2009年 08月 20日
Bugge Wesseltoft / Fiesta des Suds 2009
店頭価格は¥12380と結構高価だったのだが、ブッゲの未発表録音集ならば価格は問題外と思い、躊躇なく購入した。しかし、全トラック未発表という訳ではなく、既発表のものも多いことにはややがっかり。それでも、2001年の横浜でのライブが、しかも 'Change', 'Sharing', 'Filming' が聴けるだけでも入手した意味は大。そして何より嬉しいことは、ブッゲのライブ映像が観られること。ウード/ヴォーカルのゲストが入る中盤3曲は、ブッゲとゲストとが相手に合わせすぎて、しかもブッゲの魅力が薄まってしまい、正直あまり面白くないのだが、それ以外はブッゲのバンドの素晴らしさがしっかり伝わってくる。
最近10年を振り返ると、自分が持っていた音楽の概念を超越する音楽を提示し、そしてそれが感覚的/潜在的に自分が抱いていた音楽の理想像に見事なまでにアジャストしてきたのは、藤原大輔、半野喜弘、ブッゲ・ヴェッセルトフトの3人だったのではないかと思う。そして、ブッゲこそは、自分にとってのゼロ年代後半の最重要アーティストのひとりでもある(もうひとりはブルース・スプリングスティーン。と言っても、近作2枚 "Radio Nowhere" と "Working on a Dream" はまったく評価していないのだが)。だからこそ、昨年は多忙な間隙を突き、2夜続けて札幌と恵比寿で行われたブッゲのライブに足を運んだのだった。
しかしその一方で、今回のDVDを観ても、彼のマルチタスクなソロ・パフォーマンスも旧年来変わらない手癖と化していることははっきりするし、最近はソロ・ピアノに傾斜した作品が続いていることがやや物足りなくも感じられる。そんな中、過去を一度総括するようなボックスをリリースしたことは、次なる展開を模索中であることを示しているようにも思える。そうだとすると、それは行き詰まりなのだろうか、それとも次なる 'new conception' の提示を暗示しているのだろうか。
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毎年秋にフランスのマルセイユで開催される音楽フェスティバル Fiesta des Suds のプログラムの詳細が、今日公式サイトで発表になった。私が観たいのは、初日の Toko Blaze と最終日の Sam Karpienia。マルセイユに10日もいたってしょうがないので、何とも悩ましい。
