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 インディ・ザーラのセカンド・アルバム "Homeland" は実に素晴らしかった。2015年のベストにも迷わず選んだ。ジャケット写真通りの陰りのあるアーシーな空気感と、ダークで妖艶な音世界が圧倒的だった。

 彼女を知ったのはファースト・アルバム "Hand Made" を通じてのこと。どことなくオリエンタルな雰囲気を感じさせる彼女の顔にまず惹かれた。ヒットした "Beautiful Tango" も勿論好きになった。しかし、"Homeland" はファーストを遥かに超える作品。まるで別人のアルバムかのように聴こえたほどだった。

 それ以来、これはライブでも体験すべきと思い続けることに。

 しかしその後、彼女のライブとはニアミス続き。昨年11月の旅行でもパリのアラブ研究所でのライブを見つけたものの、なんとそれはちょうどパリから日本に帰る日。彼女とはとことん縁がないのだろうか。

 今回の旅の後半は、イスタンブールに行こうか、モロッコに飛ぼうか、プラハとウィーンにしようかなどと散々迷う。それでも 24日ナントでのクロ・ペルガグをどうしても観たくて、南仏〜ナントを廻るスケジュールで確定。その前日23日はマルセイユでベニンのポリリズモ Le Tout-Puissant Orchestre Poly-Rythmo を観に行くことに。

 ところが同じ23日にナントの隣町レゼでインディ・ザラのライブがあることに気がついた。慌てて予定変更。正に粘り勝ちだ!(ポリリズモの新作 "Madjafalao" 一応買って聴いてみたけれど、退屈、、、いや物足りなかったなぁ。ネットで動画を観た限りではライブは盛り上がったようだけれど。)

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(短い旅行記)

 20日朝、パリ出発。ユッスー・ンドゥールのライブに興奮した余韻を残しながら。ラ・シオタに住むタトゥーと奥さんのマニュさんが泊まりにおいでとかねてから誘ってくれていたので、マルセイユ経由で3度目のラ・シオタ訪問。タトゥーは父親のかつての持ち家を旅行者に貸し出していて、ここに2泊。(とっても素敵な家だった。南仏旅行する方にお薦めしたい!)

 タトゥーたちと二晩呑んで語り合って、それから22日にマルセイユに移動。港やベルザンスを散歩。マルセイユは6度目か7度目になるけれど、何度来てもいいな! できれば住みたいくらい好きだ。(シャウイのレア盤もどっさり買えたし。)

 翌23日、早起きして午前8時のフライトでナントへ。ホテルでひと休みしてから、街中を散策。

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 夜、路面電車でレゼまで出かける。ナント滞在は初めてだったが、切符は簡単に買えたし、会場も難なく見つけられた。

 ライブは当然スタンディングなのだろうと思っていたら、箱はまるで映画館のような造りで全席指定席。Le Théatre Municipal という名前の建物なので、昔は映画館だったのだろうか? さて席はどこにしようと迷う。最前列に空きがあったのでそこを確保。中央列くらいの方が音的には良いのだろうけれど、折角なら間近で彼女のパフォーマンスを目に焼き付けたい。

(ブログ用の写真を撮りたくて、事前に彼女のマネージメントや仏ワーナーにコンタクトを取ろうとしたのが上手くいかず。しかし、ここなら許可など必要なさそう。一眼レフを持ってこれば良かったと思いつつも、隣の人の邪魔になってはいけないと考えて、コンパクトカメラでほんの数葉だけ。撮った写真は以下がほぼ全て。)


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 バックバンドは、ギター2人、ベース、ドラム、キーボード&トランペットの5人編成。ライブでも "Homeland" のあの独特なムードをじっくり醸し出すのだろうと思いきや、意外とロック寄りのサウンド。そのセカンド・アルバムにあったヘビーな要素を拡大した、結構ラウドな演奏が多い。とにかく、時折ジャジーになりながらもグイグイ押しまくるバックと蠱惑的なインディの歌声とのコンビネーションが印象的だった。(ギター2本のコンビネーションも良かったが、若い頃のエルビス・コステロみたいな風貌のベース奏者の自己陶酔的なプレイはちょっと…だな。)

 なので中盤で歌った "Beautiful Tango" は今の流れに沿わないと感じたほど。こんなアグレッシブなライブをやっているなら、もう "Beautiful Tango" を歌う必要はない? いや "Any Story" の暖かな歌も良かったけれど。

 さらにパワーアップしたのは、モロッコ風衣装を纏ってからの終盤〜アンコール。ほとんど歌わず、デザート・ブルース/デザート・ロック風の重いビートに合わせて、長髪を左右に振り乱してトランス状態を演出。これが一番忘れがたい。あくまでもステージ・パフォーマンスなのだろうが、煽られて熱くなるものがあった。歌ってもいないのに、サウンドの中心にあり続ける彼女の求心力は見事。さすがは 400回におよぶライブをこなしてきただけのことはある。

 "Hand Made" のポートレイトは何だかお嬢さんっぽく澄ました表情で、彼女には「隣のお姉さん」的な親近感のようなものを持っていた(よく見ると違うのだが)。しかし、これは全然勘違いだったな。ステージ上のインディは、気性の荒いじゃじゃ馬だ。

 今回フランスのレゼで遂に観たインディ・ザーラのライブは、想像とは全く異なっていた。けれども、よい意味で裏切られた。モロッコの女性ポップシンガーの中では、ウム Oum とインディ・ザラが2トップだろうと思って推してきたが、音楽的にはウムよりインディの方がずっと実力あると視た。

 インディ・ザーラ、ホントに凄い。誰か絶対日本に呼んだ方がいいよ!(プロモーションでの来日経験はあるようだが、本格的なライブを日本でもう一度観たい!)


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# by desertjazz | 2017-01-10 00:00 | 音 - Music


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 至高、緊張、寛容、温和、静寂、慈しみ、安らぎ、愛。なんと静謐な対話なのだろう。

 "Adana" は、2016年のベストに入れるかどうか迷った作品。調べてみると発売は2015年だった。しかしこれは、昨年巡り会った最高のアルバムの中の1枚。

 アルメニアのドゥドゥク Duduk 奏者ヴァルダン・ホヴァニッシアン? Vardan Hovanissian とトルコのサズ saz 奏者エムレ・ギュルテキン? Emre Gültekin が10年にわたる交友の末に、美しく結実させた成果。彼ら初のデュオ・アルバムは、まるで互いの魂を交感し合う会話のようだ。実際には多くのトラックがダブルベースやダルブッカなどの打楽器を含むカルテット編成であり、さらには数人のゲストも加わりもするのだが、ヴァルタンとエレム(彼は数曲で歌ってもいる)2人の対話のようにしか聴こえない。

 CD ブックレットの最後にはトルコの小説家オルハン・パムクの代表作『雪』の一節が引用されている。これはパムクの描く世界と通じ合う音なのだろうか。アルメニアのピアニスト、ティグラン・ハマシアン Tigran Hamasyan が奏でる音も連想させる幽玄さだ。

 
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 (2015年作ならば、New Disc と題するのはおかしいかな? でも、この作品は自分がこれまでに聴いた中で最高のトルコ圏/アルメニア圏の音楽です。)






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# by desertjazz | 2017-01-09 00:00 | 音 - Music

Sona Jobarteh Live in London 2016


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 昨年 2016年のベスト・ビデオ、個人的にはガンビアのシンガー/コラ奏者、ソナ・ジョバルテ Sona Jobarteh の "Gambia" だ。美しいメロディー、爽やかな歌声、自然と身体がスイングする心地よいリズム。シンプルな曲だけれど、その分だけ親しみやすい。そして、ソナの笑顔。人目見ただけで引き込まれてしまいそうなくらい美しい瞳。そんな彼女の美しさを抜きにしても、"Gambia" という曲とてもいいと思う。ガンビアの隣国セネガルの大地も懐かしくなって、このクリップを繰り返し楽しんだのだった。

  Sona Jobarteh "Gambia" (Official Video)

 ソナ・ジョバルテの "Gambia" はまだ CD になっていないが、彼女は 2011年に自身初のアルバム "Fasiya" をリリースしている。早速この CD を手に入れて聴きながら、いつかライブも観てみたいと考え始めていた。

 すると突然そのチャンスが巡ってきた。11月にユッスー・ンドゥールのパリ公演を観ると決めてから、同時期に予定されている欧州各国のライブ情報をチェックしていて、ソナのロンドン公演の情報をキャッチ。ちょっと強行軍になるが、ロンドンにも足を運ぶことにした。

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 (短い旅行記)

 11月12日に日本出発。ヘルシンキ経由でオランダのアムステルダムへ。アムスの安宿に3泊し、アムスとデン・ハーグで美術館巡り。長年観たかった作品の数々をじっくり眺める。訪ねていく時間帯をしっかり図って行ったので、フェルメールの代表作群含めて傑作はどれも独り占め状態で鑑賞できた。
 オランダではユトレヒト在住のマイケル・ベアードの自宅に泊めてもらえる約束だったが、彼はザンビアでのフィールド・レコーディングにでかけていて不在。マイケルとは1月にサルバドールで13年振りに再会したんだったが、「今回はマジック起こらなかったね」とメールを交わし合う。
 15日に鉄道でパリへ。ユッスーのライブを観て、翌16日、再び陸路ユーロスターでロンドンへ移動。Brick Lane のデザインホテル Premier Inn にチェックイン。ここを選んだのは、予算内で条件良いホテルの中でソナのライブ会場に一番近かったから。

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 さて、ロンドン初日。夕方、会場の Rich Mix へ。丁度リハーサルの真っ最中だったので、しばらく見せていただく。ソナの演奏を間近で観られて、まずはひと安心。日本からやって来て、ここまで辿り着けてよかった。

 実は事前にプロダクション側からは写真撮影とインタビューにOKをいただいていたのだが(「ビデオ・インタビューする?」とも)、迷った上でインタビューは諦めた。ロンドン入りが公演当日になったし、今回の旅の強行日程を考えると(約2週間で8ヶ所に滞在)インタビューするまでの余力はないと判断。

 それでも訊きたいことがいくつかあったので、リハ後ソナに「少しお話できますか?」と声をかけてみた。でも「ちっと忙しいの」と断られてしまった。残念。実際忙しそうだったし、少しナーバスになっているようにも見受けられたので、無理なお願いは遠慮することに。


 Rich Mix はキャパ 200〜300 くらいの小さな会場。彼女のロンドンでの知名度がどれくらいなのか分からないが、フロアはお客さんたちで一杯になった(ワールド系のライブでいつも思うが、ホント若い人がいないな)。そんなこともあって、撮影のポジション取りにも失敗。旅の精神的疲れが早くも出てしまい、今ひとつ音にも撮影にも集中し切れなかった。なので、気持ちを切り替えてビール飲みながら、ライブを自然体で楽しむことに決めた。

 バンドは5人編成。ソナ(歌、コラ、ギター)の他に、ギター、ベース、ドラム、パーカッションの4人。ソナの柔らかい歌と美しいコラ(さすがにテクニックは完璧)を中心に、柔らかい調べが奏でられる。なんともまろやかで心地良いサウンドだ。耳傾けていると自然と幸せな気分にさせられる音楽。もっとアグレッシブな面も見られるかと思っていたが、通して "Fasiya" で親しんだような優しいサウンドだった。これがソナの持ち味なのだろう。

 もっと大きな会場でよりライブな強いサウンドも聴いてみたいと思う一方、彼女のコラの音色を味わうにはアコースティックな響きの環境でゆったり聴くのがいいかなとも。"Fasiya" を紹介する時にも書いたが、「西アフリカ/マンディングの伝統音楽とモダンなポップミュージックとの良質なブレンド」が彼女の大きな魅力なのだと思う。

 今夜は約1時間のセットを2回。アルバム "Fasiya" のオープニング曲 "Jarabi" でスタートし(これもポップないいナンバーだ)、ファースト・セットの最後は "Gambia"(遂に生で聴けた!)。セカンド・セットでは終盤にギター演奏も披露し、"Musow" でシメ。

 と思ったら、息子がジェンベを持って登場! えーっ、ソナに子供がいるのー!? 確かにリハ中にも5歳くらいの男の子がいたな(ソナは1983年生まれなので、全然おかしくないか)。聞くとダンナさんも会場にいたそう。どの人か分からなかったけれど。その息子君、最初は心細そうにプレイしていたけれど、段々堂々とした姿勢に。フェラ・クティの横でプレイさせられたフェミやセウンの子供時代の姿をちょっと思い出したり。ミュージシャンの子供達はこうしたスパルタ教育を受けて育っていくんだな。

 ライブの合間には度々 MC が挟まった。まだアルバム1枚しか出していないので、レパートリーが足りないのかも知れない。でもそのトークも和気あいあいと進み、とても雰囲気が良かった。ソナが寄付のお願いについても随分語っていたことも印象的だった。

 ソナ・ジョバルテは 2014年にガンビアに The Amadu Bansang Jobarteh School of Music を設立。ここはガンビア初の音楽専門家を養成する学校で、8歳〜18歳を対象にジェンベやバラフォンの演奏、楽理など伝統音楽の教育を行っている。彼女はロンドンで暮らしているのだろうとてっきり思い込んでいたのだが、現在はガンビアに戻って生活しているのだそう。そのことに加えて、自身が母親であることから、子供達への音楽教育に熱心なのだろうかと勝手に想像したのだった。

 新曲 "Gmabia" を含むセカンド・アルバムは年内(2017年)にリリース予定。「3月に出る」と断言する音楽関係者にも会った。彼女はまだまだ可能性を出し切っていない状態で、今後の彼女はプロダクション次第だろうと感じた。ともかく新作が待ち遠しい。今度の新作で "Gmabia" と同程度の良質なプロダクションを揃えられたら、彼女は今年大ブレイクするのではないだろうかとも思っている。

 ソナ・ジョバルテは外遊続きで多忙そうだけれど、ガンビアで行っているワークショップも含めて、新作の曲を引っさげて日本にも来てくれないだろうか? そんなことを大いに期待している。


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 ソナ・ジョバルテはとってもフォトジェニック。笑顔がいいので、ついつい笑っているショットばかり選んでしまうなぁ。


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 かつて、世界デビューする前にイダン・ライヒェルの音楽と出会って彼にインタビューしに行ったり、ニョーヨークでユッスー・ンドゥールのでっかいライブがあると知って1泊5日で飛んで行ったり、海外で見たい美術展やイベントがあれば数日の休みを利用して駆けつけたり…。フットワークの良さがひとつの自分らしさなのだろう。今年もフットワーク良く行動して、面白いものをいろいろ見つけてきたいと思っている。







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# by desertjazz | 2017-01-08 17:00 | 音 - Africa


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 ここ数日聴いているコンゴの新作2枚。

 ・ Deplick "Ouverture"
 ・ Heritier Watanabe "Retirada"

 サウンドとヴォイスが柔らかく優しくシルキーな歌物がお気に入り。「2人とも、ウェラソンのメゾンメールにいたシンガーです。」とのこと。(渋谷 Los Barbados の真弓さんにご教示いただきました。)

 以上。(長文が続いたので…。)







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# by desertjazz | 2017-01-07 17:00 | 音 - Africa

 2016年も世界各地で様々なライブを観たが、それらの中で圧倒的に良かったのは、ブルース・スプリングスティーンとユッスー・ンドゥールだった。

 2015年11月13日に凄惨なテロに見舞われたパリのライブハウス、バタクラン Le Bataclan が1年振りに営業を再開し、ユッスー・ンドゥールが出演すると発表された時、即座にパリ行きを決めた。新生バタクランのステージに真っ先に立とういうユッスーの心意気に惚れてしまったのだ。

 それでも一抹の不安はあった。それは、ここ何回か観たユッスーのライブを十分には楽しめなかったからだ。2007年のシンガポールの WOMAD も、最後の東京公演も(何年前だったか?)。1999年から2000年にかけてダカールのクラブ・チョサンやニューヨークのアフリカン・ボール The Great African Ball で浴びたサウンドと比較すると、欧米でのヒットナンバーを並べたインターナショナル仕様のライブはとても見劣りするからだ。

 そんな自分を後押ししたのは、3月にアメリカで観たスプリングスティーンのライブだった。先に書いた通り、彼のステージは自分の想像を遥かに超える充実振りだった。スプリングスティーンのコンディションは正に今絶頂に達している。もしかするとユッスーも? 何か良い予感を抱いたのだった。


 バタクランでの公演は11月18日と19日の2回。よく調べると、その前の15日にも同じパリで公演が組まれている。1週間にパリで3回も? パリの人たちはいったい何を考えているのだろう?(いやベルシー体育館でのグラン・バル Grand Bal では毎年数万人の観客を集めてきたのだから、これくらいはおかしくないか?)

 11月15日も含めて3回とも観に行くかは正直迷った。(この週パリで観たいライブは他にないし、パリには最近毎年訪れているので、美術館にもしばらくは行かなくていい。)3度とも同じ内容、それもインターナショナル仕様だったら後悔するだろうと考えてしまったのだった。


DAY 1 : Philharmonie De Paris (Nov. 15)

 久々のニュー・アルバム "Africa Rekk" のリリースに合わせてパリからスタートするツアー、今日がその初日。会場は現代的な建築物としても人気の高いクラッシックホールのフィルハーモニー Philharmonie de Paris。今日はステージ前の椅子席を取り払ってスタンディングエリアを設けている。音響を考えても椅子席の方が望ましいだろうと考えていたのだが、行くかどうかもたもた迷っているうちに指定席は完売になってしまった(その後スタンディングも完売)。

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 20時前に会場に着くとサバールのグループによるセッションが続いていた。それが終わって20時半、さて始まるかと思いきや、ステージに登場したのはドゥードゥー・ンジャイ・ローズ一族(今は息子が継承)。途中から Le Super Etoile de Dakar のパーカッション奏者、ババカル・フェイも加わってたっぷり30分。2015年8月に亡くなった師ドゥードゥーへのオマージュ的な内容だった。

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 20時半、ババカルの煽るような MC を受けて待ちに待ったユッスー達が登場。1曲目は "Li Ma Weesu"。かつて自分がライナーを書いたアルバム "Nothing's in Vain" の代表曲でスタートしてくれたのは素直に嬉しかった。フロアの周りはセネガル人たちで溢れていて、最初から大歓声&大合唱。ちょっとダカールでライブを観ている気分にもなる。もうこれだけで十分。

 "Set"、"Birima"、"7 Seocnds" など馴染みのヒット曲が相次いで繰り出される中、断然良かったのは "Immigres"。独特なメロディーといいアレンジといい、この曲が持つマジカルさは全く褪せていない。"New Africa" の絶唱でいったんシメ。こうした流れは以前と変わっていないようだ。

 もう1曲印象深かったのは "Hope"。静謐な歌声がひしひしと心に染み込んでくる。さりげないこの曲にどうしてこれほど心が震えるのだろう? このときは、まだその理由には気がつかなかった。何せ曲名すら浮かばず、ホテルに戻ってから Spotify で探したほどなのだから(1992年のアルバム "Eyes Open" に入っていたはず、ということだけは思い出せたので)。

 アンコールの最後にはドゥードゥー一派が再登場してまさかの "Chimes Of Freedom"(ボブ・ディランがノーベル賞を取ったからでもないだろうが)。サバール・アンサンブルが爆裂するアルバム・ヴァージョン通りのサウンドが再現された。最後の一打で興奮がマックス!

 でも、新作リリース・ツアーと言いながら、新曲は1曲もやらなかったな??

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DAY 2 : Le Bataclan (Nov.18)

 ロンドンに2泊だけして(ソナ・ジョバルテ Sona Jobarteh のライブを観てきた)パリにとんぼ返り。ユーロスターに初めて乗ったが、パリ〜ロンドン間を約2時間で移動できるのは便利だ(チケットも早く買ったのでとても安かったし)。

 レピュブリック Répubulique のかつての常宿にチェックイン。その後まずバタクランに向う。道行く人たちは相次いで入口前で足を止めて、それぞれが複雑な想いに浸っているらしい様子が見られた(その一方で、レピュブリック広場には飾られる花やロウソクも少なくなり、テロから1年が過ぎて街はかなり落ち着きを取り戻しているようにも感じられた)。

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 夜。19時40分、ややゆっくり目に会場に到着。チケットは完売で、手書きのカードを持って余っているチケットを求める人たちが立ち並んでいるほどだった。やはりユッスーはセネガルの同胞たちからの人気が高い。

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 場内に入ると最前列に空きスペースがあり、ここを確保。セネガルの男性たちは身長があるので、スタンディングだとステージが見えにくい。なので、これはラッキーだった。

 ユッスーとババカル・フェイとジャン・フィリップ・リキエル(長年ユッスーと共演してきた盲目のキーボード奏者)の3人だけで3曲。静謐な "Yakaar (Hope)"、優しい旋律の "Fital (Useless Weapons)"、そして新曲 "Food For All"。冒頭この並びにまずビックリ。取り分け3日前に聴いて以降頭から離れない "Hope"。こんな穏やかな曲を最初にもってくるとは予想外だ。

 続いてゲストのアンジェリーク・キジョーが登場し、レエゲ・カバーの "Get Up Stand Up" を共演。場内はもうフィルハーモニーの時以上の盛り上がりだ。"Money Money" や "Be Careful" といった新曲でも大合唱になる。セネガリーズはみんな早くも歌詞を覚えてしまっているんだね。

 いつも通りに "New Africa" の高らかな声でシメた後のアンコールは大ンバラ大会。これが凄まじかった! 特に "Senegal Rekk" は最高だね!(この曲、2016年春頃に EP でリリースされた時点では "Begg Naa Leen" というタイトルだった。)しばらく政治活動が中心で本格的な音楽活動から離れていたユッスーだけれど、ステージ・パフォーマンスに関しては完全に復活している。地元ダカールでのライブも継続(再開?)しているのだろうか?

 最後は、これも今年の新曲 "I Love You"(不思議なことにインターナショナル盤には未収録)。曲名をコールした瞬間の反応の何とも大きかったこと。それほど良い曲だとは思えないのだが、これが人気を得ているのには何か特別な理由があるのに違いない。いまだに謎なのだが…。

 およそ1時間50分のライブ。ワイワイ、ガヤガヤ、大興奮のセネガル人たちとの一体感が楽しい。3日前に観たものよりはるかに良かった。( "Immigres" をまた聴きたかったけれど…。)やっぱりンバラは凄いね!

[ Set List ]

 1. Yakaar
 2. Fital
 3. Food For All
 4. Get Up Stand Up
 5. Li Ma Weesu
 6. Set
 7. Jeggel Nu
 8. Baykat
 9. Birima
 10. Seven Seconds
 11. Song Daan
 12. Money Money
 13. Be Careful
 14. New Africa

 15. Serigne Fallou
 16. Xaajalo
 17. Senegal Rekk
 18. I Love You

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DAY 3 : Le Bataclan (Nov. 19)

 バタクラン2夜目もチケット完売。2ステージ観てすっかり満足したから、今夜は後方でのんびり楽しもう。そう思って開演ギリギリに行く。しかしセキュリティーの前で長蛇の列が出来ていて、これならもう少し早く来るべきだったと反省。それでもPA席の真後ろにぽっかり空きスペースがあり、迷わずここを確保。ステージが最も見やすい絶好のポジションだ。

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 演奏曲は昨日とほぼ同じ順。"Get Up Stand Up" でアンジェリークが加わったのも一緒。ただ、次は "Set" だと待ち構えていたら、それはやらずに "Jiggel Nu" へ。なぜ?と戸惑っていたら、終盤でアンジェリークが再登場し、"Set" でも共演した。煽られて彼女も踊りまくっていたが、正直なところ彼女なしの方が良かったな。

 ユッスー、基本的には昔と大きく違わない。特別新しい試みもなかった。しかし、もうベテランの域なのでそれで構わないと思う。懐メロ大会に陥ることなく、活き活きしたサウンドで誰もを楽しませてくれたのだから。

 フィルハーモニーが欧米向けヒット曲のオンパレードだったのに対して、バタクランは "Senegaal Rekk" と "Africa Rekk" の新曲を折り込みながらのセネガル人たちをより煽るステージ。それぞれ良さがあったので、両方を観られて良かった。トラックリストを改めて見ると、メッセージ性の強い曲が多く並んでいるとも思った。

 フランスは相次いで悲惨なテロに襲われた。そのことで、観光業も飲食店もライブハウスも軒並み大打撃を受けた。エッフェル塔やルーブル美術館の周辺でさえ閑散としているという話すら耳にした。しかし、バタクランという最悪の悲劇を被った場にも、たくさんの人々が集い、笑顔に溢れているのを見られたのはとても良かった。人々は音楽を求めてまた集まり、そして勇気と活力を得ている。これが今回の3公演を通じて一番強く感じたことだった。

 (ただし、これが和解の象徴だという風に安直に考えることはできない。話が複雑になるので、今日は触れないでおく。)

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 ユッスー・ンドゥールのライブを観たのはそろそろ20回になるだろうか。記憶しているのは、ダカール4回、ニューヨーク1回、シンガポール1回、東京6回?、横浜1回。あとどこで観ただろうか? セネガル人が多く暮らすパリでもセネガル人たちに取り囲まれて観てみたいと思い続けてきたが、今回それがようやく叶った。

 "Immigres" のもつ独特なムード、"Set" での大盛り上がり、"Senegal Rekk" の熱いンバラ。どれもをたっぷり堪能したが、中でも一番だったのは "Yakaar (Hope)" と "Fital (Useless Weapons)" だった。とにかく素晴らしかった。

 過去観たユッスーのライブの中で最高だったのは 1999年ダカールのチョサンでのもの。Le Super Etoile de Dakar がインプロビゼーションを徹底的に追求している印象で、そのインタープレイが長いものだから、確か2時間で8曲くらいしか演奏しなかったはず(翌年もチョサンで観たが、今度はポールダンス風のダンスなどエロチックな要素が多く、随分ユルい雰囲気だった)。次いで(もしかするとただ一度だけ行われた?)2000年11月ニューヨークでのグラン・バル。何と3部構成3時間半に及ぶ大パーティーだった(そういえばこの時も最前列で観ることができたのだった。2時間過ぎた頃にはさすがに辛くなって、3階席に移動して遠くからのんびりステージを眺めていたが)。

 そして3番目は 2003年の Tokyo Jazz。日中炎天下行われたユッスーたちによるステージはヒット曲を並べたもので、まあいつも通り。持ち時間も約1時間と短く、特別な印象も残っていない。このステージの後、ミュージックマガジンとワーナーミュージックから依頼を受けて、ユッスーに20分間だけインタビュー。それをどうまとめようかと思案しながら、夕方のスーパーセッションを観て、、、ぶっ飛んだ! この手の顔合わせはとかく企画倒れになりがち。事前情報を何も持っていなかったので、観ないで帰る気でいた。危なかった!

 ハービー・ハンコック Harbie Hancock を中心にスピーチ Speech などが絡むのだろうとてっきり思っていたら、ユッスーが歌いだしたのだ。1曲目は "Fital"。続いて "Yakaar"。どちらも 1992年のアルバム "Eyes Open" に収録されたナンバーだが、スタジオ録音とはあまりに印象が異なるものだから、しばらくどの曲なのか浮かばないほどだった。

 "Eyes Open" はサウンドが穏やか過ぎて滅多に聴かないアルバム。その中でもこれらの2曲はさほど目立たない。それがライブではこれほど素晴らしいとは。Joshua Redman とのバトルも凄まじくて、ユッスーにとってのベスト・アクトのひとつに挙げたいくらいだ。ユッスーの歌声は正しく絶唱。歌っている時間が短いのと、スピーチたちがハマっていないのが残念だが、この映像は入手して繰り返し観てきた。

 それをもう一度(いや二度?三度?)パリで観られた。オーバープロデュースだった "Eyes Open" から時を経て、"Fital" と "Yakaar" は熟成され完璧な音楽として生まれ変わった。パリでは、シンプルな伴奏はこの上なく美しく、ユッスーの歌は気合い入りまくりで正しく入魂の絶唱。音塊から伝わってくる説得力が凄まじい。"New Africa" のラスト・フレーズ、あるいは "No More" と同レベルと言えば幾分想像がつくだろうか。

 2003年にも2016年にもこの2曲を続けて歌った(順は逆だが)。この組合せは自分が知らなかっただけで、ユッスーにとっては定型化されたものなのだろうか? ライブ映像をネットで探しても見つからないので、これは久々のパフォーマンスだったのだろうか? "Yakaar (Hope)" は 2002年の "Live at Union Chapel" でも歌い、DVD化されているが、全然次元が違う。パリでのパフォーマンスは Tokyo Jazz と比べても数倍感動的だった。この連曲ライブは是非とも正式な形で映像作品を残して欲しいと願う。

 アフガン紛争からほどなく来日したユッスーは Tokyo Jazz で "Yakaar (Hope)" と "Fital (Useless Weapons)" を歌った。今また世界中至る場所で対立が激しくなるこの時代、ユッスーは再びこの2曲を歌う。優しく語りかけるように歌い始める "Yakaar"、湾岸戦争やベトナム戦争を折り込みながら戦争と武器に異を唱える "Fital"。そこにユッスーからの特別なメッセージを読み取ろうとするのは間違いだろうか?

 自分が体験した中で最高クラスのユッスーの絶唱がいつまでも脳内から離れない。ユッスーの歌声が毎日毎日頭の中で響き続けている。自分にとってこれはとても幸せなことだ。

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(補足)

1.
 当初バタクランに取材申請することを考えたが、一切受け付けないという。プロ用カメラの持ち込みも禁止だが、コンパクトカメラやスマートフォンはOKとのこと。なので一眼レフとレンズはホテルの部屋に置いていき、コンパクトカメラで少しだけ撮ったが、やっぱり限界がある。でも雰囲気くらいは伝わるかな?

2.
 11月18日も19日もオフィシャル・カメラマンはひとりも入っていなかった。なぜなのだろう?

3.
 11月18日には6カメ収録を行っていた。探してみたところ1曲分だけ公開されているのを見つけた。バタクラン再開最初のステージとなったスティングはフルで公開されたので、ユッスーのビデオも全編公開して欲しい。

 ・ Youssou Ndour & Angelique Kidjo - Get Up, Stand Up - Bataclan 2016 LIVE HD

4.
 11月19日の公演はほぼ全編 YouTube にアップされている。(特に 1h08m33sからの、スピード感に溢れエキサイティングな "Senegal Rekk" は必見!)ただ冒頭3人で演奏した3曲は撮っていなかったようで挙っていない。なので "Yakaar" も "Fital" もなし。残念。


5.
 Tokyo Jazz の映像は "Fital" から "Yakaar" の途中まで YouTube で観ることが出来る。


6.
 Le Super Etoile de Dakar と E Street Band はよく似ていると改めて思った。中央にとてつもないスーパースターがいて、それを支えるバンドは大人数で強者揃い。そしてそのリーダー格にはちょっとひょうきんなところがある(ババカル・フェイとマイアミ・スティーブのこと)。おまけに今 Etoile de Dakar には、ESB の Jake に似た若いサックス奏者もいるし。

7.
 Youssou N'Dour et Le Super Etoile de Dakar の Singapore Jazz Festival への参加が決定。出演するのは 4月1日。観に行きたいなぁ。でも無理だろうなぁ。


8.
 書き漏らしたので追記するが、ユッスーの喉の調子がとてもいい。ライブでこれだけ艶やかに響く声を聴いたのは記憶にないくらい。しばらく政界にいた分、喉を休めることができたのだろうか?



 (若干記憶に自信がないところもあるので、後日、一部追記/微修正するかも知れない。)






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# by desertjazz | 2017-01-03 17:00 | 音 - Africa

巻頭言 2017

 新年明けましておめでとうございます。気まぐれに時々個人メモをアップする拙ブログですが、よろしければ本年もどうぞおつきあいください。

 昨年の反省点のひとつは、アウトプットが少なかったことです。幸いなことに本業の方では、1年を通して評判作/話題作ばかりでした(『シン・ゴジラ』には関わっていないよ)。でも音楽に関する発信はあまり出来ませんでした。書きたいことが次々浮かんだものの、ほとんどどれも完成にまで辿り着けず。頭の中で最終形のイメージができていても文章にできなかったり、実際書き始めるとどんどん長くなって書き上げられなかったり、余りにパーソナルな内容だったり。必ず公にすると決めている論考もいろいろあるので、それらを今年こそはきちんと書き上げてブログなどで公開できればと思っています。

 新春なので、酒の勢いで?それらの中からひとつを紹介。呑みながら書いているうちに(酒が入らないと文章を書けないのです)収拾がつかなくなった予稿。なので、前半と後半で文体が違っているのです。全く知り切れトンボだし、自伝 "Born To Run" を読んでの感想も加えるべきなのですが、取りあえずは未完成のまま公開することにします。


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Bruce Springsteen 2007/2016(極め付きの個人メモ)


 今年3月、ブルース・スプリングスティーンの "The River" Tour がどうしても観たくてアメリカに飛んだ。そこでは予想もしなかった大きな感動が待っていた。"Stolen Car" を聴いて、どうしてあれほど感動したのだろう。その理由をずっと考え続けている。



 スプリングスティーンのライブを前回観たのは 2007年11月のワシントン。この時はフランスを旅行中で、オーケストラ・バオバブ Orchestra Baobab、マジッド・シェルフィ Magyd Cherfi (Zebda)、マッシリア・サウンド・システム Massilia Sound System、レユニオンのゾング Zong などのライブを観るべくフランス各地を駆け回っていた。(バオバブは新作 "Made In Dakar" の発表ライブで、メンバー達と再会。こっそりサウンドチェックを観ていたら、サックス奏者のイッサが私の存在に気がつき、サウンドチェックを中断し歩み寄ってハグしてくれたり、バルテレミのギターを運ぶ役目を任されたり。彼らに楽屋で聞いた話も交えて、ライブを観た直後の深夜に新作CDのライナーを書き上げてメールで日本に入稿。マッシリアのライブではパスティス・ガールのサポートを頼まれ、気がついたらステージの上。打ち上げにも参加し、タトゥーたちと語り合う。そんな日々で、とても充実したフランス滞在だった。懐かしい。)その合間にスプリングスティーンのワシントン公演のチケットが取れたので、3泊の強行日程で仏〜米を往復することにし、ワシントンの Verizon Arena へ。

 しかしこのライブ、正直なところ、かなり期待はずれのものだった。スプリングスティーンをアメリカで観たら、それは素晴らしい体験で、きっと興奮を抑えられなくなるだろうとえ想像していたのだが。スタジアムの音が悪いからなのか、半数ほどの曲は楽しめた一方で、残りの半数は乗り切れない。どうにもサウンドが重くて、次第に心が冷めて行ってしまったのだった。それでも、ファースト・アルバムとセカンド・アルバムが特に好きな自分としては、"Growin' Up" (tour debut!) と "Kitty's Back"、それに "American Land" を聴けただけでもフランスから飛んで来て良かったと思ったのだった。


 余談になるが、このワシントンで一番強く印象に残っているのはライブが終わった後のこと。幾分余韻に浸りながらスタジアムの裏手をブラブラ歩いていると、前方からパトカーのサイレンが聞こえてきた。もしやと閃いて車道に駆け出すと(後で気がついたのだが、交通は完全に遮断されていた)すぐ目の前をパトカー数台が通り過ぎ、その後から、、、スプリングスティーンの乗った車が。彼は笑みを浮かべ手を振りながら瞬く間に通り過ぎて行った。その距離数メートル。咄嗟に車道に駆け出したので、自分の周りには誰もいない。こんな幸運ってあるのだろうかという信じられない思いを抱く。それと同時に、パトカーの一群に先導される「スーパースター」という余りにも巨大な存在。リアルさを感じない不思議な感覚。同じ人間でありながらも自分との違いの余りの大きさに圧倒されもしたのだった。

(さらに余談になるが、しばらく歩いて行くと、今度は全米ツアー中のイスラエルのイダン・ライヒェル Idan Raichel と路上でばったり。前年パリで会いインタビューしたことを憶えていてくれたようで「次のニューヨーク公演に招待するよ」と誘われる。皆から度々言われるが、自分が出かけると、ホント何かが起こる!!)


 ワシントンで観た2公演、不満が大きかったので、スプリングスティーンのライブはもういいかなとずっと思っていた

 けれども、今回心変わりしてスプリングスティーンを観に行こうと決めたのは、"The River" のフルセット20曲が聴きたかったから。The River Tour が始まって以降、毎ステージのセットリストをチェックすると、必ず前半はアルバム "The River" の全曲(レコード2枚分)をアルバムの曲順に演奏している。

 スプリングスティーンのアルバムの中で自分が好きなのは、ファースト "Greetings…"、セカンド "The Wild,…"、サード "Born to Run"、その次が5作目の "The River" だ。もう一枚選ぶとすれば、"The Rising" よりも "Nebraska" だろうな(4作目の "Darkness…" は個人的にはある意味過渡期の作品と捉えていて滅多に聴かない)。とにかく、"The River" は猛烈に好きなアルバムだ。その全曲を、今年アメリカに行けば生で聴ける!

 しかし、そんな時間があるのだろうか? 1月はブラジル取材(マンゲイラなど)と北海道旅行、2月は中国取材とインドネシア旅行。そんなことで他の面倒な仕事が溜まりに溜まり、3月はとても身動きの取れる状況にはならないはず。・・・だったのだが、奇跡が起きた。3月中旬に数日なら休みが取れそう。しかも、サンフランシスコで重要な打合せも持ち上がった。

 思い返せば、昨年のこと。スプリングスティーンの "The River Tour" のチケット発売日、一応チケット購入にトライしてみようかと考えたのだった。ところが肝心のその日、急病にかかり、仕事も休んで寝込んでしまった。発売開始時刻が日本時間の未明だったので、当然ネットで手配することなどできず。結果チケットは瞬く間に完売。スプリングスティーンのライブにはやっぱり縁がないのかと諦めていた。

 しかし、サンフランシスコに行けば、ロス公演は無理でもオークランドならば可能性がある。これはもしかすると、アメリカが、スプリングスティーンが呼んでいる? そう勝手に信じ込んでサンフランシスコへ。3月にして今年5回目の旅行(出張含めて)。会社に申告したら「また行くの !?」などと、さすがに周囲からは呆れられたが…。


 そんなワケで?気がついたらサンフランシスコ。そして3月13日、サンフランの隣町、オークランドへ。音楽ファンには Tower Of Power で知られるこの街に来るのも3度目かな。会場の Oracle Arena まで往復する交通手段が心配だったのだが、サンフランとを繋ぐ鉄道駅が隣接することが分かりひと安心。終電時間もチェック。(でも終演ギリギリになりそう。乗れるのか?)サンフランシスコで公演がないのは、スプリングスティーンが演奏できるような大きな会場がないからなのだろうか?なんとことも考えながら。

 公演当日までチケットは未入手。アメリカまで来ながらも「まあ観られなくても仕方ないや」と思っていた。実のところ、そんな手抜き状態だった。それでも夕方に正式なチケットをネットで購入。なので、さすがに GA のチケットは取れなかった。残念。(そう言えば、2007年ワシントンの2日目は当日に GA を定価以下で買ったな。チケット発売時点で完売でも、後々買う方法はいろいろあるのです。)


 前置きがとっても長くなった。さてそのオークランド公演。

 お馴染みの「ぶる〜〜〜す」の大歓声による呼びかけを受けて、スプリングスティーンとメンバー達がほぼ定刻通りにユルユル登場し、3時間半ノンストップで全35曲。


 その前半21曲は待望の "The River" Set。さすがにレコード2枚分の曲の演奏を通して聴くと、アルバム後半には地味な曲も多いので、少しは飽きがくるかなとも覚悟していたのだが。それがどうして、全くもって素晴らしい絵巻物語りを見せてもらった。

 名曲揃いのアルバムの中でも特に好きな "The Ties That Bind" や "Ramrod" といったロックンロール・チューンは最高だった(勿論一番はタイトル曲の "The River" なのだが、ライブを観終えた夜に Facebook に書いた通り、こねくり回すような歌い方がどうしても好きになれない。この1曲に満足を得られなかったことは悔しい)。

 最後の "Wreck on the Highway" を演奏し終えた後、スプリングスティーンの深々と頭を下げる姿がとても印象的だった。ひとつの物語を真剣に聴いてくれてありがとうと感謝を伝えるかのようだった(そしてこれがもうひとつのショーをスタートさせる区切り)

 しかし、振り返ってみると、この夜、最も感動したのは "Stolen Car" だった。
 ロイ・ビタンのピアノとスプリングスティーンの歌とギター。
 美しく、切なく、圧倒的な説得力。
 完璧な名曲だ。
 そのことにこれまで気がつかないできた。
 これまで約40年間、自分は一体何を聴いてきたのだろう?


 そう思って、帰国後スプリングスティーン関連の文献を読み返し続けている。
 読みまくることで、彼のことをいろいろ思い違いしていたこと、誤解していたことも分かってきた。
 彼のキャリアを振り返る時、まだまだ凄い作品を残せたはずという忸怩たる思いも抱く。
 彼はずいぶん勿体ない道を歩んできてしまったようにも思っていた。
 しかし、今ではスーパースターの彼も、あくまで弱さをもった一人の人間であることを理解できた。

 幾多の文献を振り返って一番の収穫は、デビュー前の面白さだ。
 キャスティールズ、スティール・ミル、スプリングスティーン・バンド、等々。
 片っ端から音源を探して聴きまくった。
 The Who や Led Zeppelin のようなハードなロック・バンド/ギタリストになる可能性も持っていた。
 しかし、スプリングスティーンはそれを捨てた。
 そのことは、デビュー以来続き繰り返される変化の予兆でもある。

 ここ半年ほど、彼の作品群を聴き直している。
 聴いても聴いても彼の全貌を捉え切れない。


 "The River" Tour のセットリストを時々チェックしている。
 欧州〜全米2周目は "The River" 全曲の括りを外し、目玉であるはずの "The River" や "Hungry Heart" を演奏しなかった日もあるようだ。
 地元ニュージャージーでは4時間に及ぶ驚愕のセット。
 "Rosalita (Come Out Tonight)"、"New York City Serenade"、"Jungleland" という3大名曲/長曲が並ぶセットなんてあり得ない!
「あー、今年もう一度観に行くべきだった」と後悔。
 しかし、自分としては "The River" のフルセットをライブで聴けたことの方に満足している。

 ツアー終盤になって、ステージの始めの方にファーストとセカンドの曲をずらっと並べている。
 自身のキャリアを振り返るかのごとく、どんどん回顧的になってきている印象がする。
 これは今の自分とシンクロしている?(と勝手な一言。)
 そんなことを思っていたら、今度は新譜 "Chapter and Verse" と自伝 "Born to Run" を発表。
 これにはさすがに驚いた。
 自伝の内容に沿った選曲のアルバムには、デビュー前に録音された未発表曲が5曲。
 これらはここ半年狂ったように聴き続けてきたもの。
 やっぱりシンクロしているなー!


 スプリングスティーンがなぜ今 "The River" 全曲をライブで演奏したのだろう?
 自分がなぜ "Stolen Car" という曲にあれほどまでに感動したのだろう?
 その理由についてずっと考えて続けている。
 恐らくその答えにもう辿り着いているのではないだろうか。
 一言でまとめると、それは "The River" という作品が大人への分岐点だったから。
 その意味合いを象徴する1曲が "Stolen Car" だったのだろうと思う。

 ブルース・スプリングスティーンの自伝がいよいよ世界同時発売。
 自分がここ半年ずっと考え続けてきたことへの答えも明かされているに違いない。

 ブルース・スプリングスティーンを聴き続けたくて、ここ半年間 CD はほとんど買わず。
 この偉大なミュージシャンと同時代に生きてこられたことを心底幸せだと思う。
 彼は2016年をフルスロットで走り続けている。
 そのスプリングスティーンのライブをもう一度観たいと願う。


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(以上が、3月に頭の中にメモしたことへ10月に書き加えた未完成原稿。その後、自伝を読んで「やっぱりそうだったんだな」と思ったのでした。)







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# by desertjazz | 2017-01-03 00:00 | 音 - Music

BEST LIVES 2016


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Mangeira (Rio de Janeiro, Brazil in Jan.)


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Bruce Springsteen & The E Street Band (Orakland, USA in March)


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Vaudou Game et al. (Sukiyaki Meets the World, Nanto in Aug.)


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Super Session (Sukiyaki Meets the World, Nanto in Aug.)


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Sona Jobarteh (London in Nov.)


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Youssou N'Dour et Le Super Etoile de Dakar (Paris 3 Days in Nov.)


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Hindi Zahra (Rezé, France in Nov.)


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Klo Pelgag (Nantes, France in Nov.)




… and Oki Dub Ainu Band, A. R. Rahman, Caetano Veloso too (but no photos).






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# by desertjazz | 2016-12-31 16:00 | 音 - Music

BEST BOOKS 2016

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 1. バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源』
 2. チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
 3. ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
 4. ブルース・スプリングティーン『ボーン・トゥ・ラン』
 5. オルハン・パムク『僕の違和感』


 今年は日本各地/世界各地への旅が続き、自宅で読書する時間がさほど取れず、その旅の間も本を読む時間的余裕がほとんどなかった(仕事も忙しく、また旅のプランニングにも結構な時間を要した)。なので、BEST ALBUMS と同様にこちらも5点に(10作選ぶにはやや無理があった)。

 1位、バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる』(出版は 2013年:原書は出てすぐ買ったが軽く目を通しただけだった。日本語版も出ていたことに今年になって気がついた)は、自分がかねてから音と音楽に関して考えていることついてたっぷり整理して書かれている。音との関わり方そのものについても根本から考えさせられる。特に音響(自然音/環境音)と音楽との間には境界はなく、両者を同等/同時に楽しめるのはなぜなのかについて理解するのに大いに助けとなった。単に音楽の良し悪しを超えて、音と音楽をより深い次元で捉え直したい考えの人にとってはとても有益な本である。自然音とピグミーの歌声とが溶け合う/響き合うところが大きな魅力の "SONG FROM THE FOREST" と呼応し合う部分も多いので、きちんと紹介しておきたかった。来年もう一度じっくり読み直すつもり。

 2位、アディーチェ『アメリカーナ』は最新作の待望の翻訳。2013年に出た時、これの原書(英語)も出版と同時に買ったが全く読めなかった。アディーチェ、今回もさすがの筆力だ。基本的には純粋なラブストーリーなのだが、そこへの、アメリカやナイジェリアの社会状況、人種問題などの織り込み方が絶妙。短い一文によって一瞬で登場人物のイメージを喚起するセンスも実に鮮やかだ。

 3位、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』は、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』みたいな物足りない(いや退屈とさえ自分は感じた)本と似たようなものかと思いきや、正に「目から鱗が落ちる」論考の連続。人類の歴史を単に時系列に並べるのではなく、そこから導かれる新たな可能性を次々と提示する深い思索の書。自由や国や貨幣などいずれも万人が認める空想だとする視点が凄い。

 3月にスプリングスティーンのライブを観た直後から、スプリングスティーンに関してもう一度捉え直したいと思って、関連書物を手当たり次第に読み漁った。ピーター・エイムズ・カーリン『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』、デイヴ・マーシュ『明日なき暴走』(再読)、マーク・エリオット『涙のサンダーロード メイキング・オブ・ブルース・スプリングスティーン』、ジェフ・バーガー編『都会で聖者になるのはたいへんだ ブルース・スプリングスティーン インタビュー集 1973-2012』等々。その直後に、一連の読書に止めを刺すかのごとく、本人が自伝を出したのには驚いた。生々しい語りで読みごたえたっぷり。ただ、スプリングスティーンの音楽履歴を振り返るには、カーリンの『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』の方が役立った。

 パムクも多く読んだ1年だった。最新作『僕の違和感』、ようやく和訳が出た大作『黒い本』、未読だった『新しい人生』と『父のトランク ノーベル文学賞受賞講演』、そして『雪』を〔新訳版〕で再読。5位にはトルコの庶民の暮らし振り(と思い違い)から何ともほんわかとした暖かみが伝わってくる『僕の違和感』を選んだが、その対極にあるようなミステリータッチの『黒い本』でも良かったかも知れない。


 今年もノルマの100冊には遠く届かず。来年はもっと読みたい。







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# by desertjazz | 2016-12-31 08:02 | 本 - Readings

BEST ALBUMS 2016

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 1. KLO PELGAG / L'ETOILE THORACIQUE
 2. KADER JAPONAIS / HKAYA
 3. SLAWEK JASKULKE / SEA
 4. ANOHNI / HOPELESSNESS
 5. SOUNDTRACK "SONG FROM THE FOREST"



 例年だと10枚だが、今年は5枚だけ。購入盤リストを何度見返しても10枚に足りない。今年は1年中旅を繰り返していたので、レコードを聴く時間はここ数年と比べても少なかった。新譜の購入枚数もさらに激減。毎年500枚程度買っていたピーク時の何分の1かに落ち込んだ。

 以下、選考基準は例年と同様「自分が気に入ってよく聴いた作品」。

 1位はカナダの奇才娘クロ・ペルガグによる待望のセカンド・アルバム。前作は2年前に2位に選んだが、今回は迷わずトップ。毎度書いているが、美しく哀しい独特なメロディー、切ない優しい歌声、ザッパ風味も感じさせる卓越したアレンジと、どれもが好きでたまらない。奇天烈なステージングも含めて、近年特に気になっているアーティストのひとりだ。ただ、現時点ではファーストの出来を超えていないという印象も持っている。それでも今回も(2年前にもパリで観た)新作ツアー・ライブを先月早々にナントで観ることができたのは幸運だった。カナダではアルバム通り、30人編成のオーケストラを従えた公演も予定されているとのこと。観たい!(11月にカナダ盤が出たばかりで、フランスでのリリースは来年2月の予定とのこと。)

 2位はアルジェリアン・ライの歴史に残り得るレベルの超力作。カデール・ジャポネの気合いの籠った声とライ王道と言えるサウンドがとにかく素晴らしい。11月にバルベスで見つけて渋谷某店にひとやま届けたら、たった1日で完売したとのこと。そりゃそうでしょう!(アルジェリアでストックが見つかり、年明け早々日本に届くそう。なので未入手の方々はご安心を?)

 3位と4位は日本でも各所で話題になったアルバム。"SEA" のソロ・ピアノは密室で奏でられる極めてパーソナルな現代版 "Koln Concert" といった雰囲気も(?) くすんだ音からふわっと沸き立つ寂寥感が心地よい。4位もパーソナルな叫びが伝わってくるようで、その独特なサウンドに圧倒された。近付き難い世界観でありながら、そこに包まれてしまいたいとも思わせる魔力を持っている。

 さてあと1枚。ところがこれら4枚に匹敵するアルバムが思い浮かばない。特に最初に2枚、クロ・ペルガグとカデール・ジャポネが素晴らし過ぎて、「かなり良い」作品でも一緒に並べる気にまでならなかった。そこで、2013年リリースながら、今年自分が日本に紹介し聴いた多くの方々が絶賛したピグミー映画のサントラを5位に。バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源』とも響き合う音。



 今年レコードを余り買わなかったもうひとつの理由は、ブルース・スプリングスティーン体験があったから。3月に観たEストリート・バンドとのライブが想像していた以上に素晴らしくて、放心状態を引きずり続けている。中でも、彼の人生を集約しているかのように感じさせられた "Stolen Car" の美しさ。いまだに耳に焼き付いて離れない。そんなことから、彼の音楽をまだまだきちんと理解していない気になり、ピーター・エイムズ・カーリン『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』などをガイドに、スプリングスティーンを聴き直し。特に彼のデビュー前の音源を片っ端から探して聴いていったところ、その魅力に圧倒された(おかげで秋で出たベスト盤 "Chapter and Verse" 収録のデビュー前の未発表音源5トラックは、公式発売前に聴き過ぎていて全く新鮮味がなかったほど)。3月以降はスプリングスティーンさえ聴いていれば満ち足りた日々だった。

 そして11月にパリで観たユッスー・ンドゥール。昔と変わらないンバラの躍動感。久々にライブで聴いた "Yakaar (Hope) " と "Fital (Useless Weapons) " の素晴らしさ。特に "Fital" の入魂の絶唱の凄まじかったこと。("Eyes Open" の穏やかなスタジオ・ヴァージョンとは大違いなので、ユッスーは21世紀以降のヴァージョンこそきちんとレコーディングしておくべきだ。)

 年末に至ってもまだ "Stolen Car" と "Fital" が頭の中で響き続けている。なので、他の音楽はなかなか受け付けなくなってしまったまま。

 自由になる時間が限られる中、際限なく新しい音楽を求めるよりも、自分が本当に好きな音/音楽に集中した方が、充実した時を過ごせるし、思わぬ発見や体験も相次ぐ。今年もそんな1年だった。







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# by desertjazz | 2016-12-31 08:01 | 音 - Music

Youssou N'Dour "Africa Rekk"


 Youssou N'Dour が今年放った最高の曲は、セネガル盤EP "Senegal Rekk" 収録の "Begg Na Leen"。

 しかし、これのオフィシャル PV は "Senegal Rekk" で、先月のパリ公演のトラックリストでも "Senegal Rek" 表記。そして、なぜかインターナショナル盤 "Africa Rekk" には未収録。ややこしい。

 この曲、パリのライブではスタジオ録音より数倍凄まじかった。何度でも観てしまい、その度に興奮させられる。


(ユッスーのライブについても書きたいことが多過ぎて、全然まとめられない。)







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# by desertjazz | 2016-12-28 01:30 | 音 - Africa

DJ
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