クロ・ペルガグの美しくも不思議な世界 〜カナダの若き鬼才が紡ぎ出す芸術〜(7)

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 クロ・ペルガグの音楽世界は、とかくシュールだ、奇天烈だ、不思議だと形容され、その歌詞も意味が掴みにくい、危ない、怖いなどと語られがちである。しかし、歌詞をじっくり読みながら音楽を丹念に聴いてみたら、それまでの謎が徐々に溶け始めてきたようにも思う。

 これまでの回に書いてきたことを要約すると、表の顔と裏の顔(奥の姿)、強い面と弱い面、健全な部分と病んでいる部分といったような、人間の二面性、多重性、重層さに、クロはとても興味があって、それが彼女の作品作りの源泉になっているような気がしてきた。ファースト・アルバム "L'archimie des Monstres"(『怪物たちの錬金術』)のジャケットで少女が手にもつ仮面、あるいはバンド・デシネ B.D. (bande dessinée) 作家リュドヴィック・ドブールム Ludovic Debeurme に依頼して描かれたセカンド・アルバム "L'Étoile Thoracique"(『あばら骨の星』)のジャケットで表現された人獣二重性も、そうしたことの象徴に思えてくる。

 美しく魅惑的な音楽が奏でられるライブ・ステージもまた随所にドタバタ混じりで不思議さに満ちている。私が観てきた2回でも、クロは骸骨姿の全身スーツで現れてステージ上を転げ回り、車椅子に座ってピアノを弾き、トランポリンの上でギターを弾き語り、手品を披露したりする(2015年)。あるいは、METALLICA と描かれた馬鹿でかいワッペンを胸に貼り付け、マイケル・ジョーダン人形と巨大な骨を背負って演奏したり(2016年)。バンドメンバーたちも毎回奇抜な格好でパフォーマンスしたりと、正直意味不明な部分が多かった。ステージで繰り広げられる破天荒さには果たして深い意味があるのだろうか? それとも単に自分たちの楽しみとして/オーディエンスを楽しませるためにやっていただけか?

 クロのステージは毎度驚きや笑いがたっぷりだが、過去最大のサプライズは、何と言ってもファースト・アルバムのツアー最終日(2015年12月12日、カナダ、モンレアル)に頭を丸めてしまったことだろう。ステージ上で長い髪をバッサリ切り落とし、スキンヘッドになってパフォーマンスを続けたという。しかしこれには深い理由があった。ガンと闘う子供達のための頭髪ドナーを呼びかける目的でなされたそうだ。元々演劇を志していたクロのこと、意味不明と映るステージ演出の裏には、実はそれぞれきちんとした意味があるのかも知れない。

 それでもやっぱり、彼女の歌内容やパフォーマンスには意味を理解しがたいものが多い。でも、そんなところは自由勝手に解釈して、笑い飛ばして楽しめばいいさ。クロ・ペルガグの音楽とステージは、言葉や意味がわからないくても、ひたすら美しく、とことん楽しい。その素晴らしさは自然と伝わってくるはず。理解を超えた謎の存在もまたクロ・ワールドの魅力なのだから、謎は謎のまま残しておいて楽しんだ方がいい。

 それなのに、、、。

 今度の SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2017 において『クロ・ペルガグの美しくも不思議な世界 ~カナダの若き鬼才が語る自身の芸術~ 』と題し、私がクロ・ペルガグ本人に公開インタビューを行うこととなった(3年前のオリバー・ムトゥクジ Oliver Mtukudi、一昨年のジュピテル Jupiter に続いて今年もご指名を頂きました)。フランス語も分からない私が、ましてやインタビュアー泣かせとしても有名な(?)彼女に一体何を訊く? 果たして彼女は何を語ってくれるのか? 彼女の不思議は少しでも解き明かされるのか?

 まあ、クロ・ペルガグを初めて聴く人たちがライブを楽しむのに役に立つ話を少しでも引き出せたら、と考えています。(自分が抱く大きな謎の一つ、なぜクロは広島カープのユニフォームを時々着ているのか? その謎を解くヒントをいくつか見つけることができた。時間が許せばそのあたりのことも訊きたいな。)

 待ちに待ったクロ・ペルガグの来日公演がいよいよ目前に迫った。クロの日本でのライブ・ステージも、抜群に楽しくて素晴らしいものになること間違いない。フランスやカナダとは色々異なる趣向が施されるだろうという情報も伝わってきいる。遂に日本で観ることが叶うクロ・ペルガグ・ワールド、どうぞお見逃しなく!

 8/25〜8/27 & 8/29〜8/30、SUKIYAKI MEETS THE WORLD と SUKIYAKI TOKYO でお会いしましょう!


 ・ SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2017
 ・ SUKIYAKI TOKYO 2017







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by desertjazz | 2017-08-14 00:00 | 音 - Music

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