2009年 10月 12日
SWP releases : Tongatronics, Phil Seamen

1枚は、SWP のマイケル・ベアードが、ザンビアとジンバブウェに挟まれて流れるザンベジ川流域で、2008年に採録した親指ピアノのフィールド録音集。演奏しているのはバトンガ(トンガ人)の古老たち7人で、半世紀昔にヒュー・トレイシーが録音した音楽が現代に蘇ったかのようだ。実際彼らの世代以降は親指ピアノを演奏することがなく、マイケルが探して出会った人々だけが昔の親指ピアノの音楽を保ちもってきたらしい。コノノたちと同様に元気な爺さんたちの音楽であることにかけて、マイケルは「トンガトロニクス」と呼んで悦に入っている。
聴いて感心したのは、それぞれの個性の強さ。親指ピアノの乾いたトーンに特徴を感じるのだが、その音のくぐもらせ方だとか、バズの音色だとかいったものには、聴き覚えのないものも多くて面白い。
勝手なことを書いてしまうと、今回はサカキマンゴーさんの分析・解説を読んでみたいな(間もなくリリースされる予定の "Vol.2" と一緒に、アオラが国内盤を出すのだと思う)。
もうひとつ面白く聴けた点は、自分がカラハリ砂漠で録音してきたブッシュマンの曲とベーシック・パターンが類似しているものがいくつかあったこと。恐らくなんらかの関連性があるのだろう。


マイケルが送ってくれたもう1枚は、イギリスのジャズドラマー Phil Seamen (1926-1972) の録音集。Kenny Graham、Victor Feldman、Joe Harriott、Dizzy Reece、Stan Tracey、Jimmy Witherspoon、Ronnie Scott らとの数々のセッションが収録されていて、こちらも気に入って繰り返し聴いている。