読書メモ:鈴木裕之+川瀬慈 編『アフリカン・ポップス!――文化人類学からみる魅惑の音楽世界』

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 鈴木裕之と川瀬慈の編集による『アフリカン・ポップス!――文化人類学からみる魅惑の音楽世界』は、文化人類学者ら7人によるアフリカン・ポップスの紹介。フィールド調査という実体験を交えている分、興味深く読めた。文章も読みやすく、サクサク進む。

 取り上げられているのは、カーボ・ヴェルデのクレオール音楽、ダルエスサラームのターラブ、グリオとマンデ・ポップス、トーマス・マプフーモのチムレンガ・ミュージック、アビジャンのレゲエ、フェラ・クティのアフロ・ビート、エチオピア(エチオジャなど)、カメルーンのヒップホップ、といったところ。各章とも総論半分、実観察に基づく分析半分。

 ターラブの歴史やトーマス・マプフーモの経歴に関して知らなかったことがいくつか書かれていた。鈴木裕之によるグリオの話は『恋する文化人類学者 結婚を通して異文化を理解する』と重なる部分が多い。実体験を交えた内容になると時として話がこじんまりしてしまう印象も受けたが、筆者でしか知り得ないことも多く興味を惹かれた。カメルーンのヒップホップなどは現状をほとんど知らなかったので、関連する音源や動画などを参照にしながら面白く読めた。

 意外な事実や目が覚めるような指摘も随所に。一例を挙げると、

「エチオジャズという言葉は厳密にいえば、ムラトゥ・アスタトケ自身によって創造された言葉であり、ムラトゥの活動に対してのみ言及されるべきです。/実際のところ、マハムド・アフメッド、アラマイヨー・エシェテ、テラフン・ゲセセ、ゲタチョウ・メクリヤでさえ、エチオジャズを演奏しているなんて思っちゃいないさ。それどころか、みな、エチオジャズのミュージシャンとして一括りに分類されて、とても戸惑っているんだよ。」(P.210-211)

 これはエチオピーク・シリーズの主宰者フランシス・ファルセトから川瀬慈に送られたメールからの引用。なるほど。


 もっとたっぷり聞きたい話が多いが、アフリカの音楽に詳しくない若い読者もターゲットしているようなので、これくらいがちょうど良いのだろう。その分だけ自分でもっと掘り下げてみようという気にさせられる1冊でもある。






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by desertjazz | 2015-05-06 12:00 | 本 - Readings

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