Les Ambassadeurs - 2 (Early Years I)

 マリのアンバサデュールの黄金時代は(昨日取り上げた)1978〜81年頃なのではないかと思うのだが、それより以前の時期についても振り返ってみた(アフリカ音楽はもう5年くらいまともに聴いていなかったので、忘れてしまったことは多いし、文献によっての矛盾点も数多なので、正確なものを書く自信はない。誤りは適宜修正するとして、取りあえずは私的メモとしてお読み下さい)。

 70年代のバマコの2大バンドと目されるのは、レイル・バンド Rail Band du Buffet Hotel de la Gare とアンバサデュール Les Ambassadeurs du Motel だ。前者の結成年が1969年、後者のそれが71年であり、ともに70年代を通じて活躍。また、名前から分かる通り、どちらもホテル専属バンド(余談になるが、約10年前にバマコ駅を訪れた際、レイル・バンドはここを拠点としていたのかと感慨深かった)。さらには、いずれのバンドともサリフ・ケイタ Salif Keita とカンテ・マンフィーラ Kante Manfila が在籍していた期間があったこともあり、強烈なライバル同士だったことだろう。

 サリフがレイル・バンドからアンバサデュールに移った年を明記した文献は見つかった。それによると、移籍したのは1973年で、彼の外遊中にレイル・バンドのセカンドシンガーだったモリ・カンテ Mory Kante(ジャリであるカンテ一族の一員でカンテ・マンフィーラのいとこ)がそのポジションを高めたことが脱退の原因だったらしい。一方、カンテ・マンフィーラの移籍年は不明。アンバサデュールに結成に関わったのではないかと思って調べたが、そのような資料は今のところ見当たらず、また彼の移籍に合わせてサリフも行動を共にしたのではないかと推測したものの、どうもはっきりしない。

 ちなみに、アンバサデュールはサリフ加入後、Ambassadeur Internationaux、Ambassadeur International などと度々改名しているが、「インターナショナル」を加えたのはサリフが世界マーケットを意識してのことだという(追記:78年のアビジャン進出がそのきっかけとなったようだ)。



Kante Manfila et les Ambassadeurs "Ambassadeur - Mana Mana" (Sonafric SAF 1725, 1975)
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 恐らくこれが彼らのファースト・シングルであり、最初のレコード。カンテ・マンフィーラがバンド・リーダーであったことも、ジャケットの表記からはっきり分かる。
 A面の 'Ambassadeurs' は、カンテ・マンフィーラ作のミディアム・ナンバー。歌詞はマリンケ。前半同じフレーズが延々繰り返され、'Ambassadeur ...' という歌詞が頻繁に出てくるので、彼らのシグネチャーソングのようなものだったのではないだろうか。ルンバ・ロック調で、後半のマンフィーラのギターのホーン・セクションとのインタープレイ、そしてギター・ソロが印象的だ。マンフィーラのギターはリンガラ風のカッティングならが、コンゴのそれよりも硬質な感じもする。サリフの歌声は聞こえない。
 B面の 'Mana Mana' もマンフィーラ作で、リードシンガーはサリフ。こちらもマリンケ語の歌詞。テンポ良い典型的なマンディング・ポップ。ギターは控えめで、ギター以上にバラフォンの演奏が目立っている。途中短いトランペット・ソロを挟みながら、サリフの歌、バラフォン、ホーンの3者が交錯する畳み掛けるような展開が熱い。最後、バラフォンのソロでフェードアウト。かなりかっこよく、完成度も高いので、どこかでリイシューされていないだろうか(81年録音の 'Mana Mani' は異曲)。
 音から判断してもかなりの大編成ながら、スリーブ写真に映っているのはわずかに5人。サリフもいない。謎だ。



Les Ambassadeurs du Motel "Super Pitie - Bolola Sanou" (Sonafric 1773, 1976)

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 セカンド・シングル。早速、グループ名の表記が変わっている。
 A面の 'Super Pitie' は、Ousmane Dia の作で、歌っているのも彼。フランス語で歌われるスローナンバー/極甘フレンチ・ポップ。こうしたあたりが、Sonafric らしい中庸さ(凡庸さ)か?
 B面の 'Bobola Sanou' は、マンフィーラ作で、サリフ(マリンケ語)が歌う、アップテンポのマンディング・ナンバー。中盤のトランペット〜バラフォン〜ギターのソロ回しが見事で、彼らの卓越したインプロヴァイザー振りが伝わってくる。
 スリーブに映るのは倍になって10人。それでもサリフの姿は確認できず。やはり謎だ。



 セカンド・シングルをリリースした1976年、同じ Sonafrica からもう3枚シングル(下記)をリリース。そしてファースト・アルバム "Les Ambassadeurs du Motel" を完成させる。

Les Ambassadeurs du Motel "Saranfing - Sabar" (Sonafric SAF 1786, 1976)
Les Ambassadeurs du Motel de Bamako "Ngana - Djoula" (Sonafric SAF 1814, 1976)
Les Ambassadeurs du Motel de Bamako (République du Mali) "Tiécolom-ba - M'bouram-mousso" (Sonafric SAF 1815, 1976)
by desertjazz | 2010-07-08 00:00

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