Idan Raichel - 1 : 'Out of the Depths'

 先月『世界の歴史 24 〜アフリカの民族と社会』や『エチオピア音楽民族誌 〜ファラシャ/エチオピア正教/望郷歌 (テゼター) 』を読んで知ったのは、エチオピアにおけるユダヤの存在と影響の複雑さ。コプト、エチオピア正教会、カトリックなどの間の関連性、北西部に居住したファラシャをユダヤと見なして(事実の歪曲)イスラエルへの移住を進めたことなど、一読しただけでは全体像が掴み切れない。

 読書の最中、ずっと頭に浮かんでいたのはイスラエルのイダン・レイチェル(イダン・ライヒェル)Idan Raichel のことだ。彼がエチオピアのミュージシャンを重用したこと、エチオピアでコンサートを行ったことなどにも興味を覚え、4年前にパリで会ってインタビューしてきた。しかし、こうした歴史をきちんと理解していたら、もっと深い質問ができたはず。イスラエル=ユダヤ、エチオピア=キリストという固定観念が強すぎたと、今さらながら反省させられた。

 そのインタビューにおいてイダンが語ってくれた中で興味深かったことのひとつは、美メロ曲 'Out of the Depths' の曲中の「Nanu Nanu Ney ...」という印象的なフレーズが「アムハラ語の伝統的なラブソングで、元はもっとアップビートなんだけど、少しメロウに変えた」ということ。そのアムハラ語ヴァージョンがエチオピアン・ポップのコンピレーションCD "The Ethiopian Millennium Collection - Contemporary Ethiopian Music : Chic-Chic-Ka" に収録されていることを r-flux さんが教えてくれた。曲の雰囲気は全く異なるが、確かに同じ曲だ。

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"The Ethiopian Millennium Collection - Chic-Chic-Ka" (AIT031, 2007)

 歌っているのは Muluken Melesse で、2003年にリリースされた彼のベスト盤からセレクトされたトラックとクレジットされている。

 調べてみると YouTube にも上がっている。Idan Raichel のヴァージョンと Muluken Melesse のヴァージョンを聴き比べてみるのも面白いと思う。

>>> Idan Raichel's Project - Mima'amakim (Official Video)
>>> Muluken Melese-Nanu Nanu Ney など
by desertjazz | 2010-07-04 00:00

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