Vivian

 今年の春にパリを訪れたときのこと。

 いつものごとくバルベス界隈を探索して驚いた。マグレブ系の店を覗いても、アフリカ系の店を覗いても、気になるアイテムがほとんど皆無。昨年、一昨年あたりは、ジャラルを筆頭とするレッガーダ、スタイフィー、それにエル・アンカの復刻盤(国内盤まで出たのにはびっくりした!)など、後に日本でも流通することになるアルジェリア音楽のCDを立て続けに見つけたり、セネガル音楽やマリ音楽に個人的な収穫を得たりすることができた。しかし今年は財布を開くことがほぼ絶無。たしかにバルベス/シャトールージュを訪れる度に発見が少なくなっていったのは事実なのだが、ここまで寂しい事態になるとは予想外だった。とりわけセネガルものが酷かった。一年前と較べてストックがほとんど変わっていないのだから。

 その理由として考えつくのは3つ。近年のセネガル音楽が低調だから、単に現地の作品がパリで流通しなくなっているから、庶民が親しむ商品がDVDにシフトしたから、これらのいずれかである可能性が考えられる。多分全部が影響しているのではないかと思うのだけれど、セネガルに限らず新作DVDが大量に作られて安価で売られいることは事実である。そのほとんどが非常にチープな作り(なので、私は特に好きなものばかり厳選して買っているし、積極的に紹介する気にもならない)ではあるが、アフリカの市井の人々に楽しみをもたらしていることは間違いない。それは、CDやカセットを聴く以上の喜びなのだろう。

 それでも持っていないアイテムを探して買って帰ったものが少しばかりある。例えば、ヴィヴィアンのカセット。ユッスーの親戚(弟の奥さんだったかな?)である彼女、ユッスーのライブでコーラスを務めることも多く、何となくユッスーの支援で音楽活動を続けているような印象を受けがちかも知れないが、彼女の作品や直に観たライブはいずれも決して悪いものではなかった。

 買ったカセットは、"Man Diarra Vol.2" (2005) と "Special Live au Bataclan Cafe" (2007) の2本。前者は全くのR&B作品で結構良い仕上がり。1曲目は有名曲のカバーなのだけれど、どうしてもタイトルが思い浮かばない。後者はダカールの有名なクラブバタクランでのライブで、毎週(確か木曜日)レギュラーのチョサンとは異なるステージながら、いつもと同様 Jolof Band がバックを務めている。このバンドを従えているということがキーポイントで、Jolof Band のンバラはいつも気持ちよい。なので、もしかしたら彼女が最もンバラらしいンバラを体現し続けているひとりなのではないないだろうか。ちなみに、1曲目はユッスーの 'Li Ma Wessu' のカバーで、3曲目には Omar Pene がゲスト参加して熱唱している。
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by desertjazz | 2009-09-23 22:00

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