Readings

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 『日本文学史序説』(加藤周一、筑摩書房)の上巻を読了。

 このところの読書が小説や新書など読みやすいものが中心になっていたので、もっと本格的な書物にじっくり取り組もうと考えた(始まった余生には、これまでの読み残しや名著をなるべく読もうとしていることの一環でもある)。そこで今年最初に選んだのがこの本。今月8日から読み始めて、550ページを読み通すのにちょうど10日かかった。これは、精読とまではいかないものの、ある程度丹念に読み込んでいったからだ。

 加藤周一という評論家は、とても深い思索を分かりやすく解説し、決して難しい言い回しもしない人だと昔から思っていた。しかし、この本にはさすがに苦戦。漢文やかなまじり漢文の引用が数多く、しかも大概は何ら詳述されることもなく先に進んでいくので、我が頭の方はその都度急停止。何度読み返しても分からないところは、無理矢理想像力を働かせて進むことにもなった(特に第4章、第5章あたりには悶絶。自分は「古文・漢文」が猛烈に苦手だった)。

 それでも10日というのは漠然と予想していたよりもかなり早かった。それというのも、圧倒的に面白かったから。「こんな凄い本があったのか!」と絶えず思い続けることに。読み始める前には数多の作品を並べた「文学史」だと思っていたのだが、この考えは全く甘かった。単なる文学史には留まらず、日本で著された歴代の名著や有名書などを読み解きながら、日本の歴史、特に日本人の思想の歴史について見事に分析したものになっている。なので、自分では読んだことのない本ばかりについて語られるのに、自分の思考までもがひたすら刺激されることになった。学生時代に読んでおきたかったと、つくづく後悔も。

 この本は多くを語られてきた名著(著者による私論なので、勿論反論を投げかけられそうな部分はいくらでもある)であろうから、短い雑感だけに止める。さてこれから下巻だ。



# 余談(近況メモ) #

 恐らくはかつて明かしたことはないかと思うが、自分は「超」がついてもおかしくないほどの「快楽主義者」(ただ単に努力ができないだけなのかも知れないが)。なので、今年も変わらず「聴く快楽」「読む快楽」「食べる快楽」「呑む快楽」「運動する快楽」などなどに浸っていられることを願っている。

 越してきてから7ヶ月になるが、ここは東京でとはまた違った「食べる快楽」を堪能できる土地だと思う。まず周囲には美味しい店がたくさんあることがありがたい(こうした話は昨年いろいろ綴ったのだが、「まあ、食のブログは誰もがやっているしなぁ」と思い、結局アップしなかった)。特にお気に入りになっているのは、近所(ブラブラ歩いていける距離)にある日本食の店。20人しか入れない料亭風の佇まいなのにも関わらず、メニューがやたらと多くて、それでいてどれもが初体験の味で、かつ美味しい。なので、誰かしら客人がくると一緒に夕食を食べに行っている。しかしこの店、(全然知らなかったのだが)昨年ミシュランに載ったらしい。普通に食事に行っていたつもりの店が星付きとなったのは意外だったが、こうなるとますます予約を入れにくくなるのかもしれず、これははた迷惑なだけだ。しばらく行っていないので、そろそろ訪れてみたい。冬のメニューも楽しみ。他にも通いたくなる店がいくつも見つかったし。一方、市場に出かけてみると、調理してみたい魚や知らない野菜など気になる食材がふんだんにある。今年はもっと「食の快楽」を味わえることだろう(だけど、なかなかそうした時間がとれないでもいる)。

 昨年あたりから新たに加わった快楽は「眠る快楽」。平均すると毎日8時間以上寝ているのではないだろうか。これも「東京時代」には考えられなかったこと。その一方で、一時は目覚めるのがやたらと早かった。老化が進んでいる??

 「上巻」を読み終えてひとやま越えられたので、そろそろCDも聴き始めようと考えた。今年最初の1枚に選んだのは Youssou N'Dour の "THE LION"。やっぱりこの高揚感は素晴らしい。こうしたサウンドには快楽をたっぷり感じる。いやそれより、今年はどこかの時点で音楽(CD)もたっぷり集中的に聴いて、昨年のリハビリをし、「音楽を聴く快楽」を本格的に取り戻したいとも考えている。

 快楽三昧の一年にしたいのだけれど、果たしてどうなるかな。
by desertjazz | 2010-01-17 19:43

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