<   2011年 07月 ( 27 )   > この月の画像一覧

73) 谷崎潤一郎『細雪』中巻(再読)
74) 谷崎潤一郎『細雪』下巻(再読)
75) 池上 彰『先送りできない日本』
76) 中村とうよう『中村とうようコレクション展 楽器とレコードを中心に』
77) 小松正之『日本の鯨食文化――世界に誇るべき“究極の創意工夫”』
78) 水野倫之+山崎淑行+藤原淳登『緊急解説! 福島第一原発事故と放射線』
79) 谷崎潤一郎『痴人の愛』
80) 谷崎潤一郎『春琴抄』
81) 谷崎潤一郎『卍』
82) 宮本常一『日本の村・海をひらいた人々』

 今月読了したのも10冊(図録も含まれているが)。今年はなぜか決まって毎月10冊だ。

 3.11 以降、外国文学を読む気になれない。関心があるのは「日本の美しさ」。今、自分の中で京都と奈良がテーマとして大きくなっている。谷崎潤一郎の再読を進めているのも、宮本常一をまた読み始めたのも、それと表裏をなしているのだろうと思う。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-31 23:59 | 本 - Readings

7/25(月)

・南禅寺(方丈庭園) > 琵琶湖りゅう水 水路閣 > 知恩院 > 山玄茶 > 錦市場(有次)




d0010432_225526.jpg
d0010432_224798.jpg
d0010432_22371.jpg
d0010432_222917.jpg
d0010432_221696.jpg
南禅寺

 ここを訪れるのは何度目だろう。方丈庭園には初めて入ったかな。とても美しかった。


d0010432_22780.jpg
d0010432_215634.jpg
d0010432_214718.jpg
知恩院

 ここも何度目だろう。


d0010432_213829.jpg
d0010432_212216.jpg
d0010432_211116.jpg
d0010432_202551.jpg
山玄茶

 京都通の友人に教わった祇園の店。一番安い ¥5500 のコース(カウンターが満席だったので、+¥500 で座敷へ)。日本酒の出し方、そして一品目ですっかりこの店にファンに。和洋の食材(と食器)の取り合わせが面白かった。夏らしく、涼やかな料理が多かったので、寒い時季の再訪問を決める。

 昼食後は錦市場を探索。最初に向かったのは有次。長年ここの包丁を愛用しているが、出刃は大きなものしか持っていないので、小出刃を求めることに。鯵切りとの違いを尋ねると親切に説明してくれ、同じサイズのものでも1本1本重さやバランスを確認させてくれる。日本一の包丁店なだけのことはある。

 最後は毎度の京都訪問と同じく漬物をあれこれ買ってから帰宅。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-25 23:00 | 旅 - Japan

7/24(日)

・鞍馬 > 貴舟 > 相国寺(伊藤若冲、ハンブルク浮世絵コレクション展) > 京都駅(ホテル・グランヴィア)




d0010432_1544817.jpg
d0010432_154393.jpg
d0010432_1543019.jpg
d0010432_1542146.jpg
d0010432_154126.jpg
d0010432_154313.jpg
d0010432_1535469.jpg
d0010432_1534533.jpg
鞍馬〜貴舟

 友人・知人たちが立て続けに「京都なら貴舟」と薦めてくるので、二人連れで出かけてみた。調べると何と自宅から切符1枚 ¥840(しかも乗り換え一度)、1時間半強で行けてしまうことに気がつき驚く。真っ直ぐ貴舟に向かうのではなく、鞍馬で降りて山越えにする。かなりタフな上り下り(約2kmだったか?)を1時間。ヒザはガクガク、汗だくになった。

 貴舟に着くと、日曜日ということもあってか物凄い人と車の数。全然調べずに来たものだから、こんな大観光地だとは知らなかった。ほとんどの人は川床料理というものを食していて、そうした店がずらっと10軒以上。どうやらこれがここの売りらしく、ひとり約9000円(休日価格)。まあ場所代も含んでの値段なのだろうが、例えば家族4人で来てちょっと飲み物を追加したりすると4万円か、などと計算しつつ、自分には出せる金額ではない。近所にそば屋を見つけて900円のそばと生ビールをいただく。これで十分満足した。とにかく森歩きが心地よかった。


d0010432_1533668.jpg
d0010432_153267.jpg
d0010432_1531454.jpg
相国寺

 お目当ては伊藤若冲だったのだが、暗すぎて今ひとつはっきり見えない。ハンブルク浮世絵コレクション展の方はまずまず見応えのある作品が集められていたが、色褪せの激しいものが多かった。


d0010432_1525987.jpg
d0010432_1523760.jpg
d0010432_1522638.jpg
京都駅

 3.11 で融通を聞いていただいたことでもあり、今回もグランビアに宿泊。サービスが申し分なく快適だった。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-24 23:00 | 旅 - Japan

クジラとゾウ

d0010432_14285068.jpg

 今年はアート関連の番組が面白い。初回に Stuff Benda Bilili が登場した『たけしのアート・ビート』は毎度楽しく観ているし(杉本博司の回も良かった)、今週は『世界が私を待っている「前衛芸術家 草間彌生の疾走」』2時間を一気に観て、さらには数ヶ月前に録画したままだった『若冲ミラクルワールド』6時間も3晩かけてじっくり鑑賞した。

 今日からは大阪・堂島リバーフォーラムで『堂島リバービエンナーレ2011』が開催されるので、いつ行こうか思案しているところであり、11月から始まる『ジャクソン・ポロック展』も待ち遠しい。アート関連の番組やイベントが充実してきているのではなく、最近また自分にアートを楽しむ余裕が少しばかり生まれて来たのだろう。

 それにしても『若冲ミラクルワールド』は出色の番組だった。伊藤若冲の魅力をたっぷり堪能できたことばかりでなく(正にミラクル・ワンダーランド!)、観ていて関心が他の領域にまで勝手に繋がっていくことでも刺激的だった(ハイビジョンの10数倍の解像度を持つスーパーハイビジョンの新しい使い道が示されていたことにも感心)。例えば、

・まず、日本画と布や紙との関連性
・次に、京都・大阪の上方文化の面白さ(今月も谷崎潤一郎を読み続けているだけにひとしお)
・そして、クジラとゾウの対話に始まる音についての思索

 などなど。美術作品は単体で鑑賞するばかりでなく、関連する/無関係なような様々なことと合わせて多面的に見ていくことでも、知的好奇心が刺激されることを改めて感じた。諸々のうち3点目についてだけ簡単にメモしておこう。

 番組の最後に、最晩年の作品『象鯨図屏風』を紹介していたのだが、クジラとゾウが対置されたこの屏風絵を観て思い出したのは、ライアル・ワトソンが亡くなる直前に出した『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』の内容。この本の中では、南アに生まれ育ったワトソンの少年時代の体験があれこれ綴られており、その最後の方で、ブッシュマンに連れられて行った先で、巨大なクジラと雌ゾウが対話している情景を目撃した話が出てくる。これは人間には聞き取れない超低周波での交信だったという(ここまでの話、記憶で書いているので、やや不正確かも知れない)。

 伊藤若冲がどうしてこのような構図の絵を描いたのかまで番組では語られていなかったが(そうした研究がすでにあるのかもしれないが)、若冲がブッシュマンの観たような世界を知っていたとは考えにくい。たまたま大きな動物を対置させただけなのかも知れない。しかし、鋭い感性を持っていた若冲のことなので、2つの動物から何かを感じ取ったのかも知れないなんてことも想像してしまう。

 そしてその先で、また「音についての思索」が始まる。このところも、武満徹が田中優子に対して語った「遠音」(『江戸の音』の中で、日本人は遠くからの響きを好むことを指摘)のことについてずっと考え続けているのだが、それが谷崎潤一郎の『陰影礼賛』とも結びつき合っていく。さらには日本の食文化とも繋がっていく。自分はこうしたことを考えているときがとても楽しい。この話はまたいつか。




(追記)

 夜はまた『若冲ミラクルワールド』を第1回から観直し始めてしまった。

 このブログは明日からしばらく夏休みに入ります。出かけた先では、伊藤若冲の作品も観てきたいと思っています。






[PR]
by desertjazz | 2011-07-23 14:29 | 美 - Art/Museum

"Afro Latin Via Kinshasa"

d0010432_227050.jpg

 1日遅れで昨日の日記。久し振りにタワー難波店と Plantation へ。ワールド盤を買い込んだり、カウシキ大阪公演のチケットを買ったり。

 "Afro Latin Via Dakar" の編集が気に入ったので、Kinshasa 編も買ってみた。"Afro Latin Via Dakar" については、たまにはアフロポップ初心者にも分かるような感じで、早々に全曲レビューするつもりでいたのだけれど、聴いて調べているうちにどんどん自分の興味が膨らんでいき、話が広がる一方になっている。このブログは自分のためのメモの集まりのようなものであり、読んでいる人もほとんど友人ばかりだろうから、一般向けの内容が書き尽くせなくてもまあ構わないだろう。

 そうこうするうちに同シリーズの Cotonou 編と Konakry 編もリリースされた。英文解説の日本語訳がついていて便利なので、来月国内盤が発売になったらこれらも即購入しようと思う。Dakar 編の全曲レビューは後回しにして、まずは聴いて楽しむことが優先かな。



 昨晩 "Afro Latin Via Kinshasa" を聴いていて思い出したのは、中村とうようさんの『アフリカの音が聞こえてくる』という本。アフリカ音楽に興味を持ち始めた頃、この本を隅から隅まで読んで、取り上げられているレコードを全部集めようとしたのだった。フェラ・クティやフランコのレコードをこれだけ手に入れてみたいものだと羨ましさもつのった。こうした良きガイド&リファレンス書があったからこそ、アフリカ音楽への関心が加速したのだし、さらにはこの本で語り尽くされていない領域を探索する力にもなったのだと思う。




(昨夜来、拙ブログへのアクセスが普通でない数になっています。恐らくは先日『中村とうようコレクション展』のことを書いたので、検索して来られた方が多いのでしょう。とうようさんについては色々綴ってみたい気持ちはありますし、昨晩はいつもとは違って少しだけどなたかに読まれることを意識して書いてみました。ですが、とうようさんのお仕事をじっくり振り返るようなことは少なくとも私の役割ではないだろうと思います。折角訪れて下さった方には申し訳ないのですが…。)




 明日からブログの夏期休暇に入るつもりだったのだけれど、悲しい話で夏休みに入ってしまうのというのは何とも切ない。あと数日続けてから一休みするかもしれません。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-22 22:06 | 音 - Africa

SUKIYAKI & SUKIYAKI TOKYO

d0010432_23241024.jpg

 昨日 SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2011 の事務局から、個人サポーター会員証やプログラムなどが送られて来た。その昨日19日がフェスまでちょうど1ヶ月の区切りの日だった。会員番号も11年の11番と縁起がいい。この「個人サポーター」は2〜3日間通しで観るならチケット代やワークショップ参加料の面でもメリットがあるので、昨年に続いて申し込んでいたもの。


 スキヤキ公演日程について再確認。

8/19(金) SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2011
8/20(土) SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2011
8/21(日) SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2011

8/22(月)SUKIYAKI TOKYO - Omara Moctar Bombino
8/23(火)SUKIYAKI TOKYO - Kaushiki Chakrabarty Desikan
8/24(水)SUKIYAKI TOKYO - Amazigh Kateb

8/25(木)Kaushiki Chakrabarty Desikan 大阪公演


 今年の夏休みが待ち遠しい。濃密な1週間になりそうだ。




 このブログも今週末から夏休みに入る予定です。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-20 23:23 | 音 - Festivals

 コンピレーション・アルバム "Afro Latin Via Dakar" は、70年代のダカールのラテン音楽やプレ・ンバラ的な音楽の魅力を自分に思い起こさせてくれ、昔手に入れた関連音源も合わせて聴いて楽しんでいる。今回のコンピを聴いて初めてそのサウンドに惹かれたグループはいくつもあるけれど、極め付きなのが Orchestre Dakar Band である。2曲収録されているが、Disc 1 のラストを飾る 'Bayilen Di Yelwane' の躍動感溢れる快活なナンバーが特に素晴らしい。もっと彼らの作品を聴きたいと思って自宅のライブラリーなどを探してみたがどこにも見当たらない。恐らく1枚も持っていないのではないだろうか。




d0010432_21592186.jpg

"Tropical Jazz de Dakar" (disques M.A.G. M.A.G. 100, ? )

 ダカールにおけるラテン音楽シーンはなかなか奥深く、知られざる名バンドは Orchestre Dakar Band に留まらない。例えば Tropical Jazz de Dakar などは昔から好きで、彼らの曲が今回のコンピに選ばれていたとしてもおかしくないと思う。この彼らのアルバムは A. Rodriguez や L. Harlow などのラテン・ナンバーが4トラック、ほか2つがギニアン・ポップという構成。'Demba Camara' という曲は73年にダカールで事故死した Bembeya Jazz のリードシンガーへのオマージュ曲で、まるでその Bembeya Jazz かのような演奏だ(このことから録音は74年頃と推測される)。




 60年代から70年代前半にかけてダカールを席巻したラテン・サウンドの魅力と面白さは Star Band de Dakar、Super Star de Dakar、Super International Band などを聴くと再認識できる。しかし、こうした数々のバンドの面々も離合集散を繰り返し、ラテンの枠を超えたサウンドを模索し続けることになる。それは西アフリカの伝統音楽だったり、ジャズだったり、あるいはロック、ソウル、ファンク、サイケ、ポップだったりと様々で、代表格は Orchestre Baobab、Star Number One de Dakar、Etoile de Dakar などだ。一方、ラテンにばかり固執した者は時代に着いてゆけず、ファンも離れていき、結局生き残れない。そして80年代に向けていよいよンバラの時代になるののだが、その萌芽は "Afro Latin Via Dakar" や "Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall / Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" からも聴き取れる。

(80年代に脱落した筆頭が Baobab なのだが、時代は巡って90年代末に Africando が登場、90年代末にはその Baobab が再結成して世界を席巻するという現象も興味深い。)




d0010432_21594141.jpg

"L'Orchestre N'Guewel de Dakar / Xadim" (Salsa Musique / Discafrique DARL 008, ? )

 ンバラの未復刻音源もまだまだ残されていて、どなたかが「ラテンからンバラへ」といったテーマで文章を書いたり、音源をコンパイルするのも面白いだろうと考えている。N'Guewel de Dakar のこのセカンドもンバラの知られざる名盤の一枚。特に素晴らしいと思って愛聴している大きな理由のひとつは、ハイライフ・サウンドをたっぷり堪能できること。ダイナミックかつ柔らかなホーン・セクションのアンサンブルがとにかく素晴らしい。こんなハイライフとンバラのミックスなんて他にはないだろう。

 ただこのアルバムを単独でリイシューすることは考えにくいことだろう。などと思っていくつか CD をチェックしてみたら、ファースト・アルバム "N'Gewel International de Dakar" (Soumbouya Musique DA 002) から1曲 'Laaga' が、コンピレーション "African Pearls 4 : Senegal - The Teranga Spirit" (Syllart 6131572) に収録されていた。ただし、残念ながらこのファーストにはセカンドほどの魅力は感じられない。

 ところで、 "Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall / Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" のライナーノーツを読んで知ったことがまたひとつ。N'Gewel International de Dakar は Idy Diop らの Le Sahel から派生したグループだという。どおりでいいバンドな訳だ。やっぱりみんな繋がっている!


Discography of L'Orchestre N'Guewel de Dakar





[PR]
by desertjazz | 2011-07-19 00:00 | 音 - Africa

Fela Ransome Kuti on Ebay

d0010432_18104850.jpgd0010432_18103857.jpg

Fela Ransome Kuti & His Koola Lobitos / 'Onifere No. 2', 'Oyejo'

 昨晩は仕事が長引き深夜に帰宅。何となく毎日0時にブログを更新してきたが、その時間までにはさすがに何も書けず、後は朝方まで録りだめした美術番組やら、サッカー中継(コパアメリカ、女子W杯)やらを観ていた。その合間に Ebay もチェック。と言うのも、滅多に見ない Ebay で先日フェラ・クティの珍しいシングル盤を見つけ、その終了時刻が迫っていたから。落とせる値段ではないだろうし、リイシューCDもあるのだから無理はせずに傍観。ちなみに落札価格は51ドルだった。意外と安かった?のは盤質が VG- だったせいもあるのだろう。レーベル面がキレイだったので、画像のコピーを残しておくことにした。

 しかし、こんなフェラの最初期の激レア盤が出てくるとは驚いた。たまには Ebay も見てみるものだなぁ。





[PR]
by desertjazz | 2011-07-18 18:00 | 音 - Africa

◆ Kaushiki Chakrabarty (6)

d0010432_22172285.jpg

Kaushiki / "Kaushiki" (Sense World Music 097, UK, 2007)

 コルカタ生まれの北インド古典音楽の若き歌い手、カウシキ(コウシキ)の第6アルバム。 これは傑作 "Pure" と並ぶ彼女の代表作/最高作である。

(私が初めてインドを訪れたのは 2008年の2月末で、滞在したコルカタで北インドの古典歌唱の魅力にハマり、帰国直後に出会ったのがこの CD だった、という点でも思い出深いアルバムにもなっている。)

 だがこのアルバムはやや特殊な作品でもある。まず(1)3枚組という大作である。そしてその Disc 1 が(2)スタジオ録音、(3)通常と異なる楽器編成、(4)北インド/南インド双方のスタイルで歌っている、(5)短めの楽曲ばかり、といった特徴をもっている。

 それぞれ補足しておくと、(1)彼女が3枚組を出すのはもちろん初めてのこと。(2)これまでほとんどライブアルバムばかり出してきたのに対して、ここではスタジオ録音である分、カウシキのより生々しい歌声を堪能できる。残る2枚はライブ録音で、毎年1月にインド・アーメダバードで開催される Saptak Festival での実況録音。こちらでは普段のスタイルのライブ・パフォーマンスを楽しめる。(3)通常はハルモニウム、タブラ、タンプーラの3者に伴奏されるが、この録音ではバイオリンやいくつかの打楽器など様々な楽器が加わることで艶やかなサウンドになっている。(4)ひとりの歌手が、北インド(ヒンドゥスタニ Hindustani)と南インド(カルナティック Carnatic)の両方の音楽を歌い分けることは余り例のないことだそうで、この点でも本盤は話題になった。

 こうした豪華で贅沢な試みがなされたのは、英レーベル Sense からの前作 "Pure" (2005) が BBC World Music Award を獲得したのに気を良くした Sense 側の意欲の現れと見てよいだろう。タイトルがずばり "Kaushiki" であることにも、カウシキ本人とレーベルの本気度が汲み取れる。南北両スタイルの様々な楽曲を歌わせることで、カウシキの圧倒的才能とその多面性を示したかったに違いない。

 注目の Disc 1 で取り上げられているのは、ドゥルパッド Dhrupad、カヤール Khayal、タラナ Tarana、ダドラ Dadra、バジャン Bhajan などの諸形式の曲。これらを聴くと、確かにインド音楽門外漢の耳にも、卓越したテクニックや多彩や表現力は十分伝わってくる。ただ、どのトラックも割合短めなために、ダイジェストを聴かされている気分にもなってくる。じっくりジワジワ熱くなる長尺トラックのないことがちょっと物足りない。どれも絶頂感に辿り着く前に終わってしまうのだ。1時間ノンストップのパフォーマンスが当たり前のインド古典に馴染みない方にとっては、最初に聴くのに相応しいアルバムとも言えそうなのだけれど。

 それでも Dhupad (1)(2) の冒頭の気怠そうで幻惑的な第一声からして、もう素晴らしいの一言。ズルズルとヤバイ世界に引きずりこまれてしまう。続く Khayal (3)(4) では一瞬いつもの昇天感に浸ることができる。天頂まで抜けていくような声に心打ち震えるばかりだ。話題になった南インド・スタイルはヴァルナム Varnam (5) やティラナ Thilana (7) で聴けるのだが、素人耳には、フォーマルな歌唱になっている分だけ硬さが残っていて、北のラーガを歌うときの伸びやかさや可憐さが足りないように感じてしまうのだがどうだろう。それでも (7) の超高速フレージングなどは神業的で圧巻だ。

 この3枚組アルバム、カウシキの歌に真剣に対峙する時間や気力のないときでも、彼女の魅力や多面性を楽しめることから、各トラックが短めの Disc 1 ばかりをついつい聴いてしまう。よって Disc 2 と Disc 3 は聴き込んでいなくて、割合印象が薄かった。だが改めてじっくり聴いてみたら、他の作品と同様に申し分のない素晴らしさだった。Disc 2 は4パート構成の1時間強で、32分を超える (2) でゆったり空気をカウシキ色に塗り込めた後、続く (3)(4) でいつものごとくたっぷり昇天させてくれる。やっぱりカウシキの神髄はこうしたライブにあり!

 Disc 3 は 23分の Thumri のみを収録。テンション極まった耳をこうしてクールダウンさせるような構成はいつも通り。こうした組み合わせが普段のライブのレパートリーなのかも知れない。


 待ちに待ったカウシキの日本公演(富山県南砺市福野、東京、大阪)まで約1ヶ月。今回の初来日公演が、Disc 1 のようにショート・ヴァージョンを並べたダイジェスト編成になるのか、Disc 2,3 のようにインド国内と同様1時間一本勝負がメインとなるのかも、今から興味津々である。




 さて、カウシキの全アルバム・レビュー、約3ヶ月振りにやっと懸案の "Kaushiki" まで辿り着いたのだけれど、やはり上手い具合に書き上げることができなかった。残るは2枚。来月に迫った日本公演までに書くことは難しいかも知れない。


(2011.08.12 追記&修正)





Kaushiki Chakrabarty (1)
Kaushiki Chakrabarty (2)
Kaushiki Chakrabarty (3)
Kaushiki Chakrabarty (4)
Kaushiki Chakrabarty (5)
Discography of Kaushiki Chakrabarty Desikan




[PR]
by desertjazz | 2011-07-17 00:00 | 音 - Music

Macaco x Youssou N'Dour

 昨日15日は休暇をとって自宅の大掃除。集中して行ったのはリビングルーム。今年後半はホームパーティーを開く機会が増えそうな様相なので、そのためのレイアウト変更をやってみた。オーディオシステムなどの配置がえもしてみたのだけれど、それに合わせてケーブル類全てをぬき磨き直して配線のし直し。いくつか不便になった部分もあるけれど、全体的には概ねスッキリ。これまでよりもスピーカーからの出音がストレスなく広がるようになったことも心地よい。

d0010432_19571691.jpg

 BGM として iTunes から流したのは Youssou N'Dour のレゲエ・アルバム "Dakar-Kingston" や Vieux Farka Toure の新作ブルース・アルバム "Secret" など。暑い日にはこんな音楽を聴きながらだと作業がはかどる。Youssou は個人的には過去の人といった印象を持ちつつあるのだけれど、声そのものは今も好きだな。"Dakar-Kingston" を聴いて Etoile de Dakar のビートのパッセージがレゲエのビートと親和性があることに感ずいたりも。

d0010432_19574222.jpg

 その Youssou N'Dour、スペインの Manu Chao 的スタンスでミクスチャー・ミュージックを発信しているマカコ Macaco の新作にゲスト参加していることに気がついた。'One Step' という、これもレゲエ・ナンバーで、マリのウム・サンガレ Oumou Sangare と一緒に歌っている。

 Macaco の新作はスペイン/ブラジル/アルゼンチンという3ヴァージョンあって、それぞれ収録トラックが微妙に異なっていることが悩ましいところ。一番安い(¥1000以上)アルゼンチン版 "Mensajes Del Agua" を買ったのだけれど、これではブラジル版 "Moving" に入っている Marcelo D2 参加曲が聴けない。

d0010432_2004098.jpg

 なお 'One Step' は昨年6月にシングルとしてリリース済みのようだ。



 こんな音楽を聴きながらダラダラ汗を流して動きまわっていたのだけれど、ドアと窓を全開にすると西風が吹き抜けてエアコンなしで過ごせる。夕方西日が強くなるとさすがに暑さを感じたので、温度計を見ると33.5℃。エアコンを一年間使っていないことに不安を覚えて試運転がてら電源を入れてみたところ、問題なく動いたことにひと安心。

 冷んやり涼しいのは気持ちいいと思ったのだけれど、やっぱり身体が変な冷え方をしているように感じられて、20分くらいで止めてしまった。夕方また西風が強まると、それだけで涼めるし。熱帯アジアやアフリカに繰り返し行っているうちに(約30回中、45℃以上の砂漠での滞在も何度か)、暑さには馴染んでしまって、他の人ほどには暑さを苦にしなくなっているのかも知れない。




 リビングルームのレイアウト変更にひと区切りついた後は、レコードとCDの並べ替えを少しだけしたのだけれど、毎度のごとく忘れていた盤がいろいろ出てくる。"Afro Latin Via Dakar" に関するものもまた見つかって、あれこれ追記したくなる。

d0010432_2019416.jpg
"Fonseca Roi du Rythme Afro-Cubain et ses Anges Noirs" (Bolibana BIP 320, 2002)

 とりあえずひとつだけ紹介。フォンセカ Fonseca の CD が見つかった。それもシールド盤だったので、それだけ彼を評価していなかったんだな。けれど封を切って聴いてみたら、どれも完成度の高いラテン・ナンバーのように思えてきた。これが彼のサウンドが愛された所以なのかも知れない。個人的にはハイライフ・ナンバーの 'Whisky and Soda' が気に入った。

d0010432_20412554.jpg

 ネットで探したら、こんな EP を見つけた。デザインがクール!

 
 今度の休みにはレコード整理の続きをしたい。きっとまた何か「発掘」できるだろう…?





[PR]
by desertjazz | 2011-07-16 00:00 | 音 - Africa

DJ