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 "Early Congo Music 1946-1962 : first rumba, to the real rumba" の全50曲をじっくり聴きながら、解説&歌詞大意の精読2回目。読み返して、論考の細部やミュージシャンたちの動きまでがしっかり頭の中に入ってきた。

 CD1 は「最初のルンバ」の超貴重な録音から「真のルンバ」誕生の直前まで、CD2 は「真のルンバ」初期の名演集といった内容。なので1枚目ではプレルンバ期における様々な創意工夫が楽しく、2枚目はよりコンセプトが明確になったコンゴ・ミュージックを堪能できる。

 違いなく名録音集であり音だけ聴いても十分楽しめるはずだが、やはりこのコンピレーションは長大な解説を読み誘われて聴いてこそその価値を知ることになるだろう。

 私にとって、ナイジェリアもセネガルもそしてコンゴも、大衆音楽がどのようにして生まれ完成したのかについては謎ばかり。なので、「40年代のコンゴ音楽シーンはどのようなものだったのか。実はこれがどうもハッキリしない。」(P.3)「40年代に関しては長い間モヤモヤした気分が晴れる事はなかった。」(P.4)と書かれているのを読んで「深沢さんでも分からないことがあるなら、自分が分からないのは当然だ」となぜだかひと安心? いや、もちろん理解の次元が全然違うのでしょうが。

 大衆音楽の成立過程を謎にしている大きな理由は、その当時の音源が少ないこと(あるいは全くないこと)。このコンピは、そこに挑まれた深沢さんの研究報告でもあると思う。稀少な音源を収集し聴き込み、長年鍛えた耳と蓄えた知識を駆使して、コンゴのルンバがいかにして誕生したのかを解き明かそうとする。解説を読んでいると、まるで推理小説を手にしているかのような気分にすらなる。だから今はまだ CD1枚目の方に惹かれる(完成前の音楽の面白さも感じて)。

 もうひとつ自分にとって有益だったのは、ミュージシャンやレーベル・オーナーについて分かりやすく整理されていること。コンゴは音楽大国だけあって、主要ミュージシャンが多く、また彼らの離合も複雑。結局はフランコなどのビッグネームの経歴を追うことしかできていない。「真のルンバ」誕生のキーパーソン、ジミーに注目する事はなかったし、ウェンドやアンリ・ボワネの経歴ですらすっかり忘れてしまっている。アフリカン・ジャズやOKジャズの主要メンバーに関しても同様。50年代の主要ミュージシャンの経歴と動きについておさらいするのにもとても役に立つ解説になっている。

 そんなことを思いながら、Gary Stewart "rumba on the river" や Graeme Ewens "Congo Colossus : The Life and Legacy of FRANCO & OK JAZZ" などを、ここ数日拾い読みしている。どちらも昔精読したものの、具体的記述をほとんど覚えてない。久しぶりに読み返したくなっているのだが、深沢さんの解説を繰り返し読むだけで十分な気もしている。さてどうしようか?



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 "Early Congo Music 1946-1962 : first rumba, to the real rumba" を聴いて嬉しかったことのひとつは Franco と O. K. Jazz の録音をいくつか新たに聴けたこと。そのうちの1曲 Maska Nzenze (Loningisa 158) は Graeme Ewens "Congo Colossus : The Life and Legacy of FRANCO & OK JAZZ" のディスコグラフィーに載っていないとても珍しいものだ。もちろん初めて知った。

 ところで Franco の SP録音って、一体どれだけあるのだろうか? 例えば私の手元にあるこの SP盤 Mbongo Na Ngai Judas / Ndokoyo (Loningisa 248) も Graeme Ewens のディスコグラフィーから漏れている。調べた限りでは、EP、LP、CD いずれでも復刻されていない。

 ・・・と書きたいところだが、3年前にリリースされたコンピレーション "O. K. Jazz - The Loningisa Years 1956-1961" (Planet Ilunga Pl 03, 2016) で遂に復刻! しかも YouTube にもアップされていて、録音日?は 1959年1月31日だとか。本当か?

 その Planet Ilunga 盤のブックレットを読むと(まだちゃんと読んでいなかった!)Franco の SP 音源はまだまだ未復刻らしい。SP を集めてもいないのに、時々 Franco の SP の山に出くわす夢を時々見る。深層心理として、知られざる彼の音楽をまだまだ聴きたいという願望があるのだろうな。

 昔から言っていることだけれど、Franco のコンプリート・ボックスが発売されたら、迷うことなく買いますよ !!!


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# by desertjazz | 2019-07-15 18:00 | 音 - Africa


 オーストラリアの作家リチャード・フラナガンの『奥のほそ道』読了。1942〜43年に日本がタイービルマ間に敷設した泰緬連接鉄道の建設工事の悲惨さ壮絶さが伝わる小説。いわゆる「神の視線」的な文体に疑問を持ったが、ブッカー賞を取ったことも頷ける濃密な文章。

「傑作のなかの傑作」と評価されているようだが、それだけの作品だろうか? 終盤には凄みを感じたが、都合よく書き終えたようにも思える。それほどまでに作家自身が扱いに苦慮した大作とも言えるだろう。

 終盤には安倍(小学生)に伝えるために書かれたような文章もあったが、どこだったかな? 歴史小説でありながら、ここでの描写が近未来予言とも取れる恐ろしさを、今の日本に感じている。

 最も印象に残ったのは、人生の無意味さを語っているところだったな。自分も老いて、そのことを切々と感じる。(虚しくなるので、それ以上は語らない。)




 三浦英之『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』読了。読み始めて即座に「やばい!」と心の中で叫ぶ。アフリカ象が今後10数年で絶滅しかねない危機に瀕しているとは知らなかった。1989年のワシントン条約で象牙の国際取引が全面禁止になり、95年2度目のボツワナ旅行でチョベ国立公園の水飲み場に集まる200頭を目にして安堵したのは甘かった。その後、頭数調整とやらで輸出再開しておかしいな?とは思ったのだが。

 作品としては読み応えたっぷり。だがそれは楽しいからではない。まるでフィクションを読んでいるようでいながら、現実であることを思い出して絶望的になる。

 三浦英之の本を立て続けに読んでいるが、この著書も冴えている。アフリカゾウの未来の有無が、日本人がどう行動するかにかかっていることは、多くの人が知っておくべき。日本国内での流通も含めて象牙取引の全面禁止がどうしても必要なことが、これを読むとわかる。


 →→→ 日本政府、象牙取引を今すぐ禁止に!



 以下、余談。

 アフリカゾウはボツワナやジンバブウェで何度かずつ見ている。数メートルの至近距離からも数度。一度はロッジの屋外で食事中、テーブルの脇を悠然と通りすぎた。もう一度は、深夜寝ている部屋の柱に体をこすりつけてきた。どちらもゾウに手が届く近さで、楽しく貴重な体験だった。

 来月のアフリカ某国への出張が取りやめに。久々訪れる国(ゾウも見られるはず)、楽しみにしていたので残念! 10回目のアフリカ旅行は、どうやら自力で行くことになりそうだ。




 5月以降やっと月10冊ペース近くまで戻ってきた。







# by desertjazz | 2019-07-15 17:00 | 本 - Readings

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 深沢さん、森田さん、吉岡さん、上川大助さん、原田さんらによる労作『アーリー・コンゴ・ミュージック 1946-1962』をいち早く入手! たまたまだけれど、「お買い上げ第1号」だとか。公式には 7月14日発売開始とのこと。

 ブックレットは豪華・充実しているし、デザインも丁寧。とても手間がかかっている。肝心の音楽内容と音処理も、このメンバーなら期待して間違いないでしょう! これからじっくり聴きます!

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(ひとまず1枚目を聴き終えた。この素朴さに惹かれるなぁ。特に大好きな Wendo や Antoine Moundanda がたまらない! クレジット見なくてもそれとわかる音だ。今夜もそろそろ読書タイム。続き(2枚目)は明日以降に。)





(このところ、アフリカに関しても実に興味深い情報を次々と掴んでいて、ブログに書いている暇がない。とりあえずかいつまんで Facebook や Twitter に書き殴っている。)






# by desertjazz | 2019-07-09 23:00 | 音 - Africa

 ミュージック・マガジン7月号の特集「アフリカ音楽ベスト・アルバム」選を引き受けるかどうか躊躇した理由のひとつは、アルバム・レビューを2〜3枚書かなくてはならないこと。評価の定まった作品に関しては、下手なことは書けないし、かといって語り尽くされた作品である分、新鮮味を持たせるには字数が足りない。できればレビュー原稿は避けたい。なので、下位のアルバム2枚くらいの担当にならないだろうかと祈っていた。

 ところが意に反して、案の定、上位のアルバム3枚も執筆することに。こうなることは考えていなかったので、さてさて困った。短文レビューはさらっと書き上げた方がいいのかもと思いながらも、結局悪戦苦闘する結果に(どうしても納得が行かず、それぞれ400字書くのに約10時間)。

 ところでこれら3枚の CD を手にして興味深いことに気がついた。いずれにもサインが入っているじゃない! 3枚のアルバムとも、それだけ自分にとっては大切な作品である証拠なのだろう。


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Youssou N'Dour "Set"

 個人選 30枚の1位は、散々迷った末に Youssou Ndour et Le Super Etoile I de Dakar / Vol.12 Jamm - La Paix -(1990年のカセット)にした。しかし、間違いなく死に票になるので、「Set でも可」と添えてリストを提出。しかし、これが敗因に? 避けたかった "Set" のレビューを書くことになってしまった。

 1991年か92年の横浜 WOMAD でユッスーが来日した時、関係者から「ユッスーに会わせてあげるよ」と連絡をいただいた。けれど、その日からバリ島に観光旅行に行く予定だったので、後ろ髪引かれる思いで折角のお誘いをお断り。すると、その時ユッスーと面会した友人(彼女もその「関係者」から誘われた)がわざわざ私のためにサインを貰っておいてくれたのだ。それがこの "Set" の CD。彼ら2人のおかげで、これは私にとって、とても大切な宝物になった。

 その「関係者」とは、その後、東京ジャズを立ち上げられたO氏のこと。彼はユッスーからの信頼がとても厚く、新作が完成する度に真っ先にその音が送られてきたほどと聞いている。

 WOMAD で面会するチャンスを逃してしまったユッスーとは、Oさんが軌道に乗せた 2003年の東京ジャズでついに初めて会って話すことができた(ライナーを執筆した "Nothing's in Vain" の直後で、『ミュージック・マガジン』から依頼されたインタビューだった)。

 この時、東京ジャズは NHK 以外の媒体の取材を許可していなかったらしく、アルバムをリリースしたワーナーでさえアポが取れなくて苦労したと聞いた。バックステージで会ったAさんからは「Dさんだから OK 出した」と言われたけれど、本当かな?

 そしてその後、東京ジャズの総帥Oさんともばったり。事情を話すと「なぜ事前に連絡してこない! それなら許可出したのに!」とお叱り?を受ける。それから話が盛り上がり、VIP ルームで二人きりで語り合いながら、モニターで Joshua Redman の熱いステージを食い入るように観たのが良い思い出だ。そしてその夜のフォナーレ、ユッスーが中心となって繰り広げたスーパー・セッションのすばらしさはマガジン誌上にも書いた通りだ。

 ユッスーのサインを見ているだけで、いろいろ思い出が蘇り、書ききれないなぁ(ユッスーにはさらに3枚サインをいただいている)。特にOさんが私のユッスー愛を理解して下さっていたことが嬉しい。

 しかし、Oさんは既にこの世にはいない。お会いしたのはその東京ジャズが最後になってしまった。彼とはもっと音楽のこと、ユッスーのことを語り合いたかった。


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Orchestra Baobab "Specialist in all Styles"

 これは初公開! パリ公演のバックステージでバオバブのメンバー全員からサインをもらったもの。レコーディングのみで、ツアーには参加しなかった(アフリカンド Africando のメンバーでもあった)メドゥーン・ジャロ Medoune Diallo のサインだけは入っていない。それぞれの字体に個性が感じられる。特に Issa が。Balla Sidibe はなかなかの達筆。Rudy Gomis は日本が懐かしかったんだろうな。

 この中の2人は既にこの世にいない。それを思うと切なくなってしまうのだが。そんなことを抜きにしても、これは自分にとって一番の宝物かも知れないな。


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Tony Allen "HomeCooking"

 これは確か 2004年にロンドンのバービカン Barbican Centre で開催された Fela Kuti Tribute Festival "Black President - The Art & Legacy of Fela Kuti" のバックステージでトニーに会った時にもらったもの。トニーと2人で雑談していたら、イギリスの新聞記者たちから「僕らでさえ会えないのに、なぜ君が会えるんだい?」と驚かれた。

 3週に渡ったこのフェス、さほど迷うことなく2週目に行った。Tony Allen + Damon Albarn + Keziah Jones + TY & Band、Femi Kuti & The Positive Force + Daara J、Soothsayers、JJC & 419 Squad (!) 、Sandra Isaddre (!!) というとんでもないラインナップだったので。(1週目には Roy Ayers、Dele Sosimi、King Was Ayinde、Seun Kuti など、3週目には Manu Dibango + Courtney Pine & Maaba Maal、Yeba Biena、Cheikh Lo、Les Nubians などが出演して "Red Hot & Riot" を再現。正直できれば、3週とも観たかった!)


 トニー・アレンの "HomeCooking" のレビューは、一度マガジンからの依頼をお断りしている。2003年12月号のクロスレビューの執筆依頼を受けたのだが、それら7枚のうちの1枚が "HomeCooking" だった。この時の7枚には David Sylvian "Blemish" や半野 "Lido" も入っていた。毎晩仕事で深夜帰りしている中、数日で7枚もレビュー書くのは無理なのでお断りしたのだが、編集部は結構私の好みを見抜いているのかと驚いたのだった。もし引き受けていたら、Davis Sylvian と半野は10点満点。Tony Allen も9点以上つけただろう。3作品とも今でも良く聴く大の愛聴盤です!


 うーん、いろいろ懐かしいなぁ! Oさんやイッサとはもう会えないことはとてもかなしいけれど。(個人的な思い出話になってしまい、すみません。)




(2019/06/27 修正)





# by desertjazz | 2019-06-21 00:00 | 音 - Africa



 雑誌『ミュージック・マガジン』が今年創刊50周年で(おめでとうございます!)、それを記念して毎月ベスト・アルバム選の企画をされているそう。その「オールタイム・アフリカ」の回への参加を打診された。

 時折色々なところから原稿を依頼されるのだが、ここ数年はほぼ全てお断りしている。なので今回も最初は辞退するつもりでいた。ブログなどで何度も書いている通り、ランキングやベスト・アルバムの類にはそれほど意味を感じていないことでもあるので。そもそも順位づけには「正解」などないと思っている。もし本当に正解があるならば、全員が全く同じ結論に達するはずだ。でも実際にはそうならない。だからベスト選は、各人が悩んだ末の答えがバラバラになるところに面白みがあり、それを見てまた自由に意見して楽しむのがいいのだろうとも思う。

 今回の依頼も即座に断ろうと思った別の理由は、私が Ali Farka Toure も Tinariwen も Miriam Makeba も Angelique Kidjo も Manu Dibango も Cesaria Evora もほとんど聴かない(好きじゃない/あまり評価していない)こと。もしオールタイム的にアフリカのベストを選ぶとしたら、かねてから評価も人気も高い彼らさえ私は初めから候補から外す。このような人物がランキング付けに関わっていいのだろうかと考えたのだ。

 しかし、そのように迷っているうちに、少し考えが変わった。マガジン編集部が私にも参加資格ありと判断して下さったことは素直に嬉しいし、長年お世話になったマガジンへ(1969年の創刊号から40年分がほぼ手元に揃っている)ちょっとした恩返しするつもりで、依頼を引き受けてもいいかと思い始めた。

 今回のテーマはアフリカ音楽のオールタイム・ベスト。サハラ以南のアフリカ全域(島国も含む)が対象で、年代の制限なく、フィールド・レコーディングも含む。それらの中から30枚選んで、しかもそれらを順位づけせよと言う。ハッキリ言って無茶な企画だ。これなら投票がかなり分散してしまうだろう。でも別の見方をすると、私の選がランキングに反映されることなどそれほどなく、迷惑をかける心配はあまりなさそうだ。編集部からは「歴史的評価よりも愛聴盤を」「気軽にどうぞ」といった風に声をかけていただいたこともあり、結局、気軽に参加することを決めた。



 ところがいざ選び始めると、とても「気軽に」とはいかなかった。

 オールタイムで30枚選ぶとなると、これまでアフリカのレコードを3000枚聴いているとして 100枚に1枚。それほど熱心に音楽を聴いている訳ではないが、アフリカだけでももっと聴いているかもしれない。

 そこで、最初に(そして選びながら)いくつか方針を定めた。

1. どのアーティスト/グループも1枚だけ。編集部からはそのような制約は受けていないが、この手のランキング選では暗黙の了解事項なので、原則としてそうした。Fela Kuti や Youssou N'Dour だけで10枚選ぶのもありだとも思うのだけれど。

2. ベスト盤や編集盤は除く。そうしないと、70年代までの音源のベスト盤が多くなりすぎて、アルバム単位での評価からはズレてしまいそうだったので。

3. ジャズ、レゲエ、ラップ/ヒップホップ、R&B、民族音楽的なものもは極力外す。

4. 個人的に衝撃を受けた作品を優先する。

5. 現代の視点からの価値や評価には無理にこだわらない。


 はっきり言って、最終的なベスト100を想定し、そこに残りそうなアルバムを30枚選ぶことは割合簡単だ。もしかするとそのような選び方を求められているのかもしれない。でもそれでは自分自身が納得できないし、面白くもない。なので、可能な限り自分の価値判断を優先させることにした。

 愛聴盤の中にも最近聴いていなくて印象が薄れかけているものもあるので、数日間で数百枚聴いてみた(繰り返して通し聴きしたものから、部分チェックで済ませたものまで様々)。その上でピックアップしたのが以下の60数枚など。主にここから30枚を選んだのだが、その30枚は毎日日替わりとなり、最終的に編集部に送ったリストは締切日の気分で並んだ30枚。どのような結果になったかは、本日発売の『ミュージック・マガジン』7月号をご覧ください。



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【 Senegal 】

1. Youssou Ndour et Le Super Etoile I de Dakar / Vol.12 Jamm - La Paix -
2. Youssou Ndour / Set
3. Orchestra Baobab / Specialist in all Styles
4. Baaba Maal & Mansour Seck / Djam Leelii
5. Le Sahel / Bamba
6. L'orchestre N'guewel de Dakar / Xadim
7. Thione Seck / Orientation
8. Coumba Gawlo / Yo Male
9. Coumba Gawlo / Terrou Waar

 Youssou N'Dour はどの1枚にするかかなり迷った。一般的評価だと彼の代表作は "Set" だろうし、今回も上位で選ばれるだろう。でも近年は "Set" よりも "The Lion" の方をよく聴く。その一方で、実は "Immigres" こそが凄くって現在まで生命力を保っているのではないかとも考えている(そのことは近年のライブを観ても感じる)。しかし、個人的に一番好きで、聴く回数も一番多く、最も評価しているのは、1990年にリリースしたライブ・カセット "Vol.12" だ。自分にとっては Miles Davis "Kind of Blue" クラスの大傑作。うーん、Youssou だけでも1枚に絞るのには無理がある。

 "Bamba" と "Xadim" は未復刻の知られざる名盤。ということで、最終段階までリストに残し続けた。

 アフリカの女性シンガーで一番好きなのは Coumba Gawlo Seck。なので、彼女も1枚入れたいと思った。タイトル曲が素晴らしい "Yo Male" にしようかと思ったが、これは欧米ポップのカバーが多いために躊躇。聴き返して最新作こそが彼女の最高作になったのではないかと心変わりした。


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【 Mali 】

10. Salif Keita / Soro
11. Les Ambassadeurs Internationaux / Mandjou (BLP 5040)
12. Rokia Traore / Bowmboi
13. Issa Bagayogo / Tassoumakan
14. Toumani Diabate's Symmetric Orchestra / Boulevard de l'independence
15. Toumani Diabate / The Mande Variataions
16. Kandia Kouyate / Kita Kan
17. Oumou Sangare / Mogoya
18. Khaira Arby / Timbuktu Tarab

 まず迷ったのは Salif Keita をどれにするか。グループ時代にするか、ソロになってからの作品を選ぶか。"M'bemba" (2005年)も名作だけれど、やっぱり "Soro" だよな。10年くらい前までだったら、今回のような企画、迷わず Salif Keita の "Soro" を1位にしていただろう。個人的にはさほど気に入っていない Rail Band は見送るとしても、Les Ambassadeurs も外しにくい。結局、Salif に関してはソロとブループとを別アーティストと見なすことにした。

 Issa Bagayogo、Abdoulaye Diabate、Neba Solo、Khaira Arby を入れるか、入れるならどのアルバムにするかも悩みどころ。マリで一番頭を痛めたのは Toumani Diabate だったかも。彼はオーケストラ・セットもアコースティック・セットも良いアルバムばかりなので。思い切って日本制作のファースト "Shake the Whole World" にしようか、アコースティック・セットなら Ali Farka とのデュオも結構いいがやっぱりソロだよな、等々と思案。でも、その "The Mande Variatiions" より、Baaba Maal & Mansour Seck ”Djam Leelii” の方がずっといいしなぁ。


【 Guinea 】

19. Keletigui et ses Tambourinis / Le Retour (SLP 55)
20. Bembeya Jazz / Bembeya Jazz (SLP 4)
21. Kouyate Sory Kandia (SLP 20)

 ベスト盤を入れないと決めたことで、自分の首を絞めることになったのがギニア。Syliphone 盤アルバム79タイトルの順位づけでさえ無理だ。思案の末、Keletigui と Bembeya を入れることに。Keletigui は後年のアルバムも良かったが、"Le Retour" が一番気持ちいい。Bembeya は世評に反して?個人的にはファーストが最も気に入っている。

 Kante Manfila を入れることも考えてひと通り聴き直したが、30枚に入れるまでではないと判断。


【 Mauritania 】

22. Khalifa Ould Eide & Dimi Mint Abba / Moorish Music from Mauritania

 モーリタニアにも捨てがたい好盤がいくつかあるけれど、個人的には断然このアルバム。一連のデザート・ブルースより好き。


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【 Ghana 】

23. Stargazers of Kumasi / The Best of Adlib Young Anim of Stargazers Fame
24. E. T. Mensah / All For You - Classic Highlife Recordings from the 1950's

 E. T. Mensah と Stargazers は絶対外せない。両者とも10インチ盤を入れることも考えたが、それも中途半端。なのでルールを破ってベスト盤を選択。Mensah は最近出た4枚組を選ぶ人が多いのだろうと思いつつも、長年聴き聴き続けた最初のコンピを選んだ。全アフリカで、ナイジェリアの Bobby Benson "Taxi Driver"、ガーナの Stargazers "Masan Makwo"、南アの Solven Whistlers "Something New from Africa" が自分の考える3大名曲。そのため Stargazers を無理してでも入れたかった(Bobby Benson はベスト盤すらないので、選びようなし。自分がナイジェリアで見つけてきた Evergreen 盤のコンピ "Evergreen Hits ..." を入れるのも手前味噌以前の話だしなぁ)。


【 Nigeria 】

25. Fela Ransome Kuti & The Africa '70 / Afrodisiac
26. Fela Kuti / Roforofo Fight
27. King Sunny Ade / Synchro System
28. Tony Allen / HomeCooking
29. Tony Allen / The Source
30. Femi Kuti / Shoki Shoki
31. Musiliu Haruna Ishola / Soyoyo
32. Ebenezer Cultural Band of Kalabari / Vol.10 - Resource Control

 Fela Kuti は間違いなく "Zombi" が全体でも1位になると予測。でも個人的にはこのアルバムはあまり聴かない。最も頻繁に聴いたのは "Roforofo Fight" だ。Fela が後年クラブ・シーンに与えた影響も加味すると、このアルバムの存在感はいまだ大きい。でもここ数年、"Afrodisiac" の1曲目 "Alu Jon Jonki Jon" が頭の中で鳴り続いている。Fela の全録音の中で最もパワフルな曲なのではないだろうか。このアルバムの他のトラックも彼のジャズ出自を反映した優れた曲が揃っている。

 息子 Femi のポップさも捨てがたい。ライブ盤なども良かったが、1枚選ぶとなるとやはり "Shoki Shoki" かなぁ。

 フジ、アパラ、サカラなども入れたいところなのだが、とてもじゃないが絞りきれない。そこでナイジェリアで見つけた強力盤 "Soyoyo" をリストに残すことに。

 Ebenezer Cultural Band of Kalabari / Vol.10 - Resource Control は21世紀に入って最大の衝撃を受けたアルバム。30枚に入れる価値ありと思ったのだが、誰も聴けない現地カセットを選ぶのも罪だろうと最後まで迷う。


【 Cote D'Ivoire 】

33. Tiken Jah Fakoly / Coup de Gueule

 Tiken Jah Fakoly も好盤揃い。でも、レエゲは選ばないことにした。


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Congo 】

34. Franco et Le T. P. O. K. Jazz / Le Grand Maitre (CD 8482, 1991)
35. Franco et Le T. P. O. K. Jazz / Live En Hollande
36. Orchestre African Fiesta / Merveilles du Passe - Docteur Nico 1963-1965 (360.152, 1985)
37. Orchestre Vévé (360.106)
38. Viva La Musica / Papa Wemba et Viva La Musica
39. Papa Wemba / Papa Wemba (1988)
40. v.a. / Zaire: Musiques Urbaines a Kinshasa
41. Konono No.1 / Congotronics
42. Kasai Allstars / in the 7th moon, the chief turned into a swimming fish and ate the head of his enemy by magic
43. Field Recordings / Polyphony of the Deep Rain Forest - Music of the Ituri Pygmies
44. Field Recordings / Kanyok and Luba: Southern Bergian Congo 1952 & 1957

 Franco に至っては一体どの1枚を選べばいいのか。厳密に言えば CD 8482 はコンピなのだが、これ以上に濃密なアルバムを知らない。もしこれが対象外ならば、晩年のオランダ・ライブがいいかな。でもライブ盤ってある種のベスト盤でもあるので、これも反則か?

 ここ最近、Nico の多彩ぶりに惹かれている。彼のLPを片っ端から聴き直してみたら、ハワイアン風トラックも含むこのアルバムが一番良かった。

 Papa Wemba も Salif Keita と同様にグループ時代とソロ時代を別扱いして、Viva La Musica も入れた。スークースのアルバムはとても数が多くて選び切れなくて、Viva だけにした。Vévé がその埋め合わせにもなっている。

 ベスト100の上位には Konono No.1 も入るだろうし、十分それに相応しいと思う。だけれど、昔 "Zaire: Musiques Urbaines a Kinshasa" で電化リケンベを聴いた時の衝撃が忘れがたい。この録音があったからこそ、Konono の再発見が生まれたのだ。

 民族音楽的なものを入れるのはどうかと思いつつも、Hugh Tracey 録音の "Kanyok and Luba" は最初から上位5枚の中に入れていた。そしてそれ以上に、ピグミーだけは絶対入れたかった。一般的には Collin Turnbull の録音盤になるのだろうが、日本制作の King 盤を選択。長時間/高音質録音が実現可能になった時代の記録であり、時間が進むに従っての変化が生々しく伝わってくるのは、古い録音が持ち得なかった良さだ。これはピグミー音楽の録音のベストのひとつだと思う。


【 Somalia 】

45. v.a / Somalia Sings Songs of the New Era

 これ最高です! リイシューして欲しい!


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【 Sudan 】

46. Abdel Aziz El Mubarak / Abdel Aziz El Mubarak
47. Mohammed Wardi / Live in Addis Ababa - 1994


【 Ethiopia 】

48. Mahmoud Ahmed / Ere Mela Mela
49. Mahmoud Ahmed / Live in Paris
50. Abyssinia Infinite featuring Ejigayehu "Gigi" Shibabaw / Zion Roots

 Ethiopiques のシリーズから何枚か選ぼうとも思ったが、コンピレーションがほとんどなので選考外にした。Mahmoud Ahmed は、最初 "Ere Mela Mela" を選んだのだが、考えてみるとこれもベスト盤。そこでライブ盤に逃げた。

 今回数百枚聴き直した中で、一番良かったのが Gigi だった。よって迷いなく上位にランキングさせた。超気持ちいい1枚!


【 Zimbabwe 】

51. Thomas Mapfumo and the Blacks Unlimited / Corruption
52. Oliver Mtukudzi / Tsimba Itsoka
53. Chiwoniso / Ancient Voice


【 South Africa 】

54. v.a. / Kwela with Lemmy and Other Penny Whistlers
55. Chris McGregor & The Castle Lager Big Band / The African Sound
56. Mahlathini and the Mahotella Queens / Thokozile
57. Kabelo / Rebel with a Cause
58. Simmy / Tugela Fairy

 Lemmy のコンピを選んだのは(先に書いたように)"Something New from Africa" が好きだというのも理由の一つ。もし南アから1枚だけ選ぶなら Chris McGregor にするのだけれど、ジャズまで対象にして考え始めるとキリがない。だから Dollar Bland も選考外にした。Penny Whistle もジャズの範疇なのかもしれないけれど。

 Dark City Sisters や Manhattan Brothers も入れたくて迷った。

 Kabelo のサード "Rebel with a Cause" は、中盤からややつまらなくなるけれど、それでもクワイト史上の最高傑作だと今でも思っている。Mafikizolo も考えたが、Kabelo の高揚感には敵わない。


【 Others 】

59. Mokobe / Mon Afrique
60. K'Naan / The Dusty Foot Philosopher
61. Baloji / 137 Avenue Kaniama
62. Aya Nakamura / Journal Intime
63. Michael E. Veal & Auqa Ife / The Afro-Kirlian Eclipse

 どこまでが「アフリカ音楽」なのだろう? 今回の選定に際して、Baloji、Aya Nakamura、Nakhane、M'anifest、Fally Ipupa、Simmy、Sudan Archive、Antibalas、Michael E. Veal & Auqa Ife ... などの名前も頭に浮かんだ。自分にとっては彼らもアフリカ音楽であり、30枚に入れてもおかしくない作品が多い。特に Baloji は対象に含まれるのかどうか迷って、最後までリストに入れたり外したりを繰り返した。




 30枚を選び終えて、、、

 予想したことだが、当然ながら20世紀中頃までの SP、EP、シングル時代のアーティストは選びにくかった。また Grand Kalle、Tabu Ley、Sam Mangwana、Ebenezer Obey などのビッグネームも選べず。Franco などもそうなのだが、彼らの録音で思い浮かべるのは楽曲単位のことの方が多く、またアルバムの数も多くて代表アルバムを絞り切れなかった。ロックやジャズと比較すると、アフリカ音楽の決定的名盤は少ないと普段から感じているのだが、そうしたことも反映したかと思う。

 また新進アーティストも意外と選びにくかった。というのは、彼らの新曲は曲単位でネットに公開されることが多く、アルバムで聴くよりストリーミングで試聴するケースが増えているからだ。そのため、50〜60年代頃に活躍したアーティストとここ最近のアーティストが共に少なくなったのは、ちょっと面白い現象だと思った。70〜00年代の「アルバムの時代」が終わり、再び「シングルの時代」に戻ったとも言えるのかもしれない。

 いや、そんなこと以上に、自分がほとんど音楽を聴かなくなっていることの影響が大きいのかも。アフリカに限らず、名盤の類さえじっくり聴き込む時間がない日々(音楽を聴くより、本を読んでいる方が楽しく、また仕事や旅にかなりの時間を費やしているので)、膨大にリリースされる新曲までチェックしきれない。

 アルバム単位でアフリカ音楽を振り返ると、どうしても 80〜00年代の作品が中心になってしまうのだが、実際この期間が黄金時代だったとも思える。それでも、個人選はベスト100に入りそうにないアルバムがかなり多くなってしまった。まあ、自分としては約一世紀に及ぶアフリカ音楽の録音を大局的に振り返る良い機会にはなったと思う。


 そして、マガジン編集部から送られて来た集計結果を見て、「割合落ち着くところでまとまったな」というのが第一印象。それと同時に、かなり予想が外れた意外なところもあった。実際、ロックやジャズに比べるとアフリカ音楽には決定的名盤は少ないと日頃から考えており、その分選択肢は限られる。ベスト100はその結果を反映したものであろうし、自分自身10枚はすんなり選べたが、残り20枚の選盤が難しかった。

 選ばれた100枚に関する論評はこれ以上はやめておこう。限られたメンバーによる投票の平均値にしか過ぎないので、冒頭に書いたように、アフリカ音楽に詳しい方は各人が自由気儘に感想を述べあって頂いた方がいいと思うし、あまり知らない方にとっては気になるアルバムが並んでワクワクするリストなのではないかと思う(なので、マガジン向けに書いた「総評」でも、ベスト100に対する論評はしなかった)。

 長年、ロックとジャズをメインに聴いてきたけれど、私はアフリカ音楽も大好き。近頃はますます聴く時間がなくなっているのだけれど。だから、いつかじっくり聴く時間が欲しくなった。その時には「私的究極の100枚」を選んでもみたいな!


(続く) 







# by desertjazz | 2019-06-20 00:00 | 音 - Africa

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 八谷麻衣『シヌイェから見るアイヌの生活|Life style of Ainu Sinuye』読了。

 今月はアイヌ関連の文献を読み漁っている。今日は八谷麻衣さん(マレウレウのマユン)が著した、アイヌ女性の刺青に関する聞き取り調査報告書を一気読み。

 とても興味深い内容だった。かつてアイヌの女性が口の周りに入れていた刺青シヌイェ(パーナイとも)について、初めて知ることばかり。

・シヌイェの習慣は明治初期にほぼ途絶えたこと
・その後しばらくは、塗ってそれらしく見せていたこと
・アイヌの刺青は塗料も手法も内地のそれとは異なること
・成り立ちがはっきりしないこと(人さらいを防ぐためではなく、既婚者の証とも言い切れない)

 意外だったのは、地域や個人によって、「美しい」「怖い」「何とも思わない」といったように差が大きいこと。刺青をストールやマスクで隠していた時期もあったそうだ。

 そして一番の驚きは、シヌイェが法律によって禁止されており、それは今から約150年前、明治最初期の法律によること(そのために、シヌイェの伝統が途絶えてしまった)。さらに、その法規が現在でも存続していることだ。

「私、あんまり運動的になるのは嫌なんですよ。」「私は面倒なアイヌにはなりたくない。」(P.58)マユンはそう留意しながら、国を動かして法律を撤廃させるべく行動している。彼女がここまで深く考えているとは知らなかった。

「私はシヌイェを入れたいと本気で思っている」といったことをマユンがしばしば明かしているのを読んで、どうしてそこまで?と疑問に思っていた。しかしこれを読んで、シヌイェを認めるかどうかはアイヌ文化の本質に関わる問題であること知り、少しだけかもしれないが、彼女の考えが理解できたように思えた。


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 マユンたち、アイヌの蝶の4人組マレウレウの新作『ミケミケ ノチウ きらきら星』が 9/4 にリリースを発表になった。久々の新作、とても楽しみ!

『シヌイェから見るアイヌの生活』には、マユンの菱形のシヌイェについての短い説明もある。



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# by desertjazz | 2019-06-19 20:00

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 最近1ヶ月を振り返ってみた。

<読書> 11冊読了

・ドナ・タート『ゴールドフィンチ』
・三浦英之『南三陸日記』
・瀬川拓郎『アイヌ学入門』
・カール・ホフマン『人喰い ロックフェラー失踪事件』
・姉崎等『クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人姉崎等』
・ジェームス・M・バーダマン + 里中哲彦『はじめてのアメリカ音楽史』
・クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』
・つげ義春『ねじ式/夜が掴む』
・三浦英之『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』
・岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美『『罪と罰』を読まない』
・村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』

<ライブ> 4本

・ラジャスターンの風 2019 〜砂漠の街の四人の楽士 Jaisalmer Beats 〜(5/25 目黒区中小企業センター)
・Nick Hakim(5/28 渋谷 WWW X)
・Vijay Iyer Trio(5/29 Cotton Club)
・Rakesh Chaurasia + Durjay Bhamik(6/7 浜離宮朝日ホール)

<展覧会> 3本

・『世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新に向けて』(目黒区美術館)
・『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』(東京駅ステーションギャラリー)
・『クリムト展 ウィーンと日本1900』(東京都美術館)

<原稿> 5本

・Madalitso Band "Wasalala" のライナーノーツなど


 最近また睡眠障害(不眠症)が酷くて、毎晩3時間くらいしか眠れない。朝4時に起きて仕事に出たり、終電で帰宅したりで、ますます生活が不規則に。それでも、眠気こらえて本業以外の部分ではまずまず充実していたかな。

 中でも、カール・ホフマン『人喰い ロックフェラー失踪事件』、Rakesh Chaurasia + Durjay Bhamik のライブ、『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』は、それぞれ現時点で今年のベスト。


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 6/4 に観て来た『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』展について

 ルート・ブリュックは、陶板からモザイク壁画、ファブリックまで手がけるフィンランドを代表するアーティスト。

 特に心惹かれ、美しさに嘆息したのは、初期1950年代の陶板だった。ベースの輪郭の面白さ、愛らしい画材とその描写、デザインの中に凝らされた多重性、様々な色の持つ微細なグラデーションとそれらのコンビネーション、セラミックの光沢とマッドな部分との対比、そのセラッミックの奥にも施された細やかな描線、生み出される奥行きと立体感、、、。独自に開発した手法による作品は完璧な色艶を保っており、そして展覧会で鑑賞するより手元に置いて慈しみたくなる性格も備えている。結構な数、展示されていたが、どれもが甲乙つけがたいクオリティー。

 やがて、小さなパーツの組み合わせの時代、さらには抽象性に徹した時代へと移って行くのだが、個人的にはその抽象表現にはアイディアの行き詰まりも感じた。正直、レゴブロックにしか見えないものも多くて。

 会期末が近いこともあってか、結構な混み具合。来場者の8割以上が女性だった。初期作品のメルヘンチックな可愛らしさから、それもうなづける。苦情が殺到したとのことで、撮影は3階のみに限定されていたが、写真を撮りたくなる気持ちも分かる。でも、そんなにたくさん撮るなら画集買った方がいいんじゃない? と思って売店で画集をめくってみたら、あの鮮やかな光沢が全くない。彼女の作品の本当の美しさや表現の深みは実物を観ない限り分からないだろう。


*ルート・ブリュック(Rut Bryk 1916-1999)

1942年より、アラビア製陶所・美術部門の専属アーティストとして活動。版画の技法を応用して独自の釉薬や型の技術を開発し、51年のミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞。60年代からタイルピースを組み合わせた抽象的で立体的な作品へと移行し、市庁舎、銀行、大統領邸などの大型インスタレーションを手がけた。(展覧会の公式サイトより引用)

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# by desertjazz | 2019-06-08 22:00



 Youssou N'Dour の新作 "History" が 4/26 にリリース予定。Spotify、Apple Music、fanc 等でも扱うので、これはインターナショナル盤なのだろう。

 先行シングル2曲がリリース済み。昨年のセネガル盤 "Respect" にも収録されていた "Habib Faye" は、昨年亡くなった Super Etoile de Dakar のサウンドの要/ベース&キーボード奏者 Hahib を悼む曲。今回はわずかにテンポを落としたショート・ヴァージョンになっている。もう1曲 "Confession" は、美しく、壮大なアレンジと歌の力強さが印象的だ。それにしても、ますます喉の調子が良さそうだ。

 これら2曲を聴いた感じでは、今度も "Respect" などの最近のドメスティック盤とは対照的に、ンバラ度の低い、インターナショナル・マーケットを意識したソロ作になっているのだろう。

 ところで、Youssou の Facebook 中の "My Story" を読んで、彼のミドルネームが Madjiguène だと初めて知った。







# by desertjazz | 2019-04-17 18:00 | 音 - Africa

Fela Kuti On Vogue

 4/8 のこと、この日 Sandra Izsadore が Facebook に投稿した写真が目にとまった。下の写真がそれ(彼女の Facebook からコピーした)。そしてそこには、'Many thanks to BibiKakare-Yusuf for sharing this with me. Vogue British cover with FELA! 1961' とコメントが添えられている。

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 これは遠藤斗志也さんが、ご自身の音楽データベースの Discography of Fela Anikulapo-Kuti に掲載した写真の別ショットではないか!? Michael E. Veal が発掘したという 1961年のカラー写真を初めて見た時にはさすがに驚いた。1961年といえばフェラ・クティがまだロンドンに留学していた時代。その頃の写真が今回また新たに公になったようだ。


 そこで遠藤さんに連絡したところ、早々に調べてくださり、またいろいろご教示いただいた。以下は、これまでに分かったことのまとめ。

・これらの写真はヴォーグ英国版 "British Vogue" の 1961年10月号のために撮られた写真。その号ではジャズ特集が組まれたらしい。Sandra がアップしたのはその1カットと思われるが、今回どこに掲載されたものなのかは不明。

・1961年のフォト・セッションについては、英国版 Vogue 2018年10月号の"Archive" というページで取り上げられている。それによると、トランペットを構えてポーズをとるフェラの隣で澄まし顔の女性は Judy Dent。当時彼女は Vogue 誌と契約し、毎号の表紙を飾っていたようだ。

・その昨年10月号のページはネット検索すると簡単に見つかる。ところが意外なことに、Sandra の写真は Archeive のページの3枚とは重複しない。つまりは、Sandra の写真が 1961年版に採用されたカットで、2018年の3枚はそれの不採用カットということだろうか。謎だ?

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・これらの写真を撮影したのは Brian Duffy。David Bowie の作品など、ロック方面でも知られたカメラマンだ。

・Vogue 1961年10月号に関しては現物を手にしてみないと明らかにならないことがありそう。そこで Ebay でなどで探したが見つけられず。まあ気長に探し求めならが、情報を待とう。

・せめて 2018年10月号だけでも入手しておこうかと思ったが、これも思いの外高くて躊躇。しかしネットを探ると、全ベージ PDF になっているのを見つけた。(イリーガルなサイトかも知れないのでリンクは貼らないが、簡単に見つけられるはず。上のページもそこからダウンロード。)一応全ページに目を通してみたが、フェラ関連の記事は P.171 のみ。残念。これなら買う必要はないね。

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・遠藤さんは、これら以外のカットもネットで見つけられたとのこと(拝見したが、フェラの顔を一番よく捉えたショットだ)。1961年のフォト・セッションの写真は、一体どこにどれだけ公にされているのだろう?


 フェラ・クティは医学留学のためにナイジェリアからロンドンに飛んだものの、音楽への志を捨てられず、トリニティー・カレッジで音楽を学ぶ。そしてKoola Lobitos を結成。その時点ですでに Vogue や Brian Duffy から注目されるなんて、フェラは若い頃から存在感が絶大だったのだろう。

 1961年、フェラ・クティ 22歳。ジャズとマイルス・デイヴィスに憧れ、トランペットのトレーニングに励んでいた頃の、若きフェラの少年のような面構えがいい。





 ところで Judy Dent は、フェラとの写真では冷たい印象だけれど、他の写真では正統派美人でいいね! 気に入って、フェラよりジュディの方を検索している。

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(参考)https://mepdf.com/british-vogue-october-2018/



(追記 4/15)

 こんな写真もあった。

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'Fela with his mother, Funmilayo Ransome-Kuti in London, 1962.'







# by desertjazz | 2019-04-14 00:00 | 音 - Africa

日記:今週やったこと



(1)ネットワークオーディオの整備


 Marantz の Network Audio Player NA6006 と I O Data の Network Audio Server HDL-RA2HF を購入。ネットワークオーディオプレイヤーは最も評価の高いパイオニアの最上位機 N-70AE に決めたものの、ずっと欠品状態。全然再生産される気配がないと思っていたら、パイオニアが経営危機と報じられた。身売り先を探しているようで、これではたとえ追加生産されたとしても、その後のサポートが不安。なので、妥協してマランツにした。

 Player も NAS もヨドバシの13%ポイントバックを利用したので、どこよりも(価格コムの最安より)安く買えた!

 ネットワークオーディオプレイヤーなど買わなくても、Spotify などで音楽楽しめるじゃない?と言われそうだが、ネットワークオーディオを整備することにした理由はいくつもある。

・手持ちの CD を含めて、ストリーミングでは聴けない音源がまだまだ多いので、それらを NAS にコピーしてまとめて管理したい。特に、自分で録音してきた音楽/音、有名アーティストたちの未復刻/未発表音源などはこうして管理するしかない(Fela Kuti や Orchestra Baobab なども多数持っている)。

・CD の寿命を考え、それらを NAS とバックアップ HDD/SSD にコピーしておく。それができたら、大量の CD が占めているスペースが減り、部屋もスッキリする?

・ネットラジオや Spotify を良いオーディオで手軽に聴きたい。


(2)5G Wi-fi ルーターの導入


 これまで長年使ってきた Apple の Wi-fi と比較すると、ずっと速く快適になった感覚。

 このルーターと NA6006 と NAS と MacBook Air を LAN 接続し、CD や Wav Files を NAS にコピーして、オーディオシステムで再生したり、インターネットラジオや Spotify を聴いたりできるようになった。しかしここまでがひと苦労。Bluetooth でのリンクがうまくいかなかったり等々、パートナーにナビゲートしてもらって、やっとここまでたどり着けた。NAS のファイル管理や iPad でのリモートなどについてはまだ調べていない。

 インターネットラジオで、セネガル・ミュージックかガーナのハイライフのチャンネルを流しっぱなしにしているのだけれど、これは便利だな!


(3)MacBook Air のバッテリー交換


 実はこれを最初にやった。バッテリーが完全に死んでしまい、電源ケーブルはボロボロ、動作がひどく重く、ProTools も全く動かなくなったので、MacBook Pro への買い替えを決めた。だがその前に、蔵前仁一さんの FB で安く自力でバッテリー交換ができることを知り、試してみることに。その交換作業は簡単で、MacBook Air は今のところ快適に動いている。

 それよりも、Mac の裏蓋を開けてびっくり! (汚い写真でごめんなさい)特にファン周りの埃つまりがひどくて、バッテリー交換の要不要抜きに、定期的に内部清掃した方がいいんじゃないかと思った。


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(4)ProTools の動作確認


 やっぱり ProTools が全然だめ! バッテリーが弱ったせいで、M-Box へのバスパワーが足りないのかとも思ったが、どうもそうではないらしい。MacBook Air に問題があるのか、M-Box がもう今のシステムには対応していないのか? どうやら MacBook Pro への移行が必要そうだが、そうなると ProTools は今後毎月3000円ほど課金されることになる(クラウド的な管理体系に変わったため)。だが、それほどの必要はないので、例えば Logic などに乗り換えることも検討し始めた。その前にオーディオインターフェイスを最新機器に替えて試してみるべきかとも思っている。


(5)4Kテレビとオーディオアンプのリンク


 SONY の 4K 55inch のスピーカーでも十分音が良いのだが、最近時々観ている NETFLIX のプログラムをより良いオーディオで楽しむべく(今頃)光ケーブルを購入。問題はリップシンクが合わないこと。しかし、自由が丘のヤマダまで買いに行ったら「ありません」と言われた。光ケーブルはもう時代遅れなのかな? なので、これもヨドバシで買った。


(6)北海道旅行の打ち合わせ


 4月に続いて6月にまた北海道に行くことにした。目的はトレッキングで、フライト、宿、ドライバー、ガイド、等々を一気に手配中。


(7)オーブンレンジをお買い上げ


 憧れのスチームオーブンレンジを遂に購入! 6月に各社新製品を出すため、旧タイプが軒並み格安に。そこで思い切って買ってしまった! 月曜日に届く予定なので、もうちょっとは料理したいと思います。これで作れるジョージア料理/トルコ料理の幅も広がるぜ!



 というわけで、珍しく結構充実した週末を迎えている。


 買った NAS は 2TB なので、CD を WAV でコピーすると 3000枚分くらいしか入らない。この4倍か5倍の容量は必要。バックアップメディアを含めるとその倍。なので、Spotify で聴けるのは入れない、重要度が低い音源は mp3 で入れる、NAS の台数を増やすなど、どうしたものかと思案中。




(追記)その翌日やったこと
# by desertjazz | 2019-04-06 23:00
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