この春にクロ・ペルガグの来日が決まったと連絡を受けてからは、毎日毎日そわそわ。彼女が日本に到着してからも、間近でライブを楽しんで(撮影したステージ写真数枚は彼女のサイトやFBに使われて)、じっくりインタビューして、誘われて打ち上げにまで参加、、、、と、自分が今世界で一番気になっているミュージシャン(一番好きなのは誰かと問われると、ユッスー・ンドゥールかブルース・スプリングスティーンになるのだろうが)と数日間過ごせたことは、まさにファン冥利に尽きる。本当に毎日が至福のひとときだった。

(とは言え、クロ・ペルガグは仲間同志でいる方が楽しそうだったし、色々な理由から、話しかけて疲れさせてもいけないと思い、公式インタビューの場を除いて、基本的には彼女からはなるべく離れるようにしていたのだが。)

 しかし、クロが日本に滞在している間、彼女と会えるのもこれが最後になるだろうと、ずっと考え続けていた。ひとつ大きな期待を抱きながら。

 日本ではほとんど無名の頃から、私が惚れ込んで熱心に紹介し続けたアーティストは数多い。そのほとんどは未だにブレイクしないのだが、一方で気がつくと自分など手の届かない存在に大化けしてしまった人もいる。

 例えば、ダーラJ(現在は Daara J Family)のファーダ・フレディ Faada Freddy。11年前に仏アングレームで出会って意気投合。ダカールの自宅の電話番号まで教えてくれた。その後もシンガポール(WOMAD の片隅で疲れた顔で料理教室をやらされていたっけ)、東京(公式公演ができず、関係者だけ招いたライブのフロアで立ち話)、ロンドンのライブにも行って、一昨年にはパリで5回目の奇跡的再会。「これまで4回会ったよね」って話かけると、彼は大喜びで「絶対メールする」と言いながら、「忘れないように」と私の名刺を2枚ももらって行った。しかし、その後彼から連絡は来ていない。まあ、当然のことで仕方ないよな。

 それより、クロを見つめながら思い出していたのは、イダン・ライヒェル Idan Raichel のことだった。10数年前にイスラエルで「発見」し、世界デビューの日にパリでインタビュー(ってことはこれまで何度も書いたね)。その直後は、ワシントンでばったり再会し、本人からコンサートに招待されたり、突然メールが届いたことさえあった。でも、世界的スーパースターとなった今は、もうそんなことはあり得ない。直接の連絡先すら分からなくなってしまった。彼が日本に来る度に挨拶しに行っているが、私が誰なのかもう記憶にないようだった。それも仕方ないことだ。いや反対にファンとしては彼らの大成長を喜ぶべきだろう。

 クロ・ペルガルの音楽を聴いた人々からは、ビョークと比較する声すら聞こえてくる(今日読んだ『ラティーナ』最新10月号に掲載された吉本さんによるインタビュー記事には、ビョークのことを「敬愛する存在」と書かれていた。なるほど、そうなのか)。万人受けするポップさではビョークよりもクロの方が優っているかもしれない。ならば、彼女にはビョークを超えるくらいのポップ・スターになって欲しいと願う。(そのためには英語圏マーケットへの関心の無さがネックになるようにも思うのだが。)

 今回は「クロちゃん」と愛情こめて呼ばせていただいた。しかし、クロ・ペルガグの音楽をじっくり聴き直し、改めてライブで聴いて、ようやく気がつかされたことも多かった。これほど懐深く、凄みを感じさせるアーティストだったとは! なので彼女には、そんな気安い呼びなを許さない高みにまで登り詰めて欲しい。そう思って、彼女の公演後、自分は「クロちゃん」という呼称は封印した。

 クロ・ペルガグというアーティストには心底惚れ込んでいる。だから、彼女には自分など手に届かない遠い存在になって欲しいと心から願っている。正直それはちょっと寂しい気もするけれど、彼女の音楽の熱烈なファンとしては本望でもある。

 初来日公演を終え、早速、再来日を熱望する声が各所から聞こえてくる。少しでも早くそうなるといいな。でもその時には、もう私の出番はないだろう。自分ができることは今回でやり尽くした。一人のファンができることはこれが限界だと感じている。

 彼女のマネージメントからは、昨年の段階で「今後全てのコンサートに招待する」とメッセージをいただいている。しかし、彼女がビッグになっていけば、きっとそうはならないはずだ。気の早い話かもしれないが、来年はカナダに行きたいと考えている。5月には(二度目?の)オーケストラとの共演が発表され、6月にはクロとバンド・メンバーたちが楽しみにしていると熱く語っていたフェスへの出演も決まった。条件が揃えば、こっそり観に行きたいな。

 私が一人のアーティストにこれだけ惚れ込んだのは久しぶり。なので、クロ・ペルガグには、これからも素晴らしい作品を生み出し続けて評価をどんどん高め、自分自身でも芸術活動をたっぷり楽しんで欲しい。これからどんな作品を私たちにもたらしてくれるかとても楽しみだ。その結果、私からは遥かに遠い存在になってくれることを心から願っている。

 そんなワケで、「クロちゃん」にはさようなら。今度はよりスケールアップしたアーティスト、クロ・ペルガグの姿をまた観られることに期待しています。




d0010432_23481658.jpg
(クロ・ペルガグが日本に持って来たポスター2点も手に入れることができました。)







[PR]
by desertjazz | 2017-09-19 23:00 | 音 - Festivals

DJ
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30