2009年 10月 22日
Kamalan N'goni / Dozon N'goni

ドゾ・ンゴニは、マリの南西部、ワスルの音楽であり、その主要楽器の名前でもある。また、カマレ・ンゴニは、ドゾ・ンゴニから派生した音楽であり、やはりその楽器の名前でもある。6弦の太くふくよかな音色と、カリニャン(鉄製のパーカッションでこすりつけて音を出す)の錆びた音色が魅力的だ。
この音楽に興味を覚えて、マリのバマコやパリのバルベス周辺で現地カセットをいろいろ探し歩いたことがある。代表的演奏家としてヨロ・ジャロ Yoro Diallo やサンバ・ジャロ Samba Diallo などがいるのだが、彼らの作品を改めて聴くと案外物足りない。コーラスやキーボードの音からスタジオ内の空疎な空気が伝わってくるからだ。つまりは欧州的なサウンドプロダクションのフィルターが強すぎるように感じられる(大胆なプロダクションで、思いっきりスペイシー&トランシーにして大成功したのが、イッサ・バガヨゴ Issa Bagayogo だとも言える)。
反対に、恐らく無名と言っていいだろう他の演奏者たちの作品は、ンゴニやカリニャンだけによる演奏で、その土着的な音にグッと引き寄せられる。現在の視点で語るならば、ここにもコミュニティー・ミュージックの強さ、ローカル・ミュージックの永続性のようなものを感じる。
そうした意味では、数年前にリリースされた Yoro Diallo の "Pekos" (Yaala Yaala Records 001) というCDはかなり興味深いアルバムだった。これもンゴニの弾き語りにカリニャンが加わる程度の単純さであり、これほど泥臭いドゾ・ンゴニはこれまでほとんど聴いた記憶がない(ただ残念なことにこのCDは、マリで売られている海賊版カセットをまたコピーした海賊版のようだ)。
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写真背景に使ったのは、マリの泥染(風)の布。ンゴニ奏者たちも、沢山のお守りを括りつけたこの布の服をまとう。マリの泥染の布は日本で買うとそこそこの値段がするのだが、アフリカで買うとずっと安い。自分もアフリカのどこかで買った黒や茶や黄色のものをどっさりもっていて、家の中の各所で使っている。ただし痛みが早いので、所詮は消耗品である。