Hindi Zahra Live in Rezé, France 2016


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 インディ・ザーラのセカンド・アルバム "Homeland" は実に素晴らしかった。2015年のベストにも迷わず選んだ。ジャケット写真通りの陰りのあるアーシーな空気感と、ダークで妖艶な音世界が圧倒的だった。

 彼女を知ったのはファースト・アルバム "Hand Made" を通じてのこと。どことなくオリエンタルな雰囲気を感じさせる彼女の顔にまず惹かれた。ヒットした "Beautiful Tango" も勿論好きになった。しかし、"Homeland" はファーストを遥かに超える作品。まるで別人のアルバムかのように聴こえたほどだった。

 それ以来、これはライブでも体験すべきと思い続けることに。

 しかしその後、彼女のライブとはニアミス続き。昨年11月の旅行でもパリのアラブ研究所でのライブを見つけたものの、なんとそれはちょうどパリから日本に帰る日。彼女とはとことん縁がないのだろうか。

 今回の旅の後半は、イスタンブールに行こうか、モロッコに飛ぼうか、プラハとウィーンにしようかなどと散々迷う。それでも 24日ナントでのクロ・ペルガグをどうしても観たくて、南仏〜ナントを廻るスケジュールで確定。その前日23日はマルセイユでベニンのポリリズモ Le Tout-Puissant Orchestre Poly-Rythmo を観に行くことに。

 ところが同じ23日にナントの隣町レゼでインディ・ザラのライブがあることに気がついた。慌てて予定変更。正に粘り勝ちだ!(ポリリズモの新作 "Madjafalao" 一応買って聴いてみたけれど、退屈、、、いや物足りなかったなぁ。ネットで動画を観た限りではライブは盛り上がったようだけれど。)

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(短い旅行記)

 20日朝、パリ出発。ユッスー・ンドゥールのライブに興奮した余韻を残しながら。ラ・シオタに住むタトゥーと奥さんのマニュさんが泊まりにおいでとかねてから誘ってくれていたので、マルセイユ経由で3度目のラ・シオタ訪問。タトゥーは父親のかつての持ち家を旅行者に貸し出していて、ここに2泊。(とっても素敵な家だった。南仏旅行する方にお薦めしたい!)

 タトゥーたちと二晩呑んで語り合って、それから22日にマルセイユに移動。港やベルザンスを散歩。マルセイユは6度目か7度目になるけれど、何度来てもいいな! できれば住みたいくらい好きだ。(シャウイのレア盤もどっさり買えたし。)

 翌23日、早起きして午前8時のフライトでナントへ。ホテルでひと休みしてから、街中を散策。

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 夜、路面電車でレゼまで出かける。ナント滞在は初めてだったが、切符は簡単に買えたし、会場も難なく見つけられた。

 ライブは当然スタンディングなのだろうと思っていたら、箱はまるで映画館のような造りで全席指定席。Le Théatre Municipal という名前の建物なので、昔は映画館だったのだろうか? さて席はどこにしようと迷う。最前列に空きがあったのでそこを確保。中央列くらいの方が音的には良いのだろうけれど、折角なら間近で彼女のパフォーマンスを目に焼き付けたい。

(ブログ用の写真を撮りたくて、事前に彼女のマネージメントや仏ワーナーにコンタクトを取ろうとしたのが上手くいかず。しかし、ここなら許可など必要なさそう。一眼レフを持ってこれば良かったと思いつつも、隣の人の邪魔になってはいけないと考えて、コンパクトカメラでほんの数葉だけ。撮った写真は以下がほぼ全て。)


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 バックバンドは、ギター2人、ベース、ドラム、キーボード&トランペットの5人編成。ライブでも "Homeland" のあの独特なムードをじっくり醸し出すのだろうと思いきや、意外とロック寄りのサウンド。そのセカンド・アルバムにあったヘビーな要素を拡大した、結構ラウドな演奏が多い。とにかく、時折ジャジーになりながらもグイグイ押しまくるバックと蠱惑的なインディの歌声とのコンビネーションが印象的だった。(ギター2本のコンビネーションも良かったが、若い頃のエルビス・コステロみたいな風貌のベース奏者の自己陶酔的なプレイはちょっと…だな。)

 なので中盤で歌った "Beautiful Tango" は今の流れに沿わないと感じたほど。こんなアグレッシブなライブをやっているなら、もう "Beautiful Tango" を歌う必要はない? いや "Any Story" の暖かな歌も良かったけれど。

 さらにパワーアップしたのは、モロッコ風衣装を纏ってからの終盤〜アンコール。ほとんど歌わず、デザート・ブルース/デザート・ロック風の重いビートに合わせて、長髪を左右に振り乱してトランス状態を演出。これが一番忘れがたい。あくまでもステージ・パフォーマンスなのだろうが、煽られて熱くなるものがあった。歌ってもいないのに、サウンドの中心にあり続ける彼女の求心力は見事。さすがは 400回におよぶライブをこなしてきただけのことはある。

 "Hand Made" のポートレイトは何だかお嬢さんっぽく澄ました表情で、彼女には「隣のお姉さん」的な親近感のようなものを持っていた(よく見ると違うのだが)。しかし、これは全然勘違いだったな。ステージ上のインディは、気性の荒いじゃじゃ馬だ。

 今回フランスのレゼで遂に観たインディ・ザーラのライブは、想像とは全く異なっていた。けれども、よい意味で裏切られた。モロッコの女性ポップシンガーの中では、ウム Oum とインディ・ザラが2トップだろうと思って推してきたが、音楽的にはウムよりインディの方がずっと実力あると視た。

 インディ・ザーラ、ホントに凄い。誰か絶対日本に呼んだ方がいいよ!(プロモーションでの来日経験はあるようだが、本格的なライブを日本でもう一度観たい!)


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by desertjazz | 2017-01-10 00:00 | 音 - Music

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