カテゴリ:音 - Music( 248 )

 マルセイユのデュパン Dupain が遂に本格的に再始動し、ニュー・アルバム "Sorga" を10年振りにリリース。絶好のタイミングと思って、デュパンやサム・カルピエニアのこれまでの作品も聴き直している。折角なので、彼のバイオグラフィーについても整理してみたくなっていろいろ調べ始めた。


 まずサム・カルピエニアの初期を含めた経歴については、この「カストール爺の生活と意見 - ソルガ男の生きる道」にまとめられている。ちょっと引用。

「サム・カルピエニアは謎の人です。マルセイユ生れではなくノルマンディー出身で、ポーランドの血も引いています。1989年マルセイユ近郊の港町ポール・ド・ブークで結成された(ファンク、レゲエ、オルタナティヴ系)ロックバンド KANJAR'OC(カンジャロック。4半世紀にわたって、マッシリアなどと混じり合いながら南仏シーンの名物バンドになっているものの、私はよく知らない)のギタリストでした。」


 カンジャロックのことは以前より頭にありながらも、カストール爺さんと同様、私もよく知らない。いまだ CD は1枚も持っておらず、YouTube 等で彼らの作品を試聴できるものの、サムが参加した作品の有無も不明。


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 次いでサムは、後にロ・コール・デ・ラ・プラーニャ Lo Cor de la Plana を率いて南仏ポリフォニー・シーンの中心人物となるマニュ・テロン Manu Theron とガチャ・エンペガ Gacha Empega を結成。女性シンガーのバルバラ・ウーゴ Barbara Ugo を加えた3人でアルバム "Polyphonies Marseillaises" をリリース。1998年に録音されたこの作品は、3人の声とベンディールとタンバリンを主体(ほとんどそれだけ)とするポリフォニー・コーラス。一部でマッシリア・サウンド・システム Massilia Sound System の Moussu T(Tatou はすでにこう表記されている)と Janvie D と Gari Greu がゲスト参加し、Janvie D によってエレクトロ化したサウンドにもなる。

 まだまだ試験的/過渡期的ではあるが、マルセイユにおけるオック・ミュージックを牽引する2人の実質的出発点として重要な作品だ。実際2人は近年も時々ガシャ・エンペガとしてステージに立っている。

 幸運なことに 2009年10月に台湾・台北のフェスにロ・コール・デ・ラ・プラーニャとサム・カルピエニアのトリオを観に行った時、ロ・コールのステージにサムが飛び入りし、とても楽しいパフォーマンスを披露してくれたのだった。ガシャ・エンペガのライブもあのような雰囲気だったのだろうか。

 ポリフォニー・コーラスという音楽性からガシャ・エンペガは(年上でもあろう)マニュが主導しているものと思っていた。ところが、台北で久し振りに会ったマニュに「またガシャ・エンペガをやることはないの?」と訊ねたら「それはサムが決めること」と意外な回答。音楽面でサムの方がイニシアチブをとっているようだ(風貌に反して実はマニュの方が年下であることも知った)。

 ところでこの2人はどうやって出会い意気投合したのだろう。マッシリアの3人も共演していることから、マルセイユのミュージシャンたちの間の絆は早くから結ばれていたのだろう。


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 続いてサムはデュパンを結成し 2000年にファースト・アルバム "L'Usina" をリリースすることになる。だがその直前にトンでもない作品 "Port de Bocan All Stars 22/01/00" を制作している。これはマルセイユのオクシタン・ミュージックの聖地 Le Balthazar で 2000年1月22日に録音されたライブ・アルバム。

 まずメンバーのクレジットを見ただけで気絶しそうになる。Sam Karpenia(綴りはママ)とヴィエラ・ア・ル(ハーディガーディ)の Piero Bertolino はデュパンの両輪。Noel Baille はセカンド・アルバムからデュパンに加入するベーシスト。そこに、Manu が、マッシリアの Lux B. と Gari と Tatou が、最愛のレゲエ・シンガー Toko Blaze が、女性4人組 Les Mounines が、インド洋と南仏を繋ぐ Jagdish が加わる。そしてそして、トロンボーンは親愛なる Olivier Rey(現在 Babel Med Music と Fiesta des Suds の広報トップ)。

 総勢20名からなるこのユニットは正にマルセイユ・オールスターズといった趣。前半はインストゥルメンタリストたちによるナンバーが続き(実際インスト曲が多い)、後半次々にゲストシンガーを迎えて進行する全19トラック(+シークレット・トラック)。全般にベースを強調したダブ調トッラクが目立つ。

 そんな盛り沢山なライブなのだが、その中心はあくまでもサム・カルピエニア。ほどなくしてデュパンのサウンドを強く印象づけることになるヴィエラ・ア・ルの音も通奏する。つまりこれはデュパン誕生前夜を記録した貴重な録音なのだ。(次回以降で書く予定なのだが)サムはデュパンのファーストではマンドールを弾いていないが、ここではバリバリ掻きむしっている。実質的に Pre-Dupain のライブと言っていいだろう。

 同時に2000年当時のマルセイユを今に伝える活き活きとしたドキュメントともなっている。一見音楽性が異なるような、ロックのサムとポリフォニーのマニュとレゲエ/ラガのマッシリア&トコとインド洋のジャグディッシュとが一同に会して、こんな素晴らしいライブを展開するのだから。(「bonsoir, bonsoir, bonsoir..」と登場するところのマニュだとか、サムのマンドールの伴奏で歌うトコ・ブラーズの "Marseille" なんかは雰囲気最高!)デュパンのファンに限らずマルセイユ音楽のファンの多くに聴いてもらいたいし、誰もが気になるアルバムなんじゃないかな? しかし現在入手することは絶望的。そんな音楽を紹介するだけでは心苦しい。なんとかリイシューできないものだろうか?


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 サム・カルピエニアについてはまだ知らないことばかり。そもそも生年も不明。台北で質問したような気もするのだが、メモには記載が見当たらない。多分 50歳手前なのではないだろうか(それよりマニュ・テロンが自分より年下だと知ってショックを受けたのだった)。

 台湾旅行の資料を開くと、サムからもらった名刺や本人の電話番号なども出て来たけれど、このブログを書くためにわざわざ問い合わせるほどのことではないだろうなぁ。


(続く)




(追記)

 "Port de Bocan All Stars" について少々加筆。途中シタール?の音でインドっぽくもなるのだが、誰が演奏しているのだろう? 2015/04/08






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by desertjazz | 2015-04-07 20:00 | 音 - Music

Joni Mitchell "Blue"

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 今夜は Joni Mitchell の "Blue" を聴き続けている。

 彼女が意識不明の状態で発見されたと聞いてビックリしたが、今のところ大事には至っていないようだ(そう願いたい)。

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-32142332

 自分が Joni と出会ったのは今から35年前の1980年に発表された "Shadows and Light" を聴いてのこと。Jaco Pastorius や Pat Metheny が参加したこのライブを聴いて心底圧倒された。それで遡って全アルバムを買い集め、夢中になって聴き狂った(ビデオ作品も買いそろえ、ブートも見つけると今でも買ってしまう)。

 なので "Wild Thing Run Fast" までは全てアナログ盤で持っている。実は10作目までは CD-Box で買い直したのだけれど、一度も聴いていなかった。それはアナログの音のイメージを壊してしまうような気がして。

 今夜気まぐれに "Blue" を初めて CD で聴いてみたのだけれど、やっぱり相当違和感がある。1曲目のギターからもうダメ。Joni の歌もクリアなんだけれど、温かみがまるでない。慣れの問題なのかも知れないと思って我慢して最後の10曲目まで聴いてから、今レコードで聴き直している。うーん、これでようやく落ち着いてきた。例えば、The Band だとか、James Taylor だとか、80年代までのジャズだとかはアナログ盤でしか聴く気が起こらない。それには何か理由があるのだろうな。

 Joni Mitchell は自分が心の底から好きだと言えるほとんど唯一の女性アーティストだと思う。好きな作品は多いが、中でも "Blue" は究極の1枚。もう30年以上もの間、生涯のベストアルバムの10枚に入り続けている。

 世界のあらゆる音楽を聴いてみたい気持ちもあるけれど、自分に残された時間を考えると、本当に愛している音楽を繰り返し聴き続けたい気持ちの方が強い。新しい音との出会いを求めて時間を無駄にし失望するくらいなら、"Kind of Blue"、"Good Old Boys"、"Sheik Yerbouti"、"Jamm La Paix" をずっと聴いていたいと思う。(生涯のベスト10の半分を明かしてしまった!)




 Joni Mitchell も一度も生で聴いていないなぁ。





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by desertjazz | 2015-04-01 23:00 | 音 - Music

New Discs : Bjork & Cassandra

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 ここ数日聴いているのは、ビョークの新作 "Vulnicura" とカサンドラ・ウイルソンの新作 "Coming Forth by Day"。時々は話題作も聴きます。

 前者は恋人マシュー・バーニーとの離別から生まれたアルバム(8作目)、後者は今年生誕100周年のビリー・ホリデイのソング集。亡くした母と義父を追憶するスフィアン・スティーブンスの "Carrie & Lowell" も合わせて内省的な作品ばかり聴いていて、あまり春らしくないか?

 ビョークはファーストの "Debut" を聴いて衝撃に近いものを感じ、それ以来全アルバムを聴き続けているが、どこか本気で好きにはなりきれないでいる。でも今度の作品はナチュラルに心に染みてくるような音になっているように感じる。音作り自体は相変らず面白い。

 カサンドラもほぼ毎作買っているけれど、この新作はちょっとバランスが悪いかな(ストリングスの明るさにも違和感がある)。テーマのハードルが高過ぎたのだろうか? マイルス集の "Traveling Miles" は大傑作だったのだけれど。

 2人とも好きな女性アーティストなのに、いまだにライブを観ていないというのがひとつの共通点。積極的にならないのはどうしてなのかな?




 男性アーティストで今一番心待ちにしているのはセウ・ジョルジの新作。iTunes 版は明日 3/31に買えるようなのだが、CD の方の発売は5月になるみたい。

 そして同じブラジルからは、ヴィニシウス・カントゥアリアも新作 "Vinicius canta Antonio Carlos Jobim" をリリースするとのこと!

 ・ Song x Jazz | ヴィニシウス・カントゥアリア『Vinicius canta Antonio Carlos Jobim』


 今年は春先から、大好きになった作品や楽しみな作品ばかり。嬉しいリリースラッシュが続く。そう感じるのは、自分がかなり自然体で音楽を楽しめるまでに回復してきたからなのかもしれない…。






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by desertjazz | 2015-03-30 22:00 | 音 - Music

New Disc : "Bali 1928, Vol.II"

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 何年も待ち続けた CD がようやく完成し、アオラから国内配給になった。早速エル・スールに飛んで買いに行き、じっくり聴いている。

Bali 1928, Vol.II : Tembang Kuna, Songs From an Earlier Time, Tembang - Kidung - Kakawin


 1928年(と29年)にインドネシアのバリ島で初めての音楽録音が行われ、100枚強?の SP盤が現地で発売されたという。その音源の CD化がドイツ World Arbiter によって初めてなされたのは 1999年のこと(18トラックの現地録音に、後述するコリン・マクフィー Colin McPhee のピアノによるガムランのデモ演奏を抱き合わせた変則的なもの)。続いて CD5枚の完全版シリーズが計画され、その1枚目 "Bali 1928 : Gmalan Gong Kebyar, Belaluan - Pangkung - Busungbiu" が2009年にリリースされた。

 しかしそのプロジェクトは中断。プロデューサーが大病を患いシリーズ続行が危ぶまれていると聞いていたのだった。

 さて、突然届けられた第2集。繰り返し聴いているのだけれど、歌(独唱が多く、2人での掛け合いもある)のみの録音が中心で思いっきり地味。とにかく地味過ぎる。録音のせいなのか、SP盤に付随するものなのか、ノイズもたっぷり。でも期待に違わぬもので、その歌声に聴き惚れる。ノイズリダクションはギリギリに留めたようで、その分音が生々しいところがいい。ゆったりした歌声からは当時のバリの空気が伝わってくるかのようだ。(ただし録音自体には密室感が強い。)

 このCDには116ページもあるデジタルブックレットがついていて、各トラックの詳細の他、SP盤のラベルや当時の写真も楽しめる。またアオラの国内盤解説はかつてないほどの長さ。活字のポイントを大きくした英断も大歓迎だ。その解説によると、リリースが遅れたのは「調査プロジェクト」に時間を要したからだとのこと。大病説とどちらが本当なのだろう? いずれにしても長年待った甲斐があった。

 これでプロジェクトは無事再開ということなのだろうか? Vol.3 〜 Vol.5 も早く聴きたい!(あくまで個人的感想。本シリーズの録音はどれも大好きですが、"Vol.II" はさすがに万人向けではありません。)



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 1928年バリ最初期録音のリイシュー最初の1枚 "The Roots of Gamelan" は、発売直後にその情報を掴み、1999年12月14日にシンガポールのHMVで購入(自宅のデータベースで確認した)。それを日本の雑誌でレビューしたのが、恐らく日本での初紹介のはず。ちょっと懐かしく、その分このシリーズには愛着もある。



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 "Bali 1928" と深い繋がりのある Colin McPhee の著書 "A House in Bali" は、大竹昭子さんの訳書『熱帯の旅人 バリ島音楽紀行』でもちろん持っているし、英語版もバリで買って持っている。今度は英語版で読んでみようかな?

 それより、この本の写真を眺めていると、またバリでまったりしたくなる。それは古の空気感へのノスタルジーなのかも知れないけれど…。






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by desertjazz | 2015-03-29 00:00 | 音 - Music

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 レコード店に行く時間が全く取れないので、ここ最近はネットで新譜をいくつか試聴する程度。

 今月末にリリース予定のスティファン・スティーブンスの新作 "Carrie & Lowell" がフル試聴可能になったので繰り返し聴いている。これがとてもいい。暖かくてノスタルジックで。スフィアンの過剰なポップさも好きだけれど、本当に好きな彼らしいサウンドがやっと戻ってきた感じ。

 ・ The Guardian | Sufjan Stevens – Carrie & Lowell: album stream




 今年はまだ3月なのに、年間ベスト級のアルバムが相次いでいる。

 ・ Dupain "Sòrga"
 ・ Sufjan Stevens "Carrie & Lowell"
 ・ Seu Jorge "Musicas Para Churrasco 2"
 ・ Faada Freddy "Gospel Journey"
 ・ Akoya Afrobeat "Under The Tree"
 ・ M.anifest "Apae: The Price of Free EP"
 ・ Tigran Hamasyan "Mockroot"
 ・ D'Angelo and The Vanguard "Black Messiah"
 ・ Keith Jarrett + Charlie Haden + Paul Motian "Hamburg '72"
 ・ E. T. Mensah & The Tempos "King of Highlife Anthology"

 …と、まだリリース前の3作含めてすでに10枚。「世界一気の早い年間ベスト・アルバム」が確定か??






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by desertjazz | 2015-03-24 23:00 | 音 - Music

New Disc : Siska EP

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 マルセイユの Siska の新譜が 4/5 に出るようだ。これはヴァイナルで欲しいなぁ!

 ・ Facebook | Siska






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by desertjazz | 2015-03-23 00:15 | 音 - Music

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 21世紀になってから作られたありとあらゆるアルバムの中で、個人的に一番好きなのはデュパン Dupain の大傑作 "Les Vivants" (2005) だろうかと思う。それからちょうど10年。今年 3/16 にフランスでリリースされる彼らの4作目 "Sòrga" はその "Les Vivants" を超える作品になったかも知れない。

 ・ Dupain "Sòrga"


 新生デュパンの大きなポイントはメンバーが入れ替わり5人に増えたこと。もちろんサム・カルペイニア Sam Karpienia とピエロー ローレン・ベルトリーノ Pierre-Laurent Bertolino の主軸2人は不動だが、ドラムとベースが交代し(ベースはウッドのコントラバスに)、新たにフルート奏者が加わった。ファースト "L'Usina" (2001) ではトリオ編成だったものが、セカンド "Camina" (2002) とサード "Les Vivants" では4人になり(そしてサムはデュパンではセカンド・アルバムからマンドールを弾き始めた)、今回さらに5人へと増えた変遷は、同じくメンバーを増やしていった Moussu T e Lei Jovents とちょっと似たものがある。バンド編成の違いはサウンドの変化にも顕著に現れているので、前作と新作とは単純に比較可能とは言い切れない。

 この作品はマクサンス・ベルナイム・ド・ヴィリエ(Maxence Bernheim de Villiers)なる不詳の詩人が1958年にオック語/仏語で出版した詩集 "Sòrga" にサムがインスパイアされて生まれたとのこと。歌詞は全てこの詩集から引用されているようだ。マルセイユのミュージシャンたちが文学から刺激や影響を受け続けていることは、クロード・マッケイ Claude McKay の小説 "Banjo" がひとつのきっかけとなって Moussu T e Lei Jovents が誕生したり(→ 参考)、Dupain、D'aqui Dub、Jan-Mari Carlotti、Massilia Sound System、Lo Cor de la Plana、Lei Coralas dau Lamparo、Chin Na Na Poun といった面々が19世紀のマルセイユの詩人(でいい?)ヴィクトル・ゲル Victor Gelu のCDブック(CD付きのブックレットと表現した方が正確か?)"Poete du Peuple Marseillais Chansons Provencales Victor Gelu" を制作したことなども連想させる。

 CD "Sòrga" のブックレットにはオック語/仏語の歌詞が併記されているだけでなく、英語訳詩も並べられている。これは「美しくミステリアスだが意味のはっきりしない詩の雰囲気」を伝えるための試みとのことで、サムがそれだけ詩を重視している証拠だろう。英語詩だけひととおり目を通してみた。意味は分からないものの、サウンドを聴きながらイメージを浮かべるのには一役買うのではないだろうか。

 さてその新生デュパンのサウンド、最初に聴いた時にはピエローのヴィエル・ア・ルー(ハーディー・ガーディー)の印象が薄く、"Les Vivants" 冒頭の "Tout le Mondo" のようにビートを立てる展開も少ない。ポップさが消え、とても地味で渋いものに聴こえた。しかし繰り返し聴いて瞬く間にそのサウンドの虜になってしまった。

 まずアルバムのイントロダクション的な "Mille Papillons" に続く3曲 "Au Cor de Mon Silenci"、"Sòrga"、"Beveire D'Auceus" が強烈。重厚・濃密なサウンドで、ダイナミックな展開と曲の終盤に向けての爆発には、コンサートのフィナーレに立ち会っている気分にさえさせられる。とりわけタイトル曲を挟む2曲のテンションが凄まじく、King Crimson の "Red" すら連想したほどだ。

 ラス前の "Non o Falia Pas Mai" は一層ハイテンションで、イタリアのマスカリミリ Mascarimiri の "Triciu" に似たプログレ的サウンドの快感もある。冒頭炸裂するヴィエル・ア・ルーの音に、やっぱりデュパンにはこれがないと!とも思ってしまう。

 ただ、やはりアルバムを通してヴィエル・ア・ルーはこれまでほどには目立たない。と言うより、サムたちは "Les Vivants" のようなレコーディング技術を駆使した作り込んだサウンドではなく、「バンド・サウンド」を目指したのだろう。フルートが加わったことは効果的で、時にユニゾンで時に対位的に響き合う両者の音はサウンド全体に厚みを与え、またドラムとコントラバスはヴィエル・ア・ルーやマンドーラを包み込んでバンド・サウンドの一体感を強めている。今回は "Les Vivants" のような作り込んだサウンドではなく、セッションを重ねてスタジオ・ライブ的に完成させたような雰囲気が伝わってくる。

 そんな中、やはりサムの声は圧倒的存在感を持っている。荒涼とした風景が現前するようなヒリヒリとしたサウンドの中で彼の声は聴き手の心に鋭く切り込んでくる。"Copar Totjorn Copar" からそのままメドレーで続く唯一のインスト・ナンバー "Tot Veire, Tot Oblidar"(トラック10)での咆哮の凄まじさ !! 何度も書いていることだが、Massilia Sound System の Papet J の声も Tatou の声も、Toko Blaze の声も大好きだけれど、歌い手として最も好きなのはやっぱり Manu Théron と Sam Karpienia だな(でも一番味があるのは Tatou かな)。

 メンバーは入れ替わってもデュパンこそ今世界で一番好きなバンドであることを "Sòrga" を聴いてはっきり再確認できた。さあ、次はライブだ!


(参考)

 ・カストール爺の生活と意見 - ソルガ男の生きる道


 このような詳しいレビューがあるので、拙ブログの感想文は不要かも知れませんが、まあいつもの個人メモということで…(そんなことを思いつつ、過去のアルバムなどのレビューも書いているところです)。




 今月はガーナとナイジェリアのハイライフをじっくり聴くつもりだったのが、"Sòrga" のせいでそんなハイライフ気分は吹き飛んでしまった。このところは旧作含めてデュパンばかり聴いている。"Sòrga" を大音量で聴いていると(自宅は最上階で、下は空室、日頃から親しくさせていただいているお隣さんも夜遅くにならないと仕事から戻られないので、今は結構な音量で聴ける)もう他の音楽はいらなくなる。






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by desertjazz | 2015-03-14 14:00 | 音 - Music

New Dupain in Paris 2015/04/14

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 10年振りの新作をリリースした新生デュパン Dupain のライブ情報がオープンになっている。現時点で予定されているのは 4/14 のパリ Studio de L'Ermitage だけのよう。あの強烈なサウンドが 13ユーロで観られるのか。パリに行きたいよー!


Studio de L'Ermitage | Dupain



(この春から秋にかけてのライブ&フェス情報が、ここ最近、次々舞い込んでいるところです。今年は観たい公演が多い! 25周年のスキヤキを最優先にしたい気持ちもあるので、まずは夏まで我慢かなぁ〜。)






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by desertjazz | 2015-03-04 01:00 | 音 - Music

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 E. T. Mensah & The Tempos を聴き続ける合間にこれも聴いている。21世紀の傑作 "St. Vincent" に5曲追加収録した、最近リリースされたばかりの Deluxe Edition。新曲 "Bad Believer" から、彼女のメロディー・センスとエキセントリックなサウンドが炸裂!

 David Byrne との共作 "Love This Giant" が素晴らしかったので、その後リリースされたセルフ・タイトル盤 "St. Vincent" を即買いし完全にノックアウト。

 先日、渋谷クアトロでの彼女のライブを聴いてからは、このアルバムの真価がますます伝わってきた。聴く度にそのサウンドの凄みが全身に降り掛かってくる。独特なエフェクトのかかった立体感あるギター・サウンドは昇天もの!

 このアルバムは国内外で絶賛されているようで、各所で昨年のベスト・アルバムに選ばれたらしい。この CD にも、The Gurdian、The Sunday Times、NME で Album of the Year を獲得したことと、グラミーを受賞したことが記載されている。ふ〜ん、そうなの…。






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by desertjazz | 2015-03-02 00:00 | 音 - Music

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 デュパン Dupian 10年振りの新作 "Sorga" が凄い!!!

 大傑作 "Les Vivants" (2005) 以来の3作目("L'usina" のリミックス盤も含めると4枚目)。

 フランスでは 3/16 リリース予定が、2/21 に渋谷 El Sur Records に奇跡?の先行入荷。そして即(即日?)完売!

 Dupain の大ファンを自認する自分も運良く手に入れて、今繰り返し聴いている。

 Sam Karpeinia の激情ヴォイスとマンドーラは相変らず強力。前作で通奏音のように響いていたヴィエル・ア・ル vielle à roue(ハーディーガーディー)は控え目。なので、"Sam Karpienia" トリオのサウンドをベースにした新生 Dupain といった印象も。ドラムが(もうひとりの)Sam から Francois Rossi に変わった影響も感じる。

 トラックが進むに従ってサウンドは過激に。11曲目などは、イタリアの Mascarimini 風なプログレ感もあり。これはライブで聴いたら気絶しそう!

 うーん、早くライブが観たい! Dupain のステージはもう12年も観ていない。まだ発表になっていないが、新作発表ライブは 4/14 にパリで行う予定と聞いた。4月にパリに飛んでいくか、また迷い始めてしまう。

 2009年10月に台北で Sam に会った時「Dupain は再結成しないの?」と質問したら「みんなに訊かれるんだけれどね(でもやる気はない…)」とはぐらかされた。

 でも10年待ってて良かったよ。このサウンドをずっと待っていたんだ!







 以上、速報ということで。後日、冷静に書き直します(この記事も消す予定)。

 今夜は、トマス・ピンチョンの「読書メモ」も書いているところ。間もなく(24時頃に)アップできると思います。






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by desertjazz | 2015-02-23 21:30 | 音 - Music

DJ
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