至高、緊張、寛容、温和、静寂、慈しみ、安らぎ、愛。なんと静謐な対話なのだろう。
"Adana" は、2016年のベストに入れるかどうか迷った作品。調べてみると発売は2015年だった。しかしこれは、昨年巡り会った最高のアルバムの中の1枚。
アルメニアのドゥドゥク Duduk 奏者ヴァルダン・ホヴァニッシアン? Vardan Hovanissian とトルコのサズ saz 奏者エムレ・ギュルテキン? Emre Gültekin が10年にわたる交友の末に、美しく結実させた成果。彼ら初のデュオ・アルバムは、まるで互いの魂を交感し合う会話のようだ。実際には多くのトラックがダブルベースやダルブッカなどの打楽器を含むカルテット編成であり、さらには数人のゲストも加わりもするのだが、ヴァルタンとエレム(彼は数曲で歌ってもいる)2人の対話のようにしか聴こえない。
CD ブックレットの最後にはトルコの小説家オルハン・パムクの代表作『雪』の一節が引用されている。これはパムクの描く世界と通じ合う音なのだろうか。アルメニアのピアニスト、ティグラン・ハマシアン Tigran Hamasyan が奏でる音も連想させる幽玄さだ。
(2015年作ならば、New Disc と題するのはおかしいかな? でも、この作品は自分がこれまでに聴いた中で最高のトルコ圏/アルメニア圏の音楽です。)
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