カテゴリ:音 - Music( 253 )

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□ 8月30日(水)Sukiyaki Tokyo 2日目(東京・渋谷 WWW X)

 27日(日)ヘリオス(富山県南砺市福野)での演奏時間が80分予定だったのに対して、今夜は65分のセットとやや短め。しかし、本編でカットされたのは "Au Bonheur d'Edelweiss" くらいで、曲順含めて大きな違いはなかった。それより会場の環境や状態から判断したと思われる微調整に気づかされることに。

 彼らの音の秘密を探りたいという考えもあって、この日はサウンドチェック&リハーサルから見せていただいた。14時半から始められたサウンドチェック、驚いたのはモニターバランスの細かな調整まで含めてたっぷり1時間以上かけて丁寧に行われたことだった。反対にリハーサルは軽く数曲やったのみ。個人的には客入れする前の残響長い乾いた音が好きで、時々サウンドチェックを聴きに行くのだけれど、今回はそんな楽しみも短め。意外と多かった彼らの持ち込み機材を見て行くうち、きっかけ音のいくつかはマーク=アンドレが PAD を叩いて出していることにも気がついた。彼のパーカションは手作り感たっぷり(写真は撮り忘れた)。

 さて本番。前半はアンドレ・メマーリ&フアン・キンテーロ Andre Mehmari & Juan Quintero のデュオ(ピアノもギターもいいのだけれど、どうしても歌の伴奏という印象が強くなってしまって、インストのみの演奏をもっと聴きたくなった。アンコールで再び『ふるさと』を挟んだ Milton Nascimento の "Ponta de Areia" を聴けたのは嬉しかったなぁ)。

 続いて、クロ・ペルガグたちが今年のスキヤキの大トリとして登場。個人的関心のひとつは赤鬼のお面を再び被るどうか。ヘリオスでのオープニングではクロ・ペルガグはある演出を用意してきたのだが、正直さほど面白くはなかった。どうせ鬼の面を使うのなら冒頭からの方がいい。

 そう思いながらオープニング "Insomnie" のイントロを浴びていると、弦楽器やシンセ、ドラムの音が次第に盛り上がる中、クロが身を低くしてステージ中央に忍び寄ってきた(場内スタンディングなので、最前方でないと彼女の姿は見えない)。そのクロの顔には鬼の面が。「やっぱりな」と心の中で呟く。そしてクロが立ち上がった瞬間、大歓声!


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 クロはとにかく寝っ転がる。そのことに何か意味があるのかどうか、未だに理解が及ばないのだが。フランスで二度観たライブ会場はどちらも全席椅子席だったで( Paris 2015 / Nantes 2016 )、ステージ上でのたうち回る姿はどこからでも見ることができた。そのことは福野ヘリオスでも同様で、モニターの背後から鬼の面を見せるというような工夫もあった。しかし渋谷ではそうしたパフォーマンスは封印。福野では片足を上げたり揺らしたりしての演奏も集まった人たちの眼を引きつけていたけれど、ここではそれも控えめ。反対にピアノ椅子に立ち上がるなど、ハコに合わせた動きを見せていた。


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 "Insomnie" から6曲目 "J'arrive En Retard" までの構成はヘリオスの時と一緒。5曲目 "Les Instants d'Equilibre" のマリンバ状の音はマーク=アンドレが PAD を叩いて出していた。

 そのマーク=アンドレのドラムを中心とする短い JAM を挟んで、そのままの流れで移って行く "J'arrive En Retard"、今夜は離れた場所で聴いていた分だけ、ストリングスの艶やかな響きを一層味わえた。

(渋谷 WWW X では最初から最後まで DJ ブースから観ていた。クロ・ペルガグのライブは今夜が最後でもあるので、なるべく音の良いところでじっくり楽しみたいと思って。昨年11月にフランスのナントで観た時と同様、カメラのシャッター音が自分自身気になって仕方なく、音圧が上がった時と MC の時しかシャッターを切らなかった。アンドレ・メマーリ&フアン・キンテーロの時には一眼レフでは1枚も撮らなかった。そう考えると、ステージ撮影はすでにミラーレスの時代なんだなと思う。疲労で身体が悲鳴を上げていたため 2kg 近い望遠レンズを持ってこなかったこともあって、撮影エリアからのアップの写真は他の方々にお任せいたしました。)

 もう一つ、おやっ !? と思ったのは "Nicaragua" の演奏に入る直前に学校の始業チャイムを鳴らしたこと。恐らくこれは、ストリングス陣がリコーダーを吹くこの曲で小学校の音楽の授業を連想させる意図があったからだと思う。しかし、そのことに気がついた人はいただろうか。この演出は、もしかしたら福野での私との会話でクロが思いつたのかも知れない(これについても詳細後日)。



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 ラス前の "Taxidermix" では再び赤鬼のお面を被ってのパフォーマンス。この曲、後半のライブ・アレンジはカッコよくて何度聴いてもいいな。圧巻だった!

 そして最後は今夜も "Les Ferrofluides -Fleurs"。この曲でチャランゴを弾くフランソワは、ベース演奏以外に、クロたちが弾くハモンド(Roland VK-8)のセッティングをしたり、数曲でギターをプレイしたりと、結構マルチなプレイヤーだ。

(フランソワは、渋谷までバスで移動する途中「アフリカ音楽のレコードを集めているんだって?」と声をかけて来た。・・・誰がそんなこと話したんだ? それがきっかけで「ああ、アフリカには10回くらい行って、たくさんレコードを買ってきたよ」「ワオ! いつかアフリカに行くのが僕の夢なんだ。レコードをコピーしてくれない?」「今度ウチにおいでよ」などと会話が弾んだ。彼は日本のインダストリアル・ミュージックなどにも興味があってレコードを探していた。今度日本に来た時には一緒にレコ店巡りをしたいな。)


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 アンコールは "Incendies" の1曲のみ。この夜一番驚かされたのは、クロ・ペルガグの代名詞とも言える曲 "La Fievre des Fleurs" を演らなかったことだった。もしかしたらそれを残念に思った人もいたのでは? どうしてなのだろう? でも、最後の最後にこの曲をクロ一人による弾き語りで披露する気がないのなら、しっとり切ない "Incendies" で日本公演の幕を閉じることで、確かにジーンと心に迫って来るものがあった。


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 今回の日本公演の構成は、多分、昨年ナントで観たライブからさほど変化はなかったように思う。勿論、毎度爆笑を誘うクロの MC がなかったという差はあったが。SECURITE と書かれたバンド・メンバーのステージ衣装も基本的に一緒だったし。セカンド・アルバムのリリース後もライブを重ねて、現在はその流れが固まっている段階なのだろう。オフタイムも含めて、チームワークもとても良かった。

 富山県南砺でも東京渋谷でも、クロたちは、珠玉のメロディーを相次いで紡ぎだし、ストリングス3本を含むバンドによって美しい調べを奏で、そして繊細な囁きから爆発するインプロビゼーションまで幅の広いサウンドで私たちを楽しませてくれた。クロ・ペルガグは、詩や瞳からは一人の大人としての意識の強さと深い洞察を感じさせる一方で、少女のような笑顔や小悪魔的な仕草でも楽しませてくれた。

 しかし1時間程度では短すぎる。クロ・ペルガグは何度聴いても新鮮に響くので、全然聴き足りないな。できるだけ早く再来日を、それも単独公演の形で実現させて欲しい!


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♪♪♪


 私の写真はやや遠方からワイドレンズで撮ったのをトリミングしたものばかり。あまり良い写真がなく、同一方向からのためアングルも単調。そこで、音楽評論家の松山晋也さんとスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド実行委員長の橋本正俊さんにお願いして、公演の雰囲気がたっぷり伝わって来るナイスなショットを提供していただきました。どうもありがとうございます !!!


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(C) Matsuyama Shinya


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(C) Matsuyama Shinya


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(c) Hashimoto Masatoshi




♪♪♪


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(日付間違いは気にせずに、、、。)



(続く)







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by desertjazz | 2017-09-04 17:00 | 音 - Music

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 クロ・ペルガグの音楽世界は、とかくシュールだ、奇天烈だ、不思議だと形容され、その歌詞も意味が掴みにくい、危ない、怖いなどと語られがちである。しかし、歌詞をじっくり読みながら音楽を丹念に聴いてみたら、それまでの謎が徐々に溶け始めてきたようにも思う。

 これまでの回に書いてきたことを要約すると、表の顔と裏の顔(奥の姿)、強い面と弱い面、健全な部分と病んでいる部分といったような、人間の二面性、多重性、重層さに、クロはとても興味があって、それが彼女の作品作りの源泉になっているような気がしてきた。ファースト・アルバム "L'archimie des Monstres"(『怪物たちの錬金術』)のジャケットで少女が手にもつ仮面、あるいはバンド・デシネ B.D. (bande dessinée) 作家リュドヴィック・ドブールム Ludovic Debeurme に依頼して描かれたセカンド・アルバム "L'Étoile Thoracique"(『あばら骨の星』)のジャケットで表現された人獣二重性も、そうしたことの象徴に思えてくる。

 美しく魅惑的な音楽が奏でられるライブ・ステージもまた随所にドタバタ混じりで不思議さに満ちている。私が観てきた2回でも、クロは骸骨姿の全身スーツで現れてステージ上を転げ回り、車椅子に座ってピアノを弾き、トランポリンの上でギターを弾き語り、手品を披露したりする(2015年)。あるいは、METALLICA と描かれた馬鹿でかいワッペンを胸に貼り付け、マイケル・ジョーダン人形と巨大な骨を背負って演奏したり(2016年)。バンドメンバーたちも毎回奇抜な格好でパフォーマンスしたりと、正直意味不明な部分が多かった。ステージで繰り広げられる破天荒さには果たして深い意味があるのだろうか? それとも単に自分たちの楽しみとして/オーディエンスを楽しませるためにやっていただけか?

 クロのステージは毎度驚きや笑いがたっぷりだが、過去最大のサプライズは、何と言ってもファースト・アルバムのツアー最終日(2015年12月12日、カナダ、モンレアル)に頭を丸めてしまったことだろう。ステージ上で長い髪をバッサリ切り落とし、スキンヘッドになってパフォーマンスを続けたという。しかしこれには深い理由があった。ガンと闘う子供達のための頭髪ドナーを呼びかける目的でなされたそうだ。元々演劇を志していたクロのこと、意味不明と映るステージ演出の裏には、実はそれぞれきちんとした意味があるのかも知れない。

 それでもやっぱり、彼女の歌内容やパフォーマンスには意味を理解しがたいものが多い。でも、そんなところは自由勝手に解釈して、笑い飛ばして楽しめばいいさ。クロ・ペルガグの音楽とステージは、言葉や意味がわからないくても、ひたすら美しく、とことん楽しい。その素晴らしさは自然と伝わってくるはず。理解を超えた謎の存在もまたクロ・ワールドの魅力なのだから、謎は謎のまま残しておいて楽しんだ方がいい。

 それなのに、、、。

 今度の SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2017 において『クロ・ペルガグの美しくも不思議な世界 ~カナダの若き鬼才が語る自身の芸術~ 』と題し、私がクロ・ペルガグ本人に公開インタビューを行うこととなった(3年前のオリバー・ムトゥクジ Oliver Mtukudi、一昨年のジュピテル Jupiter に続いて今年もご指名を頂きました)。フランス語も分からない私が、ましてやインタビュアー泣かせとしても有名な(?)彼女に一体何を訊く? 果たして彼女は何を語ってくれるのか? 彼女の不思議は少しでも解き明かされるのか?

 まあ、クロ・ペルガグを初めて聴く人たちがライブを楽しむのに役に立つ話を少しでも引き出せたら、と考えています。(自分が抱く大きな謎の一つ、なぜクロは広島カープのユニフォームを時々着ているのか? その謎を解くヒントをいくつか見つけることができた。時間が許せばそのあたりのことも訊きたいな。)

 待ちに待ったクロ・ペルガグの来日公演がいよいよ目前に迫った。クロの日本でのライブ・ステージも、抜群に楽しくて素晴らしいものになること間違いない。フランスやカナダとは色々異なる趣向が施されるだろうという情報も伝わってきいる。遂に日本で観ることが叶うクロ・ペルガグ・ワールド、どうぞお見逃しなく!

 8/25〜8/27 & 8/29〜8/30、SUKIYAKI MEETS THE WORLD と SUKIYAKI TOKYO でお会いしましょう!


 ・ SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2017
 ・ SUKIYAKI TOKYO 2017







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by desertjazz | 2017-08-14 00:00 | 音 - Music

 クロ・ペルガグ本人のリーダー作は、まだ3タイトルのみ(EP1作、アルバム2作)。もっと他に聴けないだろうかと思って探してみたら、ゲスト参加曲/共演曲が7曲ほど見つかった。それらの中で特に気に入った3曲を DL 購入して聴いて楽しんでいる。


 同郷ケベックの男性シンガー VioleTT Pi との共演ナンバー。「迷路」という曲名に似つかわしい重苦しいムードで、映画の予告編のような PV も作られている。クロの切迫感を含んだ哀しい歌声がいい。

 ところでこの VioleTT Pi とは一体誰なのだろう? 本名は Karl Gagnon(らしい)。ということは彼もガニョン一族の一人か? クロの兄弟?従兄弟?それともダンナ?? セカンド・アルバム "L'Etoile Thoracique" で1曲共作しており、ファースト・アルバム関連の授賞式でもクロと同席している。(ネット検索すると、クロ以上に奇天烈な画像や動画ばかりで、結局何者なのかわからないママだ。)

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 おそらく Philippe Brach もケベックのアーティストだろう。ちょっとシュールな雰囲気の PV では、クロの姿に大人の女性らしい美しさが感じられる。

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 これも Philippe Brach との共演曲。とにかく素晴らしくて、愛聴し続けている。クロはピアノも担当しており、歌い手としてもピアノ奏者としても高い資質を示していると思う。なので、今後はより多くのアーティストたちから共演を求められるだろうし、この方向性のアルバムも聴いてみたい。

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by desertjazz | 2017-08-06 00:00 | 音 - Music

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 本日 8/4 リリースの Randy Newman 新作 "Dark Matter" を聴いている。いやぁ〜、いいねぇ〜! 期待以上でビックリ!

 1曲目 The Great Debate がまず凄い。時折ナレーションを挟んで次々曲調が展開して行く。8分9秒って過去最長なのでは? 自然とブックレット5ページに及ぶ歌詞を追って聴くことに。

 その The Great Debate もそうなのだが、過去の楽曲を連想させる旋律やムードが随所に。まんまの引用もある。でも安易な使い回しではなく、同等な深さを感じさせる。

 基本弾き語りの雰囲気を保ちながら、自身がスコアを書いたオーケストレーションが重なり、耳に馴染んだ幸せな音空間が拡がっていく。

 この新作は過去の様々な仕事と結びついた作品だと感じさせる。"Randy Newman / Live" を連想させるタイポグラフィーがそのことを象徴しているようで、そこもいい。







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by desertjazz | 2017-08-04 23:00 | 音 - Music

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( Le Trianon, Paris 2015/04/15 : Photo by D )


 FUJI ROCK が終わって8月、いよいよ Sukiyaki Meets the World と Sukiyaki Tokyo の開催が目前に迫ってきた。今年のスキヤキはますます個性豊かなラインナップでとても楽しみなのだが、今自分が世界で一番関心を寄せているアーティストの一人、クロ・ペルガグがやってくるとあって、他のアーティストたちまでにはとても気が回らない。なので、今年は割り切ってクロちゃん一人だけを紹介し続けている。

 クロ・ペルガグというアーティストの魅力は、極めて美しく個性的なメロディー、繊細で優しく時に力強い歌声、自身の奏でるピアノとストリングス中心の多彩なサウンド、変化に富んだダイナミックなアレンジ、不思議な言葉を織り込んだシュールな?歌詞、奇抜で凝った衣装やアートワーク、などなどあらゆる面に渡る。

 そしてもうひとつ見逃せないのが、ライブ・ステージの素晴らしさだ。レコードで聴くのと比べて、切なく優しい調べと歌声はより深く心の奥に入ってくるし、艶やかなサウンドはより大胆に響く。トークを始めると爆笑の渦。奇抜な衣装、取り散らかったステージ、意味不明なパフォーマンスの数々には、果たして意味があるのか全くのナンセンスなのか? 何れにしてもオーディエンスを楽しませたい、自分も楽しんでいるんだという気持ちは伝わってくる。

 自分は幸いファースト・アルバムのツアーとセカンド・アルバムのツアーの両方のステージを楽しむことができた。その時感じたのは、あまり難しい解釈は抜きにして素直にステージの美しさをドタバタ振りを楽しめばいいのだな、ということ。

 ネットを探ると、私が観た 2015年のパリ公演が30分弱、ファースト・アルバムのツアー最終公演のダイジェストが約3分アップされている。彼女のライブに関しては、ここで語るよりは、それらをご覧いただいた方が良いだろう。

 今回のスキヤキ日本公演、さすがにここまでの演出は無理。でもクロは、最高の音楽を聴かせるばかりでなく、何か隠し球を準備して、私たちを心の底から喜ばせてもくれることだろう。

 クロ・ペルガグについて知れば知るほど、彼女は「総合芸術家」なのだと考えるようになった。日本でもそうした一端を披露してくれるに違いない。希代なアーティスト、クロ・ペルガグの初来日公演が本当に楽しみだ!







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by desertjazz | 2017-08-01 00:00 | 音 - Music

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Klo Pelgag "L'Étoile Thoracique" (Release Date : 2016.11.04)


 クロ・ペルガグのセカンド・アルバム。邦題『あばら骨の星』

 ジャケット画は前作 "L'archimie des Monstres" のデラックス・エディションにも作品を提供していた(2曲目 La Fièvre Des Fleurs のイメージ画を担当)、バンド・デシネ B.D. (bande dessinée) 作家リュドヴィック・ドブールム Ludovic Debeurme による。『怪物たちの錬金術』が「ナマハゲ」盤ならば、こちらは「二重人格」盤とでも形容できようか。人獣二重性を表現しているものとすれば、人間の多面性/複雑さを歌ってきたこれまでのクロに相応しいジャケットだと言えよう。

 本作の大きな特徴は総勢30名を超えるオーケストラを導入していること。ファースト・アルバムの大ヒットにより潤沢な予算を投じることが可能になったからなのだろう。その成果は1曲目や3曲目に顕著だ。(新作ツアー中も同規模のオーケストラとの共演がケベックで数回?実現したらしい。)

 特別キャッチーなメロディーに満ちているわけではなく、中盤には穏やかな楽曲が続くため、聴き始めた頃にはファースト・アルバムの出来に届かなかったという印象が強かった。しかし、クロの3年間での成長が確実に感じられ、少し大人になったところを感じさせる歌とサウンドはとても好きになった。最近に至っては、完成度では前作以上と評価したくなっているほどだ。



 CDリリース後にLP2枚組も出たが、収録トラックの内容は一緒。ファースト "L'archimie des Monstres" のアナログ盤に関しては不満が大きかったのに対して、今回は CD よりも音が良いと感じる、特に中低音にアナログらしい良さがある。どうせ2枚組にするなら、45回転盤にできなかったのだろうかという贅沢な感想も浮かぶ。

 新作ツアーを観るべく 2016年11月にフランスまで駆けつけたが、カナダ以外ではまだ CD が発売になっておらず、Spotify で予習し、会場でそのカナダ盤をいち早く入手したことも懐かしい。



 以下、収録トラックに関する雑感(後日随時追記するつもり)。


(1) Samedi Soir À La Violence 凶暴サタデーナイト

 最初の曲からクロペル・ワールドが全開! 穏やかな歌とコーラスから始まって、次第に盛り上がる。終盤の壮大なオーケストレーションが圧巻だ。「私を忘れないで」「私を助けて」というリフレインが痛い。(この曲に限らずヴォーカル・トラックをダブルで使っているものが多い。本作はそういったヴォーカル処理も効果的だと思う。)

(2) Les Ferrofluides-Fleurs 磁性流体の花

 ファースト・アルバムと同様、2トラック目は花をテーマにした美しく軽やかな曲。VioleTT Pi こと Karl Gagnon との共作ナンバーだ。チャランゴ(前作でも演奏されていた)によるイントロが印象的。親しみやすいが、ややあっさりしすぎている、というのは贅沢すぎる感想か?

 → この曲はカナダの音楽賞 SOCAN 2017 に選ばれ(賞金 10000ドルを獲得)、クロはその授賞式を終えた後に日本に向かう予定。

(3) Le Sexe Des Étoiles 星々のセックス

 「首にくくりつけたロープ」「アマゾンで酒を求める」「星々のセックスを思う」、、、言葉の断片をそのまま拾っていくと何とも危ない印象だが、歌の意味はまだ理解できていない。後半の長大でダイナミックなオーケストレーションが素晴らしく、本アルバム中最高の聴きどころのひとつ。爆音快楽也! 前回も書いたことだが、「Je... avec toi(私はあなたと共に失いたい)」と行ったフレーズが自然と耳に残る。ここまでの3曲が断然、2作目の白眉。

(4) Les Instants D'équilibre 平衡の瞬間

 バスドラムのシンプルなリズムに乗って進む小品。1曲目の「ノルウェーのフィヨルド」に続いて、「スカンジナビア人の幸福」が歌われる。本作の舞台は北欧か?(そんなワケはない。)

(5) Au Bonheur d'Édelweiss エーデルワイスの幸福

 いかにもクロらしい、もの悲しげなバラッド。感傷的なストリングスも実にいい。本作中、最も美しいナンバーだ。

(6) Incendie 火事

 陶酔を誘うような優しいメロディーの曲が続く。夜のイメージが深い曲。この曲もコーラスと弦の響きがとてもいい。

(7) Les Mains d'Édelweiss エーデルワイスの手

 繊細な歌声(これもダブル、いやトリプル以上のトラックにも聴こえる)とリリカルなピアノを中心とした曲。5曲目と対照関係にあるような曲名なので、ここまでの3曲をセットで捉えられそう。エーデルワイスは一体何を恐れているのだろう?

(8) Les Animaux 動物

 暖かい日差しを受けるようなサウンド・アレンジと、シルキーさと棘が混じり合ったようなクロの声が彼女らしい。ここまでの中盤はスローで柔らかな曲が続き、ファースト・アルバムの頃に比べてグッと大人びた印象をもたらしている。

(9) Chorégraphie Des Âmes 魂のコレオグラフィー

 キャッチーで軽やかなフレーズが繰り返されるナンバー。「私の墓の上で踊りたいかい?」 コレオグラフィーは一体どんな振り付けを施したのだろう? オーケストレーションに贅沢感はあるが、コーラスワークがやや単調で(アルバム全般について言える)、そこが今後の課題になって来るかもしれない。

(10) Au Musée Grévin 蝋人形館で

 「蝋人形館は死ぬにはとても美しい場所だ」 そういえばクロは最近ポートレイトに蝋製の物体を使っていたな。情感深いピアノの弾き語り。

(11) Insomnie 不眠症

 エフェクトのかかったヴォイス、ダンスステップのようなリズム、シンセサイザーとオルガンとエレキベース、等々、アコースティック中心のサウンドが多いクロにしては、毛並みがちょっと異なった曲。プログレからの影響も感じられるトラックだ。短い曲中、早い展開で変化していく様も面白い。

(12) J'arrive En Retard 私は遅れて来る

 アルバム作品としては前曲ラストのブレイクで一旦終わっているのだろう。若干長めのインターバルの後に立ち上がるシンセのサウンドもストリングスも、リヴァーブ深めなクロの歌声もたまらなく美しい。まるで夢で浮遊するような心地に誘われる。

(13) Apparition De La Sainte-Étoile Thoracique あばら星聖女の顕現

 最後は10分を超える謎の長尺インスト(少しだけ語りが入るが)。連想するのはフランク・ザッパが晩年熱心に取り組んだシンクラビアの作品だ。こんなところにもザッパからの影響が現れていると言っても良さそうだ。



 ファースト・アルバムでは、楽曲ごとに様々な楽器を組み合わせることによって、カラフルなサウンドを生み出していたのに対して、このセカンドの大きな魅力はやはりオーケストラの導入だ。だとすると、そうした曲を小編成(6〜7人)のバンドのライブでどう聴かせるかが課題となる。

 昨年11月に観たライブは、弦3人とピアノ/キーボードを中心に艶やかで変化に富んだサウンドを聴かせていた。静寂から一気に上昇し炸裂するダイナミックな展開も見事。しかし、幾分単調に過ぎる時間もあって(ツアーのほとんど最初期だったのだから、それは当然だろう)新しいアイディアを盛り込む余地はまだまだあると感じた。数多くのライブを重ねてきた後の今度の来日公演で、クロがどこまで進化/深化させたサウンドと練りこまれたステージを披露してくれることだろう。



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(セカンドの Songbook/楽譜集も最近発売になった。35カナダドルで容易に買える。)


 5曲目 Au Bonheur d'Édelweiss はよっぽどクロのお気に入りなのだろう。これのオルゴールまで作ったほどなのだから。限定50個だったので販売開始直後に買ったが、その後、限定250に変更された。好評で売れ行き良く増産したに違いない。(日本の公演会場でも販売予定とのこと。)

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(続く)





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by desertjazz | 2017-07-17 00:00 | 音 - Music

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Klo Pelgag "L'archimie des Monstres" (Release Date : 2013.09.24)


 この作品と出会って、私はクロ・ペルガグにすっかりハマってしまった。独特な美しさを持ったメロディー、聴く人の心を癒すような優しい歌声/エキセントリックに感情を発露するような叫び、多彩なサウンドを混ぜ合わせた絶妙なアレンジと起伏豊かなオーケストレーション、それら全てが好きだ。アルバムの発表からそろそろ4年になろうとしているのに、今でも愛聴し続けている。

 アルバムを手にした誰もの目をまず捉えるのは、赤い岩に腰掛ける怪物の姿だろう。なんだか秋田のナマハゲのような見た目ではないか。だから私はこのアルバムを『ナマハゲ』盤と勝手に呼んでいる。でも怪物と言っても、なんとも可愛らしい顔だ。

 このジャケットをデザインしたのはステイシー・ロジッチ Stacy Rozich。フリート・フォクシーズ Fleet Foxes の PV "The Shrine / An Argument" のキャラクター・デザインなどで知られる画家である。クロ・ペルガグがステイシーの絵を気に入って採用に至ったらしい。

 怪物と向かい合う一人の女性(少女か?)。彼女もお面を支え持っている。ちょうどお面を外したバリのような様子だ。彼女はクロを描いたものなのだろうか。そして『怪物たちの錬金術』とは何を意味するのだろう?

 今回、クロ・ペルガグの作品(ゲスト参加曲も含めて)の全てを繰り返し聴き直している。その間、それぞれの歌詞を日本語に訳しつつ読んでみた。まず気がつくのは、体に障害を抱えた人や心に病を持った人物ばかりが登場すること。身体の一部が失われていたり(そう妄想しているだけの人も)、白血病だったり、不眠症だったり。病名を特定できないケースでも精神の病み方は相当に重症だ。こうした歌詞についての傾向は再三指摘されている通り。

 そのことと表裏をなしているのだろう、彼女の詩には「死」のイメージが絶えずつきまとう。また、夜や星(さらには冬)を歌ったり、想起させたりするフレーズが多い。

 そして実際歌詞を読み込むことで、もうひとつ気がついたことがある。それは、「私 Je... , あなた(の)vous... 」といった関係性で歌われるパターンがとても多いことだ。「私は xxx した。あなたは xxx した。(あなたに/を xxx した。)」というフレーズ展開がかなり定式化しているように思われる。

 恐らくクロ・ペルガグは、自分以外の人間に対して強い関心を持っているのではないだろうか。不十分ながらも歌詞の意味を頭に置きながら聴き始めると、彼女が他者との深い結びつきを求める声、他者との魂の交感を切望している叫びが聞こえてくるかのようになった。

 つまりは、こういうことだ。クロ自身も含めて人間誰しもが不完全な存在である。身体に耐え難い障害を負っていたり、心のバランスを失っていたりする。だから、例えば皮を纏って他の存在に変身したくなったりもする。クロはそうした人の弱さに正面から向き合い、いたわりの心を持っている、そして魂を共振させることで支え合いたいと思っている(と書くと陳腐な助け合い精神に聞こえそうで嫌なのだが)。だからあのような歌詞が書け、それを歌うステージ上でも充実感のある笑顔を見せるのだろう。アルバム・タイトルの謎を解く鍵もそのあたりにありそうだ。

 などなどと考えている最中に、アオラ・コーポレーションから『怪物たちの錬金術』国内盤の歌詞対訳が転送されてきた(翻訳担当は粕谷雄一氏)。「なんだ、これなら無理して自分で訳さなくてもよかったじゃないか」などと独り言ちつつ、拝読してみると、、、クロの歌の意味する世界がますます分からなくなってしまった。

 けれど、意味が理解できなくてもクロ・ペルガグの音楽は最高だ。レコードで聴いてもライブで接しても、自分の心は心底満たされる。もうそれだけで十分。彼女の歌をどう解釈しどう理解するかは、聴き手それぞれの自由だろう。ここまで書いてきたことは当たっていないかもしれないが(全くの的外れとは思いたくないけれど)、それならそれでも構わない。

 フランス語に堪能な方々によると「フランス語としては分かるが、その意味の深いところまでは捉えがたい」とのこと。「歌詞内容にまでは深入りしない方がいい」といった忠告も数人から受けた。

 何れにしても、彼女の歌は、単にシュールだとか不条理だとかナンセンスだとかいった形容だけでは適当ではない。かつて自分も、歌詞とサウンドの関係がアンバランス/不整合だとか、優しく扱わないと壊れてしまいそうな繊細な音楽を自己破壊しているとかいった感想を持った。

 しかしその解釈は全く正反対だったと考えを改めつつある。重い傷を負った/治癒し難い病気に苦しむ/心に深い病を持った、そんな弱者たちとの一体化を、クロは求めている。だからこそそこから生まれる、一見不条理で不思議なクロの歌世界。それは慈愛があってのシュールさなのではないだろうか? 無慈悲と捉えられることさえあるが、あるインタビューで本人が語ったように、彼女の歌は誰かに向けたラブソングのようにも聴こえ始めている。

 ただ、本当の意味をクロ本人に問うても決して答えてくれないだろう。クロ・ペルガグの音楽には解釈の自由さが残っていた方がいいのかも知れない。



 通常盤/初期盤CD(11トラック)、曲追加盤/後発盤CD(13トラック)、LP盤(13トラック)、デラックス盤CD "Edition de luxe"(16トラック)の4種/3ヴァージョンがある。本日7月16日に発売される国内盤、邦題『怪物たちの錬金術』で、通常盤に準じた仕様のようだ。

 (一時は不可能と諦めかけられた)歌詞全訳がついているので、これから購入する方には国内盤がオススメ。それが気に入ったら、デラックス・エディションも手に入れて欲しい。追加曲はどれもが捨てがたいし、クロ本人が気に入ったアーティスト16名に依頼して、それぞれの歌をイメージして描いてもらった作品がブックレットに収まっていて、これがまたいい。アート全般に造詣の深いクロらしいアイテムになっている。なので、熱心なクロのファンなら皆さん、とうに入手済みかな?


 以下、収録トラックの簡単な紹介。

(★ : 13トラック盤とデラックス盤に収録、☆ : デラックス盤のみに収録)


(1) Le dermatologue 皮膚科のお医者さん

 幾分重苦しいムードの曲でアルバムは始まる。こんな不協和音を頭に持ってくるのは、挑戦なのか自信なのか、それとも主題のプレゼンなのか? 歌詞も「あなたの皮膚で私を覆わせて」「私をあなたで変装させて」と自己否定/自己からの逃避を求めるかのような内容。トロンボーンやクラリネット?、オーボエ?、ストリングスの細やかなアレンジが施されている。

(2) La Fièvre Des Fleurs 花々の熱

 この曲を聴いた瞬間、一発でクロ・ペルガグが気に入ってしまった。これをライブで聴きたくてパリまで飛んでいったほど。前曲から一転、楽しく弾けるような曲調がいい。しかし、こんな歌詞だったとは! 白血病の彼女(友人だろうか?)が、化学療法を受けるためにそれまでの病院を去る話(か?) 死の気配さえも漂っている。ほぼクロのエレピ弾き語りの曲。コーラスもクロひとりで重ねているようだ。PV(広島カープ・ヴァージョン)のコルセット姿も印象的。

(3) Les Corbeaux カラスたち

 とにかくメロディーもアレンジも素晴らしい。わずか3分半弱の間にメロディーもムードも演奏もどんどん激しく変化していく様が見事。最初は暗く、時に軽やかに、時にダイナミックに高みへと上り詰め、クロも力強く叫ぶ。月、睡眠薬、怪物たちが歌われる、夜のイメージの強い曲。

(4) Comme Des Rames 櫂のように

 "EP" 収録曲の再演。若干テンポを早め、ストリングの音に繊細さが増した印象。でも、最初のヴァージョンもいいな。

(5) Tunnel トンネル

 トンネルからの出口を見出せないまま、血の苦しみ、死の苦しみをストレートに絶叫し続けるような歌。声の力強さが一番の魅力。しかし、楽しさや喜びが微かながら次第に漂い浮かんでくるような不気味な不思議さもある。

(6) Le Silence Épouvantail 脅しの沈黙

 これもクロのピアノ弾き語りに近い曲。「棺にするには小さすぎる脅しの木」とは? 静かな悲しみに満ちたピアノの調べと可憐な歌にただただ聴き入るのみ。

(7) Le soleil incontinent ★

 (抑えの効かない?)太陽のことを歌いながら、悲しみが深まっていくような雰囲気に包まれる。ギター/アレンジ担当の Sylvain Deschamps と二人で作りあけげた曲。ヴォーカルはクロのダブル・トラック。古典的手法だが、効果的だ。

(8) Rayon X エックス線

 暗いムードを断ち切るかのように、早口言葉っぽい歌い回しで始まる。スピード感溢れる爽快なメロディーが最高で、これはクロの代表曲と言っていいだろう。後半テンポが落ちて、10名ほどによる怪しげなコーラス(+インタールード)が重なり、まるで別の曲を繋いだかのようだ。

(9) Nicaragua ニカラグア

 これもメロディーがとても美しく、歌い口は切ない。途中から加わるリコーダー3本の音も心地良さも大きな魅力だ。しかしなぜにニカラグア?

(10) Taxidermie 剥製術

 ハルモニウム、ピアノ、鉄琴(かな?)などの折り重なり合いが美しい。獣の皮を剥ぐと「あなた」だったり、「私を剥製にして」だとかして、皮膚をテーマにしているのは冒頭曲のリフレインかのようだ。このヴォーカルもダブル・トラック。

(11) Les mariages d'oiseaux 鳥たちの結婚

 憂と悲しみに満ちたような歌声と、楽器群のアンサンブルが絶品。ピアノはなぜか兄のマチューが弾いている。

(12) Le tronc トランク ★

 「足を折ったので足はありません。家に火を放ったので家はありません。髪はありません。目は見えません。、、、」この喪失感はなんなのだろう。そして終盤に向かって明るくなっていく、ほのかな怪しさ。この曲でもクロは歌だけに集中している。

(13) Pégase 天馬 ☆

 パリのシンガー、トマ・フェルセン Thomas Fersen の曲のカバー。クロのヴァージョンも楽しげで大好き!

(14) Maladies de cœur ☆

 "EP" 収録曲の再演。La Fièvre Des Fleurs などと並ぶクロの書いた名曲のひとつだと思う。

(15) Tremblements ☆

 "EP" 収録曲の再演。先のヴァージョンはアコースティック・ギターのバッキングだったが、今回はクロのエレキギターを楽しめる。

(16) La neige tombe sans se faire mal 痛みをおぼえず雪は降る

 クロによる全くのピアノ弾き語り。アルバムの幕を閉じるのに相応しい、美しく優しい調べのナンバーだ。



 兄マチューら仲間たちの力添えもあったにせよ、こんな作品を23歳にして完成させるとは。クロ自身が今後これを超えられるのかと思わせるほどの快作(傑作という褒め言葉は、これからの成長に期待して残しておこう)。

 このデビュー・アルバムは、カナダ、フランスなど各国で大絶賛された。そしてその後のツアーも公演を重ねるごとに内容を深めて行ったと伝え聞く。自分も一度だけだがパリで観ることができ、アフターパーティーにも招かれてクロとたっぷり話しをできたことはとても幸せだった。(コンサート・リポート → パリ滞在記2015 (14) )

 驚きの連続だった『怪物たちの錬金術』ツアー、その最大のサプライズは最終公演で行った断髪式だろう。なんとクロはステージ上で長い髪をバッサリ切り落とし、スキンヘッドにしてしまった。そこには病に苦しむ弱者への暖かい気持ちが込められていたのだと、後日で知ることに。やはり他者を思いやる視線と共感こそが、クロ・ペルガグのアーティスト活動の基盤にあるのだと確信したのだった。(この話、続く。)




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(クロちゃんに会った時、発売になったばかりのデラックス盤にサインをいただいた。読むと「日本に行って刺身を食べたい」と書いているような気がするなぁ?)







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by desertjazz | 2017-07-16 00:00 | 音 - Music

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Klo Pelgag "EP" (Release Date : 2012.04.17)

 クロ・ペルガグのデビュー作(4曲収録の EP で、ダウンロード販売のみ)。

 クロはヴォーカル、ピアノ、ギター、ハルモニウムを担当。他に、ドラム、バイオリン、チェロ、コントラバス、バスーン、クラリネットという7人編成。今後も続く室内楽的な基本編成がこの時点で固まっている。


(1) Ariane(アリアン)

 アリアンとは誰なのだろうか? バイオリン、バスーン、クラリネットなどによるイントロが印象的。歌詞は正直理解が難しい。星や死といったその後も繰り返されるモチーフがすでに登場している。この曲だけからも、クロが文学作品にも興味を持っていて、相当読み込んでいることが推測される。

(2) Comme des rames(櫂のように)

 曲調と歌い方とが次々と変化していく複雑さは、正にクロの真骨頂。途中明るいテンポにも転じるが、「櫂をあなたの頭に打ち下ろしたい」などなど、歌詞には少々怖いものがある。ファースト・アルバムにも再収録された、クロ最初期の代表曲。

(3) Les Maladies de Coeur(心疾患)

 リリカルで軽やかなピアノも力強い歌い口も印象的なダイナミックな曲。「自ら足を折りました」「キャベツは見つけられませんでしたが、キュウリはありました」「医者は好きじゃない」「私はあなたと成長し続けている」等々、やっぱり歌詞は意味不明? 確かにシュールなのだが、'avec toi'(あなたと共に)というリフレインが切々と心に響いてくる。他者を理解したい、一緒に生きていきたいという気持ちが痛切に伝わってくる1曲。

(4) Tremblements(皮膚の震え)

 とても穏やかで優しい曲。アコギ中心の静かなサウンドがとてもいい。「統合失調症の夢」「私は頭をオーブンに置く」「星々は私の太陽」、、、歌詞内容はなかなか難解。


 "Ariane" を除く3曲はファースト・アルバム "L'archimie des Monstres" (のデラックス・エディション)に再収録されたが、いずれも別ヴァージョン。個人的にはこちらの初期ヴァージョンの方が好きなトラックもある。キーもアレンジも異なっており、(2)と(3)はライブでの重要レパートリーになってもいるので、クロ・ペルガグを知るには必聴。

ここから 500円弱で買えます。)







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by desertjazz | 2017-07-15 00:00 | 音 - Music

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(画像はオフィシャル・サイト http://klopelgag.com/ より引用)


 今私が世界で一番気になるアーティスト、クロ・ペルガグの待望の初来日公演がいよいよ来月に迫ってきた。そこで、今年8月の Sukiyaki Meets The World 2017 と Sukiyaki Tokyo に出演するクロ・ペルガグについて、改めて整理してみよう。

(フランス語を解さず、カナダに行ったこともない私が、彼女を紹介するには限界もあるのですが、、、。)


 クロ・ペルガグはカナダ出身の女性ミュージシャン/シンガーソングライター。ただし「クロ・ペルガグ Klô Pelgag 」というのはアーティスト名で、本名は「クロエ・ペルティエ=ガニョン Chloé Pelletier-Gagnon 」である。

 1990年3月13日の生まれなので現在27歳。生誕地はカナダ、ケベック州サンタンヌデモン Sainte-Anne-des-Monts。サンタンヌデモンはケベックの州都モントリオールから北東に700kmほど行った先にある、セントローレンス湾に面した街で、人口は約7000。

 ケベック出身の Gagnon姓の有名人には、ヒーリング・ミュージックの作曲家/ピアニストのアンドレ・ギャニオン André Gagnon(日本でも人気があり「めぐり逢い」などはお葬式の定番曲として有名)や、クロ・ペルガグとも度々共作/共演している VioleTT PI こと Karl Gagnon などがいる。クロの兄のマチュー Mathieu Pelgag も彼女の曲のアレンジとオーケストレーションを担当し、ライブではクロのバンドメンバーとして登場することも多い。マチュー以外の面々もクロと血縁関係にあるかどうかまでは未確認だが、ケベックのガニョンは秀でた音楽家を輩出する一族なのかもしれない。

 ご存知の通り、カナダのケベックはフランス系住民が多く、他のエリアでは英語が話されるのに対して、ケベックではフランス語の方が主要言語となっている(カナダの公用語は英語とフランス語)。なので、クロ・ペルガグの歌は全てフランス語で、彼女の音楽活動もケベックとフランスが中心となっている。


 クロ・ペルガグは19歳の頃から繰り返しステージに立つようになったそう。この頃から実質的なプロ活動を始めたと言えるのかもしれない。

 そして、2012年4月17日に "EP" をリリースし、レコード・デビュー。これはタイトル通り4曲入りの作品で、ダウンロードのみでの発売(現在でもフィジカル盤の発売はない)。

 2013年9月24日にファースト・アルバム "L'alchimie des Monstres" をリリース(全11トラック)。日本で国内盤は制作されなかったが、パリ在住の音楽ライター/熱心なクロの紹介者である對馬敏彦氏(向風三郎氏)によって『怪物たちの錬金術』という素敵な邦題が与えられた。(この傑作ファースト、遂に明後日7月16日に国内盤発売が決定!)

 この "L'alchimie des Monstres" はカナダ、フランスの両国で高く評価され、大きな賞を相次いで獲得。地元カナダに限らずフランス各地でもコンサートを繰り返す。その間、2015年4月13日には曲を追加し(全16トラック)豪華なブックレットも付けたデラックス・エディション "L'alchimie des Monstres - Edition de luxe" も発表。

 次いで 2016年11月4日にセカンド・アルバム "L'etoile Thoracique" をリリース(邦題は『あばら骨の星』で、今回も對馬氏が命名)。翌17年にはフランスと日本でも発売になり、再び大きな反響を呼んだ。

 セカンド "L'etoile Thoracique" も絶大な評価を受ける中、クロ・ペルガグの初来日が決定。8月25、27日には Sukiyaki Meets The World(富山県南砺市)で、30日には東京渋谷での公演が予定されている。


 ダリ、マグリット、ドビュッシー、ジャック・ブレル、キング・クリムゾン、フランク・ザッパなどから影響を受けたと、彼女自身が明かしているらしい。時に優しく囁き、時に叫ぶ歌唱スタイルから、ケイト・ブッシュ、ビョーク、さらには同じカナダ(ノバスコシア州生まれ/アルバータ州カルガリー出身)のファイスト Fiest を連想するという声も多い。

(実際、影響を与えたアーティストの名前を耳にする前に彼女のライブを観て、ブレルやザッパを自然と連想した。しかしそれ以上に、幼少期から恵まれた環境の中で様々な芸術に接し、多様な音楽を浴びるように聴く中で構築されたのが、彼女の音楽であり、歌い方なのではないだろうか。彼女が自然と吸収してきたのは先に並べたアーティスト群には止まらない。例えばピーター・ゲイブリエルからの影響も感じる。)


 クロ・ペルガグの音楽の大きな魅力のひとつは、彼女が紡ぎ出すメロディーの美しさだ。他に似たものを思い越せないような、独特なメロディーを次々に生み出すことに驚くとともに、ひとつの曲の中で変幻自在に変化する様も面白い。

 そうした極上のメロディーと奏で合うのは、弦楽器や木管楽器などによる室内楽的なアンサンブルやストリングス中心のオーケストラだ。ライブでもバイオリン、チェロ、ビオラの三重奏が必ずクロに寄り添っているように、彼女のサウンドにはこうしたストリングスが欠かせない。ポピュラー音楽のユニットとして、これは珍しい編成だろう。

 そんな歌と演奏に耳寄せていると、心地よく、楽しく、切なく、哀しくと、何とも複雑な気持ちになってくる。

 しかし、曲名や歌詞によく目を凝らしてみると、「心疾患」だとか「統合失調症」だとか「不眠症」だとか「白血病」だとか「皮膚科医」だとか、、、。病気に限らずとも「死」をモチーフにした歌が少なくない。さらには、、、「首にくくりつけたロープ」?、「アマゾンで酒を求める」?、「櫂をあなたの頭に打ち下ろしたい」?、「私の墓の上で踊りたいかい」? 一体なんなんだ、これは???? そんなところから、彼女の歌は、シュールだとか不条理だとかと語られる。

(今回の記事を書くに際して、フランス語も読めないくせに、意を決して彼女の全曲を和訳してみた。クロが書いた歌詞を読み込むうちに、シュールと感じさせるモチーフの意味は実は反対なのであって、「誰もが不完全な存在である」、「他者と繋がり合いたい」といったメッセージが伝わってきた。だからこそ自分は、彼女の音楽を美しいと感じ、歌声に切なくなり、心が震えるほどに感動するのだろう。クロは人間という存在にとても興味があって、他者を理解したいと本気で考えている。そこに彼女のアーティスト活動の源があるように思う。これはあくまでも自分が勝手に解釈しているだけなのかもしれないが、これから数回の記事の中でそうした分析までたどり着けるといいな。)

 クロ・ペルガグはアルバムごとのアートワークも素晴らしく、PV にも独特なセンスがある。ステージ衣装は極めて個性的だし、ステージングも(これまで何度も書いているように)おもちゃ箱をひっくり返したような乱雑さに溢れた楽しさがある。


 クロ・ペルガグは稀代な総合芸術家なのだと思う。自分はそこにとても惹かれる。


 とにかくクロのライブは楽しい。楽しすぎる! 日本でのステージは一体どのようなものになるのだろう? 今から楽しみで仕方ない。クロとの再会が本当に待ち遠しい!







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by desertjazz | 2017-07-14 20:00 | 音 - Music


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 2016年11月、アムステルダム&デン・ハーグ、パリ、ロンドン、マルセイユ&ラ・シオタと巡ってきた旅もいよいよ最終盤。コンサートは、ユッスー・ンドゥール、ソナ・ジョバルテ、インディ・ザーラを観てきた。そしてそのラストは、フランス系カナダ人のクロ・ペルガグのライブだ。今回のヨーロッパの旅、後半にはイスタンブールに飛ぶ計画だったが、フランス北西部2都市で行われるクロ・ペルガグのコンサートを見つけて予定変更。ラ・シオタでタトゥーたちと過ごし、マルセイユではマグレブ人エリアなど思い出の場所を歩きながらアルジェリア盤を買い付けた後に、ナントへ移動してきたのだった。

 クロ・ペルガグの音楽を知ったのは、例えばトコ・ブラーズやストロマエと同様に、パリ在住の音楽ジャーナリスト、向風三郎さんのブログを読んでのこと。ファースト・アルバム "L'alchimie des monstres"(2013)が素晴らしくて、2015年4月パリでのコンサートを観に行き、彼女とも会って直接話して来るほど惚れ込んでしまった。

 そのクロ姫がセカンド・アルバム "L'Etoile Thoracique" 発表のタイミングに合わせてツアー開始。これは観逃せないと思ってナントまで飛んできた。会場は Salle Paul Fort という小さ目の箱。当然スタンディングなのだろうと思い込んでいたら、何と昨日のインディ・ザーラに続いてシート席。前でしっかり観るか?後方でじっくり聴くか? 少し迷ったが、幾分か音の面を犠牲にしても、彼女のパフォーマンスを食い入って観たいので、最前列中央の席を選んだ。

 それと、写真をどうするか? 事前にバックステージパスを申請していて写真撮影の許可は得ており、会場の受け付けでも撮影に問題なしと確認ができたのだが、こうしたシート席では撮りにくい。場内を前後に移動するのは全く難しくないのだけれど、他のお客さんたちには少しの邪魔もしたくない。一眼レフだとシャッター音も気になる。写真はこれからのコンサートでプロショットがたっぷり見られるだろうから、自分が撮る必要はないだろう。そう思って今日はステージに集中することにした(なので、音がマックスになった瞬間やトークの最中に10枚弱撮っただけ。照明が一番フォトジェニックになるのは静かに歌っている時ばかりで、美しい写真が撮れなかったことは、やっぱり少々残念だったが)。

 ステージの上を眺めると、中央に小型のエレピとキーボード。1年半前にパリで観た時にはグランドピアノと車椅子が置かれ、周りにはトランポリンなど意味不明な様々なブツが散乱していたのだが、それに比べると今日はずいぶんすっきりした印象だ。

 さて、公演がスタート。メンバーは下手に女性3人。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロというストリングス隊。上手にはドラムとベース。基本ユニットに変化はないが、ウッドベースを使わないなど、やはり今回は幾分コンパクトな印象だ。まだツアーが始まったばかり、しかも地方都市でのライブとあって(チケットは20ユーロ以下という信じられない安さ)、物量的にも工夫が加わっていくのはまだまだこれから先なのだろう。

 しかし、クロ姫の格好はなんなんだ?? 全身マジックテープが施され、フェルトでできた骨やら METALLICA のロゴやらマイケル・ジョーダン人形やらを貼付けて演奏。身体を動かず度に、それらがガサガサ音を立てたり、はがれ落ちたりで、一体何をやりたいのか。ステージ上に寝っころがったりといった破天荒なパフォーマンスも相変らず。中盤からはメンバーたちが透明な衣装を身につけ内部の電飾が光り、その色を様々に変化させる。こうした奇天烈さは変わっていない。

 ・・・といった具合なのだが、彼らの奏でる音楽はどこまでも美しい。

 新作 "L'Etoile Thoracique" の中の曲を次々披露していくコンサートだったのだが、ファースト・アルバムの楽曲群と同様に、とても独創的で美しいメロディー、繊細なピアノとストリングス、優しくかつ力のこもった歌声が素晴らしい。そう、今回は何よりクロ姫の歌が良かった。時に切なく時に心に染み入るような歌をじっくり聴かせる構成で、彼女はずい分大人になったという印象を受けた。これは、新作には大編成のストリングスを加えた曲が多いのだが、小さな会場でのライブではそれをそのまま再現できない分、歌を中心とするものになったからなのかもしれない。

 それにしても、彼女の音楽をどう文章で伝えたらよいのかいまだに分からない。本当にオリジナルな音楽だ。CDがリリースされる前だったので(フランスでのコンサート時点で新譜はカナダ盤しか出ていなかった)、Spotify でアルバムを毎日聴いていたのに、それでもなかなか曲を聴き分けられないのも不思議だ。どの曲もが美し過ぎるからなのか、タイトルも歌詞も馴染みのないフランス語だからなのか。本人が明かしている通り、フランク・ザッパからの影響も多々かいま見られるが、美と大胆さと狂気?とが同居する様には、最近はスフィアン・スティーヴンスやカニエ・ウエストにも似た捉えどころのなささえ感じている。

 そうした資質の最たる面が歌詞なのだろう。これも向風さんによると、相当シュールで変な歌詞らしい(ファースト、セカンドともに、ジャケット画もかなり異様だが)。だからフランス語が分かれば彼女の音楽をより楽しめるのかも知れない。(そう言えば、1年半前のライブでも今回もMCが爆笑を誘って大いに盛り上がっていた。やっぱりフランス語を聞き取れないのは辛い。)この新作、何と来月に日本盤が発売になるそうだ(2/12 予定で、邦題は『あばら骨の星』 )。これを買って日本語訳詞もじっくり読んでみる必要がありそうだ。

(セカンド・アルバム "L'Etoile Thoracique" は昨年1位に選んだが、ファースト "L'alchimie des monstres" の出来は超えられなかったように思っている。例えば切迫感に溢れるオープニング・ナンバー "Samedi soir à la violence" などはとても良い曲なのだが、デビューEP の "Les maladies de coeur" やファーストの "La Fièvre Des Fleurs" (←これは広島カープ・ヴァージョン。オフィシャルPV もあり。)のような弾けるような極上ポップ・レベルの曲がアルバムには欠けているのだ。また、ファーストと比べるとセカンドの歌い口はずいぶん落ち着いて聴こえる。そうした声の変化も、今回ナントで聴いた歌声が大人びて感じた理由のひとつだったのかも知れない。もはやあの弾けるような歌声が懐かしい。)

 ナントでのコンサートはファーストからの曲も交えながら、瞬く間の1時間半だった。誰もが聴き惚れ、アンコールの後も拍手が鳴り止まず。クロちゃんがひとり再々登場し、ピアノを弾き語り。これがまた心を打つ美しさだった。でもまだまだ聴き足りない。あー、彼女のライブがまた観たい。

 何でもカナダでは30人編成のストリングスと一緒のコンサートも計画されているそうだ。(これも向風さん情報。その公演はもう終わった?)さすがにそんなコンサートまではなかなか観られないだろうけれど、今度の国内盤発売をきっかけにクロ・ペルガグの日本公演が実現することに大いに期待している。

 クロ・ペルガグは変化を繰り返し、アーティストとして成長し続けることだろう。これからも彼女を追い続け、その姿をずっと見つめていたい。


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by desertjazz | 2017-01-29 17:00 | 音 - Music

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