Ousmane Kouyaté

 サリフ・ケイタつながりで、ウスマン・クヤテについて整理してみた。

 1952年、ギニアのダボラ Dabola 生まれ。音楽一家に育ち、ギターとバラフォンを習得。その後バマコに移り住み、そこでカンテ・マンフィーラと出会ったことから、77年にアンバサデュールに加入。セカンド・ギタリストとして活動し、解散までの6枚ほどのアルバムに参加。

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Ousmane Kouyate "Révélation 82" (Sacodisc LS 62, 1982)

Ousmane Kouyaté_d0010432_20502072.jpgSide A
1. Beni Haminanko
2. N'ny
3. Deyin Kassila

Side B
1. Bintou
2. Bafin Kono
 A面は、オーソドックスなマンディングポップ〜ディスコファンク〜ムード歌謡風とよく分からない展開で、ギターソロも少ない。B面はマンデ・ポップに戻るが、メロディーもアレンジも歌も平凡。

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Ousmane Kouyate "Kefimba" (Melodie 8010, 1985)

Ousmane Kouyaté_d0010432_2050761.jpgSide A
1. Kefimba
2. Kameleya

Side B
1. Tougna
2. Je m'en fous
 マンディング・ディスコのオンパレード。シンドラム、チープなシンセ、意味不明のかけ声と、見事にエイティーズしている。ギニアの Bembeya Jazz のメンバーが多数参加(バマコで買ったジャケットがボロボロのこの1枚以外には、なぜか見たことがない)。

 他に "Ousmane Kouyaté et Le Ambassadeurs Internationale" (Musique Mondiale MAD 006, ? …データ元のサイト内で76年と84年の2つの記載がある) というLPもあるらしいが、詳細は不明。

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Ousmane Kouyate "Domba" (Stern's STCD 1030, 1990)

Ousmane Kouyaté_d0010432_2049557.jpg1. Djougouya
2. Domba
3. Kounady
4. Miriya
5. N'fananta Lele
6. N'nafanta
7. Kounady (Instrumental)
 サリフ・ケイタの "Soro" はとてつもない作品だった。初めて聴いた時にこれほどの衝撃と感動を覚えたレコードは、ジャンルを問わず他には数枚しか思いつかない。ダイナミックなサリフの声に驚いただけでなく、マンディングの音楽の伝統が凝縮されたアフリカ的要素と、最先端の斬新なエレクトリック・サウンドや、都会的なジャズのフィーリングとが完全に融合し、これまで聴いたことがない全く新しい音楽として輝いていた。90年前後の「パリ発ワールド・ミュージック」としては、シェブ・ハレドの "Kutché" と並ぶ最良の果実だったと思う。

 その "Soro" に参加したウスマン・クヤテ(彼はサリフの続作 "Ko-Yan" にも全面参加)と、"Soro" のキーボードとアレンジを担当したジャン=フィリップ・リキエル Jean-Philippe Rykiel が、続いて完成させたのが "Domba"。そのため、"Soro" とはまるで双生児のような作品だ。

 ニジェールの大河やサバンナの大地を自然と連想させるような力強い歌とコーラスから、センスに満ちた気持ちよいシンセサイザーの音(なぜか古さをそれほど感じさせない)まで、全てが見事に溶け合っている。バラフォンの音などは、生音なのか打ち込み音なのか分からなくなるほど。アルバムを通して "Soro" との等質性を感じさせるだけでなく、"Soro" に迫るほどのクオリティーを持った優れた作品だと思う。特にタイトル曲 'Domba' の2分30秒過ぎからが圧巻だ。パルシヴで小気味良いジェンベ、ハイハットなど高音部の細かなビートを強調したドラムキット、シンセの奏でる華麗なホーンズ、アフリカを讃えるように歌い上げるコーラス、そしてこれらを引き従えるかのように、カッティング鋭く絶妙のアドリブを聴かせるウスマン・クヤテのギター。そんな魅力的な音の数々が渾然一体となって生み出す疾走感と高揚感がたまらない。息詰まるほどにエキサイティングで、アフリカン・ポップ史上でも最高の数分間と言いたくなるほどだ。

 'Domba' is, in every respect, timeless. オリジナル・ライナーノーツの予言めいた結びの一文に偽りはなかった。

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Ousmane Kouyate "Dabola" (Universal, 2009)

 約20年振りの新作。昨年リリースされたときには試聴もしなかったので、詳細は不明(ネットで少し聴いてみたら、アコギを中心とするサウンドが軽やかな印象。時折ラテン・フレイヴァーも感じさせるバラエティー豊かさで、これなら買ってみても良かったかな?)。




by desertjazz | 2010-07-14 00:00
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