読書メモ:オリヴァー・サックス『色のない島へ 脳神経科医のミクロネシア探訪記』

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 今年3月に文庫化されたオリヴァー・サックスの『色のない島へ 脳神経科医のミクロネシア探訪記』を読了。今回も面白かった!

 太平洋西方ミクロネシア。そこのビンゲラップ島とポーンベイ島には先天的に色覚を持たない人々が数多く暮らしている。一方、グアム島とロタ島にはいまだ原因不明の風土病(筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病に似た症状を示す)が存在する。サックスはそうした島々を巡りながらこれらの病気について調査していく。

 珍しい病について詳しく語られる部分ももちろん読みごたえあるが、それだけには留まらない。太平洋の島々を巡る紀行文としても深いものがあるし、サックスの人々と自然と歴史への視線が素晴らしい(それと同時にアメリカと日本の軍隊が、美しい島々の自然とそこに暮らす人々の生活を破壊したことに怒りもおぼえる)。

 読む前に予想した通り、やっぱり南の島でのんびりしたくなってしまった。




 これを読んでいて思い出したことがひとつ。自分も一度だけ色覚を失ったことがある。

 小学生の時に走っていた勢いで梁に頭を強打して転倒。気絶するまでには至らなかったが、起き上がると目の前の世界は完全に「白黒」だった。マズイ!大変なことになってしまった!と焦った記憶がある。それでも数分もすると「色」が戻っていた。

 子供の時のことだから、当時はどうしてこのようなことが起こったのか全く理解できなかった。眼が白黒になるなんて…。しかし今ではある程度理由について考えることができる。眼が白黒になったのではなく、脳内で色を認識する部位が衝撃によって一時的に機能を停止したのだろうと。色のついていない白黒ワールドなど滅多に体験できるものではないと思うので、できればもう少し長い時間その世界に留まっていたかったと、後から振り返って時々思うこともある。

 ところで、やはり若い頃に「夢に色がついている」と人から聞いて驚いたことがある。それどころか周囲に訊ね回ると、色付きの夢を見ている人ばかり。対して自分の夢はいつも白黒。カラーの夢なんて生まれてから一度も見たことがない。自分は夢の中ではずっと「色のない世界」にいる。人によって夢に色がついていたりついていなかったりするというもの不思議なことだ。


 ♪

 『色のない島へ』が出たばかりだというのに、サックスの代表作『レナードの朝』の[新版]も出た。早速買ってきて、ページを捲っている。最新作『見てしまう人びと ー幻覚の脳科学』も単行本で刊行されたけれど、これは文庫化を待つか図書館で借りて読むかしようかな。






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by desertjazz | 2015-05-05 12:00 | 本 - Readings

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