<   2012年 11月 ( 25 )   > この月の画像一覧

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 Goran Bregovic や Vinicius Cantuaria 以外の新作も最近いろいろ聴いている。主立ったアルバムを並べるとざっとこんな感じ。例年通り秋は新作ラッシュで聴いておきたい作品が多い。

・ K'Naan "Country, God or the Girl"
・ Dionysos "Bird'N'roll !"
・ Ukandanz "Yetchalal"
・ Shurik'N "Tous M'appellent
・ Les Ogres de Barback "La Fabrique A Chansons"
・ Bjork "Bastards"
・ Brian Eno "LUX"
・ Kuniyuki Takahashi "Feather World"
・ Sekouba Bambino "Diatiguyw"
・ Ernesto Tito Puentes "Gracias"
・ Partimpim "Ties"
・ Haifa "MJK"

 中でも気に入ったのは、フランスのロックバンド Dionysos の7作目とエチオロック・バンド Ukandanz のデビュー作(?)。Dionysos のポップなサウンドには耳が病み付きなっていて、マルセイユで観た徹底的に楽しませる完璧なステージも脳裏に浮かぶ。
 
 Ukandanz はパリでサンプル盤をいただいて(だから褒めるわけじゃないが)、聴いた瞬間その荒々しさに惚れた。ここまでワイルドにロックしているエチオピークってこれまでなかったはず。増え続けるエチオピーク・バンドの中で、個人的には一番の好みだ。間違いなく第一級のライブバンド。間もなく日本にもディスクがドッと入ってくるはずで、これは大きな話題になるだろう。




 そして今年の秋最大の話題作は、やっぱりこれ!

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・ Sufjan Stevens "Silver & Gold"

 スフィアン・スティーブンス、6年振りのクリスマスソング集、5枚組(写真後方は 2006年にリリースした "Songs for Christmas : Singalong - Vol.1 - 5")。

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 ボックスを開けると、5枚の CD の他に、84ページもあるフルカラーのブックレット(写真も画像も文字も満載)やら、大量のステッカーやら、ポスターやら、組み立て式の立体フィギュアやら。大量消費主義時代のアメリカ人然としていて全くエコじゃない。さすがにこれはやり過ぎでしょう。いやいや、これはクリスマス・プレゼントということで、大目にみるべきか?

(肝心の音の方、5枚を一気に聴いてみた。クリスマス・アルバムなので当然なのだが、彼のユダヤ的?資質が出過ぎているようで、非キリスト教徒が聴くには分量が多すぎかとも…。)







 今日から北海道へ。またしばらくネットから離脱します。


(モロッコとフランスで入手した CD を聴き終えて、そろそろモロッコの7インチ盤の山に取りかかりたいのだけれど、いまだに手がつけられず。12月はスケジュールがギッシリ。衆議院選挙もあるし、サラウンド・ミックスの依頼もきたし、CD 作る相談もある。今読んでいる本は山積みで、年末捨てる作業も進めたく、忘年会と新年会についても打ち合わせ中。どうやらシャービ/ベルベルの7インチ盤をじっくり聴くのは、旅の記録の整理なども含めて来年になってしまいそうだ。)





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by desertjazz | 2012-11-29 00:00 | 音 - Music

<MM14> Houcine Slaoui (6)

<Moroccan Music 14>

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 ホースゥィン・スラウィ Houcine Slaoui の 仏AAA盤 LP のジャケットと収録トラックが判明。

"Hocine Slaoui / 20 années de succès"
  (Les Artistes Arabes Associés / Club du Disque Arabe CDA 72.526)

 Side A
 1. Aita Badaouia (紫盤 Tr.2)
 2. Azin Oualain (紫盤 Tr.4)
 3. Ayamna (紫盤 Tr.9)
 4. Moudhicat Essahra (紫盤 Tr.11)
 5. Mihla Nzaha (紫盤 Tr.6 ?)
 6. Hal Kas Hlou (紫盤 Tr.7 ?)

 Side B
 1. Ahdi Rassak
 2. Yal Cahla (紫盤 Tr.3 ?)
 3. Alala Ilali
 4. Sidi Lahbib (紫盤 Tr.1)
 5. Essania Ouelbir (紫盤 Tr.8 ?)
 6. Ben Omran


1)黄文字 はモロッコ盤 CD との対応結果(照合中)。

2)30歳で亡くなっているのに『成功の20年』とは大したLPタイトルだ。だけど実際10代の初め頃から活躍したので間違ってはいない。ジャケットは面白味のないものだった。

3)収録トラックの中には未入手曲があるかもしれない。詳しくはこれから調べるつもり。

4)どうやら 'Aita Badaouia'、'Ahdi Rassak'、'El American' などが彼の代表曲のようだ。


 モロカン・シャービの父について少しずつ分かってきた。さらなる情報をお待ちしています!(→ desertjazz@gmail.com )


(アルバムタイトルや収録トラックに関して、東京都の杉藤さんからデータをご提供いただきました。どうもありがとうございました。)





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by desertjazz | 2012-11-28 00:00 | 音 - Africa

New Disc : "Leila Mourad"

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 パリ、マルセイユ、ドバイ、あるいはモロッコ各地ではアラブ音楽の CD が大量にしかも安く売られている。今回はマラケシュでレイラ・ムラッドの見たことのない CD を目にした。彼女のアルバムは見つければ買っているので、今回も入手して聴いてみた。

 レイラ・ムラッド Leila Mourad (Layla Mourad : 1918 - 1995年) はモロッコをルーツに持つユダヤ系エジプト人の歌手/映画女優。エジプトの古典音楽を代表する大歌手で、一時はウンム・クルスーム Umm Kulthum のライバルとさえ目されながらも、1963年に45歳で引退(彼女の履歴は各文献に詳しいので詳細は割愛)。

 タイトル不明(アラビア文字なので判読不能)のこの CD を聴いて、歌が抜群に上手いと改めて思ったことは言うまでもない。もちろん芳醇なオーケストレーションも楽しめる。録音状態も上々なので彼女の活動期の中では後期の作品集なのだろう(映画の挿入歌のようなトラックもあり)。

 おやっと耳がそそり立ったのは、時折ジャズっぽいアレンジやラテン的なアレンジが流れた瞬間。特に3トラック目のイントロには驚いてしまった(もしかしたらエンジニアはそこを意識して、ウッドベースが際立つようハムが目立つくらいに低域をブーストしたんじゃないだろうか)。昔のエジプト音楽にはこんなモダンな面もあったんだったか? 考えたらエジプト音楽は久しく聴いていないな。

 モロッコとパリではアルジェリア音楽(カビールなど)やアラビアンポップ(湾岸系など)の CD もまとめ買いしてきたので、今回の入手盤はまだ半分程度しか聴けていない。そのような状況ながら、レイラ・ムラッドの歌声を久し振りに耳にして、エジプトの古典音楽もじっくり聴き返したくなっている。






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by desertjazz | 2012-11-27 00:00 | 音 - Music

Urban Griot - Toko Blaze

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 トコ・ブラーズ(ブレイズ)Toko Blaze、本名 Christian Vlei、はマルセイユのレゲエ&ラガ・シンガー(1973年生まれ)。アフリカ系フランス人で両親はカメルーンとコートジヴォワールの家系らしい。マッシリア・サウンド・システムの Papet J と Tatou に見出され活動を続けるうちに、マルセイユを代表する MC に育っていった。

 Wadada、Black Lions らとのミニ・アルバム "Toko Blaze e Black Lions - Wadada" (1994年) を経た後、これまで "Guest Star : Official Ragga Tchatche" (2002年) 、"Rythm'N'Tchache" (2006年) 、"Ruff Tuff" (2006年) 、"Urban Griot" (2009年) の4枚のソロ・アルバムをリリースしている。

 ゲスト参加も多数("Guest Star" なんてタイトルのアルバムをリリースするくらいだから)。初期の Oai Star では Gari、Lux B とともにフロント MC を担ない、Dupain の傑作(最終アルバム)"Les Vivants" での歌声も鮮烈だった。(ちなみに、先に「ワイスターは解散」と書いたが、先日 Gari Greu 本人に確認したところ、来年出す新作を現在レコーディング中とのこと。)

 他に "L'Homme Qu'on Appelle ... : Toko Blaze 1990 - 2010" (2010年) というアルバムもリリースしているが、これはタイトルから分かる通り活動20周年を記念したベスト盤。Dupain の Sam Karpienia が絶唱する 'Santa Maria' なんてトラック(これが実にいい!)もあるので、オクシタン圏の音楽に興味のある人にとっては見逃せない作品集だと思う。

 Toko Blaze の音楽はレゲエ・ベースでありながら、絶対誰にも真似することが出来ないオリジナリティーがある。まるでオウムか九官鳥がチャッチ(Tchatche:おしゃべり)するかのような個性的な声質にも、切なく美しいポップなメロディーにも、優しくセンチメンタルなレゲエ&ラガ・サウンドにも、独特な味わいがある。そんな Toko の Tchatche Music が大好き。自分にとっての超定番のひとつだ。なので、もちろん彼の作品はずっと集めて聴き続けている。



 ところが、不思議なことに "Ruff Tuff" も "Urban Griot" も "L'Homme Qu'on Appelle ..." も CD が市場には全く流通していない。"Ruff Tuff" は6年前にマルセイユで彼に会ってインタビューしたときに、マネージャーがサンプルとして持ってきたものを買い取って初めてその存在を知った。けれどもその後このレゲエ・アルバムを見かけたことは一度もない。"Urban Griot" と "L'Homme Qu'on Appelle ..." は iTunes などでデジタル・ダウンロードは可能なのものの、やはり CD の現物を見たことはない。もしかすると CD でのリリースは行っていないのかも知れない。

 大好きな音楽は mp3 の圧縮音源ではなく CD の音で聴きたいし、スリーブ付きの CD で持っていたいとも思う。それで今回マルセイユに行く前に Toko に連絡してみると、なんと CD のストックがあるって言うじゃないか! ますます謎が深まる。

 自分が惚れた音楽はなるべく多くの人にも楽しんでもらいたい。今回の旅行は CD を余分に買ってくる時間的?体力的?精神的?余裕が幾分かあったので、"Urban Griot" など3タイトル、友人への土産用やエル・スールに頼まれた分もまとめて Toko 本人から買ってきた。"L'Homme Qu'on Appelle ..." は今回買い取った盤がエンドストックでもう残りはないそう(ただし、あるのは2枚組 LP だけだと言っていたのに、持ってきたのは CD だったので、この話少々怪しい)。

 さて帰国して、これまで mp3 でしか聴くとのできなかった "Urban Griot" と "L'Homme Qu'on Appelle ..." を CD で聴き直しているのだけれど、本当にいいなぁ("Urban Griot" には全歌詞が掲載されている。拾い読みしたところ、西アフリカを舞台にした曲が多かった)。ポップなんだけれど、哀感も漂う。とても心地よくて、やっぱり大好き!

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 Toko Blaze は現在新作を準備中で、私がマルセイユに滞在した時もレコーディングの最中だった。タイミングが合わず、レコーディングに立ち会えなかったのは残念だったけれど。その新作、"Bleu de Shanghai" からは 'My spoken is blue' がすでにネット上で公開されている。この曲もしっとりした歌い口で好みだなぁ。

Toko Blaze & Rastyron "My spoken is blue"
Toko Blaze & Rastyron "My spoken dub is blue" Episode 2

 新作では今回も Sékou Kouyaté が何曲かギターをプレイしており、ンゴニ・プレイヤーや南アの女声シンガーもゲスト参加しているという。現在のところリリースは来年の4月か5月頃になる予定。彼のライブは観たことがないので、いつだったらチャンスがあるか訊いてみたところ「アルバムが完成したら来年の Fiesta des Suds には出たい」とも話していた。「出来上がったら送るよ」と言ってくれたこの新作、正式リリースが待ち遠しい。




http://tokoblaze.com/
Discography of Toko Blaze





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by desertjazz | 2012-11-26 00:00 | 音 - Music

Urban Indio - Vinicius Cantuaria

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 昨晩に続く話。

 Goran Bregovic の華やかなステージでスタートした今回の(自称) Grand Tour、話は一気に飛んで帰国前夜、パリで最後に観たのはニューヨーク在住のブラジリアン、ヴィニシウス・カントゥアリア Vinicius Cantuaria だった。ヴィニシウスは大好きなミュージシャンのひとり。そろそろ欧州やマグレブの音から離れて、彼のライブを聴きながら日本に戻る心の準備をするのも悪くない。

 訪れたのはパリ1区にある店(名前は何だったかな? 後で調べます)。客が50人も入ったら一杯になってしまいそうな小さなハコでの3連夜のファーストセットを観てきた。ヴィニシウスのエレキギターに、ピアノ、ベース、ドラムの加わったクァルテット編成。ヴィニシウスは自身の内なる音を探るかのように弦を柔らかく撫でる。ギリギリ最小限の音のみで何かを伝えよう、表現しようとするかのよう。対するトリオの演奏も悪くはないのだが、ヴィニシウスと比較すると普通に聞こえてしまう。ヴィニシウスのギターの音量も余りに低すぎて、いろいろ不満も残るステージだった(店の客入れが拙かったりと問題だらけ)。

 ヴィニシウスの音楽は、都会生活者の寂寥感のようなものが漂っていて、秀でた現代的アーバン・サンバでもあり、思索的に耳を傾けられ、頭を空っぽに開放しても聴け、ぐっと体温を落とした Caetano Veloso といったようにも表現したくなる。個人的にはそのようなところが気に入っている。アル中だかヤク中だか分からないような(失礼!)風貌で現れたヴィニシウスの、パリでの歌とギターからも同じような印象を受けた。



 店内ではリリースされたばかりの新作 "Indio de Apartamento" が売られていたので即購入。帰国後も繰り返し聴いている。坂本龍一、Norah Jones、Bill Frisell など多彩なミュージシャンとのデュオ集といった色彩。坂本と共演した1曲が6分半あるのを除くと、他は1〜4分台で、わずか1分で終わる曲もある。10曲全部合わせても30分に満たないので、さながら小篇集とも言えるか。ヴィニシウスが描く美しいデッサンに触れるかのようなアルバムだ(Jesse Harris との 'This Time' がまるで James Taylor のような健全さ?で異質なのだけれど)。

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 セットの合間にヴィニシウスと立ち話しながらサインをいただいた。「今年日本で公演されましたよね。また日本に来てください」と声をかけると「一度ブラジルに戻った後、来年6月にまた日本に行くよ」と答えてくれた。今年 Bill Frisell とやった日本公演は観られなかった(大阪には来なかったんだよなぁ)ので、この話が本当ならばとても楽しみ。




 現役のブラジル人ミュージシャンの中で一番好きなのは、女性では Adriana Calcanhotto、男性では Seu Jorge。そしてそれに次ぐ2番目は Vinicius Cantuaria かな。Adriana は Partimpim 名義の3作目 "Ties" を先日届けてくれたし、Seu Jorge も間もなく新作 "Musicas Para Churrasco Ao Vivo Vol.1"(2CD & 2DVD)をリリース予定。どうやら今年の冬は大好きなブラジル音楽を楽しめそうだ。






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by desertjazz | 2012-11-25 00:00 | 音 - Music

Crazy Champagne by Goran Bregovic

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 ( ↑ click : Fiesta des Suds, Marseille, 2012.10.19)


 1ヶ月近くにわたった今回の旅、最初のマルセイユでの Fiesta des Suds 初日にゴラン・ブレゴヴィッチ Goran Bregovic を観られたのは幸先よいスタートだった。

 自分のジプシー音楽嫌い(とベリーダンス嫌い)は仲間うちではすっかり知られてしまっている。いや、嫌いなのではなくて、単に苦手なだけ、生理的にどうも受け付けないのです。昔コチャニはフランスで観てきたし、タラフもちょっとした仕事をしたことがあるので、魅力あることは十分に理解している。だけど積極的に聴きたいとは思わない。

 そんな固定観念(食わず嫌い?)が砕け散ってしまいそうなほどゴラン・ブレゴヴィッチのステージは素晴らしかった。「まあジプシーだからなぁ…、一応観ておくか」と軽い気持ちで中盤から観たのだが、独特な腰の強さをもったノリのビート感に即座にもっていかれた。快楽、快楽。

 一般的にジプシー・オーケストラは金管楽器の数が多いので、どうにも平板に聞こえてしまう。対してこの日のゴランたちの演奏には、ドラムを中心に生み出されるベースラインがしっかり感じられた。なので、ジプシー・ブラスやエレキギターやブルガリアン風女声コーラスなど、同系とはいえ様々な音がそこに重なっても決して空中分解しないのだろうか。


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 そうした傾向をさらに押し進めているように見受けられるのが最新作 "Champagne for Gypsies" だ。The Gypsy Kings や Gogol Bordello の他にも非ジプシー系のゲストを招いてバラエティー豊かな内容となっている。もちろん The Wedding And Funeral Orchestra の演奏もとても気持ちがいい。これならジプシー音楽門外漢の私でも楽しめる。

 現在自宅でヘビーローテーション中のこの新作の中でとりわけ気に入っているトラックは、ライブ録音の 'Bella Ciao' と 'Balkaneros' だな。Fiesta des Suds での 'Balkaneros' で高揚感、アンコール・ラストの 'Bella Ciao' での会場の酔狂は忘れられない。彼を観に約15000人!入ったそうで(ホントか?)、自分はほとんど最後方で眺めていたのだけれど、一緒に行ったRさんとOさんによると、前方は「かなり危険だった」そう。

 マルセイユのフェスで2時間演奏したのはゴランともうひと組だけだった(後者のステージも素晴らしかった! 後日リポート予定)。たしかに特別扱いされるだけのことはある。これほどのステージなら改めてフルセットで観てみたい。ただし友人の話によると「ギャラが高すぎて日本に呼ぶのは無理」とのこと。やっぱり凄いもん観ちゃったんだなぁ!


 'If you don't go crazy, you're not normal.' Goran Bregovic

 Yes ! I'm gonna crazy !







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by desertjazz | 2012-11-24 00:00 | 音 - Music

<Moroccan Music 13>

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 2年前のモロッコ旅行の際、マラケシュの CD 店でハジャ・ハムダウィア Hajjda Hamdaouia の "Mnin Ana O Mnin Anta" をジャケ買いし、日本に帰ってからもよく聴いた。彼女は「モロッコ独立時に国民の声を代弁するような歌を歌い慕われたベテラン女性歌手」だそう(参考)。

 そして今回再訪問したマラケシュで同様なスタイルの歌い手はいないものかと探して見つけたのが、ファトナ・ベント・ルホウスィン Fatna Bent L'Houcine の CD "La Legende" だ。

Fatna Bent El Houssin "La Legende" (AMD 6111245623009, 2012)

 ファトナ・ベント・ルホウスィン (1935 - 2005) はシャービの最も古いスタイルのひとつであるアライタ Al'aita を代表する女性歌手で、とても人気が高かったらしい。彼女自身が演奏している?ベンディール、ダフ、ヴァイオリンに時折女声コーラスやカヌーンやウードも加わる。素朴で地味な古いスタイルのシャービだけれど、力強い歌声に聴き惚れる。本当に素晴らしい。ハジャ・ハムダウィアも良かったけれど、ファトナはさらにいいんじゃないだろうか。この CD は出た直後らしく、これを手に入れることができたのは幸運だった(エディットに欠点もあるが、録音自体はかなりいい)。

 ファトナをアルジェリアの歌い手で喩えるならリミティー Cheikha Rimitti のような存在と言えるだろう。演奏スタイルといい渋い歌声といい、互いに似たもの同士。そして彼女を思いっきり派手に厚化粧すると(見た目じゃなくて、アレンジのことね)ナジャット・アタブー Najat Atabou になる?

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 今、モロッコ音楽を集中的にいろいろ聴き続けているが、Abderahim Souiri のような芳醇なアラブ・アンダルース音楽や、Houcine Slaoui や Fatna Bent L'Houcine のような原初型シャービが、どうやら個人的には一番の好みのようだ。





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by desertjazz | 2012-11-23 00:00 | 音 - Africa

<Moroccan Music 12>

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 「マラケシュだったらこれがいいよ」と CD 店で薦められたのが Archach(アルチャハとでも発音するのだろうか?)の "Assad Lfou" 。ボケた印刷、ダサいデザイン、どう見たってこれはハズレだろうと思いつつも、店員の気分を乗せるためもあって素直に買ってみた。

 Archach は、詩を愛するベルベル系の家庭に育った詩人 Archach こと Moulay Ali Chouhad (1957 - ) を中心とする5人組。1979年の結成以降、毎年のようにセルフ・プロデュース作をリリースしているという。バンジョーを軸に、ギター、ゲンブリ、ベンディール(フレームドラム)などの3つほどの太鼓による演奏と、ユニゾン・コーラスによって構成される。

 この CD も中国古典箏曲を思わせるような響きのバンジョーの音で始まり、緩い歌が延々続く。2トラック目は長い詩の朗読。思った通り退屈だなぁ〜、と思っていると、バンジョーにブルース・フィーリングが帯びて来て、次第に不思議なグルーヴ感が漂ってくる。

 コーラスの素人っぽい揺れ方もあって、同好サークル的にも、フォーク的にも聞こえるベルベル・ブルース? これはモロッコのティナリウェンか? いやいや、さすがに褒め過ぎだよな。モロッコにもいろいろな音楽があるものだと思った次第です。


(アップ直後に "The Rough Guide to World Music - Africa & Middle East" を開くと、'Berber Power' の項 P.256 に紹介されていた。やはり有名なグループらしい。ただしこのブログで取り上げるかは迷うレベルだった。今度の旅で出会い楽しんだ音楽、本題はこれからです。)





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by desertjazz | 2012-11-22 00:00 | 音 - Africa

Holiday in Tokyo (break again)

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 モロッコ盤の話はひと休みして、たまには日記。昨日20日は休暇を取って諸々の所用をこなす。

 久々外食。ランチと言うか早めの夕食と言うか、代官山の Table Ogino へ。フレッシュ野菜のニース風サラダ、仔牛挽き肉のカレー、しめじのポタージュ、柿とチーズムースのミニパフェをいただきました。オキヨシさんとマルセイユについて語り合いながら、おいしくいただきました。

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 夜、渋谷クアトロで Seun Kuti & Egypt 80 公演。やっと観れた! やっぱり凄かった! インスト1曲の後でシェウンが登場し、'Zombi' で肩ならし。中盤以降の重い音塊に圧倒される。ついつい最近ライブを観たばかりの Antibalas と比較してしまうのだが、バンド・サウンドをコントロールするカリスマがフロントにいるかいないかの違いを痛感。

 約1時間40分。それにしても、これだけ客の詰まったクアトロは久し振りだった。このところ身体が冷えて体調が優れなかったが、立っているだけで汗をかき、ずいぶん楽になった。終演後、エル・スールの原田店主と渋谷 Li-Po に流れ打ち合わせ? シェウン御一行の打ち上げと合流する話?だったが連絡つかず。

 深夜で帰宅し、メールをチェック。マルセイユの Fiesta des Suds からも1本。来年以降のことについて相談が続きそう。






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by desertjazz | 2012-11-21 02:00

<MM11> Moroccan Raps

<Moroccan Music 11>

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 モロカン・ミュージックをサーヴェイしよう、ということで週末はモロッコのラップ/ヒップホップ盤をまとめ聴き。

 'Matl3bchi M3aya 9afez'(どう読むんだ?)などのヒット曲のある Muslim や新作 "Bach Jay Bach Dayr" がチャートイン中の SiSimo(これが正式な綴り?)が人気を博しているらしい。確かに Muslim には時折ハッとするアレンジのトラックもある。第二のフナイール Fnaire を期待して彼らと同じマラケシュ出身はとCD店で尋ねると Mwanssa がお薦めだという。だが凡庸。

 その他コンピなども数枚聴いたのだが、総じてギャングスター/ハードコアなものは少なく、割合メロウなフローが目立つ。どれも聴きやすいのだが、残念ながらアメリカやフランス、あるいは南ア、ナイジェリアなどに対抗できるものは見つからず、モロッコらしいオリジナリティーも感じられなかった(もちろんリリックは全く分からずに聴いた感想だが)。

 言い換えるならば、モロッコの伝統的な音素の数々を大胆に取り込み、なおかつ世界水準のサウンドを構築することに成功したフナイールがいかに突出した存在なのか。先日リリースした5年振りの3作目 "Al Basma" も前作 "Yed El Henna" には至らないが見事な出来映えだった。なぜマラケシュからフナイールのような素晴らしいグループが生まれ出たのか自ずと興味が湧いてくる。どうらや彼らは現在もマラケシュに住んでいるらしい。時間があれば会って話を聞いてみたかった。






 帰国前にパリでイスラエルのヒップホップ盤も買ってきた。だが、パレスチナ/ガザとイスラエルの緊迫化した対立の報道を追っていると、これらを聴く気が全く起きない。こんな愚かな殺し合いを一体いつまで続けなきゃいけないのだろう?






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by desertjazz | 2012-11-20 00:00 | 音 - Africa

DJ
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