カテゴリ:音 - Music( 253 )

◆ Kaushiki Chakrabarty (2)

"A Journey Begins" (Living Media India, India, 2002)

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 カウシキのアルバムを録音順に聴いている。誰かの役に立つとはあまり思えないのだけれど、まあインド音楽門外漢が感じたことを、憶測交えて自由に綴っていってみよう。

 彼女の作品を繰り返し聴いて気がつくこと(いや、少し聴けば分かること)は、以下の3点。

(1)ハルモニウムとタブラとタンブーラという3種の楽器の伴奏で歌っている。
(2)ライブ録音が多い。
(3)長い演奏が多く、いずれも「緩→急」「弱→強」と展開する。

 もちろんこうした特徴はカウシキだけに限ったものではなく、インドの古典声楽の一形式として一般的なものなのだろう。

 まず(1)の楽器について。これ以上ないほど簡単に言ってしまうと、ハルモニウムは床置き式アコーディオン、タブラは太鼓2つ、そしてタンブーラは4弦の発振器。この説明は不正確、いや専門家からは「間違い」と即座に指摘されてしまうだろう。まあ、ネットでいくらでも調べられる基本事項なので、くどくど説明はしない(いや、できない)。

 次に(2)のライブの多い理由だが、古典音楽は聴衆を前にして歌い演奏されるもので、わざわざスタジオ録音するような類のものではないのかも知れない。実際、そうしたコンサートの機会は多いと聞いている。多分 YouTube を検索すればたくさんの動画を見つけられるのだろう(ただし以下に書く理由から、長時間のんびり聴かないと彼女の魅力は掴みきれないと思うので、そこに YouTube の限界がある)。

 そして(3)。長いと言っても、あるラーガに基づいたノンストップの「組曲」となっている。では、ラーガとは? 音律とでも訳せばいいのかな? ある種、音階のようなもの、モードのようなものであり(実際にはかなり異なる)、アラブ音楽で言うところのマガーム(ムガーム)と同等なものと言って構わないのではないだろうか。と、いよいよ説明になっていない。

 さて、こうした特徴はカウシキの最初のアルバム "A Journey Begins" (2002年) ですでにはっきり出ている(と言うより、他のアルバムも似たようなもの。なので、彼女のアルバムはそう何枚も聴く必要はないのかも知れない)。ちなみにアーティスト表記は 'Kaushiki Chakraborty' となっているが、これは誤記だろう。

 まず1トラック目 'Raga Kedar'。ケダール?なるラーガで、59分もあるので、もちろん「組曲」。「Raga Kedar」で検索するといくらでも出て来て、「代表的なラーガである」とある。説明以上。

 この演奏、ハルモニウムとタブラはミニマムに控えめで、ゆったりケダールく始まる(あっ、だからケダールと言うのか!?)。前半は終止この調子。だからか、カウシキの長尺曲を聞いていると、いつもうつらうつらしてしまう。でもこれでいいのだ。決して対峙などしなくていい音楽、一音も聴き逃すことなく真剣勝負する必要のない音楽だと思う。

 そして、すっかり気分がほぐれて、時には一眠りした頃に、きちんとハイライトが訪れて、はっきりと目覚めさせてくれる。この 'Raga Kedar' も終盤の10分間くらいの熱を帯びた歌がなんとも凄い。近年の歌いぶりと較べても、さほど遜色ない。

 そう、彼女はこの時点(この年22歳)である意味完成している。

 カウシキの声質は、他のインドの歌手よりは少し低めなのだろうか。少なくともフィルム・シンガーの高く軽くキュートな声に慣れた耳にはそう感じられるような気がする。その分、特徴的なハイトーンとの対比が楽しいのだが。

 ジャケットの写真を見ると、まだ顔の輪郭が幾分ホッソリとしていて、後年の声より少女的な若々しさを感じさせる。そして、体重がない分だけ後半は少し力任せに歌っている印象もある。ほんの僅かなことなのだけれど。

 続く2トラック目 'Dadra - Khammaj' は16分弱の小品。 'Raga Kedar' で高まった気分を柔らかく鎮めてくれるような歌だ。

 ファースト・アルバム?を聴きながら、今夏の日本公演のプログラムはどのようなものになるのだろうかと想像してしまう。カウシキの最高の録音は "Kaushiki" (Sense World Music 097, 2007) の Disc 1 ではないかと思うのだけれど、こんなダイジェスト的な並びよりも、やっぱり 'Raga Kedar' のような本来の長尺スタイルで聴いてみたい。音が止まることなく流れた方が、夏の夜にも似つかわしいような気がする。




 今繰り返し聴いているのは、最初の2枚 "A Journey Begins" と "Swar Sadhna"。これら以前にリリースした作品がありそうにも思えるけれど、今のところ見つけられていない。

 この2枚、どうしてもCDを見つけられず、結局 iTunes Music Store で購入した。ダウンロードでアルバムを買ったのは全くの初めてで、その便利さは実感したけれど、同時に1枚1500円という価格設定は高いとも思った。と言うのは、インドのCDの値段はこれの数分の一であることを知っているからだ。もう少し粘って販売以されているディスクを探そうか、インドから安くダウンロードできるところがないかどうか調べてみようか、といった考えも頭に浮かんだ。だけども、こうした作業は、海外旅行先で一日かけてレートの良い両替屋を探すような行為に思えた。そんなことは全くの時間の無駄。それより日本に居ながらにして入手困難な音源を手軽に手に入れられることに感謝すべきなのだろう。





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by desertjazz | 2011-03-07 23:00 | 音 - Music

◆ Kaushiki Chakrabarty (1)

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 カウシキ・チャクラバティ・デシカン Kaushiki Chakrabarty Desikan はインド、コルカタ出身の女性歌手。現在もコルカタ在住。「コウシキ」とカタカナ表記されている方もおり、この方が実際の発音に近いのかも知れない。初期のCDに Chakraborty とスペルされているものもある(誤植か?)。最近 Desikan を付けて表記されることがあるが、これは結婚したためと推測(根拠なし)。1980年生まれなので、今年31歳になる。

 父は音楽家/音楽学者の Pandit Ajoy Chakrabarty。彼女に最初に音楽を教えたのは母 Chandana Chakrabarty で、カウシキが2歳の時にすでその優れた才能を見抜いたという。10歳の時からは Pandit Jnan Prakash Ghosh に師事。その後も数多くの訓練と共演を重ねていく。彼女の豊かな才能と恵まれた音楽環境が相まって、才能を大きく開花させたようだ。

 専門は北インド(ヒンドゥスターニー)の古典声楽カヤール Khayal だが、より古い形式のドゥルパド Dhrupad もレパートリーとしている。そればかりか、南のカルナティーク音楽も得意とするというインドでも珍しい存在。最近は A.R.Rahman の曲も録音するなど、活動領域を広げている様子である。

 彼女の魅力はまず可憐で伸びやかな声質と完璧なテクニックだと思う。特に曲の終盤、可聴域を超えて行くかのようなハイトーンを駆使して、細やかな高速フレーズを紡ぎ出していくパートを聴く度に、脳内アドレナリンがどっと吹き出すほど興奮してしまう。M.S.スブラクシュミのような柔らかい母性のようなものはまだ感じられないけれど、いつか彼女に比肩しうるような大歌手になってほしいと願っている。

 現時点で見つけられた彼女のアルバムは8タイトル(…他にもありそうな気がする)。その大半がライブ録音である。今、初期のアルバムから順に聴き直しているので、順次紹介していきたい。産休が明け最近活動を再開したそうで、SUKIYAKI MEETS THE WORLD(富山県南砺市ヘリオス)他数カ所で予定されている初来日公演も今後のアルバムリリースも期待大だ。


Discography of Kaushiki Chakrabarty Desikan
Kaushiki Official Site
SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2011




 SUKIYAKI 出演アーティストの話題は多分アマジーグ Amazigh に集中するのではないだろうか。そう思い、アマジーグのことは取りあえず他の方々におまかせするとして、カウシキの紹介を優先することにした。とは言えインド音楽は門外漢なので、まずは彼女に関する基本情報を軽く調べて整理してみた。間違い等は随時、修正・追記していきたい。





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by desertjazz | 2011-03-03 20:00 | 音 - Music

◆ Jesus Vasquez の CD

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 昨夜チャブーカ・グランダのことを思い出したのには、ここ最近同じペルーの女性歌手ヘスース・バスケス Jesus Vasquez に魅入られてしまっているせいもある。

 昨年来エル・スールにペルーのリイシューCDがかなりのタイトル数入荷していて、良さそうに思えるものから順に買って聴いている(全部良さそうなので、まとめ買いしてしまいたい気持ちもあるが、聴く時間がなくなるほどに集めても意味がない)。それらの中でも気に入ったのがヘスース・バスケス。具体的なことはエル・スールのページで紹介されているので省略するが、軽やかで優しく穏やかで明るい歌声がとにかくいい。バルス(ワルツ)が多いので聴いていて楽しいし、ガットギターやピアノなど純アコースティックによる端正な伴奏も美しく、その気品がなんとも心地よい。

 ペルーの女性歌手ならばスサーナ・バカ Susana Baca も大好きだ。彼女の新作は出たのに気がつく度に必ず即座に買い続けている。そういえば、昔スサーナ・バカやカホーンの鳴り響くペルーの黒人系音楽を聴いて、いつかペルーに行ってみたいと考えたことも思い出した。この願望が叶う日は来るのだろうか。

 相変わらず音楽を聴く時間がなかなか確保できないのだけれど、今年は普通にCDを楽しめる体調にほぼ戻っていることもあって、一日に1枚、あるいは2〜3枚くらいなら何とか聴ける。チャブーカ・グランダやヘスース・バスケスを聴いて、ペルー音楽についてもっと知りたくなったし、何年かぶりにじっくりレコード探しをしてみたいという気持ちも湧いてきた。




 大相撲の八百長や大学入試で悪用され、革命運動でも重要な役割を果たすなど、このごろの多くの事件・事故で携帯電話が主人公のひとつとして登場している。そうしたニュースの中で最も気を惹かれたのがニュージーランドの大地震で安否や現場の状況を伝えた携帯の働き。この小さな機器は、単なる多機能ツールを越えて、いまやライフラインの役割さえ担っているのだと思う(実際、遭難事故などでは実績を重ねている)。「ケータイもっていないと、電車には乗れないし、買い物もできなくなるんだろうな」と時々冗談を言っていたが、そうしたレベルを越えて、日常生活においてその生命さえ左右するようになりつつあるのかも知れない。ならば、そろそろ観念して自分も所有する時期だろうかとも思うのだが、持つことによって失うものの多さと大きさをはっきり感じているだけに悩ましい。





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by desertjazz | 2011-03-02 21:00 | 音 - Music

◆ Chabuca Granda の CD

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 自分の好きな女性歌手は誰だろうと、ふと考えた。若かった頃は断然ジョニ・ミッチェル Joni Mitchell、少し前はギリシャのエレフセリア・アルバニターキ Eleftheria Arvanitaki、そして今ならブラジルのアドリアーナ・カルカニョット Adriana Calcanhotto、インドのカウシキ Kaushiki Chakraborty、そしてペルーのチャブーカ・グランダ Chabuca Granda だろうか。なんともバラバラな好みだ。流していて全く邪魔にならない歌声であり、本気で聴き始めると逃れられないくらいにのめり込んでしまうということは共通しているのかな。

 好きと言いながら、アドリアーナもカウシキもチャブーカ・グランダもその経歴についてほとんど知らないし、自分がどれだけの音源を持っているのかも分かっていない。持っている CD を時々引っぱり出して聴くだけで十分に満ち足りた気分になってしまうのだ。

 特にチャブーカ・グランダは、彼女の歌さえ聴ければ、それだけで生活が潤ってくるようで、彼女について何か調べた覚えもない。知っているのは、ペルー人であることと、すでに他界していることと、'Fina Estanpa' を歌ったことくらい。

 そうは言いながら何枚持っているのだろうと思い、CD棚をチェックしてみた。出て来たのは以下の7枚。

1) "Cada Cancion con Su Razon" (Bomba)
2) "Tarimba Negra..." (Fonomusic)
3) "Voz y Vena de Chabuca Granda" (Disvensa)
4) "Dialogando..." (Iempsa)
5) "Juan Castro Nalli" (Iempsa)
6) "Criollisima" (Nuevos Medios)
7) "Lo Nuevo de Chabuca Granda"

 もっと聴いてみたい気持ちもあるけれど、まあこれだけあれば自分にとっては十分だろう。そう思っていたら、アオラ Ahora のツイートを見てしまった。次の2枚が少数入荷したと。

8) "Voz y Vena de Chabuca Granda" (Disvensa)
9) "Chabuca Granda y Don Luis Gonzalez" (Xendra)

 迷わず購入。アオラのサイトで買ったのは初めてだったけれど、使い勝手が良く、快適だった。オーダーしたCDとDVDもおよそ1日で到着( "Voz y Vena de Chabuca Granda" (8) が所有盤 (3) から4曲減らした同内容だったのは残念だけれど)。

 多分他にもCDは出ているのだろうし、アナログ盤もいろいろあるのだろうが、それらを探すことはしてこなかった。けれども、一応アオラのサイトで検索してみると、また数タイトル持っていないCDが載っていた。さて買うべきなのか?



 今日は午後に髪を切り、夕方寒い中6km走って、それから iTunes で初めてアルバムを買った。ダウンロード購入の利便性が感じられたけれど、たった2分間で1500円持ってかれること(もちろん対価交換なのだけれど)の味気なさも感じた。買ったアルバムに関わることは数日中に書けると思う。

(これまでダウンロード購入をしなかったばかりか、電子レンジや携帯電話は持っておらず、My Space も Facebook もやらず、Blog にも Twitter にもいまだに馴染まない自分は、時代から何年遅れているのだろうと考えてしまった。)




 今日はまた、"CONGOTRONICS vs ROCKERS" が FUJIROCK に出演するというビッグニュースが駆け巡り、SUKIYAKI MEETS THE WORLD の出演者(海外組)を3/3に発表するとの予告がなされた。今年も日本の夏は大いに盛り上がりそうだ。これらに関する情報も、このブログで追って紹介していきたい。





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by desertjazz | 2011-03-01 21:00 | 音 - Music

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 先月フランク・ザッパのオフィシャル・サイトにオーダーしたザッパの「近作」と「新作」が遂に届いた。全部でCD13枚。今夜は予定していた作業を中断して、これを聴く!

(ブログでは EL SUR RECORDS から送られて来た "THE EARLY PERIOD OF FAIRUZ" について書く気でいたのだが、それも先送り。昨晩軽くツイートしたので、まずはそちらを見て ♪ ・・・と手抜き。)


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 まず最初に目が行くのが、 "THE MOFO (THE MAKING OF FREAK OUT! : AN FZ AUDIO DOCUMENTARY) " の4枚組特殊パッケージ。塩ビ製なので、絶対長持ちしないな。


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 開くとこんな感じ。まるで黒ヒトデじゃ!

(『フランク・ザッパ/キャプテン・ビーフハート・ディスク・ガイド』には「限定リリースだったため、すでに手に入りにくくなっている」「売り切れている」と書かれているが、オフィシャル・サイトからは問題なく買えた。)


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 一番楽しみにしていたのは勿論 "HAMMERSMITH ODEON" 3枚組。フランク・ザッパの最高傑作であり、自分がロック史上の最高傑作のひとつと考える "Sheik Yerbouti" の骨格を生々しいほどに耳に出来るのだから、これほど幸せなことはない。今聴きながら綴っているのだけれど、"Sheik Yerbouti" ほどの密度がないのは当然ながらも、もう素晴らしいとしか言いようのないライブ。70年代のザッパのステージを観られた人が羨ましい。

(ボブ・ディランのファンが "Basement Tapes" を最初に聴いた時、こんな気分だったのだろうか? いや、誇大表現だな。)


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 ザッパ70歳のお祝い盤ということで、ゴム風船や紙ナプキンやらが同封。わざわざ使用法の注意書きまでなされている。こんなオマケ、全く必要ないのだけれど、まるでザッパ本人のアイディアかのような遊び心が楽しい。

(これは昨年末に日本のレコード店でも見かけたけれど、1万円以上したので、さすがに手が出せず仕舞だった。)




 先日「フランク・ザッパが一番好きなロック・ミュージシャン」と話したら「ブルース・スプリングスティーンじゃないの?」と尋ね返された。ランディ・ニューマンとブルース・スプリングスティーンとフランク・ザッパの3人はほとんど同じくらい好きだけれど、誰か一人となると、迷うことなしにザッパだなぁ。

 プログレッシヴなサウンド・アレンジメント、卓抜なジャズ的インプロビゼーション、ドゥーワップ・マナーの野太いヴォーカル&コーラス、オルガスムスに達するザッパのギター・ソロ、美しくポップでメランコリックなメロディー、僅かな隙すらなく展開する演奏、マリンバやサウンド・エフェクトからオーディエンス・ノイズに至るまでの音響の快楽、等々、自分がポップ・ミュージックに求めるほとんど全ての要素が詰め込まれている。ビデオ作品にもぶっ飛んだ傑作が多い。フランク・ザッパこそ、パーフェクトなミュージシャンであり、パーフェクトなアーティストだと思う。

(時々いただけない気持ちにさせられるのが、エログロ?な歌詞。カニエ・ウエストの 'Runaway' もチョー最低だったけれど、アメリカにはこうした伝統があるのかな?)

 12年前にウェブサイトを始めた時、f-beat という名前にした。その最初に書いたことだけれど、f の意味は Franco の f であり、Fela Kuti の f であり、そして Frank Zappa の f だった。それくらい大好きだ。


 フランク・ザッパ、最高 !!! ザッパの音楽と出会えて、本当に幸せだと思う。







(ところでこれらのCD、関税500円+通関料200円取られたけれど、これって払う必要あったのだろうか??)





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by desertjazz | 2011-02-09 21:00 | 音 - Music

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 パキスタン盤(村山先生買い付け盤)がエル・スールから送られて来たので早速聴く。ファースト "Sampooran" が良かった Mekaal Hasan Band の2009年作セカンド "Saptak"、今回も独特なスーフィーのフレーズに乗ったカウワーリー・ロック/パワー・ポップ振りがいい。前作よりもややポップになった印象だけれど、ライブでより映えるサウンドだと思う。

 10枚限定入荷という非売品ディスク "Coke Studio 2010" も無事入手。10組のスタジオ・ライブをコンパイルしたもので、パキスタン・ポップのショーケースとなっている。お目当てはもちろん Abida Parveen。ドラムの入ったバンドを従えても、熱唱は相変わらず素晴らしい。コルカタで見つけた彼女の SAREGAMA盤13枚組ボックス、やっぱり買えばよかったと再び後悔(Plantation の店長氏に尋ねても「見かけないので、もう手に入らない」というお話だった)。





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 ジュンク堂まで散歩して、東浩紀が創刊した『思想地図ベータ』Vol.1 などを購入し拾い読み。まあ最初の一冊くらいは試しに目を通してみようかと思った次第、というか、福嶋亮大が書いている「死生観」を読んでみたかった。菊地成孔 x 佐々木敦 x 渋谷慶一郎の鼎談などもあり。

 川端康成『雪国』読了。この文庫本、昨年夏頃に買ったはずだが、雪の季節に読みたいと思い半年ほど寝かしておいた。それにしても、なんと美しい日本語なのだろう。軽やかな女性の声や山の音が実際に響いてくるような感触に気持ちよくなる。そして、もう遥か昔になってしまった日本の情景が浮かんでくる。宮本常一の記録と通じ合う世界。どうしても一文ずつゆっくり噛み締めていってしまうので、短い小説ながら何日もかかってしまった。

 川端の他にも谷崎、漱石、三島など昔耽読した本/読んでいない日本の名作も買い直して読みたいが(名作の文庫本はいつでも買い直せるので昔全部処分した)、そんなことしてたらいよいよ他に何もできなくなるな。





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by desertjazz | 2011-01-20 19:00 | 音 - Music

◆ 70年目の FZ

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 70歳になったフランク・ザッパを祝して刊行された『レコード・コレクターズ』の増刊、和久井光司『フランク・ザッパ/キャプテン・ビーフハート・ディスク・ガイド』を買って読む。FZ の全アルバムを聴き直したいと考え続けていたところなので、正にグッドタイミングだ! 村上春樹の全小説、カズオ・イシグロの全小説に取りかかったのに続けて、今度はこの本にナビゲートされながら FZ のアルバムも順に聴いていこうか。

 その前に本当に全部持っているか確認しようと思ってページをパラパラめくった感じでは、多分オリジナル・アルバムは全部手元にありそう。けれども、死後にリリースされたアルバムのうちここ数年に出たものは結構さぼって買っていなかった。良い機会なので、以前より買おうと思い続けていた以下のアイテムを公式サイト( www.zappa.com / Barfko-Swill )にまとめてオーダーした。いずれも届くのが待ち遠しいが、断然期待大なのは "Hammersmith Odeon"。大傑作 "Sheik Yerbouti" と同じ 78年のライブ音源なのだから!

・ "The MOFO Project/Object" (Deluxe 4-Disc Version)
・ "LUMPY MONEY" (3CD)
・ "Philly '76" (Concert Double CD)
・ "Greasy Love Songs"
・ "Hammersmith Odeon" (3CD)


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 久し振りに "Beat The Boots!" のボックスを開けたら、Tシャツや、バッチや、ベレー帽なんかが出て来た。ディスクだけで十分なのだけれど…。


 ということで今夜はファーストの "Freak Out!" を聴いている。FZ の良さは何万字費やしても語り尽くせないと思うので一言で。

 カッコいい !!! 気持ちいい !!!





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by desertjazz | 2011-01-19 23:00 | 音 - Music

Best Albums 2010

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 今年のベスト・アルバム10枚。

1. JOHN LEGEND & THE ROOTS / WAKE UP! (USA)
2. KANYE WEST / MY BEAUTIFUL DARK TWISTED FANTASY (USA)
3. SUFJAN STEVENS / THE AGE OF ADZ (USA)
4. SEU JORGE AND ALMAZ (BRAZIL)
5. 松田美緒 MIO MATSUDA / FLOR CRIOLLA (JAPAN)
6. MAREWREW (JAPAN)
7. GALACTIC / YA-KA-MAY (USA)
8. OKI DUB AINU BAND / SAKHALIN ROCK (JAPAN)
9. MOUSS & HAKIM / LIVE - VINGT D'HONNEUR (FRANCE / ARGERIA)
10. ERYKAH BADU / NEW AMERYKAH Part Two : RETURN OF THE ANKH (USA)


 やりたいことを徹底してやり尽くし、独自の世界観を打ち立てたアーティストの強みを感じた一年だった。特に上位4枚は強烈で、他者が太刀打ちできないようなレベル。楽曲としても、John Regend の 'Compared To What', 'Shine'、Kanye West の 'Runaway', 'Lost In The World'、Sufjan Stevens の 'Impossible Soul' などは貪るように聴き続けた。この三者、年末まで繰り返し聴き返しても甲乙付けがたく、実質同順位。

 今年一番聴いたのは、前半は K'naan の "Troubadour" (2009年作なので選外に)、そして後半は "Wake Up!" だった。世評は詳しく知らないし、同時代性を感じさせる傑作とも思わないが、内容の良さだけでなく個人的にはとても重要な作品になったこともあって、迷わずトップ。

 作品としての出来を純粋に評価すれば Kanye West がベストだったかも知れない。ダイナミックでエモーショナルなビートのストリームに興奮・感動。サウンド・クオリティーが極めて高く、後年まで語り継がれるだろう傑作。35分に及ぶ 'Runaway' のビデオ・クリップ(というより短編映画)も素晴らしく、すっかり頭に刷り込まれた映像が聴く度に蘇る。現代のメディア・フォーマットに相応しいアルバム・コンセプトが、これほど明瞭に伝わってくる作品には初めて出会った。

 Sufjan Stevesn は 'Impossible Soul' 一曲で23分半という長さにまず驚かされたが、これも一生もの。とりわけ13分くらいからの泣きメロ・ファンクが超耳タコ状態になってしまう素晴らしさ。他のトラック、そして同時期リリースされた EP 盤も含めて、期待を遥かに越えていた。

 南米に好盤/話題盤が多かった中、ずば抜けた出来だったのは Seu Jorge。このダークで怪しい世界にズブズブはまったらもう抜け出せない。どうしてこんなにカッコいいのだろう。松田美緒の "FLOR CRIOLLA" は Hugo Fattoruso とコンビネーションが最高で、とても深く美しい作品。聴く度に惚れ込んでいった。

 女性4人によるアイヌ・ポリフォニー Marewrew も今年ヘビー・ローテーションになった作品。最初これを1位にすることも考えたのだが、2009年リリースのミニ・アルバムなのでトップ候補からは外した。来年は是非、生声体験をしたい。

 トップ3の順位以外、さほど迷わず並べた10枚は、アメリカ5作、日本3作という意外?な結果。実際、これまでの活動を集大成した Mouss & Hakim のライブ作を除くと(しかもこのアルバム、まだ一度しか通して聴いていない)、アフリカやヨーロッパからはほとんど何も思い浮かばない。アメリカ勢/日本勢の充実振りに対して、他ジャンルの作品が入り込む余地はなかった。これはワールド・ミュージックが低調だったというよりも、自分が必要とする音楽にほとんど出会わなかったと言った方が正しいだろう。

 今年の入手盤は約300枚。ほとんど音楽を聴かなかった/聴けなかった2009年よりも増えているものの、それでも例年よりは少ない。買ったレコードは全て最後まで聴くようにしているのだが、途中まで聴いて止めてしまうことも多い一年だった。読書や料理、小旅行が楽しくて(基本的に読書/料理/旅行中には何も聴かない)、音楽を聴く時間がなかなか増えないでいる。しかし、やっと普通に音楽を楽しめるようになりつつあることが、自分にとっては嬉しい。




 リイシューも含めると、1位は "Alan Lomax in Haiti" になってしまうだろうか。リイシューやアフリカについては、気が向いたら別途発表するかも、ということで…。





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by desertjazz | 2010-12-31 23:58 | 音 - Music

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 プレオーダーしてから毎日心待ちにしていた Bruce Springsteen の "The Promise: The Darkness on the Edge of Town Story" (3CD + 3Blu-ray)が今夕やっと手元に届いた。以下、その取り急ぎの雑感。

 アメリカから送られて来た箱を開いてまず意外に思ったのは、パッケージの大きさ。何故か勝手にB5サイズを想像していたのだけれど、実際にはA4版の大きさ。そして、その中のブックレットを開くと…。この先はお楽しみを他人から奪っちゃいけないので書きませんが、もう映像と音に触れる前からワクワクのピーク!

 まずは、映画 "The Promise" (88min) 観てみた(英語字幕もあることに全部見終えてから気がついたので、字幕オフで)。

・ボスとメンバーと関係者全ての、当時と今の表情が実にいい。ボスを中心にしたクリエイトが楽しくてしかたないこと、素晴らしい制作に携わっていること、当時を振り返って自然と心に浮かび上がってくる傑作を作り上げたという自負、そんなものが伝わってくる。インタビューでは、2年前に亡くなった Danny Federici も、Patti Smith、Mike Appel、Chuck Plotkin らも登場!

・映像と音声の編集が素晴らしい。全く観たことのない映像がふんだんに使われていることだけでも興奮してしまうのだが、編集が実に細やか。インタビューへのインサートも休まらず、長いカットが全くと言ってよいほどない。それでいて煩く思ったり、疲れを感じたりすることは皆無。眼を離す瞬間が全くない。音編集のかっこ良さにハッとする瞬間もしばしば。

・"Born To Run" から "The Darkness on the Edge of Town" までの3年におよぶインターバルは、裁判に振り回された空白期間というイメージが強かった。しかし、証言の端々からは最高のものを作り上げようとするクリエイティブネスの結果でもあったようだ。いかに難産なスタジオワークだったかというドキュメント。

・この Blu-ray、映像と音声が気持ちよいくらいに奇麗。ファイナライズ/オーサリングまで完璧な仕事がなされているのだろう。

 大絶賛するには、Springsteen と彼の音楽が大好きで仕方ないからでもあるのだろう。しかし、コンセプト、映画作品自体の出来、そしてパッケージまで全てがここまで素晴らしい作品は滅多にないのではないだろうか。まだ、Blu-ray 1枚目を一度観ただけで、そう確信した。とにかく予想と期待を遥かに超えた素晴らしさ!

 2010年のベスト・リイシューは "Alan Lomax in Haiti" とこの "The Promise: The Darkness on the Edge of Town Story" で決まり。他はあり得ないだろう。



 ということで、今夜はモロッコ音楽の再履修も、モロッコ旅行記も、ひとまず後回しです。

 残り5枚を観て/聴いて、それから字幕付きで映画を観直して、さらに日本版も日本語字幕で観てみることにしよう。



(追記: 昨晩、飲みながら5分くらいで一気に書いた分、少し褒め上げ過ぎ、かつやや不正確だったかな?)






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by desertjazz | 2010-11-30 22:27 | 音 - Music

Plantation Début

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 今夜は先ほどまで、ロマ・イラマ Rhoma Irama のリイシュー全85トラックを連続リスニング。元々ダンドゥットにはさほど興味がなく、以前より彼の音楽を熱心に聴くことはなかった。けれども、今改めて聴くとかなりいい! 特に1枚目の冴えた感じが気に入った。聴き覚えのある曲も案外あるなぁ。



 ここ数日間ぶっ通しで本を読み続けて眼が疲れた、海外のあちこちにオーダーしたCDが届かない、、、ということで、昨日15日は西心斎橋まで往復散歩(片道2kmもないが…)。アップルストアで MacBook Air をチェック(全く買う気なかったのに、いつの間にか無意識に買いそうになっていた。あぶない、あぶない… )などした後、噂の(?)プランテーションへ。昨年場所を確認に一度来ただけだったので、なかなか辿り着けなかったものの、どうにか到着。

 ご店主の丸橋さんとは初めてお話させていただいた。自分はアジアの音楽にはさほど詳しくないので、ご挨拶がわりに、店主お薦めのアイテムを中心にまとめ買い。

 今回一番のターゲットは、インドネシアのキング・オブ・ダンドゥット、OM. SONETA & RHOMA IRAMA のリイシュー・シリーズ。伺うとCD4枚も出ているということで、折角なので全部ゲット。

・ "VOL.1: BEGADANG & VOL.2: PENASARAN"
・ "VOL.3: RUPIAH & VOL.4: DARAH MUDA"
・ "VOL.5: MUSIK & VOL.6: 135 JUTA"
・ "VOL.7: SANTAI & VOL.8: HAK AZASI"

 この後、"VOL.9: BEGADANG 2", "VOL.10: SAHABAT", "VOL.11: INDONESIA" もリイシューされる見込みだとのこと。

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 他に買ったのは、スブラクシュミ M. S. SUBBULAKSHMI のライブ盤など、インド/パキスタンものばかり。インドではスブラクシュミの Complete Box Set も出たそうで、これは欲しい! 久し振りに聴くとアジアの音楽も面白いな。これからプランテーションさんにもいろいろお世話になりそうだ。



 Jazzhole のことを綴り出しただけで、止まらなくなってしまっている。ようやく普通に音楽を楽しめるような耳に戻りつつあるので、Jazzhole の話にはひと区切りつけて、そろそろ他の話題についても書いてみようか。私的メモのようなブログとは言え、あまり人様から興味を持たれそうにないネタばかりに深入りしない方がよいだろうし…。




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by desertjazz | 2010-11-16 00:00 | 音 - Music

DJ
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