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 3/10 にユッスー・ンドゥールの新作がリリースされたようです。 "Serin Fallu"、"Doylou"、"Song Daan" がネットで試聴できます。(相変らず日々忙殺されていて、ブログが書けません。)






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# by desertjazz | 2016-05-11 21:00 | 音 - Africa

Sounds & Music in the World 2016

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(Ubud, Bali, Indonesia : Feb 2016)


 1月7日、ニューヨーク経由でブラジルへ。サルバドールやリオデジャネイロで2週間レコーディング・セッション。ブラジル取材は15年振りで、懐かしい景色ばかり。サルバドールの荒ぶる海を前にしてドリヴァル・カイーミの曲が浮かび、リオの街を歩いてカルトーラを思う(彼が創設したマンゲイラへも)。カエターノ・ヴェローゾの生まれ故郷では彼のお兄さんと偶然遭遇し、思い出話を聞かせていただいたり、一緒に記念写真を撮ったり。
 昨年暮れ、あるアフリカ音楽プロジェクトに関して SWP のマイケル・ベアードとメールでやり取りしていて、彼が1月に初めてブラジルを訪れることを知る(オランダからポルトガル経由で)。しかも自分の日程と半日だけサルバドールで重なる。これは奇跡! どうにか都合を合わせて13年振りに乾杯したのだった。1月21日帰国。

 1月31日、短い北海道旅行を挟んだ後に中国へ。大量の録音機材を調達して再びレコーディング・セッション。ここ数ヶ月間の不眠不休がたたってか、本番前に40度の高熱。それでも強力な解熱剤を飲んでどうにか乗り切る。中国滞在は6回目、都合7〜8ヶ月になる。田舎の原風景が懐かしい。2月7日に帰国。

 2月9日、インドネシアのバリ島へ。インドネシアは14回目(バリは13回目)。ウブドの常宿に籠って、朝・昼・夜、濃密な森の音を録音。とにかくここの眺めと音環境は素晴らしい。ただボーッとしているだけでも何と心地よいことか。究極の快楽! 
 2月14日帰国。インドネシアには毎度2週間程度滞在していて、これだけ短いのは初めて。今抱えている仕事が多いので、それもしかたない。

 3月11日、急な打合せが生じてサンフランシスコへ。中国と同様、アメリカにも行きたくないと思いながらも、アメリカ滞在は10回をとうに超えた。サンフランも4回目か5回目。打合せが済んだ後は特段することもないので(MoMA も閉館中なので)、美味しい食事(連日の女子会!)と美味い酒を楽しんで過ごす。
 その間、全米ツアー中のブルース・スプリングスティーンのライブを観るべくオークランドへ。"The River" の全20曲をアルバム通りに再現し、70年代の代表曲をこれでもかとプレイする、9年振りに観た彼のステージはとにかく凄かった!!!
 最近、世界トップレベルのアフロポップ研究家が連携してアーカイブス/データベースを作る動きが起こり、どうやら私もそれへの連携を求められている様相。その拠点がサンフランシスコに置かれているので、主宰者と直に会って話をしたかったが、残念ながらそこまでの余力はなかった。具体的な動きがあれば、後日お知らせしたい。


♪♪♪


 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。・・・って、もう3月下旬、春分も過ぎて桜の季節ですね。

 昨年末以降またまた怒濤のスケジュール。それでも世界各地で音と音楽を猛烈に浴び続けながら、マイペースで快楽にふける毎日を過ごしています。

 振り返ってみるとおよそ2ヶ月間で18フライト(飛行機に乗ることは全然苦じゃないけれど、さすがに飽きてきた)。ブログを書くどころか、好きな音楽や読書を楽しむ時間もほとんどありません。まあ、このご時勢、仕事があるだけでも感謝すべきことなのでしょう。

 今年の残りから来年にかけても、予定がびっしり詰まり始めてきました(7月のモロッコ行きは一旦延期。その後ベルギーとオランダに行くことを考えていたが、ブリュッセルでテロが発生し計画は見直しせざるを得ない)。そろそろブログも再開したいですが、さてこの先どーなる??






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# by desertjazz | 2016-03-24 00:00 | 旅 - Abroad

BEST BOOKS 2015


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1. バオ・ニン『戦争の悲しみ』(ベトナム)
2. ガブリエル・ガルシア=マルケス『生きて、語り伝える』(コロンビア)
3. ブルース・チャトウィン『ウイダーの副王』(イギリス)
4. オルハン・パムク『わたしの名は赤』新訳版(トルコ)
5. カール・オーヴェ・クナウスゴール『わが闘争 父の死』(ノルウェー)
6. カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』(イギリス)
7. トマス・ピンチョン『重力の虹』(アメリカ)
8. L・ヴァン・デル・ポスト『ある国にて 南アフリカ物語』(南ア/イギリス)
9. ミシェル・ウエルベック『服従』(フランス)
10. 田中真知『たまたまザイール、またコンゴ』(日本)


 毎年書いている通り、1年で100冊完読することをひとつの目標(ノルマあるいは目処と言ってもいい?)としている。しかし今年は100冊にはほど遠かった。例年と同様に薄い新書や文庫は読まず、長編大作に没頭した影響が大きい。海外の新旧の小説を読みふけっていたのが 2015年の傾向で、その分ノンフィクションや研究書の類は減った。大作読み切るのに精力削がれて、難解な小説や評論に挑む度に挫折を繰り返すことにも(そうした本も含めれば100冊以上になるがカウントには含めず)。

 それと同時に、読書する時間の確保がますます難しくなってきてもいる。今年は「どこかへ旅したいなぁ」とばかり呟いていたのだが、振り返ってみると、サンフランシスコ2週間、パリ1週間、中央アルプス2週間、北陸1週間、再び欧州(フランス、イタリア)2週間と、それなりに旅に出ていたので、なおさらだ。


 こうした具合なので、読むことに追われて読書メモは次第に書けなくなってしまっている。それでもいろいろ感想を綴っておきたいことが頭の中に残っている10冊。順位にさほど意味はないが、とにかく最初の2冊が圧巻だった。

 まず1位に選んだバオ・ニン。今年はベトナム戦争終結40周年、それを記念するくらいの気分で、数年前に買っておいた『戦争の悲しみ』を読み始めたのだった。ところが、ベトナムにこんな凄い小説があったとは! アジアの小説を読んでここまで圧倒されたのは、インドネシアのプラムディヤ・アナンタトゥール『人間の大地』全4部6冊を読んで以来のことかも知れない。
 終わりまで綴られず肝心な部分を前に中断される戦中の事件や惨劇、まるでノンフィクションかのような生々しい戦争描写、ベトナム戦争で心が破壊された男の記憶の断片が散り散りになっているだけかと思いきや、それらや次第に結びついて話の極点に向かって巻き上がっていく。戦争によって蹂躙された若い男女の悲劇でありながら、思い通りにいかずに老いるということの普遍性さえ感じさせる。中盤までは漠然と書かれた印象であったのだが、実は周到に計算されていたに違いない。全くなんという構成力なのだろう。どこにも救いなどないのに、読み終えた後には不思議な感動が残る。
 もしかすると、まるで日本も世界も自滅へと突っ走るかのように戦争を求める時代感覚が、自分をこの作品に向かわせたのかもしれない。4年前、福島第一原発事故に石牟礼道子の『苦海浄土』を貪り読んだときのことも思い出した。

 2位のガブリエル・ガルシア=マルケスの自伝は彼の代表作にも匹敵する面白さ。彼の自伝が少年期〜青年期(ヨーロッパに渡る前)を描いた1巻目だけで終わってしまったことが何とも悔やまれる。今年はガルシア=マルケスの全小説を初期短編集から順に読み直し続けたり、ロベルト・ボラーニョのコレクションを発売になった順に読んだりもしていた。ガルシア=マルケスは残り数冊なので、来年読了できそう。ボラーニョは『2666』へ至る道程を辿るように、順調に既刊書を読み終えている。ガルシア=マルケス、ボラーニョ以外にも、今年はなぜか南米関連が多かった。マシャード・ジ・アシス『ドン・カズムッホ』やブルース・チャトウィン『パタゴニア』等々(ダーウィン『ビーグル号航海記』やメルヴィル『白鯨』も読了)。またこれまで知らなかった南米の小説家の作品も相次いで邦訳が進められ気になりつつも、さすがにそこまでは手が出せなかった。

 3位ブルース・チャトウィン『ウイダーの副王』を読んで、ブラジルとダオメー(現ベナン)との間にこんな奇譚があったことを初めて知った。どこまで事実でどこまで創作なのか。チャトウィンも立て続けに読んで、『黒ヶ丘の上で』を除いて全作読了。各作品とも舞台が全く異なる面白さを感じた中で、個人的には『ウイダーの副王』が一番だった。昔『ソングライン』を読んだ時にはさっぱり楽しめなかったのだが、今年はオーストラリアのアボリジニの歌に関する仕事を引き受けてしまったので、『ソングライン』も読み直す必要がありそうだ。

 新装版でようやく再読した4位、パムクの『わたしの名は赤』には驚いた。彼の著作の中では特に好みではなかったのに、これほどに凄い小説だったのか! もしかすると最高傑作かも。藤原書店版で読んだ時とは印象が異なり(それより話の筋をすっかり忘れている)、犯人明かさずに終わる推理小説的なところがひとつの魅力と思っていたのだが、全く記憶違いしていた。バオ・ニンと同様、構成力の大勝利。数多くの登場人物?が語り継ぐスタイルに導かれて、先が気になる。死人や犬や絵まで語り始めて、そんなはずないだろうという疑問も、作品最後の一文で解消。お見事! パムクの他の作品群ももう一度読み直したくなった。

 世界的大ベスト・セラーとなったカール・オーヴェ・クナウスゴールの『わが闘争』もいよいよ翻訳がスタート。その初巻『父の死』は、前半はタラタラ進むが、後半一気にギアが入り思索的になってからに力を感じる。傑作なのか過大評価されすぎているのかはまだはっきりしない。6巻全部で4000ページ以上になると思うのだが、年1冊くらいのペースで構わないので順調に翻訳が進んで欲しい。(来年は夏頃に出そうなアディーチェの『アメリカーナ』の邦訳も楽しみだ。)

 ナイジェリアのアディーチェらと並んで世界で最も好きな現役作家、カズオ・イシグロの新作『忘れられた巨人』は、前作『短編集』に続いて、こちらの期待感に届かない印象。パムクの『無垢の博物館』を読んだ時の肩すかし感のようなものがある。だけど、一作ごとに全く異なる異なる小説を完成させ、しかも独特な世界観を見せる点はさすが。多分自分の読み込みが足りないのだろう。しっかり再読しないとまだ判断できないな。

 トマス・ピンチョンは7位に入れた超大作『重力の虹』(長過ぎることもあるが、「最高傑作」との声もあるので、後回しにしていた)で遂に全小説を読み終え、これには達成感を抱く。でも、やっぱりピンチョン、よく分からん!

 L・ヴァン・デル・ポストは古のブッシュマン(サン)を追い求める『カラハリの失われた世界』や『奥地への旅』が知られているが、黒人少年との心温まる交流(悲劇には終わるが)を描いたこうした作品があったとは。今年『ウイダーの副王』と『ある国にて』の翻訳を出したみすず書房に感謝。

 『地図と領土』が面白かったウエルベックも片っ端から読んでいる。確かに『プラットホーム』(これは好きになれない)も『服従』もある意味で時代とのシンクロを感じさせるが、果たして「予見書」なのかどうか? 巷でも多く語られているので、ここではパス。

 残る1冊、全部海外ものでも構わないか、あるいは1冊くらい日本人の作品を入れるとすれば又吉の『火花』か、などと思案した末、田中真知さんの『たまたまザイール、またコンゴ』に決定。22年の間をおいて行われた2つのザイール河(コンゴ川)下り。どちらも流域に暮らす人々との交流がとてもいい。思わず自分も川下りをしたくなる?1冊。真知さんは、人に読ませる文章を書くのが本当に巧いなぁ。


 リストを見直すと、何故だか南米とアフリカにまた呼ばれているような気がする。と思っていた矢先、南米旅行とアフリカ旅行のお誘いが! さて 2016年はどうなる? またまた旅で忙しくなる気配がしてきているのだけれど、来年も100冊目指しながら読書を楽しもう!


(2016.01.02 09:00 全面的に書き直し)
(2016.01.02 13:40 加筆)










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# by desertjazz | 2015-12-31 12:02 | 本 - Readings

BEST ALBUMs 2015


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1. DUPAIN / SORGA (France)
2. FAADA FREDDY / GOSPEL JOURNEY (Senegal)
3. IBRAHIM MAALOUF / ILLUSIONS (Lebanon, 2013)
4. ADIOUZA / LI MA DOON (Senegal, 2013)
5. SUFJAN STEVENS / CARRIE & LOWELL (USA)
6. BEIRUT / NO NO NO (USA)
7. THE DO / SHAKE SHOOK SHAKEN (France & Finland)
8. HINDI ZAHRA / HOMELAND (Morocco)
9. TIGANA SANTANA / TEMPO & MAGMA (Brasil)
10. SEU JORGE / MUSICAS PARA CHURRASCO II (Brasil)


 終わってみたら、デュパンとファーダ・フレディとクロ・ペルガグに興奮しっぱなしの1年。なので、今年の4月に彼ら3組のライブを観たパリ3連夜は自分にとっては正に奇跡だった(デュパンのリーダー、サム・カルピーニャやファーダと再会し、クロ姫とも直接話ができたし)。

 デュパン12年振りの新作と、今回会うのが5回目!となったファーダの初ソロ、どちらを1位にするか迷って何度も何度も入れ替えた。結局、12年間待ちこがれた思いとアルバムの完成度を優先して "Sorga" を1位に。ライブの素晴らしさなども加味すると "Gospel Journey" が1位でも全くおかしくない。実際聴いた回数は "Gospel Journey" の方が遥かに多かったことだし。デュパンは終盤の頂点に向かって濃密さを増して行くインプロビゼーションが圧巻。ただ前作 "Les Vivants" のキレまくったポップさの方が好きだというは正直なところ。"Gospel Journey" は声とボディだけで思いっきり楽しい音楽を産み出せることを示したポップの傑作。アルバムのサウンドをよりゴスペル風に壮大なものにしたライブも最高だった。なぜこれが日本で話題にならなかった??

 次ぐ3位は今年4月にリリースされた Klo Pelgag "L'Alchimie des Monstres - Edition de Luxe - " にしたいところだが、これの元アルバムは昨年1位にしたのでガマン(彼女の日本公演がキャンセルされたのは残念)。代わりに選んだのはレバノンのジャズ・トランペッター、イブラヒム・マールフの "Illusions"。今年リリースした新作2枚"Kaltuoum" と "Red & Black Light"も充実していたが、2年前のこのアルバムの方がずっといい。対位するトランペット・アンサンブルを筆頭に、自分が音楽に求めるあらゆる興奮要素が詰まっていて、21世紀のベスト10に入り得るレベルの大傑作。2013年作でなければ1位でもおかしくない(彼はシェイク・ローの新作にも、間もなく出るナターシャ・アトラスの新作にも参加している。どうしてこれまで彼をスルーしてきたのだろう。今一番ライブで聴きたいひとり)。

 アフロ・ポップは新作もリイシューも熱心に聴いたものがあまり思い浮かばない。そんな中ほとんど唯一の例外と言えるのは、これまたパリで見つけたアディウーザ嬢のアルバム。年末の今でも冒頭2曲だけ繰り返し聴いている。2015年のベスト PV もアディウーザの "Ndaanane" です。

 スフィアン・スティーブンスは久々の快作。でもアルバム出す前に全曲無料で配信した音を聴き過ぎてしまったためか、CD の音で聴いた印象が希薄。ベイルートはタイトル曲の朴訥とした雰囲気がなんともいい。スフィアンとベイルートのメランコリックな暖かさに惹かれた。

 結構な豊作年の印象だったのに、7位以下は大迷い。The Dø は10月にライブを観てからヘビロテ中。モロッコの歌姫はライブを観たウムの "Zarabi" よりもインディ・ザラの新作の方が良かった。ウムのマネージメントからは「日本でライブをやりたい」と連絡があり、インディ・ザラの関係者からは「日本盤を出したい」と相談を受けたが、どちらも話が進まず。でも来年以降もフォローし続けます。

 残る2枠はブラジル勢の争いに。最後に落としたのは Celso Fonseca "Like Nice"。最初は5位に入れたのだが、入手できたのが年末で聴き込みがまだ足りない。今年のスキヤキ組の中では9位に入れたティガナ・サンタナ(チガナ・サンタナ)が良かった。セウ・ジョルジの美味しいアルバム第2弾も最高!(でもどうしてこれが10位なんだ? セウ・ジョルジもライブを観たいな。)


 ・・・ということで、時代を象徴するとか、歴史に残るとか、未来を予見するとかいったことは一切抜きに、今年自分が好きでよく聴いたアルバム10枚です。


 次点を挙げるなら、こんなところかなぁ。

・CELSO FONSECA / LIKE NICE (Brasil)
・JALAL EL HAMDAOUI / REGGADIATES 2013 (Morocco, 2013)
・TIGRAN HAMASYAN / YEREVAN STATE CHAMBER CHOIR/HARUTYUN TOPIKYAN (Armenia)
・REDA TALIANI / BLADI (Algeria)
・D'ANGELO AND THE VANGUARD / BLACK MESSIAH (USA)
・COUMBA GAWLO / 23ANS DE SUCCESS (Senegal)


 ここで、「あれっ? "Bladi" がベスト10に入っていない」と思う方がいるかも知れない(いや、いるはずないか。"Bladi" は確かに良い作品だけれど、自分のベスト10には入らないなぁ)。

 私がフランスで見つけてきて、渋谷のエル・スール・レコーズに紹介したレダ・タリアニの "Bladi" とファーダの "Gospel Journey" が『ミュージック・マガジン』ベスト・アルバム 2015 のワールド・ミュージック部門で1位と5位だって!

 ひとりの音楽ファンが趣味で探してきた CD がベスト5に2枚も入るなんて、それだけワールド・ミュージックのマーケットが縮小しているのかだとか、日本に入るべきアイテムが届いていないのだろうかだとか、マガジン内輪関係の限界が露呈しただけか、などなどいろいろ考えるところ多い。まあ誰もが言っている通り、合議制に無理があるのだろう。

 今年は音楽を聴く時間がさらに少なくなり、レコードの入手枚数もまた減った(過去30年間で最低かも)。実際、音楽を聴くより、本を読んでいる時間の方がずっと長い。ブログで音楽について語る余裕もほとんどない。それでも自分の感性にひっかかる音楽が確実に捉えられているし、その感覚を誰かと共有できていることは嬉しく思う。自分が日本に紹介した2枚がマガジンでこうして取り上げられたことについても、取りあえずは自分のやっていることもわずかながら世間の役に立っているのだろうと考えることにしよう。


(2016.01.02 07:50 追記修正)









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# by desertjazz | 2015-12-31 12:01 | 音 - Music

【回顧2015 - Part 2】


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 今年はこのカメラとレンズの組合せで飛び回った。

 ・Canon EOS 7D Mark II
 ・Canon EF-S17-55mm F2.8 IS USM
 ・Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM

 APS-C サイズとしては、恐らく最も贅沢な組合せだろう。



 わざわざ日本からやってきたからなのか、知り合った音楽関係者たちが裏で口添えをして下さっているからなのか、例えばフランスの各音楽フェスでは自由に写真を撮らせてもらっている。ステージやバックステージの写真を撮るようになったのは、自分のサイトやブログでフェスを紹介する際、写真はないよりあった方がいいだろうと考えてのこと。

 5年ほど前にスキヤキに通い始めたころには、(失礼ながら)まともなステージ写真が全くネットに上がっていなかった。運営スタッフが忙しい合間にケータイで撮ったらしきものがわずかに見られる程度。ならば自分で撮影してリポートしようと思い立った。

 折角撮って披露するなら多少なりともまともな写真の方がいい。しかし、自分は写真に関しては全くの素人(・・・と断言するには誤謬があるだろうか。プロ仕様のビデオカメラに関しては一通りのことを勉強しているので)。なかなか思ったような画が撮れない。

 機材面で限界を感じたのは4月にパリに行ったときのこと。EF-S17-55mm は APS-C 最高のレンズ。なので、あとはどこまで被写体に近寄れるかが勝負だ。ところが、接近戦が許されないシチュエーションが続く。しかも暗い。またネットでの使用を考えると、今はもう動画の時代だとも感じる。メインで使っている EOS 50D に動画機能が備わっていないだけでなく、ずっと違和感(初期不良?)を感じでいたこともあって、スキヤキ前にボディとレンズを新たに購入することにした。

 まず迷ったのはフルサイズに移行するかどうか。心の内ではフルサイズが欲しくて仕方なかったのだが、APS-C 専用の EF-S17-55mm が使えないのは痛い。軽い方がいいし、予算も限られているので、最後にはキャッシュバック・キャンペーンに乗せられて?7D Mark II に決定。しかし、これはステージ撮るにはあまりにオーバースペック。連写毎秒10コマって、笑っちゃうくらいに速い。やはりこれは、鉄道、飛行機、動物を撮るのに特化したカメラなのだろう。

(後で分かったことだが、フルボディと APS-C とではボディに重量差はなく、画素数にも差がない。ということは望遠については後者に歩がある。なので、フルサイズ不要論さえ出ているのかも知れない。)

 EF-S17-55mm はワイド域のみなので、明るい望遠レンズの入手も必須。EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMか、EF70-300mm F4-5.6L IS USMか、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMかと迷ったが、人気で数ヶ月待ちだったり、何よりステージを撮るに暗そうだ。そこで思い切って Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM に決めた。これもキャノンで一番人気のレンズなために量販店は全滅。何とか秋葉原で安いブツを見つけてゲット。このレンズを一度使ってみたかったし、キャンペーンで3万円のバックがあったし。結局今年一番高価な買い物になってしまった。このレンズ、確かにスゴイ。静かだし、多少暗くても瞬間でピントが合う。



 さて初めての本使用となった8月のスキヤキ。動画撮影の出番も望遠レンズの出番もほとんどなし。EOS で動画を撮るには無理がありすぎる。ズームもボディを1台しか持っていかなかったので、レンズ交換が面倒。それでもティガナ・サンタナの静寂ステージとクアトロ・ミニマルの暗闇ステージとでは威力を発揮してくれた。

 続く10月のパリとマルセイユ、迷った末に昔から持っているものも含めて望遠レンズは置いていった。CD買付けもあったし、フランスの後はイタリアに飛ぶ予定でもいたので、少しでも荷物を軽くして行きたかったから。もう一度ワイド1本で勝負することに決めた。

 しかし 55mm までというのは厳しい。あとちょっと寄りたいのに寄れない。動画も全く撮らず仕舞。

 それより何が厳しいかと言えば、頭3曲縛りだ。Fiesta des Suds は既に勝手知ったるもので、ステージ下手に5分前に集合し、そこでフォトブースに通じるゲートが開けられる。一応パスのチェックがあるのだが、一度もパスを見せなかった。それでも問題なし。そして3曲終わったところで全員退場させられる。

 最初の3曲までだと、アーティストたちもまだ探り状態だし、照明も退屈。なので良い写真など撮れっこない。機材やポジショニングやタイミング以前に限界がある。そんな中で(耳栓しながら)撮っているカメラマンたちはプロなんだな。(耳栓している)彼らと同じ写真を撮っても意味がないので、少しでもフェスの雰囲気を伝えられるものをと思ったものの、やっぱり頭3曲縛りがキツかった。



 スキヤキやマルセイユでの撮影を通じて感じたのは、このレンズの組合せだと 55-70mm という美味しい範囲が抜けていること。どうやらもう1本レンズが必要なようだ(良い接写レンズも欲しいのだが)。

 その一方で、もう一眼レフの時代ではないような感触も抱き始めている。ズーム域の広いレンズのついたミラーレスの方がメリットがありそう。けれども、被写体深度がどれだけ取れて、ボケをどれだけコントロールできるのかも分からない。



 1年間試行錯誤しながら1万枚くらい撮ったが、納得できる写真は1枚もなかった。やっぱり写真は難しい。フェスではカメラの電源切ってビール片手に踊っている方がずっと楽しかった。ブログをやっていなかったら、きっと写真なんて撮っていなかったかと思う。



 それでも、ちょっとだけ写真の楽しさを感じ始めてきたかな。どの会場でも「また会ったね」といった風に多数のカメラマンたちから挨拶されたし。



 子供の頃は本ばかり読んでいて、中学校に入ってもビートルズすら知らなかった自分が、今音楽について語っている。学生時代はレコード至上主義で、コンサートやライブには滅多に行かなかった自分が、フェス通いをしている。カメラには全く興味を持っていなかったのに、海外の巨大フェスでオフィシャル・カメラマンとしてステージを撮影している。考えてみると不思議なことばかり。










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# by desertjazz | 2015-12-30 22:00 | 美 - Art/Museum


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 なんて柔らかく暖かくて繊細な調べなのだろう。今回イダン・ライヒェル・プロジェクトの日本公演を聴いてとりわけ印象に残ったのはイダンが紡ぎ出すピアノの音の美しさだった。

 全国8都市を巡ったイダン・ライヒェル・プロジェクト The Idan Raichel Project(IRP)の日本ツアー、その最後の2公演を観てきた。

 2015年12月14日(月) 横浜・神奈川県民ホール
 2015年12月15日(火) 東京・中野サンプラザ

 両公演とも会場がコンサートホールだったため、これまでに観た IRP のライブよりもずっと腰を落ち着けて、個々の音と音の構造をじっくり確認しながら聴くことができた。

 まず舞台下手からイダンが登場しソロで1曲。ピアノの一音目からもう耳が虜になってしまった。イダンは俯き目を閉じてプレイ。よくみると小声で何かを呟きながら演奏している。自己の世界に入り込んむことで、珠玉の美しさを持ったメロディーを完成させる作業に没入しているかのよう。

 2曲目はピアノ弾き語り。イダンの歌声はいつ聴いてもいい。もの悲しい曲調に呼応するかのように、会場が瞬く間に静まりかえっていった。今度の日本公演はイダンの歌を存分に聴けたこともよかった。

 3曲目でドラム奏者とベース奏者(ヴァイオリンとアコースティック・ギターも兼務)が登場。さらにカマンチェ奏者(ベースも兼務)が加わる。時おり短めの MC を挟みつつトリオ〜カルテットでの演奏が続く。来年1月にリリース予定のイダン・ライヒェルのソロ・アルバム収録曲も交えながら進行。どの曲も短く、もう少し聴きたいと思ったところで終わってしまう。このあたりまでは IRP のライブというよりも、「演奏会」といった雰囲気だ。ステージのスクリーンには歌詞の抄訳や MC の内容が映し出され、イダンのことを知らずに来た聴衆に対しては親切な工夫だったと思う。

 7曲ほど終えたところで笛のマエストロ、エヤル・セラが登場。超絶パフォーマンスを披露。一気に美味しい所を持っていった感じなのだが、彼のパフォーマンスは昨年よりも控え目。(それだけエヤルが凄過ぎるということなのだろうか?)"Im Telech" などの2曲でバンド全体で長尺演奏を展開。イダンのリリカルなピアノと他のプレイヤーたちとの間のインタープレイをたっぷり楽しめた。ホント、イダンのピアノには一段と磨きがかかっている印象を受ける。

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(例えば4日前に公開された "UNITED PIANOS | World's first 22 hands piano piece" を観ても、イダンが重要な役割を担っているなど、ピアニストとして注目され続けていることに納得が行く。)

 ここまで聴いて、それぞれの曲が独特かつこの上もなく美しいメロディーを持っていることや(哀感や寂寥感の究極点)、イスラエルはもとより、エチオピアなどの周辺国、モロッコ、東欧、等々、さらには欧米ポップまでもを巧みに取り込んだ、汎地中海/汎ワールド的なミクスチャー・ミュージックになっていことを再確認。ただ今回は高域の音に寄り過ぎで音量が控え目なこともあって、軽い音に聴こえたことはやや不満。もっと重低音を強調しても良かったのではないだろうか?

 そろそろ2部構成の第1部が終わるのかと思ったところで、女性ヴォーカルが登場。今回はひとりだけ。いつもと違って2人じゃないのはちょっと残念。そして最後に男性ヴォーカルが加わってメンバー7人が揃う。ここで突然ハンドクラップとスタンディングも求めてきて、何とも強引だなぁと思いつつも、いつもの IRP ライブの楽しいダンス・パーティーへとなだれ込んでいった。(ヴォーカルの3人は IRP 結成以来不変の布陣のようだ。)



 ここまで約1時間20分演奏を披露したところで、15分間の小休止。これは主催が民音であるため、年配のお客さんが多いことへの配慮なのだろうか、それとも民音にとって譲れない公演スタイルなのだうか。

 第2部はのっけからイダンのくだけた調子のMCでスタート。ストイックなインプロヴィゼーションが続いた前半からは雰囲気が一転。"Mi'ma'amakim (Out Of The Depths)" や "Bo'ee (Come With Me)" といった傑作ヒット曲を連発してダンス・パーティーが再開("Bo'ee" はアレンジを変えて披露)。自らカメラを持って撮影したり、カメラマンをステージに上げたり、ピアノ演奏とダンスを往復したりと、イダン本人も気持ちを開放して楽しんでいる様子だった。

 ただひとつ残念だったのは、この後にやったアンコール1曲目のこと。日本語の歌を歌ったのだが、事情を知らないイダンのファンたちを困惑させたりしていた。(まあ、この件に関しては多くは語らないでおこう。)


☆☆

 自分がイダン・ライヒェルの音楽と出会ったのはいつのことだっただろう。そう思い、改めて調べてみた。

 12年前にイスラエルに1ヶ月近く滞在した。この間、2003年10月27日にテルアビブの Tower Records で彼のデビュー・アルバム "The Idan Raichel Project" (2002) を買っている。これが全ての始まり。2006年1月29日にはパリ、エトワールの Virgin Megastore でセカンド・アルバム "Out Of The Depths" (2005) 購入。今でもファーストこそがイダンの最高傑作だと思っているし、セカンドもそれに匹敵する作品だ。そのいずれもをリリースほどなくして聴けたのは大きな幸運だった。

 イスラエルからとんでもないアーティストが現れた! そう感じ取って、2006年10月23日にパリ18区の Divan Du Monde で行われた世界デビューお披露目ライブに駆けつけた。その直前には彼への単独インタビューにも成功。この頃が一番熱心にイダンの音楽を聴いていたかも知れない。

 ファースト・アルバムは今でも素晴らしいと思い続けている。もちろんファーストとセカンドからベスト・トラックを集めた初のインターナショナル盤 "The Idan Raichel Project" を聴くだけでも、彼の素晴らしさは十分に知ることができる。

 でも彼独特な世界観はイスラエル盤を聴いてこそ伝わってくるし、そこにはその後の作品にはない不思議な統一感がある。だから昔 El Sur Records にイスラエル盤を入れるように勧めたりもしたのだった。その一方で、個性的なメロディー、独特なミクスチャー感覚、そして宅録的な実験性から、当時はそれほど一般向けの音楽とは思えず、ちょっと自分に自信を持てないでもいたのだった。

 ところが、今回の日本公演は聴衆の大半が彼の音楽を初めて聴くのにも関わらず、前半では全ての耳を釘付けにし、後半では熱狂的に踊らせたのだから、大したものである。イダンの楽曲が元々それだけの普遍性を持っていたということだし、彼自身も経験を積んで大きく成長してきたということなのだろう(休憩時間と終演後のCDの売れ方も尋常じゃなかった。CD物販であんな人だかりを目にしたのは初めて。「久し振りにCDかったわ」なんて声も聞こえてきた)。

 イダン・ライヒェルというミュージシャンは、恐らく自分が考えたいたよりもずっと大きな存在だったのだろう。



 全く夢のようなことだが、昨年と今年、IRP のステージを日本で4回も観ることが出来た。それでもまだ物足りない。大きな不満というか、最も違和感を覚えたことは、ヒット曲のサビ部分でも大合唱が起こらないことだ。

 その点、いまでも懐かしく思い出すのは、2006年に初めて観たライブである。パリ在住のユダヤ人たちが集まってチケット完売札止めとなった中、大盛り上がり。今回は素晴らしい音環境の中でイダンのピアノをたっぷり味わえたけれど、次回は踊れる箱かオープンスペースで、キーボードやアコーディオンもプレイするイダンの弾ける姿を楽しみたい。ならば、今度観たいのはアメリカかどこかのユダヤ人コミュニティーを相手にしたライブか、テルアビブあたりでのステージだろうか。

 今年の日本公演で、イダン・ライヒェルが現在世界を代表する偉大なコンポーザー/ソングライターの一人であり、卓越したピアニストであり、心に響く歌い手であり、超一流のサウンド・クリエイターであると改めて実感した。そんなミュージシャンと巡り会えたことにもう一度感謝!

 これからイダンはどこへ向かっていくのだろう。まずは完成したと伝えられる新作を聴くことが楽しみだ。そして彼のライブをまた楽しみたい。2006年にパリで初めて会い、2007年に米ワシントンのストリートでばったり再会。昨年と今年は日本でも会えた。きっとまた世界のどこかで彼の音楽に触れる機会もあることだろう。そのとき彼はさらに大きくなった姿を見せてくれるに違いない。


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(写真は 2014年に Billboard 東京と 2006年 パリ Divan Du Monde で撮影したもの。横浜も中野も撮影禁止だったので。その分、音楽を聴くことに集中できたのは良かった。)










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# by desertjazz | 2015-12-16 17:00 | 音 - Music


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 レダ・タリアニ Reda Taliani の時代到来か? レダ・タリアニの人気が今日本でも高騰中? 今年10月にフランスのパリとマルセイユで買付けてきたライ・シンガーの新作が、評判を呼んで奪い合いに??

 彼の CD が El Sur Records など随所で紹介されたものだから「欲しい」と直接ご連絡いただいたりしている。そして『ミュージック・マガジン』最新号(12月号)の輸入盤紹介ページにも取り上げられた(P.183)。うーん、これならパリとマルセイユで彼の CD をあるだけ全部買い占めてくるんだったかな。

 そんなことを思いながら、マルセイユのベルザンスで買ってきたレダ・タリアニの最新作 "Bladi" をじっくり聴き返してみた。

Reda Taliani "Bladi" (Dounia Production 931, 2015)

(いや正確に書くと、この CD はただでもらってきたんだった。今秋のフランス旅行でもアラブ/マグレブの CD ショップを巡ったのだが、店に入る度に「やあ、また来たか!」「おお、モナミ!」と大歓迎。毎度爆買いするものだから、たっぷり安くしてくれるし、店主のお気に入りはおまけとしてプレゼントしてくれるし、会計終えた後で目に留まった CD は「いいよ、もってけ!」と一言。ありがたや! これもそんな1枚。)

 (1) "Mardi L'Amour" は切迫感溢れる軽快なチューン。絶頂期の Cheb Mami さえ連想させる。(2) "Yachaba" はトランペットやハイトーンの笛も響くライ・ナンバーで、ノリがさらに加速する。(3) "Soirée H'Bel" はゲンブリやカルカベっぽいサウンドのイントロに続いて、まるで Ibrahim Maalouf のようなトランペット・アンサンブルが加わる濃厚/芳醇さ。至福を約束するビッグ・チューン。(4) "Alguitha Fi L'Arret" は往年の Khaled かのよう。「おい〜」の一声で "La Camel" の世界に誘われる。この曲もトランペットが耳に響くが、プレイヤーは誰なのだろう? (5) "Chayef Au Aayef" は典型的な今風のライだな。(6) "Miya More" はピアノによるイントロとオーケストレーションが印象的な感涙バラード。ストリングス、アラビック・パーカッション、サックスなどによるインタープレイもいい。(7) "Redatini Man Nes Wache" もピアノとストリングスに導かれる濃密なバラード。(8) " Essemaani" はレダのしっとりした歌が実にいい。曲の流れもよく考えられていて、何とも贅沢な作品だなぁ。

 ちなみにマガジンでレビューされたのは、このアルジェリア Dounia Production からのオリジナル盤(多分)ではなく、Mogador Editon から出た粗製盤の方だ。

Reda Taliani "Mardi L'Amour" (Mogador Edition, 2015)

 これは編集盤(多分)で、"Bladi" から (4) と (8) を除いた6曲に別の5曲を追加した内容になっている。なので、「ジャケ違いで "Bladi" と題したCDも出ているが、内容は本作と同じようだ」との記述は厳密には正確じゃない。まあ、どちらか1枚持っていれば十分なワケで、どうでもいい次元の話なのですが。



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 以前にも書いたが、レダ・タリアニを気に入って聴いているのは今年4月からのこと。パリのバルベスにある馴染みの CD ショップで「今一番のライ・シンガーは誰?」と訊ねて奨められたのがレダだった。そのとき買ったベスト盤、ホントにいいね。曲良し、歌良し。とても陽気でダンサブル。往年のライのエッセンスが詰まった華やかさを感じる。先日誘われてお邪魔したアルジェリアン・パーティー(Cheb Hasni の21回忌)でも、この CD のトラックがガンガン回されて、皆踊りまくっていた。

 すっかり忘れていたが、レダはもっと昔から聴いていた。例えば 2009年にマルセイユで "El Djazair" を買って(いや、これももらって)聴いている。だけど当時はなんだかピンとこなくてそれっきりに。音よりも「このヘア・スタイルは何じゃこりゃ!?」と感じて、キワモノ扱いしてしまった面もあったかも知れない。



 レダ・タリアニのレコーディングとして有名なのは 2005年にヒットした 113 との共演曲 "Partir Loin" 。また意外なことに Grand Corp Malade とも共演していて、2011年に2人連名でシングル "Inch'Allah" を発表している。この曲は Grand Corps Malade にとって初めてチャートインした曲になったのだそう。彼のアルバムをチェックし直してみたが、どれにも収録されていないので、シングルのみでのリリースだったのだろう。確かにこのダンサブルなナンバーを Grand Corps のアルバムに入れたとしたら、他のトラックとは馴染まず無理がありそうだ。

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Grand Corps Malade, Reda Taliani - Inch'Allah - Clip officiel

 ・・・このビデオ、のっぽと小太りの対比にも笑える。




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 1980年アルジェ生まれのレダ・タリアニ。ただ歌えるライ・シンガーというだけではなく、シャービやモロッコ伝統音楽なども吸収消化し、年々プロダクションが充実してきている様子も感じられる。今年はハレドの甥っ子 Madjid Hadj Brahim や Kader Japonais、Bibal らも良い作品をリリースした。最近のライ、なかなか好調じゃないか!

 レダのアルバムを遡ってもっと聴いてみたいと思い調べてみたら、Dounia Production からの CD だけでもまだこれだけ出ていた。またマルセイユまで探しに行かなきゃ。いや、それよりアルジェに行きたいぜ!










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# by desertjazz | 2015-12-13 14:00 | 音 - Music

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☆2015年10月13日(火)

 今年2度目となったパリ滞在4日目、夜はモロッコのソウル・ディーヴァ、ウム OUM の新作(4作目)"Zarabi" のお披露目ライブへ。ウムはインディ・ザラ Hindi Zara と並んで特に好きなモロッコの女性シンガー。この日は同じパリで Souljazz Orchestra のライブも組まれていて、どちらに行くかちょっと迷ったものの、やっぱりウムが観てみたかった。


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 会場は Café de la Dance。まあ当日券でも十分入れるのだろうと余裕でいたら、、、なんと数日前にチケット完売。彼女人気あるんだなぁ。確かに Tinariwen とコンサートで共演するほどだから、それも不思議じゃないか。日本からネットでチケットを買っておいて正解だった。


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 少し早めに行ったのにこの長蛇の列。これがこの先、角を曲がった通りの先までずっと続いていた。やっとこさ場内に入るとフロアはすでにファンで埋まっている。ステージ前にはモロッコ系と思わしき若き美女ばかり。事前にマネージメントから写真撮影の承諾を得ていたもの、これではステージ最前まで行けない。まあ、良い写真を撮ることは諦めて(それでも遠目から少しだけ撮影したけれど)、ライブを楽しむことにしよう。


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 ステージ上一面を埋め尽くす生花。アドリアーナ・カルカニョットの日本公演を思い出すな。いつもスタイリッシュで美しいウム、今夜は思ったよりも質素な衣装で登場。ステージ袖でサンダルを脱ぎ、裸足になってステージ中央へ。まずお供え物にお祈り?


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 予想通り、新作 "Zarabi" の曲を中心に進行(CD "Zarabi" はパリ到着後に買ったものの、ライブ前に聴けなかったので、このことは後で確認)。新作に関して意外だったのは、これまでからはレコーディング・メンバーを一新したこと。ベース、ウード、パーカッション、トランペットという4人編成のバンドのアコースティックな演奏は、ジャジーでとても穏やかなものだ。ウムの歌も抑えめな印象で、ぐっと大人めいた雰囲気。全体に柔らかいナチュラルなサウンドを楽しめたものの、ライブで聴いていると音量がやや物足りなく感じるところもあった。

(翌日観たナターシャ・アトラスのライブもトランペット奏者を従えたジャズ路線で、2人とも模索している時期なのかな?とも思ったのだった。)


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   Damian Nueva (Contrabase)


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   Yacir Rami (Oud)


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   Rhani Krija (Percussions)


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   Yelfris Valdes (Trumpet)



 中盤からは、もう一人のトランペット奏者、パワフルな女性シンガー、サックス奏者、キューバン・パーカッション奏者が次々登場。モロッコとソウルの枠を超えて、ジャズ、カリブ、南米、ブラック・アフリカまでもを取り込んだ汎ワールド的なステージを展開。ただゲスト・プレイヤーに繰り返しソロ演奏の機会を与えるものだから、ステージングがどんどん冗長になっていく。新作を作ったコアの5人だけでライブを完結させた方がずっと良かったのではないだろうか。そこが個人的には残念。

 それでも終盤に "Taragalte" を聴けて良かった(これも、ソロ回しが長過ぎ)。この曲が現時点で彼女の代表曲だと思う。ウーレーション(ユーユー)含む絶唱を聴いてやっと満足できた。他のお客さんも似た気分だったのかな?「Lik やって!」なんて声もかかっていた。ファースト・アルバムのこのタイトル曲、今でも好かれているようだ。


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 Camera : Canon EOS 7D Mark II
 Lense : EF-S17-55mm F2.8 IS USM

 ステージからやや離れて、なおかつ移動できないポジションからの撮影は厳しいな。ましてやまだ新品カメラを試用中。でも、ブログにアップして見ると、何とか見るに絶えるレベル。このレンズ、ワイドなのに優秀だな。

 最初ステージ下手(左側)でスタンバイしていたのだが、公演前に上手(右側)に移動。この決断は正解だった(ウードの手元は見えなくなったが)。良い音を聴く、良い画を撮るには、カンと観察力とその結果のポジション取りが重要。




 当日のステージから1曲 "Mansit" が昨日5日に公開された。

 OUM - MANSIT Live @ Café de La Danse




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 (1) Oum "Lik'Oum" (2009)
 (2) Oum "Sweerty" (2012)
 (3) Oum "Soul of Morocco" (2012)
 (4) Oum "Zarabi" (2015)

 (1) はモロッコ・オンリー(?)でリリースされたファースト・アルバム。Fassiphone や AMD も配給したようなので、欧州でもある程度流通していたかも知れない。欲しいという人がいるので、デッドストックの有無をマネージメントに問い合わせてみる予定。(2) は主に仏グルノーブルでの録音。ウムは一部の曲でキーボードやギターも担当している。ボーナス・トラックの "Oum Song" はマヌ・ディバンゴが演奏とプロデュースで参加。(3) は (1) の5曲と (2) の2曲に "Haylala" と "Taragalte" を加えたベスト盤。ただし "Lik" はファースト収録とは異なるアコースティック・ヴァージョン。

 新作 "Zarabi" もとても良い作品だ。しかしこれらを順に聴いていくと、ファーストとセカンドにあったポップさや快活さが抑えられた分、彼女本来の魅力が幾分薄れてしまったような気もする。










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# by desertjazz | 2015-12-05 22:00 | 音 - Music

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 アラビックロック・バンド、テメニック・エレクトリックが、2013年にリリースしたファースト・アルバム "Ouesh Hada?" からセカンド "Inch'allah Baby" で劇的に進化。これは2年という時間がもたらしたとものいうより、ジャスティン・アダムスの参加(Mix and Additional Productions)と Real World Studio 制作というプロダクションの勝利だろう。

 古から文明・文化の交流点であり続けるマルセイユは様々な音楽を育んできた。シャンソン、オペレッタ、ライなどのマグレブ音楽、インド洋とのミクスチャー、ポリフォニー・コーラス、レゲエ/ラガ、ヒップホップ、等々。アフリカ、カリブ、南米などの音楽も受容・吸収しながら現在に至る地中海随一の港町。そんな歴史的な邑から新たに飛び出したのはマルセイユをベースに活動するアルジェリアンたちによる強力なロックサウンドだ。

 前作 "Ouesh Hada?" は特別な可能性を感じさせる作品だった。その一方で、ワンフレーズに頼った曲が並び、自己満足さがまだ残っていてどこかアマチュアリズムから抜け出し切れていないなど、正直かなり消化不良な面も感じた。

 それが 11/20 にリリースされた新作 "Inch'allah Baby"(『インシャラ・ベイビー』)では、重心がどっしり座ったサウンドに変化。余裕と貫禄のようなものさえ自然と伝わってくる。基本はワイルドな歌とツイン・エレキを中心としたラウドなロック。そこにアラビックな響きが混じり合い、モロッコの黒人音楽風なエッセンスも効いている。そして、とにかく曲がいい。こうした辺り、随所にジャスティンのサポートがあったのだろうか。

 十分期待に応えるこのセカンド・アルバムよりもさらに良かったのがパリで観たライブ。充実したレコーディングの成果がエネルギッシュなライブ・サウンドに昇華している。思わず興奮してしまい、右手に生ビール、左手に一眼レフを持ったまま、踊り続ける結果に。彼らはライブ・バンドなんだな。10月に観た約20本のライブの中でもベストのひとつだったと思う。


2年前に書いた記事を読み直すと、自分が期待した方向に進んでくれていることが分かる。)


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 テメニックのプロダクションからは随時連絡をもらっているのだが、彼らはミクスチャー・ミュージックという観点を重視しているようだ。最近も「マルセイユはオクシタンとオリエントがミックスアップするユニークな実験室だ」なんてことを書いてきた。全く同意! やっぱりマルセイユは面白い!

 パリを襲った同時テロの後にパリとマルセイユで予定されていた新作リリース・ライブは「ストレンジな雰囲気」の中で行われたものの、それでも無事に終えたとのこと。彼らのライブもまたどこかで観たい。


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(Press Kit 今回も力が入っている。)

 Special thanks to Olivier Rey & Sonia Nisi.








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# by desertjazz | 2015-12-04 00:00 | 音 - Music

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 3年振りに訪れたマルセイユ。港湾エリアの再開発が進んでいて、モダンな建築が増えていた。


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 でも、昔から変わらない風景があって…。

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 一方、ベルザンスはいまだ工事中。ARC 周辺の景色がさらに変わってしまったのは悲しい。

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 1995年にマルセイユに初めて来てから今回でちょうど 20年。その間、港やベルザンスを定点観測してきた印象を持っている。今度来るとき、この街はどう変化しているのだろうか。


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# by desertjazz | 2015-12-03 00:00 | 旅 - Abroad

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