カラハリ砂漠とブッシュマンの音世界を探求する「カラハリ三部作」(本+CD)が完結しました。
・第一編『Kalahari / Desert』 2025年5月30日刊行 A5版/カラー/52ページ(本文48ページ)
第一編はシリーズ全体の「プロローグ」です。カラハリ砂漠とブッシュマンの音世界を文章と写真と録音により、絵日記/旅日記風に描写しました。
・第二編『Kalahari / Dengu』 2025年9月30日刊行 A5版/カラー/84ページ(本文80ページ)
第二編のテーマは「インストゥルメンタル・ミュージック」です。ブッシュマンの様々な楽器を、親指ピアノ「デング」を中心に紹介。あわせて世界各地の親指ピアノを分類し詳しく解説し、その歴史も辿ってみました。
・第三編『Kalahari / Dance』 2026年3月30日刊行 A5版/124ページ(本文120ページ)
第三編のテーマは「ヴォーカル・ミュージック」です。ブッシュマンの様々なヴォーカル・ミュージック、中でも素晴らしいコーラスの数々をたっぷり紹介。三編目なので、3月30日に刊行し(採算無視して)定価3300円。
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気がつけば1年で本を3冊(と付属CD3枚)も完成させていました。これは自分でも驚きです。
最後の「ヴォーカル・ミュージック編」は、ピグミーのコーラスとの比較なども行いながら、1年くらいかけてじっくり書くつもりでしました。ところが実質2ヶ月で書き上げることに。その理由はいくつかあります。
第二編目を出した段階で、早く次が欲しいという要望が結構あったこと。書き始めたらページ数が増えてしまいピグミーの音楽に触れるスペースがほぼなくなったこと(ピグミーについて書くなら、それは別の本にした方が良いだろうとも判断)。現今の国際情勢を鑑みると、CDプレスや製本のコスト高、あるいは生産停止も考えられるので、なるべく早く作ってしまった方が良いだろうと考えたこと、など。
そこで昨年末からネット断ちして(SNSは見ない・書かない)執筆と構成に集中。それがストレスになったのか、体調不良が続き(これまで体験したことのない全身の痛みなど)、頭の中も飽和状態に。もうこれ以上は書けない状態になってしまい、現状の形で一度出した方が良いと考えました。ブッシュマンの言語やピグミーの音楽を研究されている方々からも協力を申し出ていただいたのですが、ひとまず自分で調べて分かったことと考えたことを本にまとめて、それに対してご批判やご意見をいただいた方がいいかと考えた次第です。
もう一つ大きな理由があります。この三部作以外にもアイディアをいくつか持っていて、そのうちの一つは構成イメージが固まってきたので、早くそちらに着手したくなったこと。これはブッシュマンとは全く別テーマのもので、仕上げるにはかなり時間がかかりそうなのですが(さすがに今は疲れ切っているので、まずはしばらく休みたいと思います)。
そのような訳で昨年末以降、自宅に引きこもって資料を渉猟・精読し、執筆に専念。終盤は毎日通し読みして、ロジックの乱れ、すっと入ってこない文章、事実関係、使った用語、誤字・脱字、表記の不統一、同じ言い回しの繰り返しなどの有無を確認。その間にも興味深いことに新たに気が付き、章を増やしたり、構成順を変えたりして、結局1000ヵ所以上修正・変更。最終段階ではレイアウトを微調整。文章には1ポイント単位でスペースを入れて見やすく・読みやすくし、写真も1ポイント単位で位置を調整。そして間違いや気になる箇所がひとつも見当たらなくなった段階で完成としました(まだ見落としはあるでしょうが、一人作業ではこれが限界です)。
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この「カラハリ三部作」を作るに際しては、全て自分の思い通りにしようと決めました。ブッシュマンの音楽に興味を持たれる方が多いとは思えず、買ってくださる方、送っても読んでくださる方が果たしてどれだけいるかも分からず。それでも、とことん自由にやってみようと考えました。義務も締め切るもないのですから。その結果、内容・構成・デザイン・添付音源など、全て考えていた通り(以上)のものに仕上げることができました。もちろん多くの方々にご協力いただ木、そのことには心より感謝しております!
本の中でも書きましたが、ブッシュマンの音楽について詳しく解説した書籍や文献が世界中のどこにもないらしいこと、私が録音してきたものは極めて貴重であると分かったこと、それが今回制作に至った理由です。まあ自己満足なのですが、一応当初の目的は果たせたかと思います。
それでも満足しきれなかった点がいくつかあります。まず、ブッシュマンの音楽について総論のようなものを書き尽くせなかったこと。彼らの音楽の特徴は、四音音階/五音音階、歌詞のない歌、ポリフォニー、ポリリズム、特異なリズム、ヘミオラ、楽器を伴わないコーラス、素朴な楽器(太鼓はない)、手拍子、ループ状の旋律、ヒーリング・ダンス、等々を挙げることができます。簡単に言ってしまうとこうなるのですが、それぞれの特徴を体系的に詳述した資料が本当に見当たらないのです。その点に関しては『Kalahari / Dengu』と『Kalahari / Dance』の中でかなり解説して補うことができたかとも思いますが。
もう一点は写真の少ないこと。集めるのも、著作権を確認するのも大変(面倒)だったので、基本的に自分の撮った写真だけで構成しました。その分、掲載する写真が少なくなりました。楽器などはある程度、図版で補いましたが(デザインしてくれた Raye さんに感謝!)、写真や動画でお見せしたかったものは多く、ヒーリング・ダンスも実際の写真があった方が実際の雰囲気がより伝わったことでしょう(録音と撮影を同時に一人でこなすことは難しい)。こうした点については、今後様々な方法で補っていきたいと考えています。
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気まぐれで作り始めた「カラハリ三部作」、ひとまず完結です。多くの方々に楽しんでいただけているようで、作った甲斐がありました。この1年間はまるで苦行の日々でしたが、やっぱり何かを作るって楽しいですね。
お付き合い下さった皆さん、ありがとうございました!
(第三編は初版40部限定で、特製ステッカーとオリジナルプリントをお付けしました。)