BEST BOOKS 2016

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 1. バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源』
 2. チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
 3. ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
 4. ブルース・スプリングティーン『ボーン・トゥ・ラン』
 5. オルハン・パムク『僕の違和感』


 今年は日本各地/世界各地への旅が続き、自宅で読書する時間がさほど取れず、その旅の間も本を読む時間的余裕がほとんどなかった(仕事も忙しく、また旅のプランニングにも結構な時間を要した)。なので、BEST ALBUMS と同様にこちらも5点に(10作選ぶにはやや無理があった)。

 1位、バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる』(出版は 2013年:原書は出てすぐ買ったが軽く目を通しただけだった。日本語版も出ていたことに今年になって気がついた)は、自分がかねてから音と音楽に関して考えていることついてたっぷり整理して書かれている。音との関わり方そのものについても根本から考えさせられる。特に音響(自然音/環境音)と音楽との間には境界はなく、両者を同等/同時に楽しめるのはなぜなのかについて理解するのに大いに助けとなった。単に音楽の良し悪しを超えて、音と音楽をより深い次元で捉え直したい考えの人にとってはとても有益な本である。自然音とピグミーの歌声とが溶け合う/響き合うところが大きな魅力の "SONG FROM THE FOREST" と呼応し合う部分も多いので、きちんと紹介しておきたかった。来年もう一度じっくり読み直すつもり。

 2位、アディーチェ『アメリカーナ』は最新作の待望の翻訳。2013年に出た時、これの原書(英語)も出版と同時に買ったが全く読めなかった。アディーチェ、今回もさすがの筆力だ。基本的には純粋なラブストーリーなのだが、そこへの、アメリカやナイジェリアの社会状況、人種問題などの織り込み方が絶妙。短い一文によって一瞬で登場人物のイメージを喚起するセンスも実に鮮やかだ。

 3位、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』は、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』みたいな物足りない(いや退屈とさえ自分は感じた)本と似たようなものかと思いきや、正に「目から鱗が落ちる」論考の連続。人類の歴史を単に時系列に並べるのではなく、そこから導かれる新たな可能性を次々と提示する深い思索の書。自由や国や貨幣などいずれも万人が認める空想だとする視点が凄い。

 3月にスプリングスティーンのライブを観た直後から、スプリングスティーンに関してもう一度捉え直したいと思って、関連書物を手当たり次第に読み漁った。ピーター・エイムズ・カーリン『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』、デイヴ・マーシュ『明日なき暴走』(再読)、マーク・エリオット『涙のサンダーロード メイキング・オブ・ブルース・スプリングスティーン』、ジェフ・バーガー編『都会で聖者になるのはたいへんだ ブルース・スプリングスティーン インタビュー集 1973-2012』等々。その直後に、一連の読書に止めを刺すかのごとく、本人が自伝を出したのには驚いた。生々しい語りで読みごたえたっぷり。ただ、スプリングスティーンの音楽履歴を振り返るには、カーリンの『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』の方が役立った。

 パムクも多く読んだ1年だった。最新作『僕の違和感』、ようやく和訳が出た大作『黒い本』、未読だった『新しい人生』と『父のトランク ノーベル文学賞受賞講演』、そして『雪』を〔新訳版〕で再読。5位にはトルコの庶民の暮らし振り(と思い違い)から何ともほんわかとした暖かみが伝わってくる『僕の違和感』を選んだが、その対極にあるようなミステリータッチの『黒い本』でも良かったかも知れない。


 今年もノルマの100冊には遠く届かず。来年はもっと読みたい。







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by desertjazz | 2016-12-31 08:02 | 本 - Readings

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