2009年 12月 26日
Readings
12/20 (Sun)
『歌の祭り』(J. M. G. ル・クレジオ)が進まない。関心の薄い中米が舞台のせいか(それよりも、この本が研究取りまとめ的な色彩が濃いからだとは思うが)。ラテンアメリカとの相性の悪さは文学にも通じているように思う。いったん諦めて『精霊たちの家』(イサベル・アジェンデ)を読む。
かつて実際に旅したメキシコ、キューバ、ブラジルでも、強盗に遭ったり、病に倒れたりとトラブルの連続。帰国してから日本を代表する熱帯病の専門医の診察を受けた際、「人間では初めてみた症例です」などと言われたこともあったなぁ。
12/21 (Mon)
Amazon に注文していたル・クレジオの4冊が届く。配達まで日数がかからないし、誰も手を触れていない奇麗な本が届けられる点も気分がいい。
12/25 (Fri)
またまた体調不良。今週も読書が全然進まず、身体が酒を受け付けない。
12/26 (Sat)
外の空気を吸えば幾分かは楽になるかと考え、ジュンク堂まで出かける。ちょうど出たばかりの『白い城』(オルハン・パムク、藤原書店)など3冊を購入。『白い城』を手にして最初に気がついたことは訳者が別の人物になっていること。恐らくこれは歓迎すべきことだろう。オルハン・パムクは『雪』『イスタンブール』『わたしの名は紅』と読んできたが、どれも和久井路子の訳が全然日本語になっていなくて、そのことに辟易し失望した。あとがきに、出版社が新しい訳者を探した経緯について短く書かれているが、多分これまでの和久井訳が相当不評だったのだろうと想像する。内容を拾い読みした限りでは普通に読みやすい日本語になっている。
改めて言うまでもないが、外国語の文章の場合、それがどう翻訳されるかはとても重要なことだ。今年自分の周辺で話題となった本にアラヴィンド・アディガ Aravind Adiga の "The White Tiger" がある。その日本語訳の『グローバリズム出づる処の殺人者より』、タイトルのセンスの悪さはさておくとして、知人の編集のプロに言わせると「日本語訳がすばらしい」とのこと。この本、ブッカー賞を獲得したことも大きいだろうが、翻訳が優れていることも評判を高める一助となっているのかもしれない(ただし自分は、英語版の方がずっと安いし、平易な英語で書かれているとも思ったので原書で読んだ。なので、実際和訳がどうなのかは確認していない)。
逆に、訳がこなれていなかったり、悪文だったりで、イライラさせられることも多い。『世界探険全史 〜道の発見者たち〜』(フェリペ・フェルナンデス・アルメスト、青土社)は上巻をかなり我慢して読み終えたものの、下巻に入った途端に止まってしまった。これも訳文が直訳すぎて文章が流れていかない一例なのではないかと思う。
ジュンク堂ではこの夏に買った後、知人に譲ってしまった『素数たちの孤独』(パオロ・ジョルダーノ、早川書房)も買い直す。読む方が追いつかないペースで本を買い続けている。しかし、その分だけこれからの楽しみが増えている。