Habib Koite

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 台湾で開催された Migration Music Festival の出演者たちのうち、唯一メインステージで単独ライブを行った Lo Còr de la Plana を除くと、他は皆 300人程度を収容するサブステージでのパフォーマンスとなった。それらの中で最も台湾人たちに楽しまれたのは、恐らくマリから来たアビブ・コワテ Habib Koite だったのではないだろうか。

 彼のバンド、バマダ Bamada を率いてやってくることはないと誰もが想像するだろう通り、今回はギター1本のみでの弾き語りだったのだが、これが実に良かった。彼のライブは毎度楽しいものなのだが、正直物足りなさを感じていることも事実である。それは、バンドと一緒に穏やかな曲を演奏するともっと音のスペースが欲しくなるということもあるが、一番不満に感じるのはアップ目の曲で乗り切れない点だ。彼のギターやマリのパーカッションがリズミックに演奏され、グルーヴ感が増していくような曲でも、それが頂点まで達し切らない。これは、実際に観たライブでの感想だし(ちょうど10年前には、こんなことも書いている。拙い文章だ)、2003年にリリースされた2枚組ライブ盤 "Habib Koite & Bamada / Foly! - Live Around The World" でも同様な感想を抱き、通して聴くのが辛かったほどである。

 それに対して、今回のソロでは、肩からちからがすっかり抜け、ゆったりとマイペースで演奏される音楽がとても心地よいものだった。完璧なテクニックとまでは言えないまでも、流麗に様々な表情の音を紡ぎ出す指さばきは抜群に素晴らしいく、彼のパーソナルな音楽を自然体で披露するかのような弾き語りが、とても愛おしいものに感じられた。英語で一曲ごとにその内容についてなされた丁寧な解説も、オーディエンスの笑いを誘うもので、語りの上手さも含めて彼のミュージシャンシップの高さを改めて認めたステージだった。
by desertjazz | 2009-10-15 22:11
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