France 2017 - Day 8 (Part 1)


  

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 フランスにやってきて8日目。パリからリヨンに移動。Transbordeur にて HK et Les Saltimbanks と Massilia SoundSystem のライブ。マッシリアを観るのはちょうど10年ぶり。そして、今日は奇しくもリーダー Tatou の誕生日! 日本からの誕生日祝いの土産を手渡し、1年ぶりの再会を祝して乾杯。もちろんライブは最高。今回もめっちゃ楽しかった。HK のライブも良くて、今年のフランス滞在で最高の1日だったかもしれない。マッシリアのライブを次に観られるのはいつだろうか? 早くまた観たい!


(撮影した写真すらまだ全部を観ていないので、詳しいリポートは後日に。→ 以下にアップしました。





【 Live Repot : HK & Les Saltimbanks + Massilia Sound System 】


 都合14回目の訪問となったパリには、1週間滞在し、ライブ7本を堪能(11/21 には Trombone Shorty を観た)。まずまず充実した日々をすごしたそのパリを一旦離れ、今日からリヨン。フランス第2の大都市リヨンに来るのは今回が初めてだ。

(ちょうど10年前にフランス中を駆け巡って、Orchestra Baobab、Magyd Cherfi などを観た時に、マッシリア・サウンド・システム Massilia Sound System のリヨン公演にインビテーションをもらっていた。だが、Bruce Springsteen のワシントン公演のチケットが取れて、フランス滞在中にパリーワシントンを往復するなんて無謀なことをやったこともあって、その時には Massilia Sound System を観るのはトゥールーズの Le Bikini に変更したのだった。/ ようやく来ることのできたリヨンでは、美術館で衝撃的な出会い/大発見が待っていたのだが、そのことについてはまた別の機会に。

 11時の TGV で(パリの)リヨン駅からリヨンへ(ややこしい)。昨晩は Seun Kuti を観た後に深夜のトラムでホテルに戻ったのが25時だった。なので少しゆっくりしたいところなのだが、今夜は旅のもう一つののハイライトが待っている。アシュカ&レ・サルタンバンク HK & Les Saltimbanks と Massilia Sound System という贅沢な組み合わせなので、期待は膨らむ。

 公演会場はリヨン北部 Villeurbanne の Transbordeur。ここまで歩いてすぐのホテルにチェックイン。それから、近所(ホテルの目の前)の公園と動物園を散歩してから、Tatou へのバースデー・プレゼントや奥さん Manue さんへのプレゼントなどを抱えて会場へ。早速楽屋にお邪魔すると、Tatou は私の顔を見るなり「酒だ、酒だ! いい酒があるんだよ!」 なんだかすっかり出来上がっている様子。みんなで誕生日のお祝いをしていたのかも知れない。マッシリアのメンバーやクルーたち(Moussu T の時に日本に来た照明担当のチチさんも)と一緒に乾杯し談笑して盛り上がる。いつ会っても楽しい人たちだ。

(Tatou は私が1996年に初めてマルセイユに行った時、(取材で)刑務所に入ったことを周りに説明したり、10年前に Le Bikini で会ったことについて話しかけて来たりする。よく憶えているなぁ。Le Bikini での深夜の打ち上げでは Lux B の病気のことも尋ねたのだけれど、彼「Le Bikini は Lux B が亡くなってから最初のコンサートだった」と言っていた。そうだったかな?)



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 前座(ギター弾き語り)に続いて、HK & Les Saltimbanks からスタート。キャパ 1700人の場内はすでに概ね埋まっている。マッシリア目当ての客が多いのか、それとも HK も人気が高いのか。ライブが始まった途端、フロア前方はいきなりヒートアップ。カメラを構えるスペースもなかったので、ほとんどの間、後方でのんびり観て楽しんでいた。

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 HK は歌もバックバンドもいい。盛り上げ方もとても上手いね。HK の作品は全部持っているはずが、これまで熱心に聴いてこなかった。でも彼のライブを初めて観てすっかり見直したな。PV では時々やっているらしいが(未見)、女性4人が度々ステージ・センターに出てきて歌を手話で伝えていたのは面白い試みだった。そして最後はやっぱりあのアンセム(曲名忘れた)で締め。

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 メイン・アクトが始まる前でこんな熱狂状態ならば、ステージ面の撮影エリアの方がゆっくりライブを楽しめるかと思って、ステージ転換の間に前方へ移動。ところが、セキュリティーから「撮影は最初の3曲だけ」と伝えられる。どうして?と思ったが、その理由には後で納得。

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 1時間50分予定のセット、前半はマッシリア流レゲエ/ダブのオンパレード。楽屋ではただの酔っ払い親父にしか見えない? Tatou も軽やかなステップ踏んで駆け回る。思わず自然と「かっこいいな」と頭の中で呟く。MC 3人の揃うショットを撮りたいのだが、これだけ動きが早くては3人のポジションとポーズとライトの条件が揃う瞬間が来ない。いや全く撮れないのだ。そこで、割り切って毎秒10枚の高速連写モードに切り替えて撮影(フランス滞在中ずっと SONY RX100 V だけで撮っていたが、この日だけは Canon EOS 7D mark II との2台体制)。

 いやはや、こうなると分かっていながらも、場内の狂乱ぶりがすごい。マリファナの匂い立ち込める中、鉄柵を乗り越えてステージへ登ろうとする輩までいる。クラウド・サーフィンもあちこちで始まった。ステージ前のセキュリティーの男は、喧嘩腰の対応で、自然と戦闘モードに。

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 ステージ中盤で毎度恒例の「パスティス・タイム」。パスティス・ガールたちがサーブするパスティスを、撮影エリアに並ぶ男たちが観客たちに振る舞うという余興。ただのコップ入りのパスティスなのに、誰もが熱烈に手を伸ばしてくる。10年前には自分もステージの上からパスティスを配ったのだが、このインターミッションは毎度楽しい光景だ。さっきまで睨みを効かせていたセキュリティー男もすかさずコップを手に取り、ニコニコ顔で一杯やっている。でも混乱が過ぎて、パスティスがあちこちで溢れてたりも。うーん、これでは撮影エリアから退避していて正解だった。

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 そのパスティス・タイムからキラー・チューン "Massilia No.1" への流れが爽快。レゲエ/ダブで押し捲るダンス・モードから転じて、後半は Tatou と Gari の2人がテキスト持ってのお勉強タイムだったり、Tatou がカタルーニャ情勢について語ったり、Tatou が腰を降ろして一人で優しく歌ったり、等々、バラエティー豊かな構成。もちろん、会場全員が横になってからのスタンドアップもやったし、アンコール最後は観客全員が手を繋いで左右にステップ踏んでの大ダンス大会。どれもが彼らのライブでお馴染みのパーツばかりで見飽きてるくらいなのに、それがとても楽しい。集まってくるお客さんたちもきっとこれを期待していたのだろう。

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< Set List >

Pauvre de Nous / 3 MC's / Parler Fort / Commando Fada / Parla Patois / Ma Ville Reveille Toi / Piim / Massilia No.1 / Toujours / Tout le Monde Ment / Es Tot Pagat / Marche du Soleil / Cansoneta / Ma Ville Tremble / Cono / (Encore) A Marseille / Dimanche aux Coudes / Bottle / Oui / Tuba


 今回のライブにやって来て改めて思ったのは、曲の良さ、サウンドの良さ、声の良さ、チームワークの良さだ。どの曲も即座に耳を捉え、口ずさんでしまうようなキャッチーさを持っている。キーボードの Janvie D と DJ の Kayalik の紡ぎ出すサウンドには自然と高揚させられるし、そこに Blu のギターがいい塩梅にロック風味を加える。そしてマッシリア最大の魅力は、自由にフロウする Tatou (Moussu T)、Papet J (Jali)、Gari の声だ。3人それぞれの声質を持っていて、フレーズをパスしたり、3つの声がブレンドされる時の心地よさ(終演後 Gari とも少し話をしたのだが、Tatou を尊敬し続ける彼らしく「ビッグの2人と一緒だから大変だよ」としきりに謙遜していた。でも今では彼の役割もとても大きいと感じた)。ゆるい演出もたっぷりあるのに、ステージの流れには一切無駄がなく、様々な音と声のコンビネーションが抜群にいい。Massilia Sound System は本当に最高のグループだと思う。

 そうした中で断然強く迫ってくるのは、何と言っても Tatou の存在感と彼の声の素晴らしさだ(ステージ中央に置かれたクーラーボックスから何度もビンビールを取り出して飲み、空き瓶を笛にして弄んだりして笑わせるのは、ただのアル中現象なのか、ある程度まで演技なのか?)。ライブ前に楽屋で Tatou に「誕生日おめでとう」と言った瞬間、彼は「プフー。58歳になってしまったよ」と俯いた。だけど、彼は幾つになっても魅力的だし、ますますいい男になってきたと感じる。

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 Tatou と Papet J を筆頭に50歳台のメンバーが多いグループが、今でもこれだけ老若男女を熱狂させ続けているというのは、なんたって凄いことだと思う。例えるならば、彼らはマルセイユのローリング・ストーンズか? ならば Tatou はマッシリアのミック・ジャガー??

 マッシリアのサウンドは自分の頭と体にすっかり染み込んでいるのだけれど、それが未だに全然飽きない。この夜約2時間のステージを楽しんだ後でも、もっと続けて欲しいと思ってしまう。これほどまでに愛せるバンドと出会い、そのメンバーたちが会いに行く度に大歓迎してくれるというのは、本当に幸せなことだと思う。

 あー、また観たい! また会いたい!

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Happy Birthday, Tatou !!!


(2017/12/26 記)






by desertjazz | 2017-11-23 23:59 | 旅 - Abroad

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