて読みたい。

 木村大治+高梨克也+中村 美知夫 編『インタラクションの境界と接続―サル・人・会話研究から 単行本』(昭和堂、2010)は、バカ・ピグミーの歌と踊り、ボツワナのカラハリ砂漠のブッシュマンに関する最近の研究も含む。共著者のひとりからご教示いただいた。

 安岡宏和『バカ・ピグミーの生態人類学 ーアフリカ熱帯雨林の狩猟採集生活の再検討ー』(京都大学、2011)は、いわゆる「ワイルドヤム・クエッション」をとっかりにした?専門書。

 ずいぶん前から、塚田健一『アフリカ音楽学の挑戦 伝統と変容の音楽民俗誌』や渡辺公三『アフリカのからだ』も入手済みで早く読み終えたいのだけれど、全く時間が取れない。

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 20年近く探していたハイライフの CD をサンフランシスコで発見したり、3月に楽しみなハイライフのリイシューがいくつか控えていたりして、ガーナのハイライフへの興味が復活中。この機に読もうと思ってハイライフの文献3冊(全て英語)を目の前に積んでいる(塚田健一『アフリカ音楽学の挑戦 伝統と変容の音楽民俗誌』もガーナ音楽の研究書で宮廷音楽としての「ハイライフ」について詳述している)。

 そんな最中に、傑作/奇作旅行記、高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』の続編、『恋するソマリア』が届いた。早く読みたい! アフリカ関連書籍だけでも読みたい本がどっさりあるというのは楽しいことです。




 ちなみに、田中真知『アフリカ旅物語』と蔵前仁一『ゴーゴー・アフリカ』と船尾修『アフリカ 豊穣の混沌の大陸』が、自分にとって日本人が書いた3大アフリカ旅行記。これらももう一度読み返したいな。

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 他にもいくつか旅行記の傑作などをじっくり読み込んでいる。どれを読んでも失われてしまった世界が蘇ってくる。そうした土地に今から旅立ったとしても、その素晴らしかった世界を自ら実体験することは叶わない。

 経済的にも社会環境的にも日本人は「旅」することが難しい時代。それ以上に国際情勢を鑑みると未来永劫「旅」が不可能になってしまった場所は増えるばかり。(個人的には、マリ北部、ニジェール、シリアは訪れてみたかった。)

 最近何を読んでも、もう出来なくなってしまった旅の埋め合わせをしているような感覚に捕われる。人類自滅のカウントダウンという悲劇をまとったノスタルジーだろうか。確かに悲しいことです。






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by desertjazz | 2015-02-09 22:00 | 本 - Readings

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