Star Band 研究(2)

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 スターバンド Star Band de Dakar の最初の4枚(Vol.1〜4)をじっくり聴き直したところ、興味深い発見がいくつかあった。


 1960年のセネガル独立を記念してイブラヒム・カッセ Ibrahim Kassé が結成したスターバンドは、70年代に入ってからレコード制作も始めた。その1枚目には、イブラヒムが所有しスターバンドが出演するクラブ名「ミアミ」を中央にデザインしたもの("LE MIAMI" BAR DANCING と書かれている)と、タイコを叩く男のイラストのものの2種類がある(どちらも番号は IK 3020)。

 収録曲はラテン色がまだ強く、ナイトクラブで演奏されるムード音楽っぽいものが多い。困りものなのは、曲目クレジットがかなり不正確なこと。例えばA面1曲目は Cortijo y su Combo の "Bamos Pa'al Monte" と書かれているが、Cortijo にそんな曲はあっただろうか? Eddie Palmieri の "Vámonos Pa'l Monte" かとも思ったのだが、私には同じ曲には聞こえない。確かに Bamos Pa'al Monte... というフレーズを口ずさんでいるものの、"Guantanamera" のメロディーに乗せて、その歌詞を変えているように聞こえるのだが。


 B面最後の "Thiely" は Du Grand Combo の曲となっている。しかしこれは明らかに "Moliendo Café (Coffee Rumba)" のカバーだろう。70年代当時のセネガルでは、曲名などはミュージシャンたちの間で案外適当に呼び合ってやりとりしていたのかもしれない。


 私はラテン音楽には疎いので、勘違いしているのかも知れない。キューバ音楽などに詳しい方からのご教示をいただきたい。


 ジャケットに "LE MIAMI" とデザインされたファースト・プレス?の裏ジャケットには、バンドメンバーが並べられている。だが、これも信用できない。このファースト・アルバムに限らず、ヴォーカリストなどがレコードレーベル面の表記とは結構食い違っているからだ。

 それでもメンバーのリストに「Thierno saxo alto」と書かれているのを見て、おや?と思った。これはオーケストラ・バオバブ Orchestra Baobab のチエルノ・コイテ Thierno Koite ではないだろうか? "Malaguena" や "Thiely" といった曲では、滑らかで麗しいアルトサックスを聴けるのだが、この音色はチエルノの演奏に間違いない(サックスはもう一人 Pape Seck が入っているのだが、彼はテナーだ)。

 私は70年代セネガルの最重要アルバムは、Le Sahel の "Bamba" (1975)、Idy Diop (Idrissa Diop) の "Dioubo" (1976)、Xalam (un) の "Daïda" (1975) の3枚だと考えている。ラテンの受容時代から脱却してンバラへと向かう姿が強く感じられるからだ。その3枚中、先の2枚にチエルノが参加している(そもそも彼は Cheikh Tidiane Tall、Idy Diop らとともに Le Sahel を結成したメンバーだ)。"Bamba" などがリリースされた1975年というのは重要な年で、Le Diamono のファースト・アルバム "Biita - Baane" のリリースも同年だ(当時 Omar Pene はまだリーダーではなかった)。そしてこのアルバムにもチエルノがクレジットされている。1975年はバオバブが Buur からアルバムを5枚(BRLP 001〜005)リリースするという大躍進を果たした年でもある。だがこれらのアルバムにはチエルノは参加しておらず、後年バオバブでの活躍を考えると、少々不思議な巡り合わせに思えてくる。

 チエルノ・コイテは Star Number One の結成にも関わっているし(ファーストとセカンドの2枚のアルバムにクレジットされている)、バオバブだけでなく、ユッスー・ンドゥール Youssou N'Dour et Le Super Etoile de Dakar での活躍も広く知られていることだろう。ンバラの人気に押されてバオバブが解散状態だった頃に、イッサ・シソッコ Issa Cissoko とともに "Set" などのレコーディングに参加し、ユッスーと来日も果たしている。

 アフリカ音楽の全アルバムの中で一番好きなのは、ユッスーのカセットYoussou N'Dour et Le Super Etoile I De Dakar "Jamm - La Paix - Vol. 12"。生涯の10枚に確実に入るほど愛聴している。中でもユッスーではなく、ウゼン・ンジャイ Ouzin' N'Diaye がリードヴォーカルを担当する(ユッスーはコーラスを添えている)"Ale Samba" が最高で、感涙ものの美しさ。柔らかく優しいサックスの調べも実に良いのだが、これもチエルノだと今頃気がついた(イッサとユニゾンしているのかな?)。


 Star Band、Star Number One、Le Sahel、Etoile de Dakar、Orchestra Baobab、、、これほどまでにセネガルのトップグループを渡り歩いたのは、恐らく彼以外にはいないだろう。そうした経歴を振り返ってみると、チエルノ・コイテはセネガル音楽シーンの生き字引的な存在、いや常にシーンの中央にいた最重要ミュージシャンだと言えるのではないだろうか。だからこそ、オランダのジャズ・ユニット New Cool Collective Big Band がチエルノへのリスペクトを込めて"New Cool Collective Big Band Featuring Thierno Koite" というアルバムを制作するなんてことも起きたのだろう。

 うーん、チエルノ・コイテの偉大さと重要性にもっと早く気がついていれば。2003年にフランスでバオバブのメンバーたちにインタビューしたのだが、ギターのバルテレミ・アティッソ Barthélémy Attisso とヴォーカル&ティンバレスのバラ・シディベ Balla Sidibe、それにイッサに少し話を聞いただけで終えてしまった。チエルノはやたらと目立つイッサの横に立つ地味な存在としか思っていなかったので、フランスで何度か会った時も、バオバブで来日した時もほとんど言葉を交わさなかった。


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 悲しいことに、オーケストラ・バオバブはオリジナル・メンバー/主要メンバーがほぼ皆他界してしまった。それでも結成50周年を記念してのツアーが続行中。最近のライブ・ステージや新作レコーディングを映したビデオを観ると、その中心でチエルノが新加入した若手メンバーたちを引っ張っているように感じられて嬉しかった。

 チエルノ・コイテにはまだまだ元気に活動して欲しいと願う。彼には色々訊きたいことばかりなので、ダメ元でインタビューを申し込んでみようかな?


(スターバンドの1枚目と、それに参加したチエルノ・コイテのことだけで長くなってしまった。2枚目で発見したことなどについては、改めて書こう。)






# by desertjazz | 2023-09-14 20:00 | 音 - Africa

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 9/9(土)、Peter Barakan’s Music Film Festival の1本、『エチオピーク 音楽探求の旅 Ethiopiques - Revolt of the Soul 』を観てきた。以下、本題からは少々脱線する私的雑感。

 フランス人プロデューサーのフランシス・ファルセト Francis Falceto が、如何にして Amha Records などの音源と出会い、それらをコンパイル/リイシューして、エチオピーク・シリーズを実現させたかというストーリーだろうと想像していたら(勿論それが映画の主題のひとつなのだが)、内戦や恋人の死などに翻弄された制作者や音楽家の人生も織り込まれていく。貴重な映像も多く、軍威発揚の歌をステージで歌うフィルムにはびっくり。

 全体的に分かりやすい作りの映画であり、まずはフランシス・ファルセトの個性(変人ぶり?)が伝わってくる。採算など度返しした情熱の傾けようで、これだけ熱心にならなければ(パートナーにも逃げられた)、エチオピークのようなプロジェクトは成功させられないのだろう。

 レコード発掘の熱さで彼を超えるのは AnalogAfrica のサミーくらいではないだろうか。サミーはこれまで会った中で最も情熱的なプロデューサーだった。フランシスにしても、サミーにしても、土地の利のある欧州人だからここまでのことができているのだとも思う。アフリカから遠く離れた日本人にはとても無理。その点、毎年のようにエチオピアに通われている川瀬慈さんには敬服する。

 上映後のその川瀬慈さんとピーター・バラカンさんのトークも超面白かった。Amha 以前にはエチオポップの録音はないだとか、レコード・プレスはインドで行ったという貴重な情報も。お二人とも人名含めて固有名詞が淀みなく出てくるのを聞いて、プロは違うな、なんてことを感じたりも。

 この映画には超重要ミュージシャンが登場しないのだが、それはフランシスと仲が悪いからではないか、といった暴露話も。(世界的には無名だったミュージシャンが突然有名になると、権利や金にうるさくなるのはありがちな話。昔キューバで BVSC の某ミュージシャンにインタビューを申し込んだ時、5000ドルものギャラをふっかけてきて速攻で断った知人のことを思い出した。今回も案外金がらみで揉めたのかも?)時間切れとなって、バラカンさん「もっと聞きたい」、川瀬さん「時間が足りない。裏話、もっとあるのに」。この続きは是非またどこかで!

 帰宅して、まず1曲検索。映画の中盤、70〜71年頃に録音された Haral? Police Orchestra の "Whole Lotta Love"(もちろん Led Zeppelin のカバー)が流れたのだが、これが強烈! 通しで聴きたいと思ってネットで探したが、さすがに見つからなかった。エチオピークに収録された曲の数々は、JB やプレスリーに影響を受けて生まれたものとのことだが、ZEP なども何らかの方法でリアルタイムで聴いていたんだな。

 映画の最初の方でアジスアベバを南北に貫く長い坂道が映し出される。もうこれだけで懐かしくて仕方ない。エチオピアは1997年に訪れたのだが、最初からトラブル続きの旅だった。数十年に一度?という洪水に遭遇。アファール(ダナキル砂漠)ではミリシア(民兵)やゲリラの気配が漂っていて、命の危険を感じたため数日で撤退(帰国後、エチオピアは内戦状態に陥った)。同行者も相次いで倒れ(アジスの日本大使館には大変お世話になりました)、元気なのは自分一人だけに。そんな状況だったので、アジスの街を楽しむ時間などは全くなかった。

 そのようなこともあり、エチオピアももう一度行きたい国のひとつ。最近エチオピア航空がアジス直行便(仁川経由)を再開させたので、そのフライトを調べていた。数ヶ月前の時点で往復約17万円。アジスからナミビアまで飛んでいることにも気がつき、ナミビアやボツワナに1ヶ月ほど滞在した後、アジスにストップオーバーするプランを検討した。東京ーアジスーウィントフックの4フライトでも20万円台。しかし調べ直したらアジス往復だけで27万円に値上がりしていた。このプランはもう無理だろう。

 エチオピアの旅で最も強く記憶に残っているもののひとつは、北部の町メケレの手前を走っている時に、道の脇に黒焦げになった戦車が放置されているのが目に飛び込んできたこと。内戦の残滓がそのまま残されていることに衝撃を受けた。そのメケレで泊まったホテルも私たちが去った後に空爆されたと聞いた。生まれた時代や場所次第で戦争の中で生きるよう強いられる現実に戦慄が走ったのだが、映画中語られる内戦とその映像から、黒焦げの戦車をまた思い出したのだった。

 ・・・このように、映画を振り返りながら、雑念ばかり湧いてくる。

 映画で流れる楽曲の数々を聴いて、やっぱりいいなと思った。エチオピークのCD30枚は勿論全て持っている。だが、全然聴き込んでいないので、じっくり聴き返したい。フランシス・ファルセトはシリーズをスタートさせた時、エチオピークは30タイトル作りたいと語っていた。今ちょうど30作。有言実行。お見事です!

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 映画を観た夜は、そのエチオピークはあえて聴かず、Amha Records のストレート・リイシューや、大好きな(昔雑誌にレビューを書いた)Mohamed Ahmed "Live in Paris" などを流しながら、Francis Falceto "Abyssinie Swing" のページを捲って中の写真を眺めたり。映画の中でフランシスが大量に写真を集めたと語っていたのは、これらのことなのだろう。さらには、エチオピア取材のファイルを開いたり。

 うーん、エチオピア、やっぱり行きたいぞ。本場の味のインジェラを食いたいし、エチオピアのラムもたっぷり飲みたい。

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# by desertjazz | 2023-09-13 19:30 | 音 - Africa

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 南ア・コーラスの最高峰 The Dark City Sisters の "Star Time" 4枚がついに揃った。中村とうよう『アフリカの音が聞こえてくる』で知ってから40年弱、実は割と最近まで1枚も持っておらず。適当な値段のミント盤を探し続けたので時間がかかってしまった。昨日最後に届いた Vol.4 はジャケが少々汚れているけれど、円安が進みミント盤を予算内で買うのはもう無理だと観念。

 その Vol.4 も内容は最高だね! 面白いと思ったのは、例えば "Itinto Ezinhle" という曲は、節回しが Bongeziwe Mabandla とそっくりなこと。半世紀以上昔の歌が、最先鋭のサウンドにまで繋がっているのだな。








# by desertjazz | 2023-09-11 15:00 | 音 - Africa

読書メモ:高野秀行『イラク水滸伝』_d0010432_15571256.jpg



 高野秀行『イラク水滸伝』読了。570ページ以上ある厚い本だが、面白くて2日半で読み終えた。

『語学の天才まで1億光年』もそうだったが、独創的な旅の記録であると同時に、学術的にも内容が濃い(一方は歴史学/文化人類学として、もう一方は言語学として)。そうした両面を語り尽くしたいと思うから、これだけ厚い本になるのだろう。それでも文章が読みやすく、改行も適度になされているのでサクサク進む(余談だが、改行を工夫することで読みやすくしている点、堤未果にも同様なことを感じる)。

 高野本人が「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」と語っている通り、彼の本は、毎度着眼点はいいし(全く誰も思いつかないようなものばかり)、見つけたテーマをとことん掘り下げる。著者自身が「これはどういうことだろう?」と抱いた疑問について、徹底的に調べて納得したいのだろう。だから、大量に文献を読み、専門家や出身者を探して聞き、そして現地に足を運ぶことになるのだ。

 今度の旅も想定外の事件やトラブルの連続で、それがイラク南部湿地帯への探求を深め、結果として本を抜群に面白くしている。また、いつもと同様に食に対する好奇心も十分に満たしてくれる。個人的に強く興味を惹かれたのは、偶然出会ったマーシュアラブ布(アザール)。これは貴重な大発見であり、また重要な調査報告でもあるだろう。個性的な意匠や配色の美しさを目にして、たっぷり楽しませてもらった。

『謎の独立国家ソマリランド』を読んだ時もそうだったが、今回も描かれる国に対する見方が決定的に変わった。知らない国のことを、真面目な研究と(一見)くだらない笑い話とをバランスよく配しながら、想像力も働かせつつ描き出す筆力はさすがだ。特に興味のなかったイラクにも行きたくなってしまった。

 高野秀行は単に好奇心が強く、探究心が旺盛なだけではなく、異国の人々の世界へ入り込む才能にも長けている。その秘密は、この「インドで身ぐるみ剥がされて気づいた異文化コミュニケーションのヒント。探検作家・高野秀行の多様性社会論」という記事を読んでも伝わってくる。






# by desertjazz | 2023-09-08 16:00 | 本 - Readings

徹底研究・ブッシュマンの音楽 16:ターの音楽_d0010432_12013138.jpg



 今年6月に "Taa! Our Language May Be Dying, But Our Voices Remain" というタイトルのアルバムがリリースされた。これはティナリウェンのアルバム制作でも知られるプロデューサーのイアン・ブレナンが、アフリカ南部のボツワナ共和国で「ター語」という希少な言語を話す人々の音楽を集めたもの。その録音内容やブックレットの写真から、サン(ブッシュマン)のフィールド・レコーディングだろうと推測したのだが、公式ウェブサイトの解説にも、ライナーノートにも、サンあるいはブッシュマンといった用語が全く使われていない。果たしてサンと関係があるのかどうか気になって、少々調べてみた。


 ボツワナやナミビアに暮らすコイサン系の人々は、言語的に3系統に分類される。ボツワナ北西部やナミビア北東部などのジュンホアやクンはカー語族。ボツワナ中央部のグイやガナなどはコエ語族。そしてもう一つのトゥ語族にはターも含まれる。やはりターの人々はサン(ブッシュマン)の仲間なのだ。


 ターと呼ばれる民族は現在2000人を超える程度で非常に少ない。その大半がボツワナに住んでいるが(ハンシーの南方など国の南西部に多い)、ナミビアにも数百人いるそうだ。そして、ターという言語は発音の種類の多いこと(112種類もあるらしい)と、クリック発音の豊かさで知られているとのことだ。

 この CD には16トラック収録されているが、1分に満たない短いものもあって、トータルでもわずかに30分。だが内容はなかなか多彩だ。それらは以下のように、おおむね3種類に分けられる。

(1)親指ピアノの弾き語り、など(トラック1、2、7、10、12、16)
(2)女性の伝統スタイルの歌、など(トラック3、4、6、15)
(3)声/ラップとパーカッション、など(トラック5、8、9、11、13、14)

 まず親指ピアノの弾き語りが聴き物だ。Gonxlae、Xhashe という名前の80歳過ぎの老人の演奏に惹かれる。サンの親指ピアノは「デング」や「ドンゴ」などと呼ばれているのだが、彼らの爪弾く音もいかにもデングらしい金属質な音だ。ただしトラック7と16を除くと、デングに特徴的なバズ音(ジャラジャラ鳴るノイズ音)が全く聞こえない澄んだ音である。そのため、トラック7が最もサンらしい音楽に聴こえる。

 女性たちによる力強い手拍子を伴った歌は、古くからサンの音楽のうち特徴的なもののひとつだ。特にヒーリング・ダンスの時に唱和されるトランシーな歌と強烈な手拍子には圧倒される。「ポン」「チッ」「べチャッ」といった弾けるようなクリック発音もサンらしい響きである。

 ラップのような歌が多いこともこのアルバムの特徴だろう。それらにはヒップホップからの影響が明らかに感じられる。胸?を叩いてビートボックス状の音を出したり(トラック8)、ポリ製の水道管を叩いたり(トラック9)、金属板を擦ったり(トラック11)といったように、廃材を利用したパーカッションも興味深い(トラック6ではプラスチックのコップをパーカッションにしている)。

 親指ピアノや女性の歌といった従来からあるスタイルのサンの音楽が聴けるものの、デングにバズ機構がついていなかったり、クリック発音を伴わない歌があったりする。デングは基本的に男性が一人で弾き語るものなのだが、2人組での演奏には時代変化を感じる(Gonxlae は女性?かもしれず、だとすれば結構珍しい)。ラップといった外来ポップの影響も伺われ、アルバムの随所から彼らの音楽が変化し続けている様子が感じ取れる。またブックレットの写真を見ると、老人の顔はいかにもコイサン系だが、若い女性の見た目からはバントゥー系の特徴を強く感じる。

 ターも他のサンと同様に、ツワナやカラハリなどの非コイサン系の人々との混血が進んでいることだろう。また外来文化が盛んに流入することで、彼らの音楽も変化し続け、いわゆる「民族音楽」的なイメージからの変貌も大きいと言える。そのような理由から、従来の「ブッシュマン」を連想させるサンなどの名称を使うことは避けたのかもしれない。


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# by desertjazz | 2023-08-28 12:00 | 音 - Africa

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