2010年 07月 05日
Idan Raichel - 2
1. Idan Raichel's Project (Helicon HL8202, 2002)
寂れた伝統楽器の音色、数々の土地から集った数々の声、イダンの紡ぎ出すエレクトロニック・サウンド、これらが溶け合って立ち上る、妖しく美しい調べ。懐かしく、それでいてどこでもない、マジカルな世界に誘われる。00年代ワールドミュージックのひとつの成果。聴く度に涙腺を潤ますキラーチューン 'Bo'ee (Come With Me) ' の2テイクを収録する。DVD 付き盤もあり。現時点での彼の最高作。
2. Out of the Depths (Helicon HL8245, 2005)
ファーストアルバムと等質性を保ったセカンド。トラックによっては、そこにある種の緊張感が加わっている。代表曲のひとつ 'Ma'Ma'amakim (Out of the Depths) ' を収録。多彩な女性ヴォーカル陣がとても印象的で、'Milim Yafot Me'ele' のコケティッシュなヴォイスは魅力的だ。イダンの誘う旅は、ラス前の 'Siyaishaya Ingoma' で南アにまで辿り着く。
3. The Idan Raichel Project (Helicon/cumbancha CMB-CD-2, 2006)
ファーストとセカンドからのベストトラックを並べた世界デビュー作。代表曲を網羅していて、イダンのオリジナリティーとその魅力は伝わってくるものの、残念ながら先2作にみられたアルバムを貫く流れの素晴らしさは失われている(なので、イスラエルでリリースされたオリジナル作2枚を聴くのが理想的)。国内盤もあるため、最初の1枚としては便利だろう。
4. Within My Walls (Helicon/cumbancha CMB-CD-10, 2009)
コラボレーションをワールドワイドに広げたことによる失敗作。いや、少なくともこれ以前の作品にあったミステリアス感やマジカルさは消えている。リリース直後に聴いてから棚に収まったままだが、今聴き直すといくらか印象は違ってくるだろうか(才能溢れるイダンのこと、その後これらの楽曲をどう練り込んでいったかには興味津々なので、最近のライブは観てみたい)。
・・・以上、イスラエルのイダン・レイチェル(イダン・ライヒェル *)のCDを久しぶりに聴きながら、彼のディスコグラフィーをまとめてみた。コメントはあくまでも私的雑感。
(参考)
・ http://www.idanraichelproject.com/en ・・・全曲試聴可能
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(*) 上記サイトのトップページにある Video : Japan TV Interview of Idan を観ると、「イダン・ライヒェル」という表記が出てくる。私がインタビューした際にも「レイヒェルです」と教えてくれたので、「レイチェル」よりも「ライヒェル」または「レイヒェル」と表記する方が望ましいのかも知れない。それより、そのビデオのインタビュー中の答え、私が訊いてきたのと同じ話ばかり。まあ、そんなものなのだろう、、、。
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余談。
幾度か Idan と称する人物からアドレス変更のメールが来た。なんだか spam っぽいので無視してきた。しかし、3年前にニューヨークで会ったとき「新しい電話番号、伝えたかな?」といきな訊かれたことを、今これを書いていて突然思い出した。あのメール、もしかして本人?