2010年 01月 06日
Diary & Reading
2009.12.30 (Wed)
今日から短い冬休み。とにかくいろいろあって、慌ただしく、余裕もなく、それでいて何ら実りのなかった1年が無事に終えられることに安堵する。
ヌカ床から刺すような異臭。どうやら塩が不足しているらしい。軽くメンテナンスしてから3泊の予定で外出。文庫本と新書3冊をバッグに。
夜、自由が丘のBK1をチェック。それからイタリアンレストランで乾杯。
2009.12.31 (Thu)
『関係する女 所有する男』 (斎藤 環、講談社現代新書) 読了。バリ往復の際に読み始めたものの、他の読書が忙しく、棚上げになっていた本。タイトルが内容の全てを表している。が、話を単純化しすぎているように思えるし、男が生まれる/女が生まれる話の下りは理解不能。
ここ数年、読んだほとんどの新書がテーマひとつで書き上げた「水増し本」ばかり。そもそも新書とはそんなものなのかもしれないが、それにしては高すぎる。新書を読む気がほとんど失せてきた。
誘われて群馬の高原の邑落で年越しすることになった。新幹線を降りると粉雪が舞い始める。冬には雪景色が似合う。
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2010.1.1 (Fri)
新春。昇る朝日がまぶしい。飛び切り美味しい手作りのお節料理に舌鼓。酒もサクサク進む。
マンガ『20世紀少年』(全22巻)、『21世紀少年』(上下巻)を借りて読む。初巻を読むだけで、終末までの筆運びと終わり方が見えてしまい、途中を飛ばす。やはり(誰もが)想像する展開と結末だった。こうしたものを読むのは、自分にとって時間の無駄であることを確認するだけだった。
朝日新聞に村上の『book 3』の広告。宣伝戦略が上手い。
散歩。くっきり浮かび上がった山々の稜線が美しい。晴れた正月は一年で最も美しく山並みを浮かび上がらせる。そのことが好きだ。
今朝の太陽も美しかったが、今夜の満月も美しい。
2010.1.2 (Sat)
『悼む人』(天童荒太、文藝春秋)を借りて読み終える。気持ちが悪いばかりで、書く動機として筆者は根本的に思い違いをしているのではないかと思うしかなかった。これも時間の無駄だったようで、日本文学の新作/話題作を読む必要のないことを再確認。今年は定評の定まった傑作や古典を優先して読むようにしようか。
初詣。建築や風景に眼が喜ぶ。
毎日の犬の散歩、それも起伏の激しいコースだったために、脛が張る。
昼から、濁り酒。夜は、ビール、桑酒、シードル、白ワイン、赤ワイン。連日、飲んで、喰って、寝るだけ。美味しい料理とたくさんの酒を振る舞われ、予想した以上に心地よい。なので、遠慮なくもう一泊させていただくことにする。
2010.1.3 (Sun)
今回の年越しは、微かに、そして軽やかに舞う雪を眼で愛でる毎日だった。
新幹線を4時間乗り継いで帰宅。車内ではビールを飲みながら読書。アルコールを入れると、やっぱりあまり進まず。
ジュンク堂へ。年末チェックした3冊を購入。『音楽から解き放たれるために ──21世紀のサウンド・リサイクル』(原 雅明)は内容を軽くチェックした上で、今日のところはパス。
買った1冊は、かつて須賀敦子が翻訳し先週新版が発売になった『島とクジラと女をめぐる断片』(アントニオ・タブッキ、青土社)。昨年末来、偶然のきっかけから『須賀敦子全集』(河出文庫)を読み始めている。友人のその親友の大竹昭子さんが彼女に関する著作を著していたり、今夜テレビで彼女の特番(出来は物足りなかったけれど)を放送していたりと、何かと彼女から離れられない。
その『島とクジラと女をめぐる断片』を読了。まえがきにレイモン・ルーセルの『アフリカの印象』(この本と『ルクス・ソロス』とは、未だに強烈な印象を保ち続けている)のことが書かれていて、全ては繋がっている気分になる。ただ、ちょっと肩すかしを食らったような読後感。
『アフリカを食い荒らす中国』(セルジュ・ミッシェル+ミッシェル・ブーレ、河出書房新社)も購入。読むと気分が悪くなるに違いないので躊躇したのだけれど、ざっとでも読んでおくべきかと思い、取りあえず買って読んでみることに。あとの1冊は『日本辺境論』。
2010.1.4 (Mon)
仕事始め。初日からどっぷり疲れる内容。今年もやりがいのない一年になるのか?
ル・クレジオの『海を見たことがなかった少年―モンドほか少年たちの物語』を読む。砂漠を体感した者でしか書けない文章。砂漠が恋しくなる。
『DO DO WORLD』1月号の特集は「アフロビートが世界のクラブシーンを熱くする 〜フェラ・クティの再評価から新世代のミュージシャンまで」(石田昌隆×大石 始)。初心者向けの分かりやすい内容。ディスクレビューに数カ所間違いがあったが、気にする人はいないだろう。
2010.1.5 (Tue)
移動の疲れから週末の料理の仕込みができなかった。その分、昨日今日と夜中に何品か作り置きする。眠い。
『海を見たことがなかった少年―モンドほか少年たちの物語』(J.M.G. ル・クレジオ、集英社文庫)読了。ル・クレジオの他の作品に散りばめられていた光、風、音がここでも溢れている。懐かしい自分の子供時代の記憶がよみがえる。アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子様』にもどこか通じる世界であり、どこか『夜間飛行』や『人間の土地』を読んだ気分を思い起こさせもする。
2010.1.6 (Wed)
『日本辺境論』(内田 樹、新潮新書)読了。話題になっているので買ってみたが、構成も論述も雑。ほとんど例外を認めない断定的な物言いなのに、長い言い訳で始まる点もずるい(その言い訳も、突かれるであろう核心から外れたもの)。いくつかの論点には示唆するものも感じたが、3章「「機」の思想」はまるで禅問答。恐らくは時間を書けずに書き上げてしまったことが、失敗の原因のひとつなのではないだろうか。