Daara J >>> Daara J Family

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 90年代以降、セネガルのヒップホップ・シーンに君臨し続けるダーラJ(ダーラ・ジェイ、ダーラ・ジー)が、8年振りの新作 "School Of Life" をリリースした(インターナショナル・リリースとしては7年振り)。

 そのアルバムを聴く前にまず驚かされたのは、Lord Alaji Man が抜けて、Ndongo D と Faada Freddy の2人組になったことと、それに伴ってかグループ名がダーラJファミリーに変更されたことだ。その理由が気になり、アルバム・リリース前からネット上で探ったものの、今現在分かっていない。

 さてその新作、良い曲が揃っているし、適度にポップで楽しめる。ノリノリの 'Celebrate' 〜 メロウな 'Tomorrow' 〜 レゲエナンバー 'Children' と続く前半は結構好きだ。印象的なリフの 'Oh Why' もかなりかっこいい。しかし、少しスムーズすぎやしないか? 前作 "Boomerang" で感じられた、躍動感やサウンド面での工夫が少し欠けているような気がする。



 先月読んだ『セネガルとガーボベルデを知るための60章』と『世界の歴史 24 〜アフリカの民族と社会』には、セネガルのイスラムについて結構詳しく書かれていた。セネガルには独得なイスラムが存在し、主要なものだけで5つある宗派のうちの最大勢力ムーリッドの修練の場として「ダーラ」がある、等々(だったかな? もう記憶が薄れている)。これらの本では、ダーラを「農場」などと訳されていた。

 一方、ダーラJはかつてインタビューで「ダーラは学校のこと」と語っていた。いずれにしても、このような言葉をグループに冠しているのは、彼らがイスラムに帰依する姿勢の表れなのだろう。また、今作のタイトル "School Of Life" にしても、ダーラとほとんど同義と言えるのではないだろうか。とにかくまじめな男たちだ。



 彼らのステージは、これまでにフランス(アングレーム)、イギリス(ロンドン)、東京、シンガポールの4カ所で観る機会を得た。その都度会って少し話もしてきたが、会うごとに元気がなくなり、ステージもマンネリ化していったような気がする。"Boomerang" に続くアルバムも、出ると繰り返し聞かされるうちに何年も過ぎていってしまった。こうしたことが気になっていた。

 2003年に初めて会った際、意気投合しダカールの自宅の電話番号まで教えてくれた。3人が書いてくれた寄せ書きは宝物として大切にとってある。そのときのステージが素晴らしくて、彼らに惚れ込んだ。そんな彼らがまさかの停滞。正直に書くと、心を開いてくれた彼らに対して何もできないでいる自分に罪の意識のようなものさえ持ってしまった。勝手な気持ちなのだろうけれど。



 想像するに、セネガルのローカルな存在から、ワールドマーケットを相手にする立場に飛躍した(BBC WORLD MUSIC AWARD も獲得したはず)ことで生じた困難に面しているのではないだろうか。もしかしたら、そこには彼らのまじめさが邪魔をしているのかもしれない。そうした壁をぶち破るには、一度メンバー構成を変えて、グループ内の空気の入れ替えをする必要さえあったのかも知れない。全くの推測だけれど…。

 ♪ Rester positif
 ♪ Positive in your soul in your heart and in your mind

 7曲目 'Positif' で「前向きでいよう」と繰り返し訴える。何があったのか全く分からないが、こうしたポジティブなスタンスだけはこれまでの作品と変わっていない。やっぱり彼らは信用するに足る存在だと思う。そんな気持ちを抱きながら、彼らの再出発を応援したい。

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(参考)

DISCOGRAPHY OF DAARA J

 彼らのカセットは6本あるらしく(2003年時点)そのうち3本が未入手。ミュージシャンやバンドは可能な限り多くの音源を聴くことで分かってくることがある。そうした意味では、残る3本も機会があれば聴いてみたいが、まあそこまでの必要はないかな、、、。

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 と書きながら、Daara J 以上に、今のダカールのヒップホップ事情が気になる。

 (それより、今晩は久しぶりの焼肉屋、ちょっと飲み過ぎた…。)
by desertjazz | 2010-07-06 00:00

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